冒険者ギルドの詰所
「入会者は2人だったか?」
「はい!1人は可愛らしい女性の騎士っぽい人で、もう一人は痩せ型のカッコいい人です。試験は受けないですけどもう2人はフードを被っててよく見えなかったですけど子供ですね。でも久しぶりの大型新人さんみたいです!」
「アミィ、また勘違い野郎だろ?」
「自己評価で剣と魔法のレベルが8とか10!?世の中知らねぇ田舎モンだろうな。冒険者の厳しさってのを教えてやらねぇとな!」
「冷やかしで悪いが面白そうだ。俺達も見てみよう。」
◇◇◇◇◇◇◇◇
「では1人ずつ評価試験を始める。お前らの得意分野の木剣での模擬戦だが負けても構わん。試験に対する対応を評価するから全力でかかっこい。先ずはリア、お前からだ。」
ギルドの試験会場でクレリアと試験官が相対する。
クレリアが剣を構えると試験官が僅かに怯んだような気がした。
「それでは、始め!」
威勢よく走り込んだギルド職員の上段からの太刀を軽くいなし、コンボを浴びせる。いなした後の胴打ちから背後に回り袈裟斬り、膝からぐすれ落ちた後のトドメのスネ打ちで相手も余りにもの速さで構え直す隙さえ与えなかった。…見てるだけで痛そうだな、もう止めたほうが良くないか…。
「…そ、それまで!」
最後は仰向けに倒れた首筋へ木剣があてがわれた時に終わった。ものの10秒もかかっていない。クレリアも随分腕を上げたな。
「いいぞリア、今の連撃は見事だ!」
「アランに比べればまだまだよ。」
といいながら口元がニヤつきそうになり必死で我慢しているのがわかる。試験官の方を見つめ再び此方に見直し小声で話す。
「それに、試験官よりもガウの方が絶対に強いわよ。」
その言葉にガウが反応する。
「ガウもやってみたい!ガウも試験する!」
「ガウ、いけません。アラン様達のご迷惑になります。」
ララが注意するが意外にも試験官が声をかける。
「…構わん、2人も3人も変わらんからな、後で当然登録料は頂くがな。そっちの娘っ子もか?」
試験官に問われたがララはいえいえと手を振り断る。
その後飛入りのガウと新たな試験官が対峙する。先程より大柄な体格で大盾と棍棒を持った大男が挑発する。
「ガキだからって調子にのってると痛い目に合うぞ。冒険者ってのは甘いもんじゃねぇ。黙って家に帰った方が良かったって泣きベソかいても知らねぇぞ。」
意外にも試験官の挑発には乗らず冷静だな。さて、どうやってガウが戦うか見ものだ。
始めの合図が出た瞬間。ガウの身体が光り5メートル先にいた相手の大盾目掛け正拳突きを放つ。盾は粉々に砕け試験官は試合会場の壁に叩きつけられ白目を向いていた。
今の突きをギルドの職員達は見れたんだろうか?素人ならいきなり消えて対戦相手が何故か吹っ飛んだだけだから。不意に苦笑しそうになったが相手は大丈夫だろうか?
…盾を構えていた腕はあり得ない方向に曲がっている。ヤバいぞ。早く治療しないと致命傷になるんじゃ…。ああ、ギルドの人もパニクってるな。ガウもどうしていいか分からずオロオロしている。
「いけません!」
ララが急いで試合相手の元に寄り添う。
「少々痛みますがお許し下さい。」
そう言うと骨折した腕を引っ張り元の位置まで戻す。気を失っているのが幸いだ。その後目を瞑り患部に手を添える。何かを囁いた後その手から光が溢れ出す。
(ナノム、今のは魔法か?)
【分かりませんが恐らくその様に見受けられます。祈りの最中に魔素が身体に集まり手から膨大な魔力が放出されました。相手の負傷した箇所が著しい速度で回復しました。】
柔らかな光が消えた時には怪我等何もなかったかのように傷が消え去り、試験官の大男は何故自分が横たわっているのか分からず、周囲をキョロキョロと見回している。
「……それまで。」
弱々しい合図で試験が終了した。その後ろではギルド職員達の会話が漏れ聞こえた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「おい、一体どうなってんだ!?勝手に吹っ飛びやがった。」
「しかもあの治癒士がいなかったらお前、死んでたぞ!運がいいのか悪いのか。」
「さっきの女騎士も恐ろしく強かったぞ…。全く歯がたたなかった。巫山戯てはないだろうが遊ばれてたかのようだった…。」
「最後はあの優男か…。あの様子だと1番の実力者だな…。」
「ケニー、…骨は拾ってやる。逝ってこい。」
「お前ら、マジで覚えておけよ。」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
いよいよ俺の番だ!さっきまで誰が相手になるか相談してたが最後の方は押し付け合ってた感が否めないが気の所為だろう。
「それでは、始め!!」
先程のガウと同じ様にスピードをあげ相手の背後に回り込み一瞬で羽交い締めにして首元に木剣を当てる。
「それまで!」
…ん?もう終わりか?もしかして試験官もサービスしてくれたのか?
その後、皆の前に戻る時に相手から小声で「ありがとう」と聞こえたが何でだろう?
受付でガウの受付と登録料を払い約1時間後にギルド証を貰う。3人ともCランクの銅製のプレートだ。
新人冒険者では最高のCランクだ!ガウと喜んでいるとクレリアは
「アラン達の実力なら当然よ。本当ならAランクでも許されるんじゃないかしら。」
受付のアミィもうんうんと頷き満面の笑みだ。
さて、ギルドの登録も終わったしゴタニアの街でも散策するか。ウィリーと合流しCランクだと言うと驚かれたが喜んでもくれた。やはりランクが高いとこれからの面でも色々と融通がきけるらしい。
ギルドを出て少し歩いた時に女冒険者と目が合う。鋭い目つきと風貌に中々の実力者だと感じる。クレリアを見た瞬間に驚愕の表情に変わる。
「ク、クレリア様!」
魔法試験は口頭弁論で終わったみたいです(笑)