人類スターヴェイク帝国建国記   作:妄想白夜

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033.シーモン商会

 

 タルスさんにパーティー結成の報告とこの世界の情報に疎いのでスターヴェークでの戦争の話やこの国の政治情勢について教えてくれるか相談することにした。

 

 政情によって俺たちでの今後の活動も左右されるのでクレリアの出自を話すことに決まった。

 エルナはクレリアの出自を喋ることは身を危うくするのではと心配されたのだがタラスさんは信頼できる人だ。

 もし裏切るようであれば付き合いを考え別の場所に移ることも検討する。まあ、従業員に信頼されているあの人がそんなことはないだろうと思うが。

 

 

 ん?タラスさんの館に向かう道中、ベックとトールが5人の男達と喋っている。…いや、何か一方的に文句を言われているような感じだな。

 

「何故ウチの商会に卸さない!今まで高値で買い取ってきたのにタラス村の者ときたら!」

 

 中年のやや小太りの男が腕を組んでベック達に恫喝している。その指には大きな宝石の指輪が幾つもついている。

 

「ウチの村の商品はタルス商会に卸すんです!今日査定してもらったら今までの2倍以上の値段で買い取ってくれるんですよ⁉それも正規の値段で。それに安く買い叩いてたのはそっちじゃないですか!」

 

 トールが反論するが後ろにいる4人は屈強そうな…、違うなただのゴロツキだ。というかこいつら朝に冒険者ギルドにいたような気がする…。その男達がベックとトールを囲い込む。

 

「いい加減な事を言うな!お前らは会長の言うようにシーモン商会にその荷を卸せばいい!嫌なら痛い目にあうぞ!」

 

(トラブルになりそうだな…。助け舟をだすか。)

 

【なりそうではありません。もうトラブルは発生しています。】

 

「…すまない。」

      

 ナノムを無視しゴロツキともう一人に声をかける。

 

 ゴロツキは俺を睨みつけ会長と呼ばれたものは舐めるような目つきで俺たちを見る。クレリア達はその視線に気味悪がっている。

 

「市場の往来で感心しないな。それにこいつらは俺の友達なんだ。脅しているように見えたんだが?」

 

「脅しとは心外だな。元はといえば代々タラス村の商品を買い取ってたのはシーモン商会なのだ!それに私は会長のシーモンだぞ!

 それをこの若造ときたら金に釣られ他の商会に荷を卸すとは此方は大損だ!その損失を君が補填でもしてくれるのかね?

 まあ、そちらにいる小娘がウチの商会で損失分を奉公するなら考えてやるぞ。」

 

 …目茶苦茶な理論だな。商談が上手くいかないからって何で俺が補填することになる。エルナは今にでも殴りかかりそうだ。

 確かに最後の発言は俺も許せないな。いや、怒りに任せず冷静に反論しよう。 

 

「さっきの話だと大分タラス村の商品を買い叩いていたみたいだがそれこそ随分と儲けてたんじゃないのか?」

 

 俺の発言に苦々しい顔でゴロツキに視線を送る。ゴロツキは俺の胸ぐらを掴み恫喝する。

 ガウが助けようと動いた為、手で制止させる。

 

「おい、お前!朝ギルドにいた新米の冒険者だろう?正義感が強いのは認めるが世の中はそんなもんじゃ飯は食っていけねぇんだよ!それにきれいな姉ちゃん侍らかす若造は特にな!」

 

 殴りかかってきたので軽く体をひねり避ける。相手は驚いているが帝国格闘技ーインペリアルアーツーを学んだ身からすれば楽勝だ。蹴りを入れようと片足が浮いたので足払いで転ばせる。尻もちをつかされ周囲の野次馬から失笑が入る。

 

「兄貴!?」

 

 ゴロツキの三下が心配しているがコイツはまだやるのか?あー片手剣なんか抜いて騒ぎになるぞ…。

 

【安心してください。今のこの界隈の騒ぎの中心人物は艦長です。】

 

 俺なのか!?只々ベック達を助けようとしただけなのに。野次馬もどよめきと悲鳴に似た声も聞こえる。

 

「クレリア様、流石に止めた方がよろしいのでは…。」

 

「構わん。エルナもよく見ていろ。女神ルミナスに愛された寵児を。」

 

 片手剣を俺の胸元に突きつける。冒険者同士の刃傷沙汰って違反じゃないのか?そんなことも分からない程短気なのか。

 

「テメェ…。此処までコケにされてただじゃおかねぇ。この【鉄の掟】のリーダー、ラドン様を此処まで怒らせたのはお前が初めてだ!俺はパーティーでも唯一のCランクだぞ。後悔しろ!」

 

 大きく振りかぶって切りつけてくる瞬間にコリント流奥義メテオストリーム(恥)モドキを放つ。軽く小突いてやろうと剣は鞘に納めたまま連撃を行う。5コンボで許してやる、感謝しろ。

 

 最後の膝蹴りでラドンをシーモンの足元に追いやる。

 

「冒険者というのは綺麗事では食べていけないことは分かっている。だからって怒りに任せて行動する様な奴を冒険者と呼べるのか?

 それにシーモン商会さんもゴロツキなんか雇わずもっときちんとした商売をしたほうがいいんじゃないですか?一応自分も【正義感】を持っているので。」

 

「あ、あぁ…。せ、折角高い金を払って雇ったのに…。うわぁー!!」

 

 泣いて逃げていったな。ゴロツキもラドンを背負って消えていった。これで一応一安心だな。

 

「アランさん!凄すぎですよ!」

 

 ベックとトールが近寄ってきた。

 

「おお、ベック。聞いたぞ!いつもの2倍の金額の査定だろ。タルス商会凄いよな!」

 

「そっちじゃないですよ!シーモン商会から助けてくれた事です!」

 

 





冒険者パーティー【鉄の掟】が今後どの様な活躍を魅せるのか期待です!
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