人類スターヴェイク帝国建国記   作:妄想白夜

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 後半はベックとトール達の小話です


036.別れ

 

 朝風呂にベックとトール、ガウと4人で入る。昨日朝の貸切風呂を大分責められたので皆は満足だろう。特にベックとトールは村に帰ると暫く入れなくなるので長湯するみたいだ。のぼせるまで入るなよ…。

 

 今日の予定は盗賊の報奨金を貰い、ベック達がタラス村へ帰るのを見送る。午後は昨日行けなかった皆の武器防具を買い揃えよう。最後は豊穣という宿屋を借り、気に入ったら拠点にしよう。

 

……………………

 

 守備隊の詰所に行くとノーマン隊長が出迎え報奨金を受け取る。

 

「おい、昨日は早速暴れてくれたみたいだな。酒場に行ったら話のネタが尽きなかったぞ!こっちの部屋に報奨金が保管してある。ギルド証を提示してくれりゃ補償金も返却するぞ。」

 

 報奨金は合計10万五千ギニー。ベック達に2万ギニーずつ渡す。固辞されたが皆の協力でやったと強引に受け取って貰い盗賊から分捕った武器類も持って帰ってもらう。

 

「アランさん、師匠、ガウ坊、ララちゃん。ほんとにありがとうございます。アランさん達に出会えた事は一生の思い出です!」

 

 ベックがそう言うと、

 

「そうっす!黒斑を倒したり、盗賊を倒して輩も退治してくれたり。その報奨金を貰ったり、良い商売もできたし!夢のような日々でした!また、師匠を見習って剣の練習に励みます!」

 

 トールも力強く宣言してくれた。

 

「それとこれは僕とトールからなんですが…。」

 

 ベックから投擲ナイフを3本頂いた。皮の鞘に入ったいいナイフだ。クレリアにはキラキラと光る白い櫛。ガウには採取用に使えるダガーと腰ベルト。ララには黒く染め上げられたフード付きの動きやすいパーカー風の服。皆気に入って試着したりしている。

 クレリアが代表してお礼を言う。 

 

「ベック、トール心のこもった贈り物をありがとう。大事にする。2人共息災であれ。また何か困ったこと後あったら私達に相談してくれ。」

 

 別れの時が近づく頃5人組の重装備の男達がやってきた。

 

「俺たちがタラス村まで護衛する【鉄の斧】だ。自分で言うのもなんだかBランクパーティーだ。」

 

「鉄の…?もしかして昨日の…」

 

 聞いたような名前だったので不意に言葉が出てしまった。するとリーダー風の男が笑いながら

 

「ハッハッハ。俺たちは【鉄の掟】じゃないぞ!確かにラドンは若い頃俺達に憧れて面倒を見ていたが素行が悪くてクビにしたんだ。名前だけでもって同じ鉄を真似されたが一緒にされちゃあ困る。ま、あいつにもいいお灸を据えただろう。」

 

 リーダー風の男は豪快な感じだが立ち振る舞いから周りから信頼されているのが分かる。

 

「すまなかった。俺はアラン。ベックとトールをよろしく頼む。大事な友人だからな。」

 

 俺は右手を差し出し相手もそれに応える。

 

「おう、任せろ!俺は鉄の斧のリーダー、アッシュ。宜しくな、シャイニングスターのアラン!冒険者ギルドじゃお前たちは人気者だぜ!新参でも実力があるなら大歓迎だ。もし依頼で一緒になる時は頼むぜ!」

 

 ベック達を見えなくなるまで見送る。御者台からベックとトールも代わる代わる手を振ってくれた。やはり別れというものは寂しくなるな。

 1ヶ月もない期間だがこの星に来て初めてできた男の友達だったからな…。ガウもいつもより寂しそうだ。2人共元気でな!

 

 

 

……………………

 

 

 それから10日後 タラス村へ向かう道中

 

 夕方になり夜営の準備をする最中

 

「なあ、ベックさんよお。何処でそんな太刀を覚えた?グレイハウンドをあんなアッサリ。しかもビビらずに。護衛の俺達のいる意味がねえな!ま、此方は楽できていいが。ガハハハ。」

 

「アッシュさん。実はアランさんの隣りにいたリアさんって方に教えてもらってました。二十日間程ですけど。」

 

「…アランは確かコリント流って奴の使い手だよな。あの姉ちゃんもその実力者ってことか。人は見かけによらねぇな…。しかも二十日で此処まで仕上げるとは。」

 

「確かに。リーダーの言う通りあのシャイニングスターのメンバーは魔法もすごい子が入ってきたってギルドのアミィちゃんが自慢してましたよ。」

 

(…あのメンバーの実力は未知数だ。魔法も使えるとなると今後は更に伸びるな。特にアランはあのラドンを軽くいなした…力だけで言えば俺でも厄介な奴なのに。)

 

 

「ベックさんとトールさんよ。もしよかったら冒険者にならねぇか?2人の連携は一端の冒険者のそれだ。一介の行商人にしておくのは勿体ねえ。」

 

「え!?冒険者なんて考えた事もなかったです!実力はまだまだなんで村に帰ってからも色々訓練していくつもりです。」

 

「そうかぁ。パーティーのメンバーもお前さん達の実力は納得しているぜ。なにより、面構えがいいってな。ま、興味があったら頼ってくれよ!」

 

……………………

 

 

 時は経ち、タラス村 

 

「父さん、話がある。」

 

「どうした?トールも一緒に。また一緒に剣の訓練か?そう言えばこの前お前らだけで黒斑の番(つがい)を倒してくれたよな。」

 

 

「俺たちは冒険者を目指す。村の若者の訓練に一区切りつけたら旅に出る。父さんの後は弟に継いでもらう。」

 

「…馬鹿なこと言うな。黒斑も運良く倒しただけで調子に乗りやがって…。泣き叫んで死ぬのがオチだ。」

 

「父さん、ごめん。でも俺たち決めたんだ。何て言われても出ていく。」

 

「勝手にしろ!馬鹿野郎!」

 

 

 2人の旅立ちにザックの姿はなかった。村人から見送られる中弟から渡されたあるものは2人の宝物になるのはまた後の話…。

 

 

 

 

 

 





 また暫く書き溜めてから投稿します。9月2日0時予定です。
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