お待たせしました。
「此処がカトル防具店か…。」
ウィリーの案内で店に入る。客は店長と思しき人と少女らしき人が談笑している。俺たちに気づき三つ編みをした少女は笑顔で会釈をする。俺も会釈を返し店長にヨーナスさんから貰った紹介状を渡す。
「…大旦那様からの紹介か。俺がカトル防具店店長のザルクだ。自慢じゃないがうちの店はゴタニア1の防具を揃えている。気に入ったもんがあったら遠慮なく言ってくれ。」
「アランです。昨日冒険者登録した駆出しですんでおすすめの装備があったらお願いします。」
ザルクは手を振り
「あー、すまんが敬語はやめてくれ。こちとら荒くれ者の冒険者を相手に商売してんだ。俺も冒険者に対して敬語は使わん。」
ザルクはフランクだな気を使わずにしてくれる方が都合がいい。
「了解だザルク。俺は動きやすい鎧がいい。値段はあまりに高すぎるのはあれだが性能を重視する。あとは…」
店長のザルクに各々の要望を伝えていく。
「あら、そちらのお嬢さんの鎧はミスリルですね。それも貴族様が着るような。一級品で高価なのが人目で分かるわ。」
三つ編みの少女がクレリアの装備を褒めている。クレリアが質問する。
「この鎧が分かるのか?一級品なのは嬉しいが貴族に見えるかしら?」
店長のザルクが反応する。
「確かに冒険者って言うより貴族様…、いやお忍びでお出かけしたお姫様って見えるぜ。下手な輩に襲われるかもしれねぇな。」
ザルクの鋭い指摘にクレリアとエルナの顔が引きつる。
「な、何か良い鎧があれば此れを下取りにして…。」
「悪いが嬢ちゃんの鎧を越える業物はないな…。さっきゴタニア1って言ったがまさか此処まで精巧なミスリルの鎧は置いてないぞ。」
「ならば此れをくすんだ鉄鎧風にしてくれ。できれば紋章やライン等も消して武骨なデザインがいい。」
クレリアの注文にザルクはなんて勿体ない事を…とブツブツ言っていたが承諾した。
エルナはクレリアを見つけるため装備を売り路銀に充てていたので新しい鎧を注文する。ひとしきりクレリアに謝っていたがクレリアは自分の為にと感謝している。俺もパーティーの戦力増強には金に糸目をつけない。
「じゃあアランはワイバーンの魔道具付の革鎧、魔石はサービスだ。坊主はメタルハザードの胸あてと下垂れだ。あとは…」
ザルクの説明でエルナには合金の鎧、ララはよく分からなかったが軽量な金属で編み込んだクサリカタビラという装備。刃物を通しにくく打撃も少なからずダメージを防ぐらしい。
「全部で11万…て言いてぇが負けに負けて10万ギニーだ!しっかりと調整するから3日後に受け取りに来てくれ。」
「わかった。今後もよろしく頼む。」
ナノムに正規の値段を計算させたら14万3千ギニーだった。4万以上も値引きして赤字にならないか心配したがかなり得をしたので良しとしよう。
……………………
次はザルクに紹介してもらったタルス武具店に向かう。エルナの装備とガウとララにも何か役立つ武器があれば買っておこう。…そういえばさっきの買物で残りは20万ギニーぐらいだが武器を買ったら厳しいな。それにその内4万ギニーはクレリアとガウの盗賊討伐のお金だからな…。何か依頼を受けて稼がないと。
店長のジョーという人に挨拶をして武器を閲覧する。エルナには魔法剣を買い、今使用している武器を下取りに出してもらった。エルナは自分が魔法剣など勿体ないと言っていたが前線での戦いが多いはずなので役立つだろう。
「この魔法剣は12万ギニーだが2割引きで10万ギニーってどこだな。」
…よし!今日の買い物はここまでだな。うん。ガウやララには悪いが…、いやほんとに申し訳ない。下取りの金額の3万ギニーはパーティーの資金にしてくれとお願いされたので有難く頂戴した。
ガウやララの武器について聞いてみるとガウは基本的に素手での戦闘がほとんどだったのでいい武器がないかジョーに聞いてみる。ララは武器を使ったことがないので護身用のナイフがあれば今後検討しよう。ああ、電磁ブレードナイフがもう一本あればな…。
「ジョー、格闘で戦う時にどんな武器がある?」
「格闘!?対人戦ならともかく魔物に対して聞いたことがねぇな。ザイリンク帝国ってどこじゃアーティファクトを使ったグローブで戦う部隊があるみたいだがうちにはないな。ガンツの街にもあるかわからんな。」
どうやらグローブやナックルダスター(メリケンサック)みたいな物はないそうだ。拳を保護する防具があれば今後代用してもいいかもしれないな。
会計をして帰ろうとした時に1人の男が店に入る。ズカズカと歩きカウンターの前に荷物を置く。
「おう、注文した商品と新作だ。金は2週間後の別の商品を納品するときでいい。」
「おう、ありがてぇ。そうだ!こいつは親方が打った魔法剣を買ってくれたアランだ。」
ジョーに紹介され挨拶をする。
「アランです。いい武器をありがとうございます。」
相手は腕組みをしながら蓄えた髭を触りながらギロリと睨みつけるように此方を見る。…いや、ガウほどの身長で見上げている。
鍛冶師で鍛え上げたであろう太い腕だ。身長を除けばかなり体格はいいな。
「…お前さんの武器を見せてくれ。」
武骨な物言いに戸惑いながらも魔法剣を見せる。
「そっちじゃねぇ!脇に仕込んである珍しい短剣だ!」
驚いた。いきなり大声をあげられたからではなく、今の間で魔法剣や投擲ナイフに隠れて目立たないようにしていた電磁ブレードナイフを見たいとは。
「あの…、よく切れるんで注意してくださいね?」
俺の注意を聞いているのか分からないかブレードナイフを渡すと手が震えていた。鞘を抜き取り刃を眺めると大きく目を開き硬直していた。3分以上瞬きもせずにいたのでかなり目が血走っていた。心配になり思わず声をかける。
「あ、あの、大丈夫ですか?」
「こ、これは…」
申し訳ありません。また次回は少し間が開きます。m(_ _;)m