人類スターヴェイク帝国建国記   作:妄想白夜

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039.シャイニングスター始動

 

 次の日、タルス商会の依頼でタルスさんの積荷を回収し報酬をもらった。その際にグレイハウンド10頭を狩る事ができ報酬はトータルで5万5千ギニー。

 冒険者ギルドでは驚かれたが自分達の実力では何も問題ない。受付のアミィさんは呆れていたが。前日の【鉄の掟】とのトラブルは口頭で注意されたが非が相手にあるとのことで不問にされたのはよかった。 

 

 それからの日々は訓練を繰り返し俺とララは魔術ギルドで魔法の勉強という日々だった。昼から予定が空く時はバースと買い出しと夕食の料理を作る。初めはバースの料理を教えてもらうつもりがブラックバードの唐揚げを披露してからは俺のレパートリーを教える事になった。楽しいからまあいいか。

 

 3日後に新調した防具をカトル防具店に貰いに行く。その後魔法の訓練を行いエルナが使っていた風魔法、エアバレットとウインドカッターも完璧に習得することが出来た。

 

「流石アランね。私も早く習得しなきゃ。」

 

 クレリアの当たり前という発言にエルナは呆れていたがイメージが大事ということで魔術ギルドで教えてもらった魔素の伝達を教えるとエルナも5連射のウインドカッターが出来るようになった。話を聞くとクレリアからも魔導書の工程をそのまま詠唱するよりも無駄なものは省き魔力を効率よく込めることを言われたらしい。2人共センスがいい。

 エルナの喜びようは凄いもので連発してすぐに魔力切れになり大変だった。

 

 驚くのはガウだ。ウインドカッターを見様見真似で右手で切り裂くように放ったかと思えば近くの岩が崩れ落ちた。もう一度やって見るように言うと奥行き1メートル程の大岩を3本の切り口が30センチ程のめり込んでいた。

 対人には殺傷能力が大き過ぎるので魔物のみに使うよう厳命する。

「ガウ、危ないからくれぐれも人に使っちゃ駄目だぞ。」

 

「ガウゥ…。悪い人間に使っちゃ駄目なの?」

 

「駄目です。アランさんの言う通りこれは人に使うのは危なすぎます。」

 

 俺が答える前にララが返答する。「分かった…。」と納得していない感じだが…。急に「ガウ!」と言い南東の方角に反応する。

 

 探知魔法にも反応があった。大きい反応が8体小さいのが4体、恐らく魔物に襲われているな。

 

「魔物が8体。此処から南東に約1キロ先に人が襲われている!急ぐぞ!」

 

 走り出すと遠巻きに見えてきた。戦っている冒険者がいた。不味いな、2人は懸命に戦っているがもう1人は倒れている。最後の1人は女でパニックになり戦意を失っている。

 

「皆!俺が魔法で敵をおびき出す。クレリア!フレイムアローで始末しろ!ララはクレリアのサポートを、エルナとガウは近寄る敵を倒せ!」

 

 エアバレットを4匹の敵に叩き込み此方に意識を向けさせる。案の定、二足歩行をした豚は此方に襲いかかってくる。動きが遅くて助かる。クレリアは4本のフレイムアローを敵の目や喉元の急所に命中させる。

 

「残り3体!来るぞ!」

 

 ミスがないように皆を注視し、不慮の事態に備え腰だめのパルスライフルを構える。

 

「ガウ、私が行きます!」

 

 エルナが先立ち魔法剣で相手の得物を腕ごと切り飛ばす。返す刀でもう一体の胸元に渾身の突きでとどめを刺す。エルナはガウにアイコンタクトを送りガウは別の一体にウインドカッター切りを放ち斜めに切り落とす。腕を落とされ悲鳴を上げて逃げだした最後の一体はクレリアの魔法の練習の餌食になった。

 

 うん。見事な連携だなと感心して皆も表情が綻ぶ。おっと、油断は禁物だな。

 

「各自安全の確保!クレリア、エルナ、ガウは魔物が生きてないかの確認と魔石の回収。ララは俺と一緒に負傷者の救助だ!」

 

 唖然と俺たちの戦いを見ていた冒険者に近づき声をかける。彼もところどころ怪我をしている。

 

「大丈夫か?そっちの倒れている人は?」

 

「あ、ああ…。助かった…。ジェフは俺を助けようとして横っ腹を切られたんだ…。」

 

 ララが介抱しているが状況は酷い。かろうじて息はしているが切り口からは出血が止まらない。ララは目を閉じ魔法を唱える。手から白い光が放たれ「ヒール」と言うと出血が止まった。

 

「アランさん、申し訳ありません。何とか出血は抑えましたが切り傷が深く恐らく内臓も損傷しています。このままでは…」

 

「わ、私のせいだ…。私がオークを倒そうなんて言うから…。ど、ど、どうすれば…。」

 

 ララの言葉に座り込んで頭を抱えて震えている女性が呟いている。

 

「ララ、俺が何とかしてみる。」

 

(ナノム、治癒魔法を使う。此処までの怪我が治るのは未知数だ。魔力は残量全て使っていい。助かりそうか?)

 

【可能です。後遺症もなく完治できます。但し艦長の魔力の95%以上を消費する為、気絶する恐れがあります。】

 

 仕方がない。死ぬわけじゃないから試す価値はあるだろう。傷口に手を当て【READY✕3】の表示が出る。次の瞬間、付近一帯に大きく発光した。

 

……………………

 

「…アラン!アラン!良かった!目が覚めたわ!」

 

 クレリアに抱きかかえられ目を覚ます。

 

(どれくらい倒れていた?)

 

【約5分です。ララの魔力が艦長に伝達され20%まで魔力が回復しました。】

 

(!そんな事が出来るのか!?)

 

【解りません。しかし波動伝達のデータは取得できました。魔石での魔力供給が出来るかもしれません】

 

 周囲を見渡すと皆が俺の周りに集まっていた。クレリアは目に涙を浮かべ、ララは俺の手を握っている。ジェフという男も先程のリーダーらしき人に肩を担がれていたが無事だったようだ。

 立ち上がって状況を把握しようと思ったがガウが嬉しさのあまり俺に飛び込んで再度意識を失いかける。

 

「アラン兄!凄い!」

 

「う…、ガウすまないが鳩尾に飛び込むな…。」

 

「あ、アンタが俺を助けてくれたんだな…。命の恩人だ!ありがとう!」

 

「ああ、傷は塞がったが、流した血は戻らないから帰ったら精のつく飯を食えよ。」

 

「俺たちは【鋼の刃】Dランクパーティー。リーダーのジャックだ。助けてくれたこいつがジェフ。泣いていた女がリン。紅一点の斥候だ。最後に此のでかいのがタンク役のギルだ。」

 

「タンク役?」

 

「タンクを知らないのか?此のでかい図体と盾で敵からの攻撃を守るんだ。ギルがいなかったら俺たちも死んでたな。」

 

 するとギルと呼ばれた男が俺の前に来てビシっと礼をする。身長は190センチは超えているな。何処となくアマート小佐ー戦艦イーリス・コンラートの乗員ーに似ている。

 

「…本当に助かった。ありがとう。」

 

 ギルは一言だけ礼を言うとジェフの肩を持ち支える。

 

「今は手持ちが無いが金は払う。街に帰ったら必ず。足りなければ借金でもするよ。」

 

 リーダーのジャックがそう言うがそこまでしてもらうつもりはないぞ。

 

「いや、別にいいぞ。このオークの魔石さえ貰えば。」

 

 グレイハウンドよりも大きな魔石は売っても価値は高いだろう。それにナノムのいう魔石の研究もしてみたい。

 

「それは当然だ!討伐したお前らの物だ!…そうだな、今度是非奢らせてくれ!絶対だぞ!あとは…お前らの紹介をしてくれ。」

 

「俺はアラン。左からリア、エルナ、ガウ、ララだ。パーティー名はシャイニングスターだ。【豊穣】を定宿にしている。」

 

「!?あの高級宿か?まあお前さん達の実力なら当然か…」

 

 軽く情報交換し彼らと別れる。話を聞くと斥候のリンがオークを1頭見つけ討伐しようとしたが手こずりあっという間に囲まれたらしい。

 

 宿に戻ってからは心配したとクレリアとエルナにこっぴどく叱られた。ララはあの治癒魔法について延々と質問され開放され部屋に戻った時には疲れてすぐ眠りについた。明日も頑張ろう。

 

 

 

 





 ゴタニアではパーティー名に金属名をつけるのが流行りみたいです。
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