某汎用人型決戦兵器の話ではありません(汗)
ウィリー達の商隊の危機を防ぎ、返す刀でクレリア達のもとに向う。
探知魔法の反応は逃げ出したゴブリンが中間地点に集結しかけている…。
11人に対し60匹近くのゴブリンが戦っている。此れはあの貴族だろう…。武装した騎士がいたのでこれくらいは大丈夫だろうと思うが。
ん?此れは駄目なパターンだな…。どんどんと包囲が狭まって馬車を囲んでいる。
間に合うか…。正直間に合わない方が問題ない気がするが…。
そんな中、マッピングしたゴブリンが10匹程一瞬で消えた。
良かった。騎士に手練れがいるようだ。形勢逆転だ!遠くで歓声が聞こえた!…ん?その声はゴブリンを自分達で倒した声ではなかった。
「使徒さまー!!」
「使徒様が我らをお助けくださった…」
「うおー!使徒様が降臨されたぞー!」
「ルミナス様万歳!!イザーク様万歳!!」
今のは使徒の攻撃だと!?俺の思いとは裏腹にゴブリンの生体反応がどんどん消えていく…。そんな馬鹿な!?
緩やかな登り坂を抜けて500メートル先上空に見えたのは使徒!?
騎士達が手を仰ぎひれ伏している中、魔法ではない光線がゴブリン達を焼き尽くす。
探知魔法にゴブリンの反応は無くなった。
60匹いたゴブリンは跡形もなくそこにいたであろう焼き焦げた残骸のみとなった。
使徒と呼ばれた物体は上空に佇んでいる。心なしか此方を見ているように見える。
(ナノム、あれって…)
【DR-3020偵察用ドローンです】
…だよな。
「わ、我らの思いがルミナス様に届き、憎きゴブリン共を屠ったのだ…。使徒様…」
貴族が涙を流しながら讃えている。此処は大丈夫そうだから先を急ごうとしたが案の定難癖をつけられる。
「貴様は…、先程敵前逃亡した冒険者だな!使徒様がいらっしゃるのにも構わず行くとは…。ルミナス教の信者としてあるまじき行為だ!」
ワナワナと怒りながら俺のもとに近づいてくる。俺はルミナス教という宗教に改宗した覚えはないんだが…。
胸ぐらを掴まれ、「貴様はゴブリンと同じく使徒様から天罰が下るだろう!」
ドーーン!!
使徒と呼ばれた物体から放たれた雷に似た量子光線。次の瞬間、爆炎に包まれる貴族の馬車。馬2頭は逃げ出した。恐らく馬には危害を加えないように攻撃したのか…。
喜びから一転、騎士達は唖然とし貴族は腰が抜けて座り込む。
トドメと言わんばかりに1センチ大のレーザーが貴族の半径50センチ周囲に真円を描く。
貴族を助けようとした騎士に動くなと言わんばかりにレーザーが光り行く手を遮った。
弧を描いていたドローンは急上昇しステルスモードに入り視界から消えた。
「使徒様が…」
「行ってしまった…」
騎士達は自分達を助けた使徒が男爵を攻撃した理由を考えていた。
(イザーク様は公正公平だ。ホルスト男爵が使徒様の前で横柄な態度を取ったので天罰が起こったのだ…。 そうに違いない…。)
「えっと…取り敢えず、もう行っていいですか?」
白目をむき意識を失った貴族に返事はない。騎士達はうんうんと頷いているので先に進もう。ドローンが何処に行ったのか気になる所だが、クレリア達と早く合流しなければ。
(ナノム、何か忘れていることがあるような気がするんだが…)
【あの傲慢な貴族は敵として認識しマッピングしました。ご安心ください。】
(それもそうなんだが…了解)
アランは忘れていた。長らくこの星にいたため通信インターフェイスを切りにしていたことを。
使徒と崇められたドローンから幾度も発せられる信号に対しアランの通信インターフェイスが開かれることはなかった。
……………………
前線では大混戦の状態だ。此方側の負傷者が沢山いる。指揮を
していた馬上の騎士の姿が見えない。何故かクレリアが馬に乗っている…。
敵の半数は倒したが残りは100匹。上位種も残り5匹。シャイニングスターのメンバーは全員無事だ!何とか間に合ったな。
俺に気づいたクレリアが檄を飛ばす。
「皆、安心しろ!我らのリーダー、シャイニングスターのアランが戻ってきた!此れでこの戦は我らの価値も同然だ!」
「オオー」と、怒声に近い叫びが各地から聞こえ完全に形勢が逆転する。
「リア、それに皆。耐えてくれありがとう。後は大丈夫だ。上位種は俺がやる。」
先を歩き、残った上位種に気合十分で立ち向かう。相手も知能があるのか親玉を守るように陣形を組んで此方を睨んでいる。
「相手はホブゴブリン4体とゴブリンジェネラルだ!1人じゃ無理だ!」
「いや、あいつは一発合格でCランクになったやつだぞ!」
「剣も魔法も規格外なんだろ!?」
「あの最初の爆裂魔法を使ったやつか!」
「頑張れ!何とか奴らを倒してくれ!」
周りの冒険者からの期待と声援に俺も柄になく緊張してきた。よし!カッコよくファイナルブレードで瞬殺しよう。
剣を抜き魔力を注入し剣が光る。
「オォ…」
「「見れるぞ…あの噂のコリント流剣術を!」」
その言葉に剣の光が消える。…やっぱり魔法で倒そう。
ゴブリン達と10メートル近くで対峙する。
静寂の中、甲高い音が鳴る。
あっという間に5体のゴブリンの心臓に穴が空き倒れる。
「オォ!!」
周囲が騒いでいるが俺はそれどころではなかった。一部の者はおかしいと気づいているだろうが。
俺は言いようのない焦りで震えていた。それはゴブリンではなくその後ろにいる1人の女性に対してだ。俺と同じパルスライフルを構えている。 着ているつなぎは帝国軍使用のものだ。
周囲の人達が漸く俺ではなく彼女が上位種を倒したのだと気づいた。
「ねえ、アラン。あの人って…もしかして?」
「………今は、少し待ってくれ。」
クレリアの質問に答えることが出来ない。色々な考えが逡巡する。
服装と装備を見ると完全に帝国軍人だ!こんなに早く救援が来たのだろうか?そんな筈はない。此処は未開の宙域、座標等は全く分からない。超空間航行で奇跡的に来れるなんて雲をつかむような話だ。とすれば艦に生き残りがいたのか!?
彼女が近づいてきた。容姿はかなり若い。クレリアと同じ年齢くらいか…。綺麗な顔立ちは誰か知り合いに似ている気がする。
彼女は俺の前に止まり右拳を胸に掲げた。
『失礼します。閣下。この様な格好で申し訳ありません。セリーナ・コンラート准尉、着任のご挨拶に参りました』