どうやら中年のオヤジは村長だったのか。
「おい、みんな!!黒斑を倒してくれた英雄様だぞ!それにその肉まで分けてくれるんだ!お前ら宴会の準備だ!」
村の代表者に紹介されゾロゾロと群がる住民に歓迎される。みんな好意的に…一部俺の服装に凝視されるが悪い連中ではなさそうだ。
今は村人総出で宴の準備に取り掛かり俺達は広場の上座で寛いでいる。
「なあ、ザック。俺もなにか手伝おうか?」
「とんでもない!黒斑を倒して肉まで分けてくれるんだ。逆にこれ以上何かさせたら申し訳ないぜ!茶でも飲んで待っててくれ。」
出されたお茶を飲んでみる。
「うまっ!」
このお茶…、めちゃくちゃ上手いぞ。可能なら幾らか買い取ろう。
ザック達との会話で盛り上がる際にブレードナイフを貸す。注意して使うように言うと解体している所から歓声が上がる。
12歳くらいの少年が近づいて父親の仇のお礼を言われた。父ちゃんの分も腹いっぱい食べるように話し、ガウと仲良くなり一緒に解体現場を駆けていった。
クレリアが席を外した際にザックから彼女の事を色々詮索されたがのらりくらりとはぐらかした。
その後、宴が始まり皆思い思いに盛り上がる。俺も久しぶりに酒が入りテンションが上がる。
「そういやぁ、あの黒斑は魔法で倒したんだろう?俺等にも見せてくれないか?」
「ガウも!ガウもアランの魔法見たい!」
ザックが質問するとガウも村人に差し入れした黒鳥のチキンレッグを片手に賛同する。
ザック達に見せるかどうか迷いクレリアに伺うことにした。クレリアは黒鳥のチキンレッグを口いっぱいに頬張りながら
「んうんう、ああんおおうあっああんまい!」
(…ナノム、翻訳を)
[そうそう、私ももう一回見たい!の可能性が64%です。]
(第一案を採用する)
[それと艦長、クレリアとガウが差し入れした黒鳥の貴重なタンパク源を奪っている為、村人の警戒心が10%上昇しました。]
(了解した。現地人との友好的な交流は帝国民としての責務だ。ちょっとデモンストレーションをしてみるからサポートを頼む)
「リア、魔法を使う時は体にある魔素から体外へ放出する際にイメージするんだ!魔力を込めて自分の思う魔法を思い描いてな。自然から魔素を取り入れて…こうやって…放つ!」
ドドドド…!
フレイムアローの10連射が空中に放たれた。夜空に描いた赤色の綺麗な放物線は村人を熱狂させた。
(ナノム、山火事とか大丈夫か?)
[問題ありません。地上に降りる際には鎮火されますが念の為着地点を近くを流れる川に設定しました。]
ナノムに感謝するのが何故か久しぶりに感じる。
その後も宴会は盛り上がり夜もふけそろそろ中締めを迎えた。
おっと、クレリアも目を閉じて魔法を唱え始めた。山火事とか民家に当てたりするなよ…
以前より詠唱時間が短い!
右手から放たれたファイアボールはいつもより高速で先程の俺の魔法で驚いた不運な黒鳥が犠牲になる。おお、今急激に曲がった!追尾機能か!?俺も勉強になるな!
黒鳥は火の鳥となってむらの塀の外に落ちた。
「私からの差し入れよ!」
笑顔のクレリアと締めで出された黒焦げの料理に無言で皆舌鼓をしていた。
村人との若干の距離を感じた。
(ナノム………今は何も言わなくていい。)