人類スターヴェイク帝国建国記   作:妄想白夜

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初めての閑話です。


022.閑話 狼人族の里

 

 其の昔、人族と獣人との争いは絶えなかったが今からおよそ300年ほど前に時の善良な人族の貴族と友好を深めた。

 

 しかし平和的な交流の中には獣人を利用したり誘拐して奴隷にしようと考える人族や人族は信用できない滅ぼすべしと過激思想の獣人がいた。

 

 その結果は人族の流した悪評を信じた獣人が部族間での殺し合いが始まり戦乱の最中、過激派の指導者は処刑された。

 

 中立派の各部族の数人の強者は過激派を抑え保守層を取込み同族による争いをなくす事とを切に訴えた。

 

 腕っぷしも強く義に熱いその男達は獣人達から尊敬を集め、やがて族長と呼ばれた。

 

 時の貴族との会談でお互いの干渉を防ぐ為に人里離れた集落で暮らすことを決めた。

 

 時の貴族は心を痛め自分達人間の中にも邪な考えがいるものを深く謝罪した。そして、もし獣人達に困難が起こり人族に助けを求める時はいつでも言ってほしいと伝えた。

 

 その言葉に族長達は涙を流し深く感銘し、勿論人族が助けを求めたらいつでも頼ってほしいと伝えた、本当の意味での友好的な関係を築くことができた。

 

 その後族長は里を作り集落の掟を創る

 

 一つ 獣人としての誇りを持つこと

 

 一つ 獣人同士力を合わせ困難に打ち勝つこと

 

 一つ 人族との干渉は[できるだけ]避けること

 

 一つ 他の種族が助けを求めたら迷わず助けること

 

 

 この[できるだけ]の部分は10年に1度、平和的な使者として各部族の族長と貴族との親睦会が開催された。

 

 その貴族が辺境伯に陞爵された後も続き、世代交代した新たな族長となっても関係は続いた。

 

 数年前に国王が保護領として自治を認めるとして名誉伯爵の打診があったが族長は大変名誉な事だがそれを固辞した。その理由は一部の人族側の貴族に不満が増長するのを抑えるためとも噂された。

 

 

……………………

 

 時は流れ山奥の小さな集落。およそ30程の小屋というには貧相な藁葺き屋根の住処には貧しいながらも飢える事なく仲間と協力し幸せな生活を送る部族がいた。 

 

 狼人族である。

 

 

 ある日、人族の兵隊500名が集落に押しかけた。

 

「貴様ら!此処に王族を匿っているだろう!隠し立てを行うと許さんぞ!」

 

 一方的な物言いに対しても狼人族の族長は怯まず対話を試みるが効果はない。

 

「貴公らの所属は何処じゃ?王族など匿っていない。ルドヴィーク卿からは何も聞いていないがどういう用件じゃ!いきなりこのような恫喝は無礼ではないか!」

 

「獣風情が知ったような口を聞くな!ルドヴィークはとうの昔に死によったわ!そして此処はアゴスティーニ様の領土だ!領土を侵犯しているのは貴様らだ!おい、やれ!」

 

 辺境伯が亡くなった衝撃とその仇が眼の前にいる亊に族長はワナワナと震え血の涙を流す。

 

 そしてある兵卒の一人が小屋に火を放ち逃げ遅れた獣人の老婆を切り落とす。

 

 

「ええい、獣臭くて敵わん!やれ!」

 

 その瞬間から一方的な殺戮が始まった。

 

 

 そんな最中獣人達は懸命に戦ったが多勢に無勢、勝敗は既に決していた。

 

「人族の誇りを忘れた畜生共め…漢達よ我らの力を見せる時じゃ。ガル、お前だけは女子供を率いて逃げよ。そなたは次期の族長じゃ。」

 

 ガルと呼ばれたその男は拒否する

 

「族長、我らが妻たちは聡い。必ずや子供達を守り一族をまた繁栄してくれるでしょう。私も一矢報います。」

 

 そう言って敵兵に立ち向かう。

 里の男達も懸命に戦う。1人、また1人と倒れ残る獣人は2人だけとなる。

 ガルは一人で50人もの敵兵を薙ぎ払い恐怖に陥れるがやがて力尽き蹂躙された。

 

(すまぬ、ロア…子供達を頼む。ララ…いつまでも優しい心を忘れないでくれ……。ガウ、狼人族を誇りに思う漢になれ…。ルミナス様、自然界に宿る精霊達よ…我が部族に加護を…)

 

 

 

(最早此処までか…里の者が一人でも多く生き残ればいいが時間は稼げたかのう…。ガーディ、ウォルフ、すまぬ。次に飲む酒は辺境伯と共にあの世から参加するから許してくれ…)

 

 最後に残った族長は一直線に敵の隊長目掛け特攻する。

 

「あ、あの獣を倒せ!早く、早くしろー!!」

 

 大きな鉤爪で今正に相手の喉笛を掻き切ろうとする時に槍で串刺にされ息絶える。

 

「た、助か…。ゴホン!ま、全く使えない兵士どもめ。帰ったら貴様ら棒罰だ!!分かったな!」

 

 兵士達は皆無言で敬礼を捧げた。其れは下半身から何かが滴る情けない上官にではなく獣人の気高き誇りをもつ戦士の亡骸に向けられたものだった…

 

 

 

 

 

 




少々書いていて重い内容でした(汗)
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