[夜明けです。起きてください。]
うーん、よく寝た。久しぶりのナノムの目覚ましで気合が入る。
昨日は色々なことがあったが宴会の際ザックからの依頼でタラス村の商品をゴタニアへ運ぶ護衛を行うこととなった。
御者はザックの息子ベックとその幼馴染のトールという若者が御者をする。年も近く意気投合して酒を飲み交わしたから信頼がもてる。
朝日が登り始めたところクレリアに拉致され俺とガウは村人の好意で服をあてがわれた。やはり帝国デザインと違う為いいのか悪いのか分からない。まあ、動きやすいからいいだろう。
それよりも問題なのはガウだ。クレリアの着せ替え人形にされ
中々決まらない。
時折悲鳴のような声が聞こえたが気の所為だろう…。膝下まである短パンと少し大きめのTシャツとニット帽に落ち着いた。短パンには尻尾が出せるよう加工してもらった。
余談だが昨日の村人に見せた魔法にテンションが上がり何度も何度もジャンブしてフードが外れ獣人であることがバレてしまった。マズいと思ったが誰一人蔑む者はいなく寧ろ村の主婦層から可愛い可愛いと耳や尻尾を触られ大人気になった。1番マズいと思ったのはガウ本人だろう。
準備を整え昼過ぎに出発する。仕事で朝一から出払ったもの以外は皆見送りに来てくれる。
「ザック、世話になった。必ずゴタニアまでベックとトールを送るから安心しろ。」
「何も心配してねぇよ。アラン、リア、ガウ坊。元気でな!落ち着いたらたまには会いに来てくれよ!また、歓迎するぜ。そんときゃ黒斑以上の土産を期待してるぜ!ガハハハ」
ザックの冗談に皆で笑い合う。
「任せて!今度は私が魔法で仕留めるから!」
クレリアの宣言に皆の顔が引き締まる。
「……名残惜しいがそろそろ出発する。皆、元気でな!」
……………………
タラス村を出発し3日がたった。旅の道中は順調そのものだった。
恒例となった野営地でのクレリア師匠によるベックとトールの稽古は大分板についてきた…訳では無いが俺も料理を作りがてら観察する。なるほど、
初日、探知魔法で検知したグレイハウンドをクレリアが魔法で倒し倒してから自信がついたようだ。というか、クレリアは魔法の制御が大分上手いぞ。
多数の魔物に襲われた時に弾幕を張れるファイアボールの練習をしたかったようだが、食糧に適した動物が黒焦げになるのを防止する為、フレイムアローを使うよう指導した以外は全て自主学習の賜物だ。
あー、探知魔法に反応ありだ。それも7つ。グレイハウンドだな。くそ!近づいてきた!今から肉の仕込みをして焼いていこうと思ったのに!
「ガウゥ、アラン!あっちで魔狼が7頭いる。ガウが倒す!」
!?ガウも獲物を探知したぞ!まだ、300メートルは距離があるぞ!ガウの一族はグレイハウンドを魔狼と呼ぶようだな。ガウがやる気だが大丈夫か?ガウは10歳の子供だ。俺もサポートしよう。
「アラン!話は聞いたわ。私が行く!」
クレリアも戦闘態勢だな。
「分かった!ベック、トール!火の側で待機してくれ。
クレリアは魔法で牽制しろ。
ガウは獲物をよく見て怪我をしないよう注意!」
50メートルまで近づいてきたグレイハウンドにクレリアの3連射のフレイムアローが襲い掛かる。