「修、ありがとう」
「え〜っと、どうしたんですか急に」
鉄子が引きこもりになった秋頃。鉄子が引きこもりになったけれども、それでも友人である事には変わりはない。
ギルモンに対してお兄さんは色々と興味津々だったが、人間の様に心を持って生きている生き物だと認識したので人体実験する的なのはしない。
次に取ろうと思った資格は宅建の資格だと勉強をしていると制服姿の麟児さんが家にやって来た。
何事なんだと思っていると麟児さんはバッと紙を開いた。
「模試が100点満点で平均80点を越えた……A判定で確実に合格出来る範囲内にまで届いたんだ」
「別にお礼を言われるような事じゃないですよ。最後に物を言うのは自分自身なんですから……麟児さんの実力です」
最後に受けれる感じの模試を受けて今までで最高の点を取れたと言う。
頑張ったのは俺じゃなくて麟児さんだ。この人は自主的に勉強する事が出来るタイプで俺はあくまでもキッカケを与えただけに過ぎない。現に麟児さんに勉強を教えている時は麟児さんは分からない時に聞いてくるけども、基本的には自力で解こうとして自分で考えている。
勉強を教えているって言っても分からない部分を教えてるだけで、そこまでのものじゃない。
なんだかんだで麟児さんが頑張ったから叩き出す事が出来た成果だ。
「あら、麟児くんじゃない」
「おばさん…………ありがとうございます」
「どうしたの?」
「模試がA判定に行ったらしくて学校側から確実に合格出来る範囲内にまで届いたみたいなんだ」
「あら、良かったわね…………因みに何処の高校を受験するの?」
「ここです」
「……結構な進学校ね」
「家の家計と俺の現時点の学力を照らし合わせた結果、ここにしました。大学は三門大学に行くつもりです」
「じゃあ、その時はまた修に色々と…………もう大学を決めてるだなんて、しっかりとしてるわね……東大とかは?」
「いえ、そこまでは…………修の方が東大を目指した方がいいんじゃないですかね?」
「この子はアミューズメント産業関係の仕事に興味あるから…………アミューズメント産業に就職しやすい大学って何処かしら?」
パソコン関係だったら専門校行った方がいいんじゃねえかな?ともあれ麟児さんが最後の模試でAを取れたのは良かったことである。
今は取りあえずは宅建を取る……取れば不動産関係で働くことが出来るからな。持ってるだけで給料上がる系の資格は持っておかねえと。
麟児さんは今度お礼の菓子折り的なのを持ってくると言うが、別にお礼目的じゃない。
断ろうとするがこういうのは形が大事だと母さんが言ったのでカタログギフト的なのを貰えればそれでいいとリアルな物を要求しておいた。
「は〜い……って、修じゃん」
翌日、俺は日野家に向かった。
「俺だとなにか問題があるのか?」
「いや、別に無いけども…………どうしたの?」
「色々と考えに考えた結果、お兄さんに相談しようって決めて……お兄さんは?」
「兄貴なら買い物に行ってるわよ…………相談ってもしかして留学するの決めたの…………まぁ、あんたなら行けるわよ」
「違う違う違う。高卒認定試験受けてバイト漬けで行こうかなって考えてるから」
「あんたに学校に行くっていう選択肢は無いわけ?」
「今の時点ではねえな…………ちょっと科学関係と犯罪関係の話で……まぁ、口で説明するよりも見てくれた方が早いな」
「犯罪関係って、なに危ない橋を渡ろうとしてるのよ!?」
「いや、俺じゃないんだ。千佳なんだ」
「……千佳って、あんたの友達の千佳よね…………?」
色々と考えに考えた。
ボーダーに頼らないで千佳を守れるならばそれはそれで構わないが、来た相手を叩きのめす、所謂事件が起きたから解決する的なのを止めにしたい。鉄子は千佳とも顔馴染みの関係になっているので何事なんだと頭に?を浮かび上げている。
「ヤバい奴等なら、私と兄貴のところに来そうなんだけど」
「サラッと物騒な事を言ってるんじゃねえよ…………動画を撮ってるからそれを見て判断して欲しいのと力を貸してくれねえかなって」
「兄貴の力って発明?……兵器関係を作らせるつもり?」
「いや、アグモンが超進化したメタルグレイモンは核弾頭並の攻撃力を秘めてるから……ホントにヤベえ暴力関係はアグモン達に任せるつもりだ」
「あんた結構賢いんでしょ?自力でどうにか出来ないの?」
「それが出来ねえからこうして来てるんだ……お兄さんと一緒に見てもらうつもりだったけど、鉄子には先に見せた方が良いか」
正直な話、原作キャラでない日野家を巻き込むのは心が痛むが日野家は世界でも指折りの科学者だって母さんが言っていた。
愛用しているノートパソコンを開いて起動してファイルに入れている動画を流す。
『ギルモン、まだ倒すな!!』
『なんで?あいつ、千佳を攫おうとしてる悪いやつなんでしょ?』
『今がいい映像になるんだ……よし、撮れてる。ガブモン、進化だ!』
『ガブモン、進化!ガルルモン!……千佳、オレの背中に乗って』
『うん!』
『映像、撮れた?』
『撮れた……ギルモン、ぶっ倒せ!』
『うん。ロックブレイカー!!』
『壊れたな…………目玉を採取しておこう』
「…………なに、コレ?」
「……何処かから送られてきてるロボットを撃退してる的なの」
「はぁ?…………ギルモン達が出てきてるって事はマジみたいだけど…………え、なんで千佳?千佳ってお金持ちなの?」
「三門市の一般家庭だよ」
鉄子に動き回るトリオン兵が千佳を狙ってる映像を見せた。
幸いにもガブモンがガルルモンになって千佳を背に乗せて逃亡し、ギルモンがぶっ壊した。世界中をビュンビュン飛び回ってた経験がある鉄子だが見たことがなくて思わずなんだコレ?となっている。
「ジャングルの奥地でもこんな生物、見たこと無いわね」
「だろ?……千佳と出会ったのはこの場所で、千佳はこいつらに何度も何度も追いかけ回されてたんだよ」
「…………なんで?」
「千佳に何かしらの秘密があるっぽいけども、本人はなんにも知らないって言ってる……ギルモン達にぶっ壊して中身を見たけども胃液的なのが一滴も無い。血も油も流れてねえから高性能な何処かの国のロボットかと見解があるんだけども、バッテリーとか見当たらねえんだ」
「バッテリーって電気のタンクよね?…………こんなロボット作れるうちの両親ぐらい…………軍事運用、いやでも、バッテリーとか無いのよね」
「無かった…………現物がデカいから丸々持ってくる事が出来なくて核っぽい目玉を持ってきた」
「よりによってなんで目玉なの、足とかあったじゃない」
「いや、目玉が弱点で目玉を破壊したら動かなくなるんだ」
「………………う〜ん…………………ふん!!」
「おい!?」
「っぅ…………硬いわね、これ!!私の肘、コンクリートとか壊せるんだけど」
トリオン兵の目玉をぶん殴った鉄子。
一応はサンプルとして持ってきた物だからぶっ壊そうとするんじゃねえよ。鉄子は硬いとトリオン兵の目玉の硬さに関心を示すが、サラリととんでもない事を言うんじゃない。
「ただいま〜あれ、修くんじゃないか」
「兄貴、ちょうどいいところに帰ってきてくれたわね。コレがなにかか分かる?」
「え……なにこれ?」
トリオン兵の目玉を見せれば首を傾げたお兄さん。
流石にトリオン兵云々の知識は持っていねえかと思いつつも、さっき鉄子に見せた動画を見せて千佳を狙っているロボットっぽい存在だと教えた。
「鉄子の肘は鉄筋コンクリートを簡単に砕けるのに、スゴいな……ちょっと待っててね」
なんなの鉄子の肘は?
鉄子の力でぶっ壊せなかった事で色々と興味を示すお兄さんは自分の部屋に戻ったかと思えばパソコンと色々な機材を持ってくる。
「それは?」
「成分分析の装置だよ。鉄子の肘で砕けない物は限られてるけど、それを加工したロボットは聞いたことが無い。取りあえずはコレがなにで出来ているのか成分を分析して…………あれ、おかしいな。故障かな……いや、故障じゃないぞコレは!」
「故障じゃないって、どうしたの?」
「コレを見てくれ」
「え〜っと……炭素0フッ素0…………オール0だな」
パソコンをお兄さんに見せてもらったのだが、成分分析のところの数値がオール0だった……
「つまりコレはアレと言う事か」
「うん、そうだよ…………そんな事がありえるのかな?」
「装置の故障じゃないならそれで間違いじゃないと思いますよ」
「ちょっとアレとかそれとか分からないわ、2人だけで情報共有せず分かりやすく言ってよ」
「鉄子、修くんが壊したこのロボットの破片…………成分が全くと言って解析出来ない。新種の素材で出来てるよ」
「新種の素材!?」
「なんの成分も出てきてない、けどコレは物質としてちゃんと存在している…………未知の物質だよ!」
「未知の物質、兄貴が知らない
「いや、金属なら何かしらの成分が絶対に出る筈だよ……コレは現存する物質と異なる素材で出来ている…………なんだろコレ?鉄子の肘でも破壊する事が出来ないなら衝撃に対する耐久力は凄まじいし…………修くん、コレを過去に何度も何度も見てるんだよね?」
「はい。千佳を狙っている感じで……なんかこう異次元に穴が開いて現れます」
「異次元に穴って……物質のワープって科学的に不可能じゃなかったけ?」
「現存する科学技術なら無理な感じだから…………修くんのデジヴァイスみたいなオーバーテクノロジー?」
「……謎ですね。俺は知識はあっても道具とか資格は無いんで、お兄さんや日野さんの両親に解析の依頼とかをお願いしたいんですよ」
本格的な科学技術の機材は普通に10万円以上する。
NASAの科学に関する物ならばなんでも買える悪魔のクレジットカードは持っていないのでNASA以上の技術力を持っているという日野夫婦に解析を頼みたい。
「で、問題はここからなんですけど千佳は確実に狙われてるんですよ。アグモン達がぶっ倒してくれるけど…………ぶっ倒すんじゃなくてそもそもで襲われない様にしたいんです。ロボット的なのならばレーダー的なのに写ってる筈なんで、レーダーに写らなくなる装置を……」
「結構難しいね……現存する技術でレーダーに写らなくなる物は作ってるけどもコレは新種の未知の物質で出来ている。修くんの話が本当ならばバッテリーとかも積んでない、技術大国も目を見張る凄まじいテクノロジーで出来ている……相手の方が上手な技術か、面白いね」
「兄貴、面白がってんじゃないわよ。千佳が襲われてるのよ?……私の拳でぶっ倒すことが出来ないし、アグモン達に頼るしか無い……ふん!」
「だから壊すのを挑戦すんな…………素手でぶっ壊すことは出来なくも無いけども……」
「あんた壊した事あるの?」
「え〜っと…………ふん!!」
トリオン兵の目玉を壊そうと挑戦する鉄子だが生身ではトリオンで出来た物は壊せない。
俺は壊せているけれども、全てはこのデジソウルを身に纏う事が出来ているからだとデジソウルを体から放出すれば鉄子とお兄さんは驚く。
そう言えばなんだかんだで鉄子達の前でデジソウルを出したことは無かったな。
「……なにそれ?」
「…………精神エネルギー的なの?」
「あんた何個ビックリ箱を持ってるの………」
「驚いたな、精神のエネルギーが具現化、しかも可視化するなんて…………この精神エネルギーでなにが出来るの?」
「デジモンの進化が出来ます……デジヴァイスに込めないといけないですけど…………質量を持ったエネルギーじゃないです」
「道具があれば色々と出来るだけでもスゴイよ……う〜ん…………悔しいけど、コレは僕の手には負えないよ。このロボットの目玉は既存する科学技術とはまた違った技術で出来ている……それの基礎工学とか学ばないと。母さんだったら分かるかな……これ、貰ってもいいんだよね?」
「はい、サンプルは沢山ありますから」
「鉄子、ちょっと出掛けてくるよ。修くん、コレが出てきたところに案内して」
「わ、私も行くわ」
そんなこんなで鉄子とお兄さんと一緒に三門市の端っこにある無人の神社に向かう……が、そこにはなにもなかった。
ボーダーが密かに回収したのかそれとも近界民が持って帰ったのか、どちらかは不明なものだ。
「なんにも無いわね」
「ロボットを回収してるんだと思う………毎回そのパターンだから」
「生け捕りとか出来ないの?」
「動力切れを1回狙いましたけども明らかに敵意を持って来てるから壊すしかなくて……」
「ちょっと待ってね…………う〜ん…………」
パソコンを起動して何かを調べるお兄さん。
「この近くの監視カメラを見てみたんだけども、ロボットの残骸が運び出された痕跡が無いんだよ……異次元に穴が開いたって言ってたけど……まさか異世界の技術?」
「いや、異世界って深夜アニメの見過ぎでしょうが……流行ってるけどさ」
「鉄子、居ないって否定したらダメだよ。こういうのはポジティブに考えないと。異世界や宇宙人はきっと存在しているって僕は思ってるよ」
実在してるんですよ、お兄さん。
近界民とかトリオンとか言いたいけれども言うに言えない……デジヴァイスのコピーを作ることが出来たのならば解析させる事が出来るんだけども……アグモン達の家が無くなるのは色々とまずい。特にシードラモンが……。
「じゃあ、母さん達に伝えるね」
「ありがとうございます」
ともあれ俺の手には負えなさそうな案件なので回す事には成功している。
日野ならばトリガーを0から開発する事が出来るかもと淡い期待を寄せていたがそもそもでトリガー工学は既存の科学技術とは異なる物。
化学の知識は会っても科学の道具を買う金が無い俺にはトリガー工学関係は無理…………シンプルに金がねえ。
お兄さんにトリオン兵の破片を託したのでやるべきことはやり終えた。
帰るかと思ったが今日、好きな漫画の新刊が出てくるんだったと行きつけの本屋に向かった。
「いらっしゃ〜い、あ、修くん」
「予約してた新刊取り寄せましたか?」
「うん、したよ。はい……470円ね」
「500円で」
「毎度あり〜っと、30円のおつりね」
…………………なんか、行きつけの本屋、オペレーターの宇佐美栞の実家っぽい。
本屋に向かえば宇佐美栞が店番をしていた…………はじめてこの本屋に来た際は驚いたが……まぁ、うん。別に深く原作に関わろうとは思ってないし、原作前の交流って転生者がすることだからセーフ……深く交流してないけども。
原作キャラと交流しないといけねえけど中々に出来ない……次回から賢い犬リリエンタール編です。
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