デジモントリガー   作:アルピ交通事務局

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賢い犬リリエンタールと転生者と幽霊の女の子

 バスジャック事件から数日が経過した。

 バスジャック事件、しかも拳銃を持った集団の事件ならば世間が大きく報道する筈なのに、何故か全然報道しなかった。警察以外で拳銃を持ってるだけでもヤバいってのに、報道しなかった事を考えればバックに大きな存在が居るのだろうか?

 

「このお店だよ」

 

「おぉ……如何にもな店だな」

 

 色々と気になる事は多々あるが、今はやるべきことをやっておかないといけねえ。

 千佳と一緒にちょっとお高めの入るのに勇気がいる和菓子屋にやって来た。何故かって?この前の一件に関してお礼をしたいと母さんが言ってるんだよ。

 

「モナカとか置いてるとか……相場が分からねえな……」

 

 俺はどら焼きは好きだけれども、本格的な和菓子とかはあんまり食わない。

 こういうのを言うのは失礼だけれども和菓子って基本的には餡こだけだから……タルトとかの方が好きなんだ。お礼の菓子折りを送るなんて事は前世を含めて生まれてはじめてである。謝罪で虎屋の羊羹を渡された事はあるが、突っぱねたのを思い出す。

 

「鉄子さん達に渡すんだよね…………色々と入ってるやつがいいんじゃないかな?」

 

「じゃあ、どら焼きと栗まんじゅうと水羊羹が入ってるやつにするか」

 

 バレンタインデーで渡すお菓子によって意味合いが異なると言うが、お礼の一品を渡す的な意味合いはなにがいいのか分からない。

 どら焼きと栗まんじゅうと羊羹が入ってるやつで値段が4200円と手頃な物だったのでそれを選んで購入した。

 

「そういえばなんで日野さんのところに?」

 

「ほら、この前バスジャック事件があっただろ?それを鉄子とお兄さんがズバッと解決してくれてな……たまたま父さんを見送ってた帰りで居合わせてたんだ」

 

「え、大丈夫だったの!?」

 

「危なかった……母さんに拳銃向けられて家に帰ってから無事に生き抜く事が出来てよかったって安心して震えた」

 

 千佳に日野家にお礼の一品を渡したいとの事を言ってはいるが理由は言っていない。

 この前のバスジャック事件の現場に居合わせていた事を言っていなかったので今伝えると千佳はすごく心配してくる。

 

「……アグモン達は?」

 

 アグモン達が居ればバスジャック犯ぐらいなら簡単に撃退できるんじゃないのかとも千佳は聞いてる

 

「アグモン達は家で父さんを見送ったからデジヴァイス持って行かなくて良いかなって……ただ、それで割と痛い目に遭っているからデジヴァイスをちゃんと持ち歩く事にした」

 

 千佳関係では問題無いとは思っていたが、まさか賢い犬リリエンタールの原作があるとは思っていなかった。

 今日も今こうして日野家にお礼の菓子折りを持って行くだけだが厄介な事が起きる可能性が高い、というか平和とは程遠い場所に住んでいるのを実感したので武器であるデジヴァイスを携帯しておかなければ不安になった。ベトナム戦争帰りのランボーじゃねえんだぞ……あ〜でも少しすれば戦争が当たり前の国になるんだよな。

 

「修くん、それに千佳ちゃんも。いらっしゃい」

 

 買うものも買い終えたので日野家に向かった。事前に連絡を入れていたのでお兄さんが出迎えてくれる。

 

「先日は助けていただいてありがとうございます。コレ、お礼の」

 

「あ、鹿のやの和菓子…………お礼なんて貰えないよ。結果的に考えれば僕達が原因でバスジャック事件が起きたみたいなものだから」

 

「でも、解決したのは鉄子とお兄さんなので」

 

「修くんだって活躍したじゃないか」

 

「いや、シードラモンが頑張ってくれたから……俺は基本的にはなにもしてませんよ」

 

『ふっ、感謝しろ』

 

 お兄さんにお礼の菓子を渡せば貰うのは少しだけ筋が違うと言いたげだった。

 過程を見ればお兄さん達が事件を起こし結果だけを見ればお兄さん達が事件を解決する事が出来ている。なにが正しくてなにが悪いのかは分からない……命があるだけマシって考えよう。

 

「あ、お客さん来てる感じですか?」

 

 玄関に靴があるのに気付く。

 お客さん来てる感じだったらこの後の事は日を改めるべきか

 

「大丈夫だよ、雪ちゃんと桜くんだから……そうだ、折角だから7人皆で食べようか」

 

「……え?修くんと私とお兄さんと鉄子さんと雪さんと桜さんだと……6人ですよね?」

 

 持ってきた和菓子を皆で食べようと考えるお兄さん。

 千佳は皆で食べるって言えば人数がおかしい事に気付くのだがお兄さんは合ってると言う。

 

「実は僕と鉄子に弟が出来たんだ……リリエンタールって言ってね」

 

「お兄さん……この前は色々と聞かなかったけど、今日は色々と教えてくださいよ。流石に知らぬ存ぜぬは困ります……俺はもう当事者なんですから」

 

「うん。鉄子は雪ちゃんと桜くんと一緒に怪談話をしてると思うから」

 

 この前の一件について色々と教えてもらおうと日野家に上がる。

 鉄子の部屋に案内されたのでノックをしたのだが返事が無い。おかしいなとお兄さんが部屋のドアを開ければ…………雪だけがいた。

 

「あ、千佳ちゃん!修くん!」

 

「雪さん、お久しぶりです…………桜さんと鉄子さんは?」

 

「……なんか、居なくなってた」

 

「……は?」

 

「さっきまで怪談話をしてたんだけど、トイレに行って部屋に戻ったら居なくなってたのよ」

 

「桜と鉄子が?………………………………」

 

 怪談話を仕入れては鉄子に話すのが趣味となっている雪。

 最初はビビっていたが最近は馴れてきたのか怯える事は無くなってきたのだが、急に居なくなった。おかしいな、靴とかはちゃんとある……家の外に急に出掛けたとかそんなんじゃねえ………………この前のリリエンタールの一件みたいにまたなにか事件でも起きたのだろうか?

 

 色々と分からないし、部屋を見てもなにかあったという痕跡は無かった。

 取りあえずはと鉄子の部屋のドアを閉めると……鉄子の部屋のドアが開いて鉄子と桜とリリエンタールとなんか色が異なる女の子が出てきた。

 

「で、出れた…………」

 

「犬と俺達が繋がってるみたいだな」

 

「さっき部屋に居なかったよな?」

 

「あ、修!それに千佳も、なんで家に」

 

「この前の一件のお礼と詳しい事情を聞きに来たんだよ…………マジでどうなってるんだ?」

 

 詳しい事情が聞きたい。

 さっきまで鉄子達が居なかったのに鉄子達が部屋から出てきた。色々と不可解な点が多すぎる。

 

「おぉ、この前のニョロニョロのおにいさん!」

 

「……犬のぬいぐるみが喋った?……日野さんのロボット?」

 

「ロボットではありません。わたくしはひのリリエンタールともうします!てつこと兄上の弟です!」

 

「…………?」

 

「1から説明を頼む。後、そこの浮いてる少女についても頼む」

 

 色々とわけがわからない。

 

「……父さんと母さんがね」

 

 本当は言いたくないけれども言わないといけねえと鉄子は重い口を開いた。

 日野夫妻が鉄子とお兄さんに弟が出来たと言い、日本に帰国する筈だったのだが相変わらずの多忙で帰る事が出来なくて弟のリリエンタールが送られてきた。

 

 お兄さんはあっさりと受け入れたけれども普通の人がいい鉄子は受け入れられず、取りあえずは家に帰ろうとバスに乗ったらバスジャックにあってこの前の騒動が起きた。この前の騒動が起きて…………リリエンタールがせんすいかんクジラごうの絵本と女の子の気持ちをリンクさせた。

 

 この家に来て数日が経過するのだが、どうやらリリエンタールは人の思いを形にする力を持っている。

 思いを形にする力を持っているとは随分と恐ろしい力を持っているが、リリエンタール自体は無害で本人の意志とは別で力が発揮しているらしい。さっきまでリリエンタールの力が桜の心に反応して別の空間に居たらしく、リリエンタールと一緒に幽霊のマリーを連れて帰って来た。

 

「……なんかスゴいね、修くん」

 

「俺達じゃなきゃ頭の処理が追い付かねえぞ…………」

 

「マリーちゃん、リリエンタール。私は千佳、雨取千佳。よろしくね」

 

「改めて自己紹介だ。俺は修、三雲修……好きなように呼んでくれ」

 

 まさか賢い犬リリエンタールがこんなにもSF的なのとは思いもしなかった。

 ほのぼのな日常系の漫画だと思っていたんだがな……千佳は割とあっさりと受け入れた。デジモンとの会合が無ければ受け入れる事が出来なかっただろうな。

 

「オサムとチカね……よろしく」

 

「うん、よろしくね」

 

「よろしくってあんた、幽霊なのよ?怖くないわけ?」

 

「……怖くないですよ?」

 

 鉄子はマリーと握手をしようとする千佳を見て怖くないのか聞いてくる。こんなもんよりもトリオン兵の方が何倍も怖いのか千佳は怯えていない。非日常は既に隣にあるので怯える理由は何処にも無い…………俺もこの手の事には馴れていると言うか備えていると言うべきか……ともかく、千佳はあっさりとマリーを受け入れている。

 

「それ、なに?」

 

「あどら焼きとかのお菓子の詰め合わせだ」

 

「どら焼き?……お菓子ならみんなでティータイムをしましょう」

 

 どら焼きを知らないマリーはどら焼きに興味津々だ

 鉄子はどうしてこうなるんだと思いつつも頭の中を冷静にする為にティータイムを取ることを認めたのでリビングで一斉にティータイムを取ることにして紅茶の用意をしておくのだが、その間にマリーが家に居てもいいのかどうかを鉄子はお兄さんに確認してお兄さんが2人が望むならば構わないと言った。なんだかんだで肝が据わってるな、お兄さんは。

 

「そういや幽霊って物を食えるのか?」

 

「俺達がマリーに触れられないから実体がある物質には触れることは出来ねえ、よな?」

 

 ティータイムの準備が終わればここで今更な事を桜は疑問に思う。雪や千佳がマリーに触れようとすれば、マリーの体を通過していく。

 俺達側から干渉が出来ない以上は向こう側も干渉する事が出来ねえのが定石だ……じゃあ、マリーの分だと用意したどら焼きとかは………シャーマンキングみたいに御供え物扱いになるのか?

 

「いただきます」

 

 マリーが手を合わせていただきますといいどら焼きに触れると……半透明などら焼きが出現した。

 

「ど、どうなってるんだ?」

 

「ここはわたくしが!……っむ、味がうすい気がします!」

 

「幽霊は幽霊化させて物を食うって事か?」

 

 なんだその反則じみた能力は。リリエンタールは残された実体を持ったどら焼きを口にすれば味が薄い事を指摘する。

 桜は冷静に分析をするのだが色々と反則じみている……まさかとは思うがリリエンタール、トリガーの一種的なのじゃねえだろうな?マリーが紅茶の幽霊を飲んで美味しいと言えば今度は俺が紅茶を飲むが味が薄かった…………。

 

「ねぇねぇ、それって人も幽霊にする事が出来るの?」

 

「出来るわ」

 

「じゃあ私も幽霊にして!!」

 

 面白いものを見つけたと雪はマリーに頼めば幽霊になった。

 食べ物の時とは違い実体は残さずに半透明にプカプカと浮いている。

 

「わ〜スゴい!!」

 

「わたくしもおねがいします!」

 

「ちょっとあんたらなにやってるのよ!?」

 

 プカプカと浮いているだけでなく物が透き通っていける事を楽しむ雪。

 リリエンタールも面白そうだと幽霊になってもらうのだがなにも考えずに行動している雪を見て鉄子は慌てている。

 

「スゴイよ、浮いてる……千佳ちゃんも!」

 

「は、はい」

 

「千佳まで……なにやってるのよ全く、浮くことができるからってはしゃいじゃって」

 

 そういうレベルの話か?

 鉄子は馬鹿らしいと呆れているのだが雪がリリエンタールと顔を合わせた後に頷き背中を向けている鉄子にマリーの手が触れると鉄子は幽霊になった。

 

「ぎゃああああ!!なんであたしまで」

 

「楽しそうだな」

 

「何処がよ!」

 

 いや、絶対に後で楽しくなるパターンだぞコレは。

 ポンポンとマリーは家具を幽霊に変えていく。俺と桜も幽霊になろうと言ってくるが、誰かがコレを元に戻さねえといけねえので断った。

 

「はは、スゴイや!空を飛ぶってこんな感じなんだね」

 

 幽霊になったお兄さんははしゃぐ。

 アレは空を飛ぶと言うよりは空を浮いていると言った方が正しいんじゃねえだろうか?

 

「どうすんだ、コレ?」

 

「あ〜………………コレでいいんじゃねえの?」

 

 俺と桜以外の殆どが幽霊になりパニックが巻き起こる。

 鉄子は元に戻してと叫んでいるのだが、幽霊を元に戻す方法は心当たり無いので桜に相談してみれば桜は閉じていたカーテンを開いて日差しを鉄子達に浴びせると全てが元に戻った。

 

「日の光に浴びせれば元に戻るみたいだ」

 

「オーバーテクノロジー……いや、アブノーマリティだな…………」

 

 科学技術では証明する事が出来ねえ不可思議な出来事が起きている。

 桜と俺は冷静になっているが…………こんな事が出来るリリエンタールはヤバい奴等に組織単位で狙われている。心を具現化するなんて凄まじい力を秘めている…………リリエンタールってほのぼのな日常系の漫画じゃねえのか…………。

 

「よし、今度は空を飛んでみよ──げふごっ!」

 

「いい加減にしろ!

 

 もう1回、幽霊になろうとする雪に鉄子はチョップを入れた。

 雪だけでなくリリエンタールも制裁が加えられている。

 

「どうだった?」

 

「フワフワした感じだった……スゴいね、マリーちゃん」

 

「私、スゴいの?」

 

「マリーはとてもスゴいですぞ!!てつこもそう思いますでしょう!!」

 

「……まぁ、スゴイのは分かったわよ」

 

 はぁっと大きくため息をつく鉄子。

 千佳やリリエンタールはマリーを褒めるとマリーは嬉しそうに笑みを浮かべる。鉄子がマリーを認めるとリリエンタールはニヤニヤと笑みを浮かび上げている……アレか、リリエンタールは普通がいい鉄子にマリーの事を認めてもらってほしかったのか。そんな事をしなくても鉄子は心の何処かでリリエンタールやマリーの事を認めているんだがな。

 

「この力は正しく使わねえとヤベえよな……………………」

 

「ギルモン達を幽霊にさせるつもりか?」

 

「いやいや、流石にしねえよ」

 

 リリエンタールの力の凄まじさを感じつつもポケットからデジヴァイスを取り出す。

 デジモン関係は人間の心に反応する。リリエンタールとデジモンは同じ生き物?……いや、似ている感じの生き物か。鉄子は食べ物とかを幽霊にするのはいいけれども人間を幽霊にするのは禁止だと言えば雪がえー!と言う。

 

「スゴかったね……」

 

「ああ、スゴかったな……」

 

 その後は普通にティータイムを終えた。マリーは栗餡のどら焼きを気に入ってくれたようでまた食べたいと言っていた。

 三門市方面の俺と千佳は早い内に家に帰らないといけないのでここでオサラバだと帰路についており、さっきまで起きた出来事を千佳と一緒に振り返る。

 

「千佳は怖くなかったか?」

 

「ううん、三門市で出てくるのと違って全然怖くなかったよ……私ね、なんか分かるの。自分が危機が迫ったりすればそれが誰よりも早く気付くんだ……リリエンタールやマリーちゃんからはそんなのは感じなかったよ」

 

「そうか……」

 

 千佳のサイドエフェクトにはなんにも引っかからなかった。

 悪意や敵意を持っているわけじゃねえので……問題は無さそうだな。

今後の展開どうしよっかな

  • 2人まとめては最高さ
  • 那須玲のお尻は素敵
  • 藤丸ののの、ののパイは、おっぱいは正義
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