デジモントリガー   作:アルピ交通事務局

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一時の感情

 

『そろそろだ……』

 

「はぁ……気が滅入る」

 

 カードゲーム物でよくあるモンスターを立体映像として映し出すアレの実験を終えた翌日の事だ。

 グレイモンが麟児さんがコッソリと向こうの世界に行こうとしている事を伝えてくる。俺はフーディエの屋上で溜息をしつつもデジヴァイスを構える。

 

「千佳は……どうするんだろうな……」

 

 今から麟児さんをシメる。殺しはしないが勝手に向こうの世界に行くのは無謀だ、例えどんな理由があろうともだ。

 仮に麟児さんがホントに青葉と言う女の子を探して千佳を一歩前に進ませるのならばむしろ逆効果、あんたがボーダーに入隊して千佳を守ればそれでいいだけの話だ……ボーダーに頼らないと決めている以上は、麟児さんがボーダーに入って千佳を救うのは本末転倒だ。

 

「久しぶりだが、まぁ鈍っていないだろう……ハイパースピリットエボリューション!!」

 

 ミスを犯してはいけない、色々と想定した結果……マグナガルルモンになるのが最適解だと分かった。

 マグナガルルモンにハイパースピリットエボリューションで進化すれば、空を飛び一瞬にして音速の領域に達するとオーラを出現させて衝撃波等を防ぐ。

 

「グレイモン、手筈通りに動け」

 

『ああ、分かった』

 

 間もなく麟児さんが居る場所に到着する。

 グレイモンとメイルバードラモンには麟児さんのデジヴァイスから出てもらい、暴れてもらう。メイルバードラモンのプラズマキャノンが撃ち上げられる。

 

「おい、言うことを聞け!!」

 

「断る、オレ達のジェネラルはオレ達が決める……お前の言うことなど聞く道理は何処にも無い」

 

「修が行けと命じただろう!」

 

「ふん!彼奴の言葉を鵜呑みにするとはまだまだガキだな」

 

 麟児さんか暴れているメイルバードラモンとグレイモンを鎮めようとする。

 だが、2体のデジモンは言うことを聞かない。俺が命じたから言うことをしっかりと聞くものだと思っている麟児さん、この辺に現れているトリオン兵を問答無用で破壊しているので向こうの世界に行くキッカケを手に入れる事が出来ない。

 

「全く、最初からこうなる事が分かっていなかったのか?貴方ならば俺が裏切る事の予測の1つぐらいついた筈だ」

 

「その声は……修、なのか?」

 

「今の名はマグナガルルモン……貴方は疑問に思わなかったのか?自分のデジモンでなく俺のデジモンを貸し与えた段階で、貴方はもう騙されていたんだ」

 

 マグナガルルモンとして降り立ち麟児さんを見下ろす。

 どうしてここ!?と言う驚きはしない、既に俺が裏切った事を麟児さんは理解している。だが、マグナガルルモンになっている姿を見るのは始めてなので俺なのかと困惑している。

 

「デジヴァイスはあくまでもデジモンをパワーアップさせる道具に過ぎない、肝心のデジモンが居なければただの鉄屑も同然」

 

「だからお前はグレイモンとメイルバードラモンを」

 

「グレイモンとメイルバードラモンは我軍の傘下のデジモン……貴方に付くなど最初からありえない。貴方以外のデジヴァイス所持者は既に自分のデジモンが居る……自分のデジモンが居ない貴方にはただの宝の持ち腐れだ」

 

 デジヴァイスは自分のデジモンが居てこそはじめて意味がある。

 無論、自分のデジモンが居なくてもある程度は効果を発揮するが自分のデジモンでない場合は一部の力を使うことが出来ない。

 

「デジヴァイスの本来の力を用いればこの様に進化する事も出来る……貴方にはデジヴァイスの詳細を説明していないがコレは1つでボーダーを滅ぼす事が出来る代物だ……正しく使えればの話だが」

 

 俺はそう言うとマグナガルルモンの左腕の中距離狙撃砲であるストライクファントムを構え……鳩原未来を含めた麟児さんの協力者を撃ち抜く。

 奴等は既にトリオン体、躊躇する必要は何処にも無い。トリオン体が破壊された鳩原未来を含めた協力者達は緊急脱出(ベイルアウト)機能でボーダーの基地に強制的に送還される。

 

「貴方に残された道はここで俺を倒す、ただそれだけだ……でなければ、ボーダーに捕まるだけ」

 

「…………」

 

 完全に盤面が詰んだのだと麟児さんに思わせる。今日という日のために入念に準備をしていたのだろうが、コレで全てがパーになる。

 麟児さんは無言を貫いている、なにか心理戦を仕掛けて来ているのかと思ったが違う

 

「マグナガルルモン、来るぞ」

 

 ボーダーの追手を利用しようとしてきている。

 グレイモンが追手が来ている事を伝えれば風間隊の面々が現れた。

 

「新型か?」

 

「……風間さん、彼奴等から呼吸音が聞こえる」

 

「呼吸音だと…………近界民(ネイバー)か?」

 

 歌川さんが新型かと疑問を投げかければ、菊地原さんが驚く。

 グレイモン、メイルバードラモン、マグナガルルモンは呼吸をしている。生きているのだと分かれば風間さんは俺達がトリオン兵でなく近界民かと考察するのだが今回はこの面々には用事はない。

 

「悪いが、お前達の相手をしている場合じゃない……」

 

 風間隊は白兵戦特化の部隊、弱点は中距離以上の攻撃に弱いことだ。

 カイゼルグレイモンでなくマグナガルルモンにしたのは中距離以上の攻撃に特化しているデジモンだから、風間隊の3名はカメレオンで姿を透明になろうとするが既に胸部のレーザーサイトが風間隊を完全にロックオンしている。

 

「マシンガンデストロイ」

 

 右手から胴体から背中から左手からミサイルをマシンガンの如く放つ。

 一切の迷いなく風間隊の面々に向かっている、風間隊は見られていることを直ぐに察するが既に遅い。ミサイルの雨が降り注ぎ爆発の光が三門市を包み込む。

 

「っ……」

 

「3つ……ちゃんと問題なく倒したか。メイルバードラモン、いくぞ。グレイモン、戻れ」

 

 3つの流れ星が見えた。風間隊は無事に倒すことに成功した。予想外の増援と言う事は起きなかった。

 グレイモンをデジヴァイスに戻し、メイルバードラモンは両足で麟児さんを掴んで遥か上空に上昇する。落ちれば確実に死ぬ、そんな高さにまで移動した。この状況下で生身の肉体に戻ることは早々に無いだろう。

 

「……最初から、こうするつもりだったのか?」

 

「貴方が向こうの世界に行くつもりがなく、普通にボーダーに入隊する……それが貴方のするべき事だ。貴方は大前提として基礎的な知識が足りない、何故千佳が狙われているのか?近界民はなにを目的として我々の世界を襲ってくるか?その辺についての詳細を貴方は知っているか?貴方はそこからスタートしなければならなかった」

 

「その口ぶりだと……お前は知っているのか?」

 

「質問を質問で返すな……確かな筋からある程度の情報は頂いている……と言っても俺から出来る事は皆無だ」

 

 トリガー工学云々に関しては俺の専門分野じゃない。

 お兄さんや神堂さんが色々と手を出している、主に鉄子が原因でトリオン体の着想は無いがトリオン兵を破壊する武器の1つやトリオンを動力として動く乗り物を作り上げたりしている……ボーダーに対して疑心暗鬼を抱いている為にボーダーとの協力は避けている。

 

「貴方にはある程度のお灸を据えさせてもらう……メイルバードラモン、降りるぞ」

 

「ああ」

 

「……温泉旅館?」

 

 三門市から脱出することに成功し、目的地である温泉旅館に辿り着いたのでメイルバードラモンに急降下してもらう。

 何故に温泉旅館に着陸したのか?麟児さんはよく分かっていないが直ぐに驚いた顔をする。

 

「お久しぶりです、オサム」

 

「ああ、ご無沙汰だな……宇宙ネコ」

 

「????」

 

 宇宙ネコが姿を現せば、麟児さんはますますよくわからないと言った顔をする。

 とりあえずは麟児さんのトリオン体を破壊して生身の肉体に戻す。ここは三門市じゃないので緊急脱出機能で基地に強制送還される事は無い。

 

「おう、動くな……」

 

「っ!?」

 

「言っておくが、コイツは見世物じゃねえ。マジの拳銃だ……なんてな」

 

「アキラさん、心臓に悪いことをしないでください」

 

 宇宙ネコに乗っていたアキラさんが実弾入りの拳銃を構える。麟児さんを軽く威圧するのだが、冗談だと笑いを上げる。

 色々と心臓に悪いことをしているなと思いつつもマグナガルルモンから元の三雲修に戻り、メイルバードラモンをデジヴァイスに戻す。

 

「修、ここはいったいなんなんだ?」

 

「悪の組織」

 

「え?」

 

「秘密の悪の組織の日本支部ですよ……まぁ、くだらない真似はしないでくださいよ……後で物理的に痛い目に遭う事だけは確定なんで」

 

 アキラさんに付いて行けば、温泉旅館内に案内してもらう。

 普通の温泉旅館内部だと思っていればエレベーターに乗ってもらい、地下に行ってもらう。旅館なのに地下が存在しているのかと意外そうにし、地下に降りれば旅館とは全く異なる構造になっており、どうなっているのかと俺に視線を向けてくるが気にする事はせずに奥の部屋、シュバインさんが事務仕事を行う部屋に向かった。

 

「やぁ、はじめまして……俺はシュバインだ」

 

「……」

 

「色々と聞きたいことがあるだろうから、先ずはこっちが説明出来ることを言っておく。この世の中には金さえ積めば非合法な仕事をする謎の黒服の組織が存在していて、ここはその組織の日本支部で俺は日本支部のボスみたいなものだ。三雲修とはとある一件をきっかけに繋がりを持った……そして君と話しをしに来た……随分と非合理的な事をしたな」

 

「……俺は、千佳を」

 

「誰かを、ましては家族を助けたいと思う情は人としては素晴らしいが……その感情は邪魔なものだ……向こうは既に人間という最も生産するのに難しい資源の略奪行為を行っている。それなのに殆どアテもないのに向こうの世界に行く?死にに行くも同然だ」

 

 褒められる要素は一切無いのだと麟児さんのやり方を真っ向から否定するシュバインさん。

 麟児さんは俯いているが直ぐに声を出した。滅多な事じゃ出さない大きな声を出した。

 

「だったら、だったらどうしろって言うんだ!千佳は誰かを傷つけるぐらいなら自分が傷つく自己犠牲精神を持っている!今は何事も無く三門市で日常を送れている、だが近い将来絶対に大規模な侵攻が起きる!そうなったら近界民を引き寄せる千佳は真っ先に狙われる!その事を自覚している千佳は自分自身が犠牲になって…………俺には……」

 

「嘗ての友達を助ける、そうすることで一歩前に進むことが出来る……青いし甘いな」

 

「甘い?」

 

「仮にその子を助ける事に成功したとしても、その後はどうするんだ?雨取千佳は修の1つ下で、大規模侵攻の前に友達が攫われた。最高でも9歳の頃に拉致された子を助けたとしてどうやって社会復帰する?ボーダーにとって都合の良い悲劇のヒロインに祀り上げられるのがオチだ」

 

「それでも」

 

「ああ、命には変えられないだろう」

 

 千佳の為でも友達の為でもあると主張し、その言葉を飲み込んだシュバインさん。

 青い事を否定はしない、ただやり方が間違っている。

 

「まず、ボーダー側は向こうの世界云々の情報を完全に独占している。そうでなければ世の中が混乱する、特にこの日本と言う国は海に囲まれた島国の為に異国からの侵略回数が他国と比較しても圧倒的なまでに少ない……昭和から始まって今に至って平和ボケしている日本が異世界からの侵攻を受けている、そう伝えれば日本は大混乱に陥る」

 

 地球上に存在しない世界が実在している時点でもうアウトな気もするんだが……

 

「ボーダーは近界民を悪だと祀り上げようとしている……戦争に善も悪もない、自分達が生き残る為の戦いだ。だがそれでも悪だと祀り上げておかなければならない……明確に見える悪を倒そうと言えば呉越同舟はしやすいからな」

 

「なにが、言いたいんだ?」

 

「そう急ぐな……今は耐える時だ」

 

「耐える時って……なにを待てと言うんだ!?」

 

「向こう側からのコンタクトだよ」

 

 あ〜それもそうか……。

 

「近界民は人間の略奪目当てで侵攻して来ているのだけは確かだ……だが、戦争は効率が悪いハイリスクハイリターンの大博打だ。そんな事をするぐらいならばこちらの世界と友好的になった方が効率が良い。こちらの情報が確かならば普段から来ている近界民はロボットでそれを送り込んでくる人間が居る。ホントの意味での近界民はその人間だ……そして現れる筈だ、こちらの世界に対して利益を取れると考えて行動する友好的な近界民が」

 

「現れるまで、待てと?」

 

「ボーダーに入隊すると言う選択肢を真っ先に除外した、正攻法があったのにそれ以外を選択したのは君だ……少なくとも、ボーダーも一枚岩じゃないし、ボーダーは近界民から市民を守ると言う民間組織で向こう側が日本政府と交渉がしたいと言えば向こうはなにも言えない……仮になにかをするならば最初から向こうの世界の人間は居なかったのだと始末する……まぁ、二十歳に行くか行かないかの子供に殺人を強要する組織ならばとうの昔に滅んでいるがな。向こうも色々と内部の詳しい事情を知る存在と表面上の情報しか知らない存在で大きく二分しているんだろう」

 

 色々と推察をしているシュバインさんだが大体は当たっている。

 ただ純粋に情報の規制をする、コレだけで世界は上手く動かなくなる……情報は最も武器になるとはよく言うよ。

 

「こっちが出来る事は、待つだけだ……向こう側からの使者とのコンタクトを……」

 

「……ボーダーは既に向こうの世界に遠征する技術がある……情報提供者から聞いた確かな情報だ」

 

「待つぐらいならば自分で行くか……確かにその選択肢は間違いではないが、それならば何故1番の正攻法を取らなかった?ボーダーに入隊する、コレこそが1番の正攻法だ。その情報提供者もそれを目当てにボーダーに居るんじゃないのか?」

 

「……」

 

「ボーダーに対して疑心暗鬼になるのは悪いことじゃないが、黒い物を時には受け入れる姿勢がなければならない。こっちも全てを熟知しているわけじゃないが、普通に犯罪と呼べる事をボーダーはしているのだけは確かだ…………一時の感情に身を任せるな、相手はあまりにも未知数で交渉が通じない可能性が高い相手なんだ」

 

 麟児さんの悪いことは、一時の感情に身を任せた事だ。

 やれることは色々とあった、特にボーダーに入隊するというのは1番の正攻法だ……だが、それをやらなかった。今回の密航については褒められたものじゃない……褒める要素があっても褒めないけども。

 

「俺は…………」

 

「家族を思うが故に蔑ろにしたら元も子もない……それでも力を求めるならば、彼にどうして頼らない?君自身も自己犠牲精神を無意識の内に宿している……」

 

 色々と心に来るものがあったのか麟児さんは変わっている。俺が渡したデジヴァイスを手に取り、ジッと見つめている。

 

「デジヴァイスは既に貴方の物だ。そのデジヴァイスには貴方のデジモンが1体も入っていない……最初から貴方を向こうの世界に勝手に行かせるつもりは無かった……」

 

「…………修、すまなかった」

 

「謝られても既に遅い、貴方にはそれ相応の罰を受けてもらう……罰を受けて貰った後からが本番だ」

 

「!…………」

 

「今は耐え忍ぶ、そんな時だ……きっと、向こうの世界からの使者がやって来る。そこから始まるんだ。俺達がそれまでの間にやっておくことは向こうの世界に行く為の戦力を揃えておくことだ」

 

 俺は麟児さんの手に自分のデジヴァイスを置いた。

 するとデジヴァイスは無数のデジタマを出現させた、そのデジタマのデータを麟児さんのデジヴァイスの中に入れる。

 

「麟児さん、トリガーを出してください……リロード、ギルモン……カードスラッシュ!ホーリーエンジェモン!ヘブンズ・ゲート!」

 

「ヘブンズ・ゲート!!」

 

 ギルモンをデジヴァイスから出し、デジモンカードを使う。

 ホーリーエンジェモンのヘブンズ・ゲート、亜空間にトリガーを飲み込んでトリガーを破壊した……いや、コレは破壊したって認識でいいのか?

 ともかくコレでトリガー反応を消失する事に成功した、コレで余計な追手は来ないし、仮に来たとしてもシュバインさんが対応してくれると約束は取り付けている。

 

「じゃあ、麟児さん……利き手とは逆の腕の骨を折りますので、麻酔を受けてくださいね」

 

「……わかった……」

 

「それまでの間に千佳達を呼んでおきますから……怒られるのは覚悟しておいてくださいね……後、腕の骨が治るまではここに居てもらいますから」

 

 腕の一本は圧し折らせてもらう。

 麻酔で感覚を麻痺させてもらってから腕を折る、綺麗に折るから後遺症は無く前よりも頑丈で腕になるだろう……熱りが冷めるまでは、黒服の組織に居てもらう。ここに居れば色々と学ぶこともあるだろう。

今後の展開どうしよっかな

  • 2人まとめては最高さ
  • 那須玲のお尻は素敵
  • 藤丸ののの、ののパイは、おっぱいは正義
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