「あ……」
「まだテスト前なのになんで」
ののさんのののパイを揉んでからは…………平穏な日常が過ぎていた。
ホントに平穏な日常だ、ボーダー隊員はちょくちょく来るがお客様として来訪している。
秋のアルバイトは小型ロボの遠隔操作、ぶっちゃければGTロボの作成だが割と良好だった……そんなこんなで12月になったんだが俺は学校に登校している。テスト前だからじゃない、学校に行きたくなったからじゃない。本音を言えばこんな窮屈な場所は嫌いだ。だが、ここに居なきゃならない理由はある……空閑遊真を出迎える為だ。
「……居心地が悪いか」
学校に登校したのをクラスの皆が驚いている。
テストの時期になったら現れる、12月は期末テストがあるので学校に訪れる事自体はなんらおかしくないのだがまだ月初めだ。
ソロモンの偽証を片手に居心地の悪さを感じていると頭にゴミが飛んできた。振り向けばクラスのDQN、ゴミがノートの端を丸めて飛ばしていてニヤニヤと笑っているが無視する。この手の干渉をしてなにが楽しいのか理解が出来ないな。
「三雲、社会主義の思想を体系化させたのは誰か答えてみろ」
「マルクスです……先生、授業の範囲とは異なる物を出さないでください。くだらない嫉妬で教師が虐めてなにが楽しいんですか?」
授業は一応は聞き流しておく。既に分かっていることを繰り返しでやることほど苦痛は存在していない。
社会の授業だが現在授業で教えている範囲とは全く異なる範囲を俺に答えさせようとしている。俺がテストの日しか学校に来ないのをムカついているのか?……まぁ、学校側からしたら引きこもりの生徒が居るというのは汚点だろう。だから難しい問題を答えさせて学校に来て真面目にコツコツと勉強しなきゃダメだろうと偉そうに言うつもりだろうが、俺の知識は転生特典とか無しでも素で進学校レベルなんだよ。
「はーい、皆、転校生を紹介するわね」
「え?」
「こんな時期に?」
1時間目を終えて担任の授業になると思ったのだが、ここで転校生が来たのだと紹介する。
転校生は白くてホントに中学生かと思えるかの様な小ささで黒板に平仮名で汚い字で【くがゆうま】と書いた。
「どうも、くがゆうまです……外国に居ましたが色々と用事があってニホンにきました、よろしく」
空閑遊真が俺のクラスに転入してきた。
めんどくせえ引きこもりを抱えるクラスに転校生と言う核弾頭を叩き落とす、学校側はこのクラスになにかしらの恨みでもあるんじゃないかと疑惑を抱いてしまうのだが気にする事はせず、クラスの大半は空閑を歓迎するのだがDQNなクズは空閑の指に指輪を嵌められている事を指摘して没収しようとするのだがそれならば学校に通うと言う話そのものが無かったことでと帰ろうとする。
「空閑、その指輪はなんかあるのか?」
「あるかないかで言えばあるよ」
「親の形見とかか?」
「まぁ、そうだな……親父はコレを作って死んだ」
「だそうです……取り上げますか?」
「っ……」
クラスの厄介なのに目をつけられたと困惑する副担任。
余計なことを言えば10倍ぐらいになって返ってくるからそれ以上は余計な事を言わない、言うのはクラスのDQNで自分達が取り上げられた漫画も親の形見でーすとかふざけている。お前の親は漫画家なのかと思っていると授業が始まるには始まるのだが……空閑が三3三な顔をしながら汗をかいている。公式設定から見て空閑は5歳児程度の成績、空閑が馬鹿なのではなくシンプルに勉強をする環境に居なかったのが主な要因である。
「空閑、この問題は答えれるか」
「えっと………………」
理科の授業の時間で割と簡単な問題が出てきた。
エネルギー変換の問題であり、答えは化学エネルギーが熱エネルギーに変わるというスゴいサービス問題だ。空閑に問題が当てられた、空閑はどう答えるのかと思っていると空閑の上着の襟から黒い管の様な物が出てきて空閑の耳に向かった
「化学エネルギーと熱エネルギー」
向かった後に空閑は答えを述べた。
答え自体はあっている。空閑はなにも間違いじゃないですよと表情を変えていない。正解だと理科の教師が述べると授業はそのまま進むのだが空閑は冷や汗をかいている。なにを言っているのかサッパリ不明なんだろう。
「空閑…………あまり人のことを言える立場じゃないが、ズルは禁止だろう」
「!……見たのか、メガネくん」
「黒い管が出るのがな…………分からない所は学ばなきゃいけない、そうじゃなきゃ勉強にならないだろう」
昼休みに空閑に黒い管を見た事を伝える。
黒い管の事を見られていたのかと余裕を持ってた空閑は表情を変える。見られてはいけない物を見られてしまった、そんな感じだ。
「内緒にしてくれる?」
「内緒にすることは出来ても見なかったって事には出来ない、分からないならば分からないと言うことも大事なんだ」
「それは理解出来るけども………………サッパリなんだ。ルートってなんだ?」
「……お前、名前からして親は日本人だが、ここに来る前、その指輪を残した親父さんが死ぬまでなにしてたんだ?」
「……戦争?」
「………………近界民の世界でか?」
「!」
「おっと、待った……そういう反応とそこから起こす行動は無しで行こう。今、聞いたのはカマかけたのに近いからな」
空閑と話し合いをして上手い具合に空閑が近界民なのか?と聞けば反応をする。
何故分かったか?色々と言いたげな顔をしており、カマかけたに近いと言えばやらかしたとなる。
「なんでそこに行き着いたんだ?」
「それは教えられないな……けど、俺と空閑は話し合いを出来る関係性になろうとしている。今、考えてる暴力や武力による圧政はしない方がいい。目的がなんであれここでは紛争地域からやって来た親が日本人の中学生、空閑遊真で通せ……武力による介入が目的でもそうじゃなくてもだ」
「む…………分かった」
空閑は俺の事を警戒している。力による抑えを考えているが、それが1番の愚策だ。
武力による介入が目的じゃないのでここで下手な騒ぎは起こすつもりはないのか自分の席に戻っていくのだが、こちらを見ている。黒い管が空閑の耳元に居るのでいきなりバレたがどうするかなんかの会話をしてるんだろう。先ずは話し合いが出来る関係性、そう釘を打った。暴力という力で解決する事は容易いだろうが、向こう側はそれが目当てじゃない。午後の授業が開始すれば馬鹿がゴミを投げてきたので遊真が投げ返して撃退する。
「おい、白チビ、面貸せよ」
「お前等、自分が気に食わないから暴力で訴えかけるとかホントに屑だな……こんな受験シーズンで暴力問題起こしてどうすんだ?中卒で土方にでも行くのか?」
下校時、空閑は俺を見張っていると言うか警戒しつつも一定の距離を保っている。
猫かなにかかと思うのだが、クラスのDQNが遊真に絡む。よりにもよってこんな受験勉強のラストスパートなシーズンで〆るって相当馬鹿な事だ。あまりにもアレなので呆れていると向こう側が勝手にキレる。
「勉強出来るからって調子に乗るなよ!」
「自分の思い通りにならないからって調子に乗るなよ!」
「っ、おい!」
「ああ、そうだ空閑……暴力で物事を解決する事はいけない事だ。怪我を負わせれば傷害罪という罪に問われる……だから、骨を折らず痣を作る程度でボコるのがいい」
「ゴホッ!?」
自分の思い通りにならないからキレてるDQNのリーダーもとい3バカは殴りかかってきた。
取りあえずは1発拳を受け止めて、その後に骨は折らないが青痣になるレベルの威力で殴って撃退した。
「勉強出来るからって調子に乗るなよと言ったが勉強が出来ないお前等は調子に乗ることすら出来ねえゴミだな」
「……意外と好戦的だな、メガネくんは」
「好戦的じゃないよ、やると決めたらやる、ただそれだけだ……悪い事をしている人間のなにが悪いかって悪い事をしている自覚が無いのが多い。人間1度痛い目に遭ってからじゃないと分からない事もある……逆に聞くがあの手の輩に話し合い通じると思うか?」
「無理だな」
「だから、そもそもで関わり合いを持たない。それが1番の選択肢だ…………人間、コイツとは上手くやれないと思うタイプも居るからな」
なんであの手のタイプの人種を学校側は放置しているのか謎だな。
温室で育てたトマトよりも劣悪な環境で生まれるジャガイモやキャベツの方が時に美味いって言うのにな。
「メガネくん、取りあえずは話し合いをしよう……メガネくんは話し合いが通じる相手、そう認識して構わないだろ?」
「それを決めるのはお前自身だ。取りあえずは家に来てくれ……色々と大事なことを話し合うならば、この辺じゃ危険だ」
DQN達が逃げていった。あの手のタイプの人間は力関係をハッキリと理解させなきゃ改心しないのを空閑も納得している。
空閑はまだ警戒心を持っているが少なくとも俺と話し合いをする事が出来る関係性にあるのだと認めてくれた。認めてくれたので家に呼び出す。
本日は母さんはパートである。父さんは海外出張であり、母さんは俺が学校に行くことに関してはなにかがあったのだと認識している。
「飲み物はなにを飲む?オレンジジュース、コーヒー、ココア、紅茶と色々とあるぞ」
「う〜ん、じゃあコーヒーとやらで」
家に上げればコーヒーを注文してくれる空閑。
コーヒーの入れ方ならばハワイで会得した。ただ単にお湯を注げば良いのがコーヒーじゃない、色々と難しい技能だ……まぁ、水から拘ってるとかは無いけども。
「黒いな」
「ああ、黒いぞ……コーヒーを飲んだことないのか?」
「飲んだことないから頼んでみたんだ……苦っ!?」
「砂糖とミルクを入れとけ」
「メガネくんはストレートで飲めるんだな」
コーヒーを出したら空閑はストレートで飲んだ。お子様にはまだまだ早いようで直ぐに砂糖とミルクを入れて飲めば満足げな表情に切り替わる。
クッキーもあるぞとクッキーを食べさせればかなり満足している。
「美味いな、こっちの世界の茶菓子は」
「もう自分が近界民の世界からやってきた人間だと認めるんだな」
「うん……メガネくんもそうだって認識してるんだろ?だったら無理な事は言わずにな」
「そうか……それで、なにをしに来たんだ?」
「親父が死んだらこっちの世界のモガミソウイチって人を頼れって言われてて……ボーダーって組織に居るぐらいしか情報が無いんだ」
「もうちょっと情報残せよ……お前の親父さんはボーダー関係者って認識でいいのか?」
「おれの親父じゃなくて親父の友人がボーダー関係者だ」
「…………名前的にもお前の親父さん、こっちの人間だろ?ボーダーが秘密の組織だった頃の人間じゃないのか?」
「その辺は一切知らん」
随分とまぁ……いやまぁ、人のことを言える立ち位置じゃないからツッコミは入れない。
とにかくモガミソウイチと言う父親の友人を頼りに来た、空閑はそう主張する。
「メガネくんはボーダーの人間か?」
「いや、ボーダーの人間の知り合いは居るけどもボーダーの人間じゃない。仮にボーダーと関わり合いを持つ機会があったとしても俺はボーダーにはいかない…………疑ってるのか?」
「本音を言えばな……メガネくん、言葉選んでるだろ?」
「選ばなきゃいけないだろう、話し合いをする上で1から10まで全て語っちゃいけない……奥の手の1つや2つは常に隠し持っておく。考えて備える事が出来るのが人間の特権だ…………そうだな……………俺はこう見えても技術者として働いているんだ」
「エンジニアか……メガネだけに勉強は出来るんだな」
「メガネ関係ねえよ……近界民関係のあれこれも色々と言っててな、ハッキリと言えば話し合いが通じる近界民が来るのを待っていた」
「む…………嘘は言ってないみたいだな……」
俺は三雲修とは違う、捻くれ者だから疑われて当然だろう。
話し合いが通じる近界民を待っていた発言に嘘は無い、空閑じゃなくてもいいから交渉する事が出来る向こうの世界の住人を待っていたんだ。
「何故待っていたか、その件に関しては空閑の目的を果たしてから言う……モガミソウイチで間違い無いんだな?」
「間違いない」
「ボーダーの隊員等は公式サイトで名前が載っている……お前の親父さんが頼れと言ったことから大人だと想定出来る……………いないな」
「いないのか?どれがモガミソウイチなのか字が読めないんだけど」
パソコンを起動してモガミソウイチの名をボーダーの公式サイトで検索をする。
モガミソウイチの名前は何処にも存在していない、空閑は字を読むことが出来ない……このレベルは割とマズいな。
「なに、公式サイトには全ての職員が載ってるわけじゃない……ボーダーの知り合いが居るから、そこを経由してモガミソウイチさんについて聞く」
「おぉ、頼もしいな」
「でも……どうするんだ?」
「なにがだ?」
「モガミソウイチさんに訪ねて成人するまで世話になりたいから来たのか?だったら、今日みたいなイカサマは無しだぞ……」
「じゃあメガネくんが色々と教えてくれよ。おれ、文字すらまともに読めないんだ」
「四則演算は?」
「しそ……なにそれ?」
「足し算、引き算、掛け算、割り算の事だ」
「流石にそれぐらいは出来る……」
「旅人算は?」
「旅をする事はよくあるから計算ぐらいは出来るぞ」
「ああ……うん、分かった。色々と教えるよ」
旅人算に関して聞いてみれば変な答えが返ってきた。
旅人算も分かってない、四則演算しか出来ないレベルの頭脳……文字もまともに読めない、考えることは出来るけども一般教養は恐ろしいぐらいに残念なタイプ。ホントに使える勉強しかしていない感じだな。
「……」
「なんだ?」
「初対面なのに色々とやってくれるなって」
「俺が勝手にやってることだ、気にするな……それに逆に考えておけ。ここはお前にとって未開の地だ、そこで最初にコンタクト出来たのが話し合いが通じる相手だと……人によっては大変な事になってる」
「面倒見の鬼ですな、メガネくんは」
「最終的に巡り巡って自分に返ってくる、損得勘定で動いてるところもあるよ……少なくともそうだな、今はこの近界民に話し合いが通じると色々と好感度を上げているのに必死でお前はそれを利用している」
「なんかそれだとおれが悪人っぽいから嫌だな」
「じゃあ、俺が聞きたいこととか色々とあった時には素直に答えてくれ…………ところでだ」
「なんだ?」
「メガネくん呼びは止めてくれよ……三雲修だ」
メガネが本体だと思われていた事が8月31日のあの一件で判明した。
確かにメガネ属性はあるけれども、メガネが本体だと人間をかけたメガネだと思われるのは色々と嫌だ……あえてコンタクトに挑んでやるか。
「よろしくな、オサム」
「ああ、よろしく頼む……後で知り合いのボーダーの人に連絡入れとくから、そうだな……家で飯を食ってくか?」
「む、いいのか?」
「向こうの世界から来た人間とのコミュニケーションの一環だ…………先ずは話し合い、そこから見えてくるものが色々とある筈だ。ちょっと連絡入れてくる」
スマホを持って自分の部屋の外に出る。
ここで問題なのは誰に連絡を取るのかだ、桜は確定で麟児さんや千佳は後回し……重要なのはモガミソウイチを知っているであろうボーダーの人との連絡だ。1番の正攻法は烏丸さんか栞さんに聞くこと、そうすれば一発で実力派エリート行きのコースだ。別にそれ自体はなにも間違いじゃない、空閑が探しているモガミソウイチさんはそうしなきゃ会えない…………あえて状況を混乱させる為に複数でメッセージを送ろう。
【モガミソウイチって人がボーダーに居るって聞いたんですけどもボーダーの公式サイトに名前が載ってないんですけど心当たり無いですか?】
烏丸さんと栞さんと那須さんとののさんにそのメッセージを送った。
既読がついたのは……ののさんで【何処でその名前を聞いたんだ?】と返事が返ってきたので【1から10まで説明するとややこしいですし詳しい詳細は明日にフーディエで話します】と送り時間を指定する。
「知ってる人が居たぞ……明日、その人と顔合わせするからそこから色々と話をするで構わないか?」
今後の展開どうしよっかな
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