修と千佳がフーディエで遊真に色々と聞いたりしている一方その頃だ。
ボーダー本部の会議室に忍田本部長、鬼怒田開発室長、根付メディア対策室長、林藤支部長、唐沢、総司令の城戸が集まっておりイレギュラーな門について議題にしていた。
三門第三中学と三門市の市街地以外にもイレギュラーな門が発生している。ボーダーの門を誘導する装置の故障かと思われたがそうではなかった。門を内側から開いている存在が居た。
「このトリオン兵が門を内側から開いておる……通常のレーダーにも映らんステルス機能の搭載されている。解析してレーダーに映る様にしたが多すぎる!トリオン障壁で今は門を防いでおるが、とにもかくにも数が多すぎる!」
「失礼しまーす」
「遅いぞ、迅!なにをしておった!」
「いやいや、実力派エリートは多忙なんですよ……イレギュラー門の原因は判明したんですか?」
鬼怒田がラッドを解析し、コイツが門を内側から開いている存在だと判明したがとにかく数が多い。
その事に関して色々と言っていると厄介な人間こと迅が会議室に入ってきた。
「このトリオン兵が内側から門を開いている……鬼怒田さんがレーダーに映る様にしたが数が多い。今はA級隊員が居ない状況だ……なにが視える?」
「う〜ん…………C級も総動員してますね」
忍田本部長が未来を見る事が出来る迅の意見を求める。迅が視えている未来はC級がそこかしこにいてラッドを破壊している未来が視えている。
向こうが質ではなく数の暴力に頼って来たからにはこちらもある程度は数の暴力に頼らなければならない。C級も総動員して駆除をする、それが一番妥当な判断だが城戸司令が頭に手を当てる。
「向こうが手を変えてきた……C級の動員以外で防ぐ方法は無いのか?」
「う〜ん……無いですね」
今の今まで門を開いてトリオン兵が襲撃してきていたのだが、今回はやり口を変えている。
近界民が異世界の人間なのだから学習能力の1つや2つは当然ある。4年間ボーダー側が防衛に成功して力を蓄えているは言い方を変えれば向こうも備える時間があったも同然だ。
C級はボーダー内部でしかトリガーを使ってはいけない決まりであり、ラッドの数や機能からして敵は敵情視察に来たのだと予測している。実際のところ向こうも敵情視察が目当てである。だから戦力を全て見せるわけにはいかないが、数が数だけにそれしか道が無い。
「それに関してはとにかく人海戦術でやるしかない……オレを呼び出したのはこっちでしょ?」
『青いドラゴンが瓦礫を除去してくれて』
『クリオネみたいなのが怪我を治してくれたんです』
その件に関しては人海戦術を用いれば解決することが出来る。だから、それで終わりだ。
迅はスマホを取り出して緊急生中継の映像を見せる。市街地にトリオン兵が現れて爆撃を受けて避難した一般市民に対してインタビューをしている。爆撃が怖かった等の意見がある中で瓦礫を撤去した存在が居る事を言っている。
「イレギュラー門が発生し、偶然にその現場に居合わせたボーダー隊員が迅速にトリオン兵を処理した……だが、この市街地に現れたトリオン兵はボーダー隊員が撃墜していない。現場に誰も居合わせていない」
「ボーダー以外の誰かが瓦礫除去したとしても意見がおかしい……いや、それ以前に街が爆撃を受けた筈なのに元に戻ってる」
『あの、陰陽師の白黒の勾玉みたいなマークが空中に浮いてました』
この件は誰かが救助した、別にそれ自体にああだこうだは言わない。避難誘導した事はいいことだが、色々とおかしい。
二足歩行のジーンズを着た狼が助けてくれた、西洋の鎧を身に纏った騎士が助けてくれた、明らかにおかしい。そんな格好をしている人間は見たことが無い。それどころか市街地に陰陽師の勾玉みたいなマークが空中に出ていたとも言っている。
市街地に現れたトリオン兵を謎の一団が倒したと仮定し、それは近界民だと考えるのが妥当なところだろう。
「近界民の一団がこちらの世界に潜入している可能性が高い。迅くん、何処に潜んでいるのか分かるかね?」
「オレの予知はチートですけども全能じゃないですよ…………まず、近界民の一団の可能性は低いですね。わざわざ内側から門を開くトリオン兵を送り込んでるのに人命救助やトリオン兵撃墜はマズい」
「トリオン兵を送り込んどる国とその近界民の国が違う可能性もあるじゃろう!」
「だったら尚更ですよ……自分達が近界民だとバレるのが1番マズい事なんです。向こうの世界の人達はこの世界を狩りやすい場だと認識していて今回は手口を変えてきた。要するに向こう側がこっちにもトリガーがあるって認識してくれたんです……門を内側から開く機能を持ったトリオン兵を送り込んできてるなら敵情視察、人を潜り込ませる事が出来ているならば騒ぎを起こさないのが大前提で……情報収集が仕事で、それこそ三門市を無視して人が多い神戸とか名古屋とかに向かってますって」
トリオン兵を撃墜した近界民について視えている事を聞いてくる根付や鬼怒田。
迅は敵情視察の情報収集ならば門を開く機能を搭載したラッドで充分、トリガー使いが出てくる事がおかしいとなり別件だとする。
「じゃあ、そいつ等はなんなんだ?陰陽師のあの白黒マークが空中に浮かんでたからまさかマジの陰陽師か?」
「その説もなくはないですね」
「んなわけがあるか!!」
「鬼怒田さん、その認識が間違いですよ……アーサー王の聖剣で有名なエクスカリバーや一寸法師の打ち出の小槌等は実はトリガーの一種ではないのか?その仮説を立てて調査している企業も居ますよ」
陰陽師でお馴染みのマークなので寺生まれのTさんよろしくガチ霊媒師が波ァ!で貼った結界かと考える林藤支部長。
そんなオカルトな存在がこのご時世に居るわけがないと鬼怒田が否定するのだが、唐沢がもしかしたら伝承や神話に出てくる神秘的な武器はトリガーの一種ではないのか説を出す。そしてそれを調べている団体に心当たりがある。
「その一団が三門市の外に、それこそ迅の言うように神戸や名古屋等の日本の主要都市で尚且つ人口密度が多い都市に行かれたら終わりだ……」
「う〜ん…………あ、大丈夫っぽいですね!」
「その根拠は?」
「向こう側からコンタクトが来ます」
「つまりは友好的な近界民ってわけか……迅、間を取り持ってくれ」
「了解です!」
「林藤支部長、なに勝手な事を言っているのですか!?その様な真似は」
「相手が未知数である以上は分からない……話し合いも一切せずに近界民だからと殺すのがそちらの意志かもしれないですが三門市の外に出ていかないとなればなにかある。それこそ俺達ボーダーが出来るよりも前になにかの拍子でこっちの世界に流れ着いた近界民の子孫の可能性だってある。近界民の血筋だから問答無用で殺すつもりですか?」
「それは……」
迅が間を取り持つように林藤支部長が命じる。
近界民にも良い奴が居るから仲良くしようの友好的な派閥であり、向こう側がなにかしらの目的があるならばと友好的に接する。
先ずはなんなのか?それを知ってから行動する。近界民の子孫説を出せば、言い返す事は出来ない。先祖が近界民だから殺すは幾らなんでも度が過ぎている。危険な存在だから来ないでほしいとは思っているが人種差別の様な真似はしない。
C級も動員して明日に一斉駆除を行う。そういう方向性で話は纏まり、忍田本部長と林藤支部長が会議室を出た。
「それでそれはホントに事実なのか?」
「調べてみましたが三雲修と言うC級は居ません」
第2ラウンド開始とも言うべきか、近界民を拒む派閥である城戸派は会議をする。
イレギュラー門が発生した、殆どが現場に偶然に居合わせたボーダー隊員が迅速に対応したのだがとある2件だけは別件だった。
1つは市街地に現れたイレギュラー門、コレに関しては多くの謎を残しており向こう側から接触があるのだと迅が語り迅が間を取り持つ……その後にどうするかは別としてだ。
「三雲修、か……」
もう1件、三門第三中学に現れたトリオン兵を撃墜し更にはラッドを見つけ出した男、三雲修。
C級隊員が緊急時なので使ったのではなくホントのホントに生身で撃退した。C級はトリガーを使ってはいけないと言っている木虎を殴り倒して緊急脱出させた。木虎の発言に対して学校側から苦情を受けているが、その辺は些細な事だ。
「ホントに生身でトリオン兵を倒したのですか?門を内側から開いているトリオン兵は我々のレーダーに映らないステルス機能を持っていますよ、コッソリとトリガーで倒したのでは?」
「その件に関して破壊されたトリオン兵を調査した、トリガーを使えばトリオンが僅かじゃが残留する。しかし、トリオン兵には一切トリオンが残っておらんかった」
「本人が素手で倒したと主張してレーダーで確認させた後に木虎を殴り倒してますからね」
生身でトリオン兵を倒すことが出来るというのはありえないことだ。
トリオン兵を倒す際にコッソリとトリガーを使ったんじゃないか?レーダーに映らないステルス機能の1つや2つは簡単に作ることが出来るので、それを用いているのでは?と言う考えを根付は言うが破壊されたトリオン兵を調査した結果、トリオンは残留していない。それどころか素手で木虎を殴り倒して緊急脱出させた。近代兵器が一切通じない、それこそトリオン体ならば車に轢かれてもダメージが無い。それなのに素手で倒したどころか門を内側から開いているトリオン兵を見つけ出した。
「ホントに素手で倒したのならば、ボーダーの根底が覆りますね」
「生身でトリオン兵を倒すことが出来ることはありえん事だ!」
「しかし、トリオン反応は無かった。トリオン反応があるならば黒と言えますが証拠が一切無い……三雲修くん本人を連れて来るのが1番でしょうがボーダー隊員である木虎隊員の発言から学校側から苦情が来ており木虎隊員を殴り倒した事を考慮すれば三雲修くんはボーダーに対して悪い印象を抱いている。彼に来てくれと言っても無理でしょう」
そもそもで連行したりする権利はボーダーは一切持っていない。
警察の様に捜査令状の1つでも見せつける事が出来るならば、連行できるがボーダーは民間組織なのでその辺の権利は持っていない。
「ですが、なにかがあるのは確かです……城戸司令、自分に三雲修の監視をさせてください」
「……いいだろう。三輪隊は三雲修を監視しろ」
ここで今の今まで黙っていた三輪が修の監視を申し出る。
トリオン反応が無かったが裏があることだけは確実でありそれを調査する。こちらも先ずはなんなのかを見抜かなければならない。
「迅、ここにいたか」
「ののじゃん、どうしたんだ?」
「時間あるか?」
「ここで軽く談笑するぐらいならあるけど……どうした?」
会議室を出た迅を見つけたののが迅に声を掛ける。
この後に時間があるのか先ずは聞くが、迅は忙しいので軽く談笑するぐらいなら出来るけどもそれ以上は無い。謎の一団について調べなければならないから。
「……最上さんについて訪ねたきた奴が居るんだ」
「最上さんに……そいつは誰だ?」
「三雲……フーディエのオーナーだ」
「フーディエ……ああ、京介のアルバイト先のオーナーさんか。しかしまたなんで?」
「それについて今日、烏丸と一緒に聞きに行く予定だったんだけど……こんな状況だろ?向こうも直接会ってから事情を話すって事だったんだが、先延ばしになったんだ」
後輩である烏丸のアルバイト先のオーナーが自身の師匠について聞いてきた。
最上宗一は既にこの世には居ない。今のボーダーが出来てから表に一切その名前は出ていない。しかしボーダー隊員ならば迅の師匠であり迅の持つ黒トリガーだと知っている者が割と多い。ののも烏丸もその内の1人だ。
「向こうもイレギュラー門が開いてるって情報を知って、その件が片付いたら会う事にしてて……それまでに時間は作れるか?」
「……!……………」
「おい、なんか視えたのか?」
「顔を知らない人の未来は分からない……でも、最上さんを訪ねてるって事は色々あるのは確かだ…………っ………すぐに会えないか?」
色々と不規則に激しく未来が変動していく。
その中に涙を流している林藤陽太郎が居た。三輪にナイフで刺されている忍田瑠花がいた。粉々に砕け散っているボーダー基地が見えた。
フーディエのオーナーが関係している可能性が高い。烏丸達を経由して色々とスゴイのを見たけども冷静に考えればフーディエのオーナーを1度も見たことが無い。もしかすると彼からなにかが見えるかもとなりコンタクトを取れないのかののに尋ねる。
「イレギュラー門が店の近くで起きたからフーディエはイレギュラー門の騒動が終わるまで一時休業で、三雲の奴はフーディエじゃなくて会社に行ってやらなきゃいけねえ仕事があるみたいで会えねえ……イレギュラー門のゴタゴタが終われば会うって約束もしちまってるしそん時にお前も来りゃいい……お前に時間があるのか聞いたのはそのためだ」
「……そうか……」
確実に会う機会はあり、その場をセッティングしてもらえる。
色々と不安になるが今すぐにでもフーディエのオーナーに会う事が出来ないのか?となるのだが、肝心の修には会う事は出来ない。
迅がオーナーの住所を問いただしたりすればいいし、のののスマホを経由してテレビ電話をすれば顔を一発で見る事が出来るのだがそこまでは頭が回らなかった。
謎の一団とフーディエのオーナーは関わり合いがあるのは視える。
だが、問題はどういう繋がりがあるのか?近界民関係はボーダーが完全に牛耳っており、情報操作も上手くいってる。フーディエのオーナーは実は近界民だったと言うオチか?いや、それならば何故最上さんを訪ねている?最上さんを訪ねている理由が分からない。点と点が繋がるのは確かだが。繋がる線が分からない。会うことが出来ないので迅はモヤモヤしている。
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