ボーダーは初の遠征をすると公表した。正確にはそうせざるを得ない状況に追い込んだ。
民間組織のボーダーとは異なる政府管轄下の近界民の世界に関するあれこれをする機関が生まれた。
近界民の世界に遠征に行くという都合の良い言葉でスポンサーを集めるだろうが、ボーダーの遠征は拐われた人を助けるとかであり、勝手に軍事同盟等を結んだらダメ、ボーダーはあくまでも民営の組織だから勝手な事をするなと釘を刺した。
冷静になって考えてみればボーダーが民間組織なのがおかしい……城戸司令がなにを考えているかは知らないが、あまり好き勝手は出来ないようにしている……特に今回の被害者0はデカかった。ボーダーよりも俺達デジモンジェネラルの方が使える連中だと証明した。
「……」
チームでのランク戦が原作では間もなく行われるだろうがこの世界線の俺はボーダーの人間じゃない。
神堂財閥のアミューズメント産業の
じゃあ、俺はなにか特別な事をやるのかという話になるが、俺はなにか特別な事はしない。トリガー工学を学んだりとかそういうのは別の部署の人間がする。俺は何時も通りフーディエのオーナーとしてゲームやゲームの技術開発に勤しむ。
「思考操縦型で神経と接続するとして……動力をトリオンにすればいけるか」
今やっているのは義手の開発だ。鋼の錬金術師に出てくる神経と繋がっている義手の作成に勤しんでいる。
カードゲームのアニメでよくあるモンスターを立体映像として映し出す装置は完成していて後はゲームのルールを打ち込んだりするのにでそこは他のゲーム部門のエンジニアに任せている。
最近は有名作品をカードゲームにすれば儲かるとカードゲームが沢山刷られている。ONEPIECE、コナン、ドラゴンボール……けどそういうのは一時的な物で遊戯王やポケモンカードのようなコンテンツには勝てねえ。
「実際に神経と繋げる時に痛みを感じるのが難点だが……インフルエンザの綿棒突っ込まれる時と同じぐらいの痛みか」
義手はエネルギー問題の部分を解決すれば後は問題無く動かせる感じだ。
鋼の錬金術師の義手はどういう原理で動いているのか、動力源が謎だ。俺が作っているのはトリオンを動力源に動く義手、義足。
コレが完成すれば俺は特許とかでウッハウッハ……義手で20万ぐらいで売れるようにしてメンテナンスが出来る人が増えれば儲かる。ボーダーも兵器としての側面を持つトリガーだけじゃなくこういう日常使いのトリガーを作ったりすれば金は集まる……ただボーダーからトリガー技術が漏れればボーダーの利点が無くなる。産業スパイ的なのは迅が追い出してるんだろうな。
『オサム……話がある』
「忙しいからこの状態でいいか?」
ちびレプリカが現れた。
大事な話があるみたいだがアポらしいアポを取っていない。一応コレでもそこそこ偉くて結構忙しい身だ。
仕事をしながらでの話を聞く、それで良いのならば俺は話を聞く。ちびレプリカはそれで構わないと言うので耳を傾けながら仕事をする。
……私の持っている向こうの世界の様々な情報を提供しよう。ユーマの体を治してはくれまいか?』
「……前にも言ったけど、空閑を治すやり方は大体は倫理観をドブに捨てないといけない。人間を電子に、データに変換する事は可能だけどそれをやった場合、ゲームのアバターを作る時と同じで肉体を自由自在に作り変える事が出来る」
『それ以外で治す方法に心当たりがあるのだろう?』
「……そっちは不確定だ。空閑の肉体を確実に治すのは空閑をデータ化すること……不確定要素を試すのはあんまやりたくねえ」
『……このままではユーマは死ぬ。だったら一か八かに賭けてはくれまいか?』
「…………空閑がそれを望んでいるかだ」
空閑は今のところは俺達と一緒に遠征するという目的があるが、基本的に目標らしい目標は無い。
空閑が自分の肉体を治したいのか、死に向かっている体を治したい思いよりも親父さんが最後になにを思って黒トリガーになったのかを聞きたい……だがリリエンタールの力を使っても空閑が知っている有吾さんが再現されるだけだ。
『その点ならば問題は無い。ユーマはランク戦という楽しみが出来た、オサム達と一緒に向こうの世界を遠征するという考えも持った。今のユーマにはやりたいことが見つかり生きる理由を見つけた』
「……だったらお前が説得して空閑をここまで連れてこい。空閑の肉体を治すのはそれからだ」
こっちが倫理観をドブに捨てれば、空閑1人を助ければ物凄いハイリターンが出てくる。
日野のお兄さんが聞けば怒るだろう。神堂さんが聞いたのならば科学技術の発展には多少の犠牲は付き物だと俺を褒めるだろう。
それほどまでに倫理観をドブに捨てている。触れてはいけない領域に足を踏み入れているという感覚があるが……仕方がねえ。
「オサム……レプリカから聞いたよ。おれの体を治してくれるんだってな」
「治せるかどうかは怪しいところだ」
翌日空閑がフーディエにやってきた。レプリカがどういう風に説得したのか気になるが、空閑は傷の治療を引き受ける。
人間をデータに変える設備自体は出来ている、と言うかレッドカードを使えば人間をデータに変えることが出来る。
「じゃあ、やるわよ」
「……なんでおばさんが?」
「アルファモンの力を借りるんだよ」
デジモンを思う存分に動かせるリリエンタールの力で出来た部屋に移動する。
母さんが居るのでどうしているんだ?と疑問を抱くので答える……アルファモンの力を借りる。
母さんにレッドカードを渡して母さんはレッドカードをスキャン、デジヴァイスを掲げてドルモンと一体化し進化する
「アルファモン!」
「お〜……で、どういう感じで?」
「こうするのよ……デジタライズ・オブ・ソウル」
マトリックスエボリューションでアルファモンになった。
この見た目からどういう感じに治療するのかイメージが湧かない……母さんもといアルファモンには事前にどういう風に動けば良いのかを伝えており、デジタライズ・オブ・ソウルを使う。するとフェニックスとユニコーンが現れた。
「角が生えた馬と鳥?……この2体がおれの怪我を治してくれるのか?」
「ああ……この世界にはな、不思議な力を持った生き物なんかが居るとされている。アルファモンは伝説上の生き物を召喚する能力を持っていてこの2体、フェニックスとユニコーンは傷や病を治すと言われている」
アルファモンのデジタライズ・オブ・ソウルで出てくる幻獣達が本物ならば効果はしっかりとある。
フェニックスとユニコーンに向かって切り傷をつける。ポタポタと血液が流れていきそれを採取した。フェニックスは燃え上がり灰になりもとに戻って傷を治した。
「ユニコーンとフェニックスの生き血を啜る……なにかしらの効果は発揮すると思う」
「血を啜る……コレ、生で行かないとダメなのか?前に読んだ料理漫画みたいにタマゴにしてスイーツにしたらダメか?」
「こういうのはダイレクトにいくもんだ」
試験管に採取したフェニックスの生き血とユニコーンの生き血を空閑に見せる。
文字通り血を啜らないといけねえから流石にそれはちょっととなっているがこういうのはダイレクトにいくもんだ。鉄鍋のジャンに出てきた血のデザートでいきたいと言うが調理したら効力が失われる可能性がある。
「とりあえず、飲んでみろ……それでダメならばレッドカードを使う」
空閑にフェニックスの生き血とユニコーンの生き血を勧める。
血を飲めば致命傷が治るなんて怪しいもんだと思いながらも空閑はグイッと血を飲んだ。
「……黒トリガーが日常生活が出来るトリオン体を生み出してるから傷が治ってるかどうか分からねえな」
「いや…………治った……」
空閑はそう言うと黒色の指輪を、起動前の自前の黒トリガーを外した。
黒トリガーは空閑の延命装置、それを外せばいきなりでなく徐々に徐々に動かなくなっていくらしいが空閑は元気にしている。
空閑が治ったと勘違いしているパターンがある……生身の肉体を見ねえとなんとも言えねえ……。
「トリガー、オフ……!?」
「…………そのパターンか」
空閑がトリガーオフと言えば空閑の肉体がトリオン体から生身の肉体に戻った。
ここまでは順調だった……が、ここで躓いた。空閑の傷はしっかりと治っていた。ただし目玉や腕などが損傷しておりそれの傷口が塞がっているだけであり、腕がトカゲの尻尾の様に再生していない。
生身の肉体が完全に治ったが傷が治っただけで失われてしまった四肢は戻っていない……空閑も怪我は治ったと思っていたがコレは完全に予想外でバランスを崩して倒れた。
「オサム……どうにかならないか?」
「ほら、レッドカードだ」
片方の目が見えないや腕が無くなったり臓器が損傷していたりで感覚がおかしい空閑。
どうにかならないのかを聞いてくるのでレッドカードを使うことが出来るデバイスを取り出して空閑はレッドカードをスキャン、肉体をデータに変換しデバイスの中にデータ化した空閑を入れる。
デバイスとパソコンを接続、パソコンに空閑のデータを移行しパソコンを操作し空閑の肉体のデータを確認。損傷している臓器や四肢、目玉などを正常な状態に戻して空閑をデバイスに戻した。
「リアライズ、空閑遊真」
データに変換した空閑をリアライズする。
一時的にデータ化した空閑をもとに戻す……人類初の試み、データ化した人間のデータを弄って治療する。
この技術を極めればなんでもありになっちまう……トリオン能力を弄くれればいいが……それをすればトリオン能力で採用するボーダーの試験が…………ホントに危ない倫理観だな。
「うん……今度こそちゃんと治ったな」
「……いや、まだなんとも言えねえぞ」
「ん?……怪我らしい怪我はして、ぬぅお!?」
空閑の傷が治ったがまだ完璧に治っていない。空閑は傷は治っているし問題は無いと言うのだが見事に転んだ。
どういうことだ?と疑問を抱く空閑、1,2と足踏みをしているのだがバランスを崩した。
「お前、何年もトリオン体のまんまで今、元の生身の肉体に戻った。脳がトリオン体の感覚になっていて生身の肉体の感覚を取り戻してねえんだ……」
「むっ……どうにかならないのか?」
「そこはゆっくりじっくりリハビリをする……幸いにもフーディエにはトレーニングマシンがある。それを使って体を動かしてリハビリして馴れろ」
長い間トリオン体だったから生身の肉体の感覚を空閑は忘れている。
トリオン体だったら出来ていた事が生身の肉体では出来ねえ……空閑はゆっくりと歩いていく。
何年かぶりの生身の肉体、空閑はその肉体の感覚を喜んだ。
「黒トリガーはしっかりと装備してろ……なにがあるか分かったもんじゃねえ」
とりあえず空閑の肉体を治すことが出来た。
やっちゃいけねえと思っている生身の肉体をデータ化しもとに戻すという実験をした……コレを使えば俺のカスみたいなトリオン能力を上げる事が出来るが……やっていいことなのだろうか……ダメだろうな……余程追い詰められない限りは使わないようにしておかねえと。
「……む?」
「ん?……起動しなくてもいいんだぞ?」
「いや、なんもしてない」
空閑は再び黒トリガーを装備する……のだが、白髪のトリオン体になった。
トリガーを起動しなくてもいいのになにをやっているんだと思えば空閑はなにもしてねえと言う。
『おそらくはユーマの命を繋ぎ止めるのもこの黒トリガーの機能の1つなのだろう……コレを装備していたら自動的にトリオン体になってしまう、有吾の命で出来た黒トリガーは普通より特殊な黒トリガーのようだ』
レプリカは空閑がトリオン体になった理由を冷静に解析する。
空閑の黒トリガーの基本的な機能、装備するだけで日常使いが出来るトリオン体になれる……
「生身の肉体、どうすんだ?」
「こっちの方を使いながら生身の肉体のリハビリを……こっちの肉体の方が車に撥ねられても全くダメージが無くてなにかと便利だからな」
「いや、まず大前提に車に撥ねられるなよ」
黒トリガーを装備したら自動的にトリオン体になってしまう。
親父さんの形見を手放すわけにはいかねえしどうするのかを聞けば生身の肉体のリハビリをし、今まで通りトリオン体になって生活をする…………これ、生身の肉体治療した意味があるのか?
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