「どうだ、こちらの世界は」
「いやはや……トリガー技術を使わずにここまで文明を進歩させるとは見事としか言えないですね」
大規模侵攻で2人の近界民を捕獲した。
1人はヒュース、ワイズモンの事象の再現による卵の冠の能力の再現によりトリオンキューブ化された。トリオンキューブ化された後はボーダーの設備でもとに戻り、玉狛支部の捕虜となっている。
ではもう1人は誰かと聞かれれば大規模侵攻を起こした側の最高戦力、アフトクラトルの国宝である星の杖を使っていたヴィザ翁。
星の杖の真の力を発揮しようとしたがシャドウリベリオンのジェネラルの策略により住居を核兵器で攻撃しても傷つかない特殊なシールドを貼られておりその際に大きな隙が生まれ、ピエモンのトイワンダネスのカードにより人形化された。
アフトクラトルが完全撤退の後に無人島で人形から元の姿に戻され……そのままトリオン体を破壊されて星の杖を没収、ヴィザ翁の目の前で星の杖を破壊した。
「こちらに対して交渉する価値があると見出だせるならばそれでいい」
「特に食事は豊かです……もう少し若ければ色々な物を食べれたのですが」
その後にヴィザがどうなったかと言えば三門市と縁もゆかりも無い土地に軟禁されていた。
なにか厄介な病気は持っていないか等の血液検査、万が一を想定して自害しないか、逃げ出さないかの所有物の全て没収の肉体検査等を終えて無菌室に近い部屋で軟禁されている。
と言っても拷問らしい拷問は受けていない。食事はキッチリ毎日3食出されており体が鈍らない為に運動をしたりテレビゲームをしたりバラエティ番組を見たりとホントに捕虜なのかと思えるぐらいには充実した日々を送っている。
「……何故、拷問等の情報を聞き出す事をしないのですか?」
「記憶を読み取る装置が存在している、と言えば?」
捕虜に対して至れり尽くせりであり、自分から情報らしい情報を一切聞き出す素振りが無い。
ヴィザは素朴な疑問を麟児に投げかければ記憶を読み取る装置という例え情報を喋らなくても勝手に記憶を読み取って情報を知り得る向こうの世界でも見たことが無い装置の存在を語られる。
それが実際にあるかどうかと言う話になれば微妙、修が色々と手を出している分野で記憶を司る海馬から色々と味のデータを再現したりは出来るのだが、頭に被せて記憶を読み取って映像として映し出す装置はまだ無い。
いずれは誕生するだろうが今は無い……だがそれでいい。このハッタリを何処まで信じるのか、嘘だとしてもこちらの世界の技術が進歩していると思わせればいいしなによりもヴィザから情報を聞き出す必要は無かった。
「それは凄まじいですね……では、アフトクラトルの危機も?」
「……そういう心理戦を仕掛けても意味は無い」
アフトクラトルの危機と言うが具体的にはどの辺が危機とは言わない。
記憶を読み取る装置があるならばアフトクラトルの危機、アフトクラトルの星である母トリガーの寿命を迎えようとしておりその為に四大領主が新しい生贄を探して各地に遠征している……と言う事を既に知っているか知っていないかの確認、その技術が口からのデマの可能性があると色々と心理戦を仕掛けようとするが麟児はそういうのをしても意味は無いと言う。
「いえいえ、コレでも私なりに色々と考えたのですよ……向こうの世界に関する情報を一部提示するのを」
「その代わりに危機を迎えているアフトクラトルに帰してくれか?」
「ええ、アフトクラトルまでの道程ならば教えることは出来ます」
星の杖を破壊された……コレは完全に予想外の事だがなんとかして帰還をと考えているヴィザ。
ただ帰るチャンスを待っていても厳重な警備、そもそもここが何処なのかすらも分かっていない状況だ。
アフトクラトルに関する情報は話すことは出来ない、しかしアフトクラトル以外の情報ならば話すことが出来る……それはこちらの世界にとって喉から手が出るほど欲しい情報だ。
「悪いな、それは不要だ」
欲しい情報であるが麟児はそれが不要だと言い切った。
コレを餌に色々と出来るかと考えていたのだが麟児はハッキリと不要と言い切った。
それはつまり麟児が言った記憶を読み取る装置で欲しい情報は大体は読み取っている可能性が濃厚になる。高度な心理戦を繰り広げる前に先に自分が疑心暗鬼になるような言動をされてしまった。
「……では、私になにが望みと?トリオンを徴収するわけでもなければ情報を聞き出すわけでもない、タダメシを食わせているのは色々と無駄かと思いますが」
「今回はそれに関してだ……お前にはトリガーを使ってもらう。分かりやすく言えばトリガーのテストをしてもらう……勿論その代わりにお前にはある程度の遊ぶ金や自由を与える」
「……私が脱走する事などを考慮……いえ、違いますか……ここが何処だか分からずに帰る手段も無いに等しい、脱走したとしてもなんの意味も持たない」
「ああ、そうだ……言っておくが既にお前にはGPSを埋め込んでいる。脱走したとしても直ぐに捕まえる事は可能だ」
「手が早いですね……」
むしろなにもしていないボーダーの方がおかしい。コレでも割と温情な方だし考えるところはしっかりと考えている。
例え脱走したとしても三門市から離れていて三門市とは縁もゆかりも無い土地に居る。そこから都合良く帰れない様にあの手この手を使っている。若いのにしっかりとしているなとヴィザは関心を示し、トリガーを手に取る。
「ふむ……足腰の違和感は無いですが……武器がありませんね」
「それはトリオン体になるだけのトリガーだからな」
トリガーを手に取り起動すればトリオン体になる。馴れ親しんだトリオン体と同じで違和感らしい違和感は一切感じない。
なにかしらの武器があるのかをヴィザは確認するが武器らしい武器は無い。麟児がトリオン体になるトリガーだからと言い切る。
「何故その様なものを?」
「兵器としての側面以外のトリガーを作る、そうすることでこの国が抱えている問題を一部解決する」
トリオン体になるだけのトリガー、そんなのは近界の何処にでもある極々普通の物だ。
何故そんな物を作るのか、こちらの世界にもトリガー技術はある。なにか特別なトリオン体なのかと確認するが普通のトリオン体。
どうしてこんな物を作ったのかを聞けばこの国が抱えている問題の解決になるからと言い切る。
「この国が抱えている問題ですか」
「そう……例えばこの部屋を灯している明かり、向こうの世界ならばトリオンで出来ているがこっちの世界は電気、要するに雷のエネルギーで明るくしてある……電気を生み出す方法は色々とあるが水の流れる力や風の力を借りて発電したりしている」
「……そう言えば情報番組で電気代が値上げだなんだと言っていましたね……」
「トリガー技術と電気工学を併せ持つハイブリットな国に日本を変える、そのトリオン体は日本が今抱えている問題の1つ、若者の一次産業離れを解決する……トリオン体になる事で肉体的な疲労なんかを無くすんだ」
兵器としての側面でないトリガー開発、それが今のところ政府が遠征以外で行う事だ。
それに関しては修はあまり関わっていない。トリガー工学は修の専門外であり、修はVRMMOを作るのに勤しんでいるから。
こちらの世界も色々と問題を抱えているのだなとヴィザは思いながらも連行されていき室内農園に連れて行かれトリオン体で農作業をしたらどうなるか等のデータ採取に追われる。
「……」
麟児は報告書を書いている。向こう側からある程度の情報を開示しても構わないと言われた。
向こうの世界に関する情報を話す、それは喉から手が出るほど欲しいものには変わりはない。レプリカや遊真から幾つか情報を貰っていてもヴィザが持っている情報の方が上の可能性が高い。
ヴィザを捕虜として丁寧に扱っている、拷問らしい拷問はせずにトリガーの実験台になってもらっている。ボーダーに足りない指導者とかをヴィザはやろうと思えば出来る。星の杖を破壊された以上、以前の様な無双は出来ないがそれでも充分な強さを持っており、指導者としてこの世界に根付くと言うセカンドライフが待ち構えている。ボーダー製でなく神堂財閥性のトリガーを使ってアレコレ実験台、モニターとして働かせるのは些か無駄遣いではないのだろうかと……
「……上に進言するか……」
今度の公開遠征には連れて行くことは出来ないが、政府だけの遠征に連れて行った方が良いんじゃないかと進言すべきかと考える。
アフトクラトルでなにかが起きているのは確か、優秀なトリオン能力者を過剰とも言える戦力で拐った……なにかが起きている。
アフトクラトルをゴールにして連れて行くかとなるがその場合は千佳が拉致される危険性が高まる。遠征自体が危険なのでそれは今に始まったことではない。
アフトクラトルを本格的に侵攻して支配下に置く、それが一番手っ取り早く最も実現可能な事なのだろうがアフトクラトルは星が寿命を迎えようとしている。それをどうにかしなければならず、ワイズモンの事象を再現する能力でどうにかなるかどうかも怪しい。
そうなると修がやりたくないトリオン器官のデータを書き換えることで優れたトリオン能力者になるという荒業を使わなければならない。空閑の為だから空閑のデータの書き換えは渋々やったが本当はやってはいけない研究分野である。
「さて……どうしますかね……」
ヴィザは今後の立ち回りについて考える。
なんとかしてアフトクラトルに帰らなければならないが向こう側が大きなアクションを起こさない。
アフトクラトル以外の情報を喋ることでと餌にしたのだが記憶を読み取られていると、例えそれが嘘だとしても自分が持っている生きた情報には興味は無いのだと言っている。自分をアフトクラトルに連れて行け、そうなる様に上手く誘導する事が出来ずに停滞しているという状況、こちらの世界でセカンドライフを送ろうとアフトクラトルを見限る程にヴィザは薄情ではない。
「時間をかけて……私自身に残された時間もアフトクラトルに残された時間も少ない……このままここで余生を過ごすのか……」
なんとかしてアフトクラトル行きのチケットを確保するしかない。
しかしアフトクラトルに行く理由が修達には無く、修達はじっくりと時間をかけて遠征艇を作っている。
ボーダーとの共同の遠征で国を巡るにしても原作と異なり拐われた人が0でありアフトクラトルに行く理由がホントに無い。
三門市と縁もゆかりも無い街の施設に居る以上はなにも出来ない。助けが来るという事も無い。通信機等も取り上げられていて破壊されている。文字通り手も足も出ない絶望的な状況……遠征に行くのならば自分を連れて行った方がお得だとアピールをして何処かで別れるのが一番妥当なところ。しかし敵であった自分を遠征に連れて行くのはデメリットが大きい。捕虜を戦力として働かせるのは近界民の世界では極々普通のことだが過剰なまでの戦力を持っているので戦力として自分を求められていない。
「麟児さん、捕虜はどういう感じだ?」
捕虜がどうなっているのか、修は定期連絡を麟児に入れる。
「今のところはこっちに従っている……通信機なんかを全て取り上げているがなんとかして向こうの世界に戻ろうかと考えてるところがある」
「そうか……」
「遠征に連れて行ったら良いんじゃないかと俺は思うが……」
「生きたガイドを連れていけるのは最高だ、危険性が高い黒トリガーも破壊している……普通の剣タイプのトリガーでも充分に無双できる強さを秘めてる……ただ……俺達はアフトクラトルに行く理由が無い……行きたいと言っても行く理由が無ければ意味は無い。向こうは家に帰るのをメインにしてる……ボーダーとの共同の遠征は航路を広げたり拐われたりした人達を探すのをメインにするが、日本政府としての遠征の場合、同盟を結べないかを話し合った後に無理ならば武力行使してコードクラウン集めに勤しみ抑止力を作りながら航路を広める」
「……アフトクラトルを支配下に置くというのは?俺達ならそれが可能な筈だ」
近界民の世界でも特に大きい国を支配下に置けるというのはとても大きい。
それが出来れば抑止力になる……が、修は知っている。アフトクラトルと言う国が寿命を迎えようとしているのを。
それをどうにかするには千佳レベルのトリオン能力者を生贄に捧げないといけない。
「アフトクラトルではなにか問題がある。その問題と直面して解決するんじゃない……俺は場合によってはアフトクラトルそのものを滅ぼしても良いと思っている」
「……滅ぼすのか?」
「和平や同盟を結ぶことが出来ないなら場合によっては滅ぼすのもありだと思っていますよ……向こうの国を1つ滅ぼした、しかもそれは向こうの国の中でも特に大きな国を滅ぼしたとなればこっちへの侵攻が少なくなる、もしくは近界民同士が手を組んで侵攻する……近界民同士が手を組んで侵攻するならばやり返す大義名分が出来る。やり返す事が出来た時点で仲良くでなく支配下に置くように上手く立ち回れる……」
「……少しやり過ぎな気もするが」
「なに言ってるんですか、やり過ぎなきゃ守りたいものも守れないですし……綺麗事だけで世の中やれるわけがない、武力と言うものを行使するのを決めているのだから行くところまで……こんな仕事をしている以上は地獄の底までついてきてもらいますよ」
修は時折バイオレンスな事を言うが一部は間違っていない。
この仕事に、いや、修からデジヴァイス貰った時点でそれ相応の覚悟は決めているがまだまだ甘かったなと認識を改める。
「問題はボーダー側だ……角付を捕虜としているが拷問らしい拷問もしていない、情報を聞き出せていない状況だろう……その上で司法取引をして遠征のガイドを務めるから航路をアフトクラトルにしろとか言われてそれに従うのならば……今度の共同の遠征でアフトクラトルに行くって言うなら最初から話し合いは無しで武力行使で行く……話し合いの段階はもう過ぎている。アフトクラトルがなんか問題を抱えているならばそのまま死んでもらう」
修は知っている。アフトクラトルの星の寿命が残りわずかなのを。
仮にヒュースをガイドとして連れて行く事になった場合、アフトクラトルに新しい神を捧げないといけない。ヒュースの主を捧げる事をしていても、他の神を見つけてアフトクラトルを維持する事が出来ても武力行使をする。
迷いなく究極体クラスのデジモンを送り込む。向こうの世界は被害を一切気にしなくてもいい、やりすぎるぐらいがちょうどいいと思っている。
「……コレが修の本気か……」
まだまだ自分は甘い方なんだなと麟児は意識を切り替える。
今後の展開どうしよっかな
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2人まとめては最高さ
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