人生三回目、現代にてポケットモンスター現る。   作:龍狐

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9 ????side 民衆の反応と初動

 

 

謎の機械【スマホロトム】について語るスレ

 

 

 

24:名無し ID:5tQwCXn4S

でもあの通知にはマジ困惑したわ。俺東京住みなんだけど、いきなり【ポケモンショップ 北海道札幌中央区店】が開放されましたっていう通知がスマホに来てさ。俺東京やで?もしかして全員のスマホに通知いってるの?

 

25:名無し ID:Dq30oUSQ+

俺にもその通知来た。つまりポケモンショップの利用可能状況がリアルタイムで知れるってことだよな?

 

26:名無し ID:o6F3jm2L1

スマホロトム様様ってか?ww

27:名無し ID:Ve4W19Fl7

でも結局あれってなんなん?スマホ浮いてたよね?

 

28:名無し ID:o8Sz7NfSv

バカおまえ、あんなのCGに決まってんだろ

 

29:名無し ID:bVtGSH+ZB

バカはお前だ。アレLIVEだぞ

 

30:名無し ID:WVZvBuRBH

ていうかあのスマホ人間のように普通に喋ってたし、明らかに既存のものではない。

 

31:名無し ID:IFLbVJo/d

それな。ただでさえ今日から訳分からん生物が世界中に現れたのに、浮いて喋るスマホとかさらに訳ワカメ。

 

32:名無し ID:QmXuOsZE/

でもあのスマホ滅茶苦茶重要な情報喋ってたよね。

 

33:名無し ID:ocJpNVtmP

そうだな。このスレはスマホロトムについて語るスレだがやはりその話題も必然的に出てくるよな

 

34:名無し ID:JUloCe9kn

情報を纏めると自身が何者なのかとポケモンショップの利用方法だな。

 

35:名無し ID:e0ar/k8Om

だったらまずはスマホロトム自身について語ってみるか。

 

36:名無し ID:5+9AQd/Mh

とりあえずスマホロトムについてまとめてみた。

 

・スマホロトムは機種名みたいなもの

・種族名はロトム

・ロトムは体が100%プラズマで構成されているため、電線の中を移動したり電子機器に憑依できる

・ロトムと言う種族は頭の軽いイタズラ者が多い。真面目なのは一部のみ。

・全国ポケモン図鑑?№479

・タイプ? 電気とゴースト

 

37:名無し ID:WUY7YHsAI

>>36 感謝

 

38:名無し ID:/ouuGy15E

これだけ見ると3番目ヤバイな

 

39:名無し ID:yGj9b0g8f

一言で言えばハッキングってことだろ?普通に怖ぇわ。

 

40:名無し ID:l+4fAKaI/

しかもロトムと言う種族がイタズラ者が多いって詰んでる

 

41:名無し ID:Aa/wfVvag

あのロトムはその一部の真面目な方ってことか。

 

42:名無し ID:njS9uCffL

それに5番目の図鑑ナンバーの方も気になるよな

 

43:名無し ID:uB+Vvr6e4

あぁ確かに。自分の種族のことを479番目っつってたよな。つまり未確認生物が後少なくとも478種類いることは確実

 

44:名無し ID:t/p92WynH

どうなっちまったんだよ世界。

 

45:名無し ID:GGBmnIgEt

まぁネット見る限りいろんな生物がいるから、400種くらいいても不思議じゃない、か…?

 

46:名無し ID:jN8m+LIqJ

もしかしたら倍以上いる可能性も。

 

47:名無し ID:Uza5mV9vG

やめろよ怖い。

 

48:名無し ID:QVcJD/BEg

でもそうだとしても不思議じゃないよな。

 

49:名無し ID:E5K9vOKkk

政府はなにやってんだよ。さっさとなんとかしてほしい

 

50:名無し ID:Z6UxfQuF2

この異変今日からやぞ。いくら何でも無理あるわ

 

51:名無し ID:bv+ohCR6+

でも実際政府は今後どうするのかな?今後の動向が気になる所存。

 

52:名無し ID:Ebhnjz64U

可能性として一番高いのは東京と北海道札幌市に調査本部が置かれる可能性

 

53:名無し ID:/mBu37RJt

あ、それいい線言ってるかも。言われてその可能性高いと思った。

 

54:名無し ID:HK1hGmua4

スマホロトムは北海道札幌市に現れたからな。それにスマホだからそこに持ち主がいる。

 

55:名無し ID:Qk5XETNEF

スマホロトムの持ち主か~。確かに気になるな

 

56:名無し ID:QxRSkp/xk

俺ここに来る前、【スマホロトムの持ち主=この異変の黒幕説】っていうのを見てたんだけど、実際どう思う?

 

57:名無し ID:fFqVEX407

あ~確かにそう思われても仕方ないと思う。実際情報不足してるし、突如として現れたからなぁ~。

 

58:名無し ID:tQmMr98Nm

でも黒幕だったとしたらこんなに早く出てくるか?もし社会を混乱させることが目的ならこんなに早く情報を公開したりしないだろ

 

59:名無し ID:y6QTFMVZf

それな。それにスマホロトムは持ち主のことを「目立つのが苦手」と言っていた。だから自分のスマホに早めの対策を講じさせたのでは?

 

60:名無し ID:N6cDN+fP+

しかしながら未確認生物の出現で社会どころか世界自体が混乱しているから、社会の混乱が目的だったという場合既にそれが達成されてるんだよな

 

61:名無し ID:RYaO0vZqZ

実際みんなこの説についてどう思ってるの?

 

62:名無し ID:3HeVzinsn

俺は賛否両論かな。まだ分からんこと多いしここは堅実に

 

63:名無し ID:WqXQWVcl9

真面目だねぇ~。俺は否定派かな。自分の存在アピールしたってことは事態解決に乗り気だってことでしょ?

 

64:名無し ID:pq5uYW/t9

俺も。大学の友人とメールでこのこと話したんだけどさ、絶対にこんなこと一人じゃ無理だよね

 

65:名無し ID:s/Gn2vZAk

もしかしたら組織的なものかもしれないわよ?

 

66:名無し ID:gfpSEyRGa

賛成派がいたか。でもこんな明らかに既存の物とは違う生物を今の技術で創れたりできるものか?

 

67:名無し ID:mA25a6oZP

絶対に不可能だと思う。

 

68:名無し ID:/o8zYURmY

だよな。ていうかこの黒幕説の話終わりにしない?話戻そうぜ。これに関しては議論しても無駄だと思う。

 

69:名無し ID:GCM9eu3P7

さんせ~い。頭こんがらがってたし。

 

70:名無し ID:x7zJ3mWt3

なんだよいいところだったのに。

 

71:名無し ID:XlqYVv/Va

そもそもこのスレは【スマホロトム】について話すスレだから、あまり関係ない話は()そう。

 

72:名無し ID:Kchmc8fbe

いや今の話だってスマホロトムの持ち主について話してるじゃん。だったらスマホロトムと関係あるでしょ。

 

73:名無し ID:KETfJVitC

はいはい時間が無駄になるので戻りますね。じゃあ私から話題を一つ。皆さん【ポケモンショップ】をどう思っていますか?

 

74:名無し ID:l2cxIPI52

次はポケモンショップの話か。

 

75:名無し ID:SC0SnykGW

全然スマホロトムと関係ねぇやろ

 

76:名無し ID:YLhm5TMq2

いやスマホロトムが説明してたんだし十分関係あるだろ

 

77:名無し ID:wqR9uhg0+

いいからさっさと話進めるで。と言ってもほとんどの人間は話についてこれないでしょうけど。

 

78:名無し ID:ES32+369M

>>77 どういうことや?

 

79:名無し ID:L1g+Rxfdi

今現在ポケモンショップとそのアプリが使用可能なのは北海道札幌市中央区の人間だけなんだろ?だからこのスレにそこに住んでいる人間がいれば中心になって話を進めてほしい。

 

80:名無し ID:8elGIgbxQ

そんな都合よくいるわけないでしょ。

 

81:名無しの中央区住み ID:37k3rIPZm

いますよ?

 

82:名無し ID:VkXNsRYXE

いたッ!?

 

83:名無し ID:g7bxCvACI

まぁ世界的に注目されてるもんな、一人いても不思議じゃないか

 

84:名無しの中央区住み ID:37k3rIPZm

それでポケモンショップの話でしたよね。結論から言うと怖くて使ってません

 

85:名無し ID:geJpDtRcl

詰んだッ!はいこの話終了ッ!

 

86:名無し ID:DKuMBKQmQ

使ってないのになんで名乗り出たし

 

87:名無しの中央区住み ID:37k3rIPZm

いやだっているかって聞かれたから…

 

88:名無し ID:Hq36QSx4b

我々はポケモンショップがどのような役割を果たすのかを知りたいんだッ!

 

89:名無し ID:GNTAgMIhK

使ってないのにしゃしゃり出てくるなッ!

 

90:名無し ID:OM8HTgWkP

いや待て、まだ希望はあるぞッ!確かポケモンショップには“全国ポケモン図鑑”なるものがあったはずッ!

 

91:名無し ID:q9EEGHO5a

そうか!確かロトムは479番目の種族だから、それを使えば未確認生物の情報を網羅できるのでは!?

 

92:名無しの中央区住み ID:37k3rIPZm

それなんですけどね、ポケモン図鑑は『随時更新型』らしいんです。

 

93:名無し ID:uX9RBbOSY

なんぞやそれ?

 

94:名無しの中央区住み ID:37k3rIPZm

なんでも写真を撮って保存することで内容がアップデートされていく感じらしいです。

 

95:名無し ID:bPxc9MOSa

じゃあなにか?自分の足でデータ集めなきゃいけない感じなの?めんどくさッ

 

96:名無しの中央区住み ID:37k3rIPZm

いえ、いろいろ調べてみたら、写真だったらなんでもいい感じなので、ネットで拾った写真でも大丈夫そうです。

 

97:名無し ID:BOgvSF9bo

普通に使えるじゃんッ!じゃあ早速調べてほしいッ!ネットで見つけた写真送るからさッ!

 

98:名無し ID:MMnXo1c4u

いやそんなネットで拾ったものよりも誰もが気になっているのがあるだろ。

 

99:名無し ID:jo1GhFBZR

そうそう。あの紫色の未確認生物だよ。アレのこと調べてくんない?

 

100:名無し ID:3Q3aszvrJ

あ、確かに。気になる~

 

101:名無しの中央区住み ID:37k3rIPZm

分かりました。ちょっと抜けますね。

 

102:名無し ID:0aPB/L4sg

わくわく

 

103:名無し ID:vPpVuBYWg

ワクワク

 

104:名無し ID:3bUpDs9kN

WKWK

 

105:名無し ID:kgA5TtSy4

わクわク…

 

106:名無し ID:REO26sk+Y

ワくワく…

 

107:名無し ID:AOKvKO7nB

ワクワク

 

108:名無し ID:WPbKhelEm

クワクワッ!!

 

109:名無し ID:koVxLCETr

いやそれ違う。

 

110:名無しの中央区住み ID:37k3rIPZm

お待たせしました。

 

111:名無し ID:3IYON2k6M

おっ、待ってましたッ!

 

112:名無し ID:jPD+IBUrG

早く早く!

 

113:名無しの中央区住み ID:37k3rIPZm

ネットの写真拾って調べてみたら見事に情報出てきました。掲載します。

説明文はたくさんあったので、一部抜粋しました。

 

№0049 ゲンガー シャドーポケモン

 

シンオウ地方

物陰に 姿を 隠す。ゲンガーの 潜んでいる 部屋は 温度が 5度 下がるといわれる。

部屋の 隅に できた 暗がりで 命を 奪う タイミングを ひっそりと うかがっている

アローラ地方

突然 寒気に 襲われたら ゲンガーに 狙われた 証拠。 逃げる術は ないので 諦めろ。

人間の 命を 狙うのは ゲンガーは 人の 成れの果てで 道連れを つくるためらしい。

パルデア地方

命を 奪おうと 決めた 獲物の 影に 潜り込み じっと チャンスを 狙ってる。

夜中 人の 影に 潜り込み 少しずつ 体温を 奪う。 狙われると 寒気が 止まらない。

 

こんなん出ました。

 

114:名無し ID:bqkSQw+WB

こっわッ!!いや普通に、こっわッ!

 

115:名無し ID:qsIaKhqtI

命狙うとかヤバすぎでしょ。しかも諦めろって絶望だろ。

 

116:名無し ID:s5jM52Veq

とんでもなさすぎる。ていうか人間の成れの果てッ!?

 

117:名無し ID:Mq9x6xc/E

しかも影に潜り込むって…あり得ない。

 

118:名無し ID:7qlnSfL1G

でも映像を見る限り、そうだと思えばいろいろ辻褄は合う。

 

119:名無し ID:yJATPQrSm

ってことはつまり、スマホロトムは元々狙われていたとか?

 

120:名無し ID:4Pg47n2xp

やっばッ!じゃあもう生きてないかもしれないってことじゃんッ!

 

121:名無し ID:RVjU7grIC

そういえば、ちょっと肌寒いような…?

 

122:名無し ID:me8j92TxQ

やめろよ、怖くなってくるだろ!?

 

123:名無し ID:HQL3kEKM+

洒落にならないからマジでやめろ。

 

124:名無し ID:rk0gUtF6u

お終いにしましょう!この話!

 

125:名無し ID:PnY4XwqNv

おうそうだな。ていうかこのスレ続けてたら呪われそう

 

126:名無し ID:iTHzSoWgK

いやでも気になることあるよ。シンオウとかアローラとかパルデアってなに?

 

127:名無し ID:8SHLmFVzR

知るかッ!怖いから解散!解散ッ!

 

128:名無し ID:dxoZveXe4

さよならッ!

 

 

 

 

* * * * * * * *

 

 

 

 

 

 日本国総理官邸会議室。そこには総理大臣を含めた大勢の人間が一つの大きなテーブルを囲んで座っていた。座っている人間は全てが大臣や官房長官などの役職の高い人間。一般人が普通に生活して生で見ることができないような人間ばかりだ。

 そして一番前に座っている男――総理大臣が口を開く。

 

 

「では…まず最初に環境大臣。報告をお願いします」

 

「はい。これは、命令された森や山などの未確認生物の状況や生態に関する報告書です。各地から情報が入ってきており、纏めるのに時間がかかっているため、現在の時点で分かっていることを読み上げます」

 

「構いません」

 

「では読み上げます。森や山などには、既存の虫によく似た多数発見されています。お手元にある資料をお読みください」

 

 

 環境大臣が読み上げ、全員が手元の資料をめくり、そこのある写真を見て驚愕した。写っていたのは二枚の写真。緑色の芋虫のような生物(キャタピー)と、赤い色をした毛虫のような生物(ケムッソ)だ。だがそれは明らかに既存のものより大きい。

 

 

「報告によると、この虫たちはかなり大人しいようで、近づいても攻撃などは特にしてこなかったようです。そのおかげで、ある程度のデータも取れました」

 

 

 写真の横にある文字。ある程度とは言っているが、実査はどれほど大きいのかという数字が書いてあるだけだ。だがその数字の大きさを見て再び驚く。

 

 

「芋虫、毛虫ともに30センチと言う既存のものとは異なる大きさです。もしこの虫たちが蝶と同じ生態を持っているとしたら、成虫になればどれほど大きくなるかは予測が尽きません」

 

「そうか…」

 

「次に、こちらをご覧ください」

 

 

 ページをめくると、複数の未確認生物たちが一枚の写真に収められているパターン、同じ生物を複数体一名の写真に収めたもの、一匹一匹を取っている写真があった。この中から、同じ種類が複数取られている写真と、一匹だけが取られている写真を見る。

 左のページにはコオロギのような見た目をした小さな生物(コロボーシ)、この生物が成長し髭が生え、ナイフのような手を持った生物(コトロック)、青い羽根にトサカが音符のような形をしているインコ(ペラップ)、小さな手足に後頭部に太い鈴紐をつけた丸い鈴の形の生物(リーシャン)、風鈴のような見た目をした生物(チリーン)、パイプ状の器官が全身にある、厳つい怪獣チック生物(バクオング)、青い体に体と羽が綿に覆われている鳥のような生物(チルタリス)が移っている。

 右のページには両手に薔薇を咲かせている生物(ロゼリア)、その生物が成長した姿なのか、白薔薇の頭を持ち、眼元が怪盗のようなマスクで覆われている生物(ロズレイド)、ドレスを纏ったロングヘアーの令嬢の如き可憐な姿を持ち、頭に大きな花が乗っている生物(ドレディア)、メキシカンポンチョのようなもので全身が覆われ、頭にハスを乗っけたような生物(ルンパッパ)、頭の横にハイビスカスのような花飾りをつけ、フラダンサーのような風貌の生物(キレイハナ)が写っている。

 

 

「こんなにも…」

 

「なんという恐ろしい姿だ…」

 

「こんな生物たち、今まで見たことがない…」

 

 

 大量に写し出されている未確認生物を見て、それぞれが感想を口にし、ある者は開いた口がふさがらなかった。特に巨体であるコトロックやバクオングなどに恐れを抱いている人物もいる。

 

 

「それで、この未確認生物たちがどうしたのかね?」

 

「結論から言いますと…なんでも…このページに移っている未確認生物たちは、音楽パーティーをしていたようです…」

 

「音楽パーティー!?」

 

 

 総理大臣の大声とともに、全員が騒ぎ始める。あまりにも予想斜め上な回答に、困惑が押し寄せてきたのだ。この場を鎮めるため、総理大臣は「オッホンッ!」と大きな声を上げ、辺りを沈ませる。

 

 

「そ、その根拠は?」

 

「報告書によると、当時キャンプ中だった女子大生三人が音楽が鳴っているのを疑問に思い確認してみたところ、この未確認生物たちが音楽を奏でていたようです。そして、見たことない生物だったため、写真を撮っていたようですが、シャッター音で気づかれ、そのまま――」

 

「どうなったのだ!?まさか――!?」

 

 

 死んだのでは。そう思ったが、その予想は大きく外れることとなった。

 

 

「音楽パーティー兼ダンスパーティーに強制参加させられたそうです」

 

「はぁ?」

 

 

 再び出た腑抜けた声。無理もない。何か危害が加えられていたと思ったらまさかのパーティーへの強制参加。危害と言えば無理やり参加させられたことだが、正直言って危害と言っていいのか不明だ。

 環境大臣はそのまま話を進める。

 

 

「そのまま1時間ほどパーティーに付き合わされたそうです。その時に、現在報告に上がっている“謎の木の実”を食べさせられたそうなのですが…」

 

「木の実だと!?」

 

 

 声を上げたのは【農林水産大臣】だ。農林水産省は食料の安定供給、農林水産業の発展、森林保全、水産資源の管理等などを行っている部署だ。その役職上、“謎の木の実”に関する報告は上がってきていた。

 

 

「えぇはい。彼らは最初抵抗があったそうですが、未確認生物たちがおいしそうに食べているのを見て、食べたそうです。味は、辛かったり、酸っぱかったり、甘かったり、渋かったり、苦かったり、様々だったようです」

 

「その者たちに、異常などはありませんか?」

 

「既に医療機関に依頼し、検査を受けています。しかし、特に今のところ変わった変化は見受けられません」

 

「そうですか…」

 

 

 農林水産大臣はゆっくりと席に座る。

 

 

「それで、結局そのあとどうなったのですか?」

 

「はい。そのパーティーは、なんの問題もなく進んだようでした。実際の映像もあります」

 

「こちらをご覧ください」

 

 

 官房長官がモニターを操作し、スクリーンに画面を投影する。

 場所は森の中、そこには演奏をする生物たちが、踊りをする生物を中心にして囲んでおり、音楽パーティー兼ダンスパーティーと言う理由がよく分かる映像だった。資料の左ページに写っている生物が演奏をしており、右ページに写っている生物が踊りを踊っていた。指揮者ともボーカルともとれる綿鳥(チルタリス)は歌手顔負けの歌を歌い木琴(コロボーシ)、バイオリン(コトロック)、メトロノーム(ペラップ)、鈴(リーシャン・チリーン)、笛(バクオング)が綺麗な旋律を奏でていた。

 そしてその中心で踊っているロゼリア、ロズレイド、ドレディア、、キレイハナが大人しく、華聯(かれん)瀟洒(しょうしゃ)なダンスを踊り、ルンパッパが愉快そうにダンスを踊っていた。

 そしてその周りでは、小型の生物たちが複数、楽しそうに聴いて観ていた。カメラの周りにちょくちょく、撮影者以外の女性二人がチラチラと移ったりしていた。その女性たちの膝には小型の生物たちがちょこんと座っていた。

 

 

「これは…なんというか…」

 

「普通に楽しそう、ですね…」

 

 

 これを見たものは疑問に思う。この生物たちは本当に危険なのだろうか。怪我を負ったという報告は上がって入るが、これだけ見ているとどうもそんな風には思えなかった。

 しかし、環境大臣の次の言葉で気を引き締めることとなった。

 

 

「しかし、問題はこの後なんです」

 

「と、言うと?」

 

「映像を早送りします」

 

 

 官房長官がリモコンを操作し、早送りする。そしてある場面で早送りをやめ、通常再生に戻した。

 その画面は先ほどとは変わらず、ただただ美しい音が聞こえてくるだけだったが、それは数秒もすれば変わった。突如、「ズンッ、ズンッ」と、何かが歩いてくる音が画面越しに聞こえた。その音に、演奏と踊りが止まり、全員の視線がそこに向かった。

 

 森の奥から、巨体が向かってくる。それも二つ。それは大きな熊(リングマ)だった。胸の部分に丸い輪の形の模様があり、その眼光は凶悪だ。爪もとても鋭く、進行に邪魔な木々をその爪でまるで豆腐のように切り裂き、道を広げていた。

 

 

『ヒッ…』

 

 

 画面の中で女性が小さな悲鳴を上げる。音楽を楽しんでいたら、突如巨大な熊に遭遇したのだ。無理もない。二体のリングマは近づいてきて、彼らを見渡す。そして二匹とも、一つに視線が集中していた。カメラがその視線の先を映すと、そこには一人の女性が。そしてその女性の膝には、薄茶色の子熊(ヒメグマ)が乗っかっていた。

 それを見た瞬間、二匹のリングマが咆哮を上げた。

 

 

『『グォオオオオオオオオオッ!!』』

 

 

 そのまま一体の凶爪(キョウソウ)(きりさく)が、ヒメグマを持っている女性を襲った。しかし、その横からルンパッパが飛び蹴りを放ち、リングマの顔に直撃し木々をなぎ倒しながら飛ばされていき、倒された木々がストッパーになり、途中で止まる。

 

 

『ルンパッ!!』

 

 

 明らかに人間の言葉ではない鳴き声。しかし怒っている、と言うことだけははっきり理解できた。もう一体がさらに咆哮し、ルンパッパに向けて蹴り(10まんばりき)を放った。だが、それも画面横から放たれた複数の緑色のエネルギー弾(エナジーボール)が大熊に直撃し、土煙を上げながら地面に倒れる。カメラが移動すると、そこにはドレディア、ロゼリア、ロズレイドが佇んでいた。

 ロゼリアがそのままリングマに近づき、エナジーボールを当てたリングマに黄色い粉(しびれごな)を嗅がせ、動けなくする。

 次にロズレイドが先ほどルンパッパが吹き飛ばしたリングマに近づこうと動くが、

 

 

『グマァアアアアアアッ!!!』

 

 

 ここでまさかの復活。あの程度で倒れるリングマではなかった。リングマはその巨体には似合わないスピードで接近し、近づいてきたロズレイドに対し拳(アームハンマー)を放った。

 が、ここでリングマは異変に気付いた――と言うのも遅すぎた。リングマが技を中断しその方向を見る。カメラもそちらに向かった。

 そこにはコトロックが6枚の翅を大きく羽ばたかせ、バクオング、チルタリスが口を大きく開け可視化できるほどの巨大なエネルギーを蓄えていた。そのままむしのさざめき、ソーラービーム、りゅうのいぶきがリングマに直撃し、木々をなぎ倒しながらリングマは倒れた。

 二匹のリングマが倒れると、女性からヒメグマが離れ、リングマたちのことを心配そうにしながら、涙を流して泣いていた。その後小型の生物たちがリングマたちに近づき、木の実を食べさせていた。

 

 あまりにも突然の出来事に固まっていると、

 

 

『ディア』

 

 

 撮影者たちにドレディアが近づいてきた。ドレディアの手には葉っぱで出来たカゴたあり、そこには大量の木の実が敷き詰められていた。ドレディアは撮影者ではない女性にそのカゴを渡し、一礼をする。令嬢のような見た目をしたその生物からの一礼は、優雅さすら感じられた。

 ここで、官房長官が映像を止めた。

 

 

「御覧いただきましたでしょうか」

 

「「「「「――――」」」」」

 

 

 ここにいる全員、開いた口が塞がらなかった。あまりにも衝撃的な映像に、全員が言葉を失っていた。未確認生物から放たれたであろう大熊を倒すほどの強大な攻撃。もしあれが自分たちに向けられでもしたらと思うと、恐怖すら思えてくる。

 

 

「こちらで検証した結果、あの大熊と小熊は親子の可能性があり、大熊は子供が人間に攫われたと思い攻撃に至った――と思われています」

 

「そうか…。しかし、あの攻撃の威力、恐ろしいにも程がある」

 

「明らかに既存のものとは思えません。調査をするにしても、この生物たちと交戦する可能性を考えると、生半可な装備では、危険が伴います」

 

 

 甘く見ていた。先ほどまでは、自衛隊に銃を持たせて調査をさせるつもりでいた。だが、今の映像を見てそんなのでは駄目だと自覚させられた。

 

 

「幸い、彼らのほとんどが温厚だったようで撮影者たちは生きて帰ってくることが出来ましたが、もしこれが狂暴な生物たちだったら、結果は変わっていたでしょう」

 

「――そうですね」

 

 

 本当に紙一重で、撮影者たちは運が良かった。もしこの生物たちが危険な思考を持っていたら?もし最初に出会ったのがあの大熊だったら?その可能性一つだけで、撮影者たちの運命は変わっていた。

 

 

「この映像だけでも、様々な種類の未確認生物が確認できます。北海道札幌市に現れた、【スマホロトム】の(げん)は、正しいのかもしれません」

 

「「「「「――――」」」」」

 

 

 その言葉で、再び会議室が沈黙する。突如として現れたポケモンショップ。そしてそれを説明したスマホロトム。自分たちの種族が479番目と言う言葉は、真実味を帯びてきた。あとこんなものが少なくとも478種類は存在していると思うと、頭が痛くなってきていた。

 

 

「他にも映像データはありますが、全てを話すと時間が押してしまうため、ここで一旦中断してもよろしいでしょうか?」

 

「構いません。次をお願いします」

 

「では次は私が」

 

 

 環境大臣が座り、次に立ったのは農林水産大臣だ。

 

 

「私からの報告は、川や海に関する未確認生物と、謎の木の実に関することで――」

 

 

 

 

 

 

キィィ…

 

 

 

 

 

 農林水産大臣が喋りだした直後、会議室の扉が開いた。その音に全員が扉に集中していた。扉が開けられて、その来訪者の姿が確認できた。

 黒色の薄いフード付きコートを深く被り、白い無地の長袖Tシャツに黒い長ズボンをはき、両手には黒い手袋をつけ、“のろいぎつねの面”を被った謎の人物が、佇んでいた。その人物は片手に黒いアタッシュケースを持っており、いかにも不審者。怪しんでくださいと言わんばかりの風貌をしていた。

 その不審者の入場に、会議室の人間は一気に警戒を示した。

 

 

「……誰だね、君は。ここは総理官邸。監視カメラや見張りも護衛もいたはず…。彼らをどうした」

 

『ご安心ください。彼らには何もしていません。私は、彼らの目に触れることなく、ここに来ました』

 

 

 聞こえてきたのはぼかされた機械音声だった。男か女かも分からない、そんな不気味な機械音声。

 

 

「護衛や見張り、監視カメラの目を盗んで…?そんなことは不可能だッ!」

 

『えぇ。確かに私の力ではそんなことは不可能だ。だが、私には“彼ら”がいる』

 

「彼ら…?――ッ!」

 

 

 謎の人物の言葉を不思議がっていると、謎の人物の隣に、謎の生物が現れた。その生物は、明らかに人間ではなかった。否、人型ではあるが、大きく違う。無地の白い体色、3本しかない指、存在感を持つ尻尾、角のようにも見える頭の突起など、人間とは思えない部位がある。その生物は、彼らが今話している議題である、“未確認生物”だった。

 

 

「未確認…生物…ッ!?」

 

『……私を、そのような曖昧な表現で呼ぶのはやめろ』

 

「しゃべ――ッ!?」

 

 

 謎の未確認生物が、喋った。今まで未確認生物は鳴き声を発するだけで、言葉を話すものなど報告されなかった。そもそも動物は喋らない。だからこそ、無意識下で喋る者はいないと思い込んでいた。だが今目の前に、人間の言葉を喋る未確認生物が現れた。いや、これは喋ったというより、まるで頭に直接語り掛けてくるような感覚だ。

 しかも、その生物は今にも殺さんとばかりの眼付でこの会議室の人間を睨みつけている。その鋭い眼光に、呼吸が荒い者まで出てきていた。

 

 

『殺気出てるぞ。気持ちは分からなくはないが抑えろ。俺たちは戦いに来たんじゃない。話をしに来たんだ』

 

『……そうだったな』

 

 

 未確認生物がそっぽを向くと同時に、殺意から開放される。多くの者が息を切らしながら酸素を求めている中、謎の人物は話を続けた。

 

 

『私の連れが、大変失礼なことを致しました。代わりに私が謝罪をします。申し訳ありません』

 

 

 謎の人物は大きく頭を下げ、3秒ほどで頭を上げる。

 

 

「君は…何者だ?何故ここへ来た?」

 

『言ったでしょう。話をしに来たと。内容は…今世界中で起きている、あなた方が未確認生物と呼んでいる生き物――“ポケットモンスター”について』

 

「ポケットモンスター…?」

 

 

 謎の人物と未確認生物は会議室に入室し、扉を閉める。逃げ道を塞がれた。退路はない。

 それと同時に聞きなれない言葉に、困惑する。しかしどこかで聞いたことがある言葉だ。そう、そうだ。思い出した。スマホロトムが最後に言っていた言葉だ。総理大臣は思い出す。スマホロトムの話の最後に、「ボクたちポケットモンスター、略してポケモンは…」と言う言葉を話していたのを。

 ポケモンショップなどの話やその後に出てきた紫色の未確認生物、そしてスマホロトムの持ち主について考えていたことで、すっかり頭から抜け落ちていた。

 

 

『ポケットモンスター…略してポケモン。あなた方が未確認生物と呼ぶ生物たちの名称です』

 

「では…君は何者だ?」

 

 

 重苦しい言葉で、問いただす。まず間違いなく只者ではないだろう。未確認生物を従え、総理官邸に侵入し、あまつさえこのメンバーの前で堂々とした立ち振る舞い、普通の人間にできることではない。それに今目の前にいる未確認生物――ポケモンは人間の言葉を解していることから、ポケモンの中でもかなり特別な存在だと予想できる。そしてそんな存在を従えている目の前の人間は一体何者なのだろうか。

 

 

『そうですね…。まずは名乗りましょう』

 

 

 アタッシュケースを地面に置き、両手を広げ、大胆に言い放つ。

 

 

『自己紹介をします。私はトレーナーナンバー2番。世界で2番目にポケモンを捕まえ、トレーナーになった存在であり、【ポケモンショップ 代表取締役社長】です』

 

『そして、その持ち主の付き添い、スマホロトムだッ!ロト!!』

 

『――――』

 

 

 謎の人物の自己紹介と共に、コートの中から出てきたオレンジ色のスマホ――スマホロトム。そして人型のポケモン。今この場は、彼らによって支配された。

 謎の人物――トレーナーナンバー2番にして、ポケモンショップの運営を担っている人物。たったそれだけの言葉で、会議室は更なる緊張で包まれた。

 

 

『さぁ…まずはなにから話しましょう?』

 

 

 

 




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