【本編完結】ジョジョの奇妙な冒険RTA 三部主人公チーム全員生存チャート【参考記録】 作:Damned
投稿しないと、自転車を三輪車にすり替えるって言われたので投稿します。
鴉のような艶やかな黒髪に、朝焼けにも似た瞳。肌は抜けるように白く、髪とのコントラストが眩しかった。
どこにでも居る若い女性。とびきりの美人であることを除けばであるが。しかし、吉良吉影の視線は、下ろされた白い腕に向いていた。美術品的なバランスと健康さがギリギリのバランスで混ざりあった指先。切りそろえられた爪。今まで何十人と
見惚れたのはほんの一瞬だった。なぜなら彼女が吐いた言葉が自分を脅かすものであったから。
「そこのお兄さん。洒落たスーツね、ボタンが外れているのが残念だけれど」
滑らかなソプラノは特段害意を孕んだものではない。寧ろ平坦で、それが吉良の中で警戒心を抱かせる。
「……何か用かな、お嬢さん。私は急いでいるのだが」
「それは失礼したわ。手早く終わらせるから感謝しなさい、『杜王町に潜む殺人鬼』さん」
「……言っている意味が分からないな」
「惚けるのならそれはそれで。一部始終……とまでは言わなくとも、私は見ていたわよ」
深山燐音の全身から、闇より深い漆黒のオーラが溢れ出した。それはすぐさまカラスアゲハを形取り、数メートル先の吉良へと殺到した。
吉良にとって幸運だったのは──重ちーこと矢安宮重清が爆散する結末を見られていなかったこと。
吉良にとって不運だったのは──軽傷とはいえ流れる血と、『キラークイーン』の姿を見られたこと。
見敵必殺。敵を見たら必ず殺せという言葉がある。財団に属して比較的日の浅い深山であるが、己の戦い方を確立した彼女の主戦術だ。『アーテル・アストレア』は群体型であり、ペンの一本さえ動かせない非力なスタンドだ。敵が近距離パワー型である場合、ただの女性である深山に取れる対抗策などたかが知れている。故の先手必勝だ。それを完遂するだけのスピードを黒蝶は備えていた。
──カチリ、と何かのスイッチを押す音が、深山の耳に届いた直後、蝶の集団の三割ほどが爆散した。
「ぅ、く……」
漏れ出る声を唇を噛むことで耐えて、深山はスタンドの解明に思考のリソースを注ぐ。地面に転がったボタンが軽い音を立てて止まる。あれが能力の媒介であったことは確実。アストレアは爆発によって消滅した。馬鹿でもわかる能力の片鱗だ。あのボタンを介して『キラークイーン』なるスタンドは蝶の群体を爆殺せしめたのだ。
「美しい蝶だ……それが君の能力かな。綺麗な手を持つ君に相応しい」
余裕綽々とばかりに、吉良はそうアストレアを評した。
「気持ちの悪いことを言うのね、爆弾魔さん。杜王町のユナボマーとでも呼んであげましょうか」
腕を振るう。出せる蝶の数は、残り七百前後と余裕がある。特殊効果を持った鱗粉は、その一羽一羽の量は少なくとも、絶対的な数の有利によって効果を保証されているのだ。であらば全方位から畳み掛けるのが正解である。二百ほどの蝶の集団を嗾けた深山は、しかし油断なく吉良を見据えていた。
カチリと再び、無機質な音が耳に届く。再び正面に爆風が──違和感。深山の鋭い思考が吉良の行動に疑問を生じさせる。
アストレアを爆破したにしては、一度目より火力が弱く、現に巻き込まれたのは向けた一割にも満たない。そこに気付いたときには、もう遅かった。
カタカタキャリキャリ……とキャタピラが回り部品同士が触れ合う音を、深山は耳にした。こっちを見ろ、という囁きが、足元から昇ってきて──
先より数段大きな爆発が、深山の左半身を襲った。直前に距離を取っていたのが幸いしたが、全身を覆った蝶の約半数が破壊される。群体型の利点として、ダメージのフィードバックが少ないという欠点があるが、それをして無視できる被弾ではなくなりつつあった。
「貴方……それも、能力の一つね」
戦車のような形をした、髑髏が特徴的な小型のビジョン。先程爆発したのは、それだ。
「聡明だね・・私の『恋人』にはぴったりだよ『シアーハートアタック』はキラークイーンの左手にある無敵のスタンドだ」
純粋に賞賛の意をもって、吉良はそう答えた。一方で、深山は心中穏やかではない。口内には血の味が広がっているし、全身どこもかしこも痛みがある。今はまだ立っていられるが、あと百も失えば気絶しこの男に殺されるだろう。
──十年も逃げおおせてきた殺人者を相手に、対策を練らず対面したのが間違い。
──結果を求めすぎた。
──私の『アーテル・アストレア』とは、決定的に相性が悪い。
──ならばこそ。
ここで死ぬ訳にはいかない。死んではいけない。情報を持ち帰り、確実な対策でもって財団に引き渡す。
覚悟を決めた深山の行動は迅速だった。八十羽の蝶に自爆に等しい特殊効果を持たせ、銀色の鱗粉を降らせる。再度、向かってきた『シアーハートアタック』を飛び退いて躱し──本物の爆弾のような音と爆炎が、
「何ッ……」
シアーハートアタックの爆発ではない──規模が、大きすぎる。周囲にあったブロック塀の一部が崩れてしまっていた。その正体を突き止める間もなく、深山が身を翻し、曲がり角の向こうへと消える。咄嗟に追いかけるが、その背中は遥か遠く、追いかけようにも見失ってしまうのは自明の理。煤や血で汚れた装いで追いかけては、余計な面倒が増える可能性もある。
何より──あの負傷では、意識を保つのさえ長くはない。
血痕は途中で服で巻いたのか途切れているが、その身体が大きな負傷をしていたのを吉良は見ていた。確実に死んでもらいたかった──あわよくば、その白く細い手を頂戴したかったが、仕方あるまい。
追いかけるか、見逃すか。
どちらを選んだとて、吉良に待ち受けるのは敗北であったが。
一方で、深山は走る。この時間であれば、彼はすぐ近くに居るはずだと知っているから。とめどなく流れる血液が、左腕の肘から先が吹き飛んだことを伝えていた。
発火性のある鱗粉──重傷覚悟で使用したのは、それだ。キラークイーンが爆破という能力から外れない以上、誘爆という事故からは逃れられない。ならば、その事故でもって少しでも報いればいい。そう考えての行動であった。
ぶどうヶ丘高校の校舎にたどり着いて、虹霓坂がいるであろう部屋の窓を叩く。一歩間違えれば、否間違えなくても不法進入だが、どうしようもあるまい。すぐに反応はあって、からりと窓が開いた。
「ン、誰──おい、深山っ。オマエ、その手……」
「金髪、身長百七十五センチ程度。手に異常な執着を持ってるおと……」
喋りながら、視界がぐるりと上向いたのを感じた。慌てて虹霓坂が引き寄せ、いっぱいに広がる彼の少女めいた顔貌が映ったあと、彼女の意識は途切れた。
虹霓坂が本にされちゃうRTA、はっじまっるよー!
前回は虹霓坂が
結果的に疑いは晴れましたが、露伴がやたらニヤニヤしてるし花京院は何かを噛み殺すような顔です。人の
>貴方の宣言通り、ぼくのスタンドで確認しましたよ。……勿論
>悪かったって。ンなツンケンした態度取らないでくれよ。だいたい、オマエがあの時仕掛けて来なきゃ──
>全く屈辱だよ……だが、彼のお陰でスタンド使いには先手で
>き、岸辺?
>いいえ、なんでもありませんよ。少し自省していただけです。
>露伴でも反省することあるんスね〜。もっとワガママな自分は正しい! ってタイプかと思ってた。
>貴様──
>待て待て待て、人を煽るなって東方。ンで、これからの指針、どうするよ。典明、空条。まずは二人に聞きて〜かな。
>……おれは、
>そうだね。ぼくはジョースターさんの事もあるし、あまりフットワークは軽くないけれど……同じように探してみるよ。
>あいわかった。じゃ、オレは学校での聞き込みを続けるぜ。……で、学生諸君。
やめとけやめとけ。キラークイーンに初見で対処するのは大人組以外じゃ無理ゾ。あいつは経験値稼ぎの付き合いが悪いんだ。
こうやって暗に『ぽまえら弱いからあんまり出過ぎないでね〜』って言っておくと、大体の場合は留まってくれます。今回は手がかりが多いこともあり、また虹霓坂が杜王町に住んでいるので、靴のムカデ屋にはすぐにたどり着くことでしょう。学生組の出番はありません。
と言いたいところですが、今回は特定の一人を連れていくつもりです。
>で、でも殺人鬼なんですよ!? 深山さんは強かったんでしょうっ? そんなあの人が負けるようなスタンド使いだったら──
>だからだよ、広瀬。こんな事を経験不足のキミ達に任せる訳にはいけね〜ンだ。
>ですからみんなで探せばっ、
>オレが教え子が傷付くのを黙ってられねぇんだよっ。これ以上出張ろうってンならオレも我慢ならね〜ンだけど一週間腹痛で欠席して貰うぞテメェ。
なんでこんなに信用ないんですかね? 虹霓坂が先生だからですか? 康一くんが義憤に駆られているのはいつもの事と言われればそうなんですが……。
めんどくせ(責任放棄)。承太郎何とかしてよ。お前が言ったら諦めてくれるからさ。
>悪いが、おれも同意見だ。今回、お前たちはむしろ、自分の身を守るためにスタンドを使うべきだ。間違っても、奴を探したり捕まえたりするんじゃあねえ。
>……分かり、ました。
>もーなんでこいつらはボクの言うこと聞かないのかねぇ……。東方、虹村弟、山岸。キミらも理解した?
おっ、同意したな? 同意したってことは逆らうことは許されないんだよ? ちゃんと学生生活送るんだよ?
それでは、同意も取れたことですし解散です。吉良吉影は俺らで探すから! ヨロシクゥ!
あっ、おい待てぃ(江戸っ子)。形兆兄貴にはちょっと用事があるゾ。
>……はい、何か?
お前を殺す(デデン!)
虹村形兆にとって、その男は誰よりも掴み所が無かった。
虹霓坂彩雲。ぶどうヶ丘高校の美術教師で、スタンド使い。天日干しされた洗濯物のようにカラリとしていて、感情が顔に出やすく嘘をつくのが下手──ここまでが、周囲の人間が知る彼だろう。
だが、形兆は少しだけ、その表層から少し奥を知っていた。
虹村形兆が『レッド・ホット・チリ・ペッパー』に殺されかけた時。
深山燐音が片腕を失って駆け込んできた時。
そして今も。
そんな男が、心底から他人を心配しているというのだから分からなかった。親友はともかく、愛した女でさえもその壁の向こうには入れないのに。
居心地悪くも、この街のスタンド使いが集った端に立ちながら考える形兆の肩を、虹霓坂が叩く。
「……はい、何か?」
ついよそよそしい言葉が出た。
「少し話したいことが。ウチに来てもらっても? 夜十二時に来る」
暗に、弟には聞かせられないことだと囁かれて、静かに頷く。件の『殺人鬼』に絡んだことか、それとも。心当たりが多すぎて見当がつかない形兆だったが、肯定以外の言葉は許されない。
じゃあ、まっすぐ帰るんだぞと学生たちに念押しをして、一行は解散することとなる。
──そして現在。自宅の前に止まった赤い車の奥から、『乗れ』と手招きをされている。
「……虹霓坂、先生」
「早く。スタンド使いには見つからなくても、人の目はある。グッドルッキングガイと逢い引きしてたなんてどういうことだ〜って言われたくなかったら、とっとと乗ンなさいな」
彼の言葉は正しい。愛嬌のある性格と中性的な顔立ちで、男女問わず虹霓坂のことを好ましく思う者は多い。校内で時折呼び出しを食らっている自分が、クラスメイトに質問攻めをされるくらいには。
プライベートでも付き合いがある教師と生徒など──翌日は虹霓坂が懲戒されていてもおかしくないな。形兆は失笑しかけて、慌てて車に乗った。シートベルトを着用したのを横目に、虹霓坂はアクセルを踏んだ。シートに身体が押し付けられて、心地の良い圧迫感がかかる。
「じゃあ本題に。形兆、今回の件に関して、キミの力を借りたい」
今回の件、というのが何を指しているのかはすぐに分かった。
杉本鈴美、矢安宮重清──そして深山燐音。表沙汰になっていないだけで、数え切れないほどの者を葬っている、殺人鬼。深山は唯一生還したが、左手を失う重傷である。
「……俺、は」
握った拳が震える。恐怖にではない。怒りにでもない。
「俺は、人殺しですよ。自分の目的のために手段を選ばなかった……奴と何も変わらない……!」
ずっと、罪悪感を抱いていた。
どこかで、生まれながらの悪なのではないかと思っていた。
父を殺してくれるスタンド使いを見つけるためだとか、目的のためなら手段を選んでいられなかったとか、そんなものは関係ない。
人殺しを是とする邪悪。根底から歪んだ悪。
そんな自分に、悪を裁くことなど許されるのだろうか。いいや、誰が許しても、自分が許さない。怒りと自責の念が溢れて毎晩、怨嗟の声を夢とともに聞いていた。
「そんな俺に、殺人鬼を裁く権利なんて、無いですよ」
虹霓坂には、掛ける言葉が見つけられなかった。
溜め込むよりはいい。吐き出さなければ、心の中に居着いて大きくなり、やがて制御できなくなるから。しかし──その先は、どうすればいいのか。
形兆が心の底へ押し込み、抑制していた感情を引き出すことはできた。拳を白くなるほど握りしめ、罪の意識に震える少年に、在り来りな慰めの言葉が届くとも思えない。
「……形兆」
虹霓坂にとっての形兆は、高校のいち生徒──それもほとんど絡みのない関係か、「ついでに命を助けた」程度のものでしかない。
「キミさ、ちょっと色々考えすぎなんだよ。イイ子でいようとし過ぎ」
口を開いてしまえば、自然と言葉が出た。
「形兆は確かに人を殺したぜ。ボクが把握してるだけでも、両手じゃあ足りない数の人間を矢で射抜いた。……なあ、それをボクに懺悔したとして、キミはどうするんだ?」
犯した罪は消えない。二度と、穏やかになることなどない関係。
「……それ、は」
「死に損ない、人殺し。オマエに幸せになる資格なんてない。そう言って欲しいんならいくらでも。けどな、オレは助けを求めることすら許されず、過ちを犯した子供を責めようなんて思わねえよ。それに
……オレが、形兆の親父さんを
DIOは信用出来ない者には肉の芽を埋め込み、忠誠を誓わせた。そしてDIOが死んだ結果、主のいない肉の芽は暴走した……父親を殺してようやく人生が始まる。形兆はそう考えてるんだろ。気持ちは分かるさ。オレはオレのご先祖と同じように、その身を正義のために投じる義務があると思ってるからな」
「虹霓坂さん、それは」
「オレは体質のお陰で、DIOに肉の芽を植え付けられなかった。だからこそ、自分の愚かしさが憎かったよ。アイツを殺して初めて、人生が終わるんじゃないかって……そう思ってた自分が馬鹿らしいぜ。悪に手を貸して、正義を害したオレの……ツェペリの血を受け継ぐこの身のや──」
「貴方は、俺とは違う……ッ」
虹霓坂がハンドルを握っていなければ、今にも胸ぐらを掴みそうな勢いで形兆が怒鳴った。
「俺は私欲のために何人もの命を奪った! スタンド使いになった人間なんてその半分にも及ばない、ただの人殺しだ! だが貴方は、人を助けるためのものだったんでしょうっ? 勝手に同情するな!」
「──ふ、」
「何がおかしいッ」
「キミは、悪に堕ちるには優しすぎるぜ」
ほとんど脊髄反射のような返答だ。苦笑とも聖人の微笑みとも取れる表情に、形兆の眉間が谷間を刻む。
「形兆。キミはボクの言葉を、信じたくなっちまったんじゃないのか? いや……ボクが父親を殺してくれると信じてるんだろう。だから考えてる。この先のことを、自分の罪の大きさを」
「あんたに──……あんたに、何が分かる!」
「戻れない、やり直せない、罪を犯したあとだから……本当にそうか? そんなことは無いはずだぜ」
「……なぜ」
押し潰したような問いだった。
「何故、俺を助けたんです。そして今も、どうして俺の事を気にかけるんですか」
「理由、理由ねぇ……」
信号待ちで緩やかに停車する。ハンドルをトントンと叩きながら考えた後、虹霓坂は答えた。
「大した理由じゃね〜な。敢えて言うなら……ウーン、何言ってもキレイゴトにしかならねぇや。自己満足ってヤツ?」
首を傾げる様子は、自分よりも年下にさえ見える不安定さを孕んでいて、形兆は虹霓坂を追い詰めているように感じてしまう。
追い詰められているのは自分のはず、なのに。
「……そんな理由で、俺を庇ったんですか」
「オマエは根っからの悪じゃあない。そんな子供を見逃せるほど、ボクも冷徹にはなれないってことだね」
「もしかしたら、命を失ったかもしれないのに?」
「ああ」虹霓坂は言った。「オレは死ねない」
死なない、ではなく死ねない。それが虹霓坂の贖いだから。
形兆にもそれを強いようとは思わない。これは虹霓坂の罪だから。
虹霓坂には虹霓坂の、形兆には形兆の償いの形がある。
「……俺には、貴方が分かりませんよ」
「そうかぁ? ここまで感情開けっ
「貴方、彼女のことが好きなんでしょう」
吐き出された言葉は、ナイフにも等しい鋭さを持っていた。
「違いますか」
虹霓坂の人好きのする表情が、一瞬ぶれた。古風な名前にそぐわぬ金緑色のはずの瞳が、遠い記憶で見た宝石の──ヘリオトロープのような暗さと、その奥にある赤い片鱗を見せたような気がした。
先刻、形兆が見せた激情とは違う。誰しもが抱える心の見てほしくない部分が、表面を削ぎ落とされて現れたような。
致命的に間違えた、と形兆は感じた。
たとえ彼が
「……虹霓坂さん」
過度の緊張感から、形兆は思わずそう絞り出した。
びくりと虹霓坂が肩を跳ねさせた。誰が見ても忘我の境地にあった。交通量が皆無に近いこの時間でなければ、事故を起こしていたのではないか。そう思えるほどの状態だった。
「……悪いが」
「……は、い」
「オレはただ、仲間を案じてるだけだぜ。確かに深山はオレに懐いてるが、兄貴分とでも思ってんだろ。たまにラジカルなじゃれ方をされるけどな」
「……すみません」
「いいぜ〜。それで、だ」
ドスン、と音がしそうなほど、声のトーンが落ちる。話を戻した彼の表情は、もはや幼気さを保ってはいなかった。
「深山をやった野郎を探すのを、手伝ってくれるのかどうか。親父さんの件は忘れな、自分がやりたいか否かで答えてくれればいい」
「それは」
「恩を売るつもりはねぇ。罪の大きさとか何とか語っておきながら、人を傷つける手伝いを頼んでるんだからな」
虹霓坂がそういう人間ではないことは分かっていた。あの時、まだ能力を顕にしていなかったレッド・ホット・チリ・ペッパーを前に立ちはだかった彼ならば、たとえ断ったとしても「そっか、正直に答えてくれてありがとな」と返して、きっと一人で捜索するのだ。
だからこそ。
「分かりました。協力します」
「形ちょ、」
「ただし、なぜ俺なのか。どう動くのか。すべて教えてください」
有無を言わさぬ言葉で、虹霓坂にそう求める。
今までの自分ならば、彼の頼みを蹴っていただろう。関係の無いことだと鼻で笑っていただろう。
罪悪感も後悔も、いまだ胸にある。
しかし同時に、もう間違えないという決意があった。
その決意を固めるように、形兆は膝に置いていた拳を握る手を、僅かに強めた。
虹霓坂のキャラデザどっちがいいですか?
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短髪でちゃんとスーツ
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髪の毛後ろで結んでパーカー