俺の名は
俺は今、バスに乗っている…地獄行きのバスへと。
事情はこうだ。
お兄ちゃん!これ、東京都高度育成高等学校のパンフレット!
小町はー、お兄ちゃんがここ入ってくれると嬉しいなー?一躍自慢のお兄ちゃんになっちゃう!小町的にポイントたっかーい♡
ええ、俺ここ入ったら3年間出てこれないんだけど?
ちょーっとそれはお兄ちゃん的に寂しいかなー、なんてさ。小町と離れるのやだな〜?大体、俺総武高校にでも行くつもりだったんだけどなー?
もう、めんどくさいなー。小町の誇れるお兄ちゃんにならなくていいの?そんなお兄ちゃんは嫌いだもーん。
ーー回想終わりーー
はぁ、めんどくせぇ……。第1小町と3年間会えないのが辛すぎる。
千葉の妹ってもっとこう、お兄ちゃんと離れるのはやだ、とか甘えてくるもんじゃねーの?
「席譲ってくれませんか…?おばあさんが辛そうなんです…。」
うわ、なんか出たよ。渦中にいるのは栗色の髪をした少女、それに足を組んだ金髪の男…めんどくさそ。
こういうの良心の押し売り、ってゆーの?
ここから立つのも目立っちまって気ー引けるし、かといって無視するってのも気が引ける…詰みじゃん、こんなの。
「どなたか譲ってくれる方いませんか…?」といった如何にも善人です、って顔をした少女と目が合うーーなんで目が合っちまったんだ、面倒臭せぇ。。...うさんくさ」
「ねえ、そこのお兄さん。席譲ってくれませんか?」
最初はちょっくら無視を決め込んでみると、きっと一瞬睨まれた。
うーわ怖ぇ。何とかの下さんにも相当するレベル。
ずっと睨まれてんだけど、うーわほんとこわい。
「お願いします♡」
「アッハイ…直ぐに退きます。」
「ありがとうございます!」
あー、ホント怖かった。そのままぶっ殺すぞ、みたいな目線を当てられ続けたら八幡何人居ても足りない。
あー、疲れた。ゆーっくり座れる様に早く出たのが仇と成したな。
座れるって思ったところから立ってると、余計キツイな…はぁ。
高度育成高等学校ー驚異の進学率・就学率100%を誇ると言われている高校だ…胡散臭すぎる
大体なんだ100%って、能力がないやつが望んだところで即クビじゃねーのか?プロ野球だろうと、サッカーだろうと。能力も実績もない選手が入った、だなんてなったらニュースになってるんだろうし、ネットでも今頃叩かれ放題だろ…やはり何かがおかしい。
「ねぇ、君。そう、君だよ?」
俺のことか?…いやまあ違うか。八幡黒歴史ノートに同じようなことがあったな…。
あれは中学一年だったある日、前の女の子がおはようと声をかけてくれたと思って、気兼ねなく返事をしたんだ。
そうするとどうだ?苦笑いをして、後ろの友達に駆け寄っていく…。ああ、辛…。
「ちょっと!なんで無視するの〜」と、今度は制服の袖をつままれた。
「あ、ああ。俺のことか…すまんな、ほかの奴かと思ってさ。」
正面からみるとこいつ美人だな…
「そんなことないよ〜、第1あたしもここにお友達いないと思うしさ〜?そんなことより、君の名前は?」
「比企谷八幡…だ。俺もここに友達居ないな。」
「何その自己紹介、ふふ。私は櫛田桔梗!第一お友達だね、比企谷くん。」
「お、おう…。宜しく、櫛田」…こいつめちゃくちゃ距離感近いな。
サラリと俺の隣に立ってるし、バスの中ってのもあるけど肩とか当たりそうな距離なんだが?
「うん、よろしくね〜?比企谷くん!それでさ
「っっ、いやー?そんなことないと思うんですけどねー。清楚で美人な櫛田さん」ーグリグリと足元を革靴で踏んでくる…痛い。。。
「その言い方絶対バカにしてるよね...はぁ...。」
「別に……。まあ承認欲求の権化、くらいにしか思ってねーって。」
「ふーん…誰かにバラしたらぶっ殺すから…。友達代金って事で、これからも色々愚痴とか聞きなさい」ーとドスの効いた声で耳元で囁いてきた。
こっっわ、ええ…なんで高校入るなりいきなりこんなことに巻き込まれてんだ…めんどっち。大体こんな半メンヘラ女みたいなのに絡まれてるんですかね」
「全部聞こえてるんですけど?返事はYESかはいしかないからね?」
「…へいへい。わーりやした。」
「よろしい。あ、着いたみたいだよ?一緒に行こっか、比企谷くん?」
「はいよ。」
こうして奇妙な女に絡まれつつ、高校生活一日目が始まったのであった。ーーやめていい?