楽園の塔を半壊させてからオレはローズマリー村跡地に小さな家を建てて暮らし始めた。
たった1年離れていただけで草木が生い茂っており、処理がだいぶ面倒だった。
今はダウルダブラの改良と
ダウルダブラは塔を半壊させた後、強制解除され、半分以上は壊れてしまった。それの修理及び改良を加え、今では難なく纏える様になっている。
賢者の石は所謂保険だ。コイツもファウストローブとして纏うことができ、ダウルダブラと違って聖遺物の欠片を使用しなくとも作れることが分かった。パヴァリアの三馬鹿と同じものを作らなくてはならないと思うと少し、いやかなり癪に障るが、この世界にはアイツらは存在しないので幾分かマシと言えるだろう。
エルザはあの後に
オレは軽装になり、近くの川へと向かった。
食料調達する為だ。
異空間から釣り竿を取り出して、針に餌を付ける。魚が居そうなところに投げて放置し、その間にどこかで拾った魔導書を読み始める。これがオレの魚釣りのルーティンだ。
最初の方は釣りなんてつまらないものだと思っていたがいざ釣れると嬉しい気分になる。オレはこんなにチョロかったのかと鬱になりそうになったがもう慣れた。今のオレは子供なのだ。
竿が揺れた。本を閉じ、ゆっくり竿を握る。
今魚が餌を突いている。飲み込むまで息を潜める。この駆け引きの瞬間が一番楽しいのだ。
竿がぐいっと曲がる。その瞬間竿をめいいっぱい引き上げると糸の先には食べごろサイズの魚が食いついていた。
「よしっ!」
オレは小さくガッツポーズをし、連れた魚を網に入れ、再度川に入れる。すぐに締めて異空間にぶち込んでもいいのだが、それはしない。
何故ならば一匹ずつ処理するのが面倒だからだ。何か問題あるだろうか。
そんなこんなで釣りと読書をしていたら日が暮れそうになっていた。
今日の釣果は虹鱒に似た魚7匹。3匹残してあとは干物にしてしまおう。
♪
ダウルダブラを纏って気がついたことがある。
それは通常運用であれば魔力が消費されないこと。
恐らくダウルダブラ自身が外部の魔素を集め、力に変えているのだろう。
ただ、魔力や想い出が使えないという訳ではないらしい。
自身の魔力を使用すると出力が大幅に上昇し、その上に想い出を焼却するとさらにパワーアップした。ちなみに想い出はコピーしまくったので記憶自体は消えていない。幼児の時にやらかしたことは焼却したいが...飲み込もう。
想い出を焼却しないで
前世の世界は想い出を焼却してあの出力だった。
今世では外部の魔素+自身の魔力で同じ出力、いやそれ以上の力が出ることが確認できた。
それでいくつかの山を消し飛ばした。周辺の人間に当たってなければいいのだが。
まぁダウルダブラは模造品とは言え本物と同じぐらい或いはそれ以上の代物になった訳だが。
ほぼ完成に近いが、もう少し高みを望めるだろう。
問題は賢者の石だ。コイツが難題だ。
シンフォギアシステムやダウルダブラのファウストローブと違い、元となる聖遺物がない分手探りで作り上げなくてはならない。
塊にしようとしても力が暴走して爆発するわ、塊になったと思ったら力がないただの石ころになったりと何故か上手くいかない。ここにエルフナインがいれば少しは進展があるのかもしれない。
「うーむ...難しいな。気分転換に外に出るか」
ポールハンガーに掛かっている三角帽を深く被り、ローブを纏い、家を出る。ちなみに下に来ている服はサロペットだ。丈夫な上着やすい。ただそれだけで着ている。一応ドレスもあるが着る機会が無さすぎて収納に眠っている状態だ。
ローズマリー村の周辺を散策していると、山菜や果物が目についた。少し摘んでいこう。
キノコ類も確認できるが、老菌ばかりでとる気が起きなかった。
「これはいい鮮度だ。貰っていこう」
山菜を摘み、異空間へ放り込む。
周りを見てみると鹿のような四足歩行の動物や、鳥たちが静かに暮らしている姿があった。
このような生活も悪くない。所謂スローライフと言うものだろう。
ある程度山菜などを取り終えて気分転換を終えたので帰ろうとする。
その瞬間、森が騒めき始めた。
動物たちが一斉に逃げる。なにか良からぬものでも感じ取ったのだろうか。
「熊でも現れたのだろう。一応急いで帰るとするか...ッ!?」
独り言を呟いてからすぐに気がついた。
数メートル先以降の草木が枯れている。つい先ほどまで雑草を口にしていた動物が倒れている。
その朽ちた先から黒髪の少年が現れた。
咄嗟に防御術式を発動し、障壁を張る。念の為ダウルダブラを出せるように異空間を開いた。
「呪いを撒き散らしながら何のようだ。今すぐ回れ右して消え失せろ」
「よくこれが呪いだと分かったね」
驚いた表情を見せながら少年はその場に止まった。
「そうさ。僕は呪われている。命を冒涜したせいで神から呪いを受けてしまったのさ」
「黒魔道士ゼレフ...」
「な、何故僕のことを...?」
「拾った魔導書で知った」
そう言って異空間から一冊の魔導書を取り出す。
「これはお前が書いた魔導書の筈だ。内容は道具に悪魔の魂を宿らせる内容だった。恐らく貴様は死ぬことを許さないのだろう。だから悪魔に殺してもらおうと考えこの本を作った。...あまり意味がなかったようだがな」
魔導書の最後のページにゼレフと書いてあった。本自体は日記だったが、魔力をある程度込めると悪魔召喚の魔法陣に変わった。
日記の内容は死にたいけど死ねない、でも周りに死を与えてしまう、と言うものだった。
「凄いね君は。その通りさ、僕は自分で死ねない。だから僕を殺してくれる人を探していた。でも一向に現れないんだ」
「だったらオレが引導を与えてやろう」
「え?」
異空間からダウルダブラを取り出し、弦を全て弾き、纏う。
ゼレフに鋼糸魔弦を巻き付けた後に術式で囲った。
「貴様は死ねない。確かそう言ったな」
「だけどここまでしろとは...」
「ならば微分子レベルで分解してしまえばいい。幸い、オレは人間の構造を完全に理解している」
「その知識を応用して術式を発動すれば分解できる筈だ」
「本当にできるのかな」
「さあな、やってみなければ分からない。実験とは、研究とはそういうものだ」
背中の竪琴が限界まで開き、鋼糸魔弦が震え始め、地面を焦がし始める。
外部の魔力だけではなくオレ自身の魔力もダウルダブラに注ぐ。
「ではいくぞ!四大元素!!!!!」
術式から炎、水、風、土属性の光線がゼレフを襲う。その瞬間、目の前で爆発が起きた。衝撃を防御術式で防ぐ。
土煙が晴れ、ゼレフがいたところを見ると、草木は綺麗に無くなっていたが、ゼレフ本人は少し服が分解されただけで、なんともなかった。
「チッ...予想していたが駄目だったか」
オレの錬金術が無効化された。
どちらかと言えば錬金術が死んだと言えばいいか。オレが放つ錬金術は4つの元素、炎、水、風、土で構成されている。全てこの地上にある生命の源と言えるものだ。
そして相手は生命を殺す能力。つまるところ相手にするには不利な訳だ。
「君の力でも駄目だったんだね。今まであった人の中でもかなり強い魔導士だよ」
「それはどうも、と言いたいところだが」
「うん。僕はもう帰るよ。これ以上ここにいると君まで死んでしまう。僕の為にここまでしてくれた恩人を殺したくはない」
そう言ってゼレフは朽ちた森の中に消えていった。
オレはその場で崩れ落ちた。
なんなんだアイツは!この世界にはアイツみたいな神をも超えた存在がいると言うのか!
生まれてこの方云十年、ヤバいところに来てしまったようだ。
家に帰ってベッドにダイブした後考えるのを辞めた。
感想が欲しい(切実)
キャロルでも倒せないってなんやあいつ!チートやチート!
まぁそう設定したの私なんですけども。
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