遺跡地下を目指すオレとエルフナインとルーシィ。道中ルーシィの話を聞くと
ルーシィの使う魔法は精霊魔法と呼ばれるもので、精霊界から鍵を通して精霊を召喚する魔法だった。小さい雪だるまみたいな生物を召喚していたのでそうなのだろう。
遺跡に近づくにつれて、冷んやりとした空気が漂う。蔦や雑草が凍りついて、触ると粉々になった。
「グレイの魔法ね」
ルーシィがそう呟く。黒髪の青年、グレイは氷魔法を使うらしい。寒さにも強いらしくて服を脱ぐ癖があるらしい。通りで半裸だった訳だ。
だれも突っ込まないのは言っても無駄だってことか...。
凍りついた草木を横目に歩いていると、遠くの方から複数の足音が聞こえ始めた。
エルフナインを背後にやり、戦闘体制を取る。
現れたのは黒装束を纏った者が複数人いた。
一瞬、楽園の塔の教団員かと思ったが、新しい組織でも建てたのだろうか。
「ちょっとキャロルさん囲まれてちゃったんですケド!?」
「うるさい揺さぶるな殺すぞ」
揺さぶってくるルーシィを引き剥がし、相手に目を向ける。剣や槍などの魔道具を所持しており、大したことない魔導士というのは分かった。
「人数が多いのが面倒だな」
「ボクも加勢します!」
「あ、あたしも!」
「いや、オレ1人で十分だ」
エルフナインを抱き寄せ、ルーシィを近くに寄せる。ジリジリと相手は近づいてくる。好都合だ。地面と空に半径3mぐらいの円状の術式を展開する。そこに小さい土の術式を貼り付ける様に地面に触れた。
次の瞬間、炸裂音と共に視界が白に染まった。
光が収まるとオレたちを中心に辺り一面が吹き飛んでいた。地面も下1mほど抉れている。
手加減したお陰か複数いた敵は骨は折れてるものの原型を留めていた。
「怪我ないかエルフナイン」
「大丈夫です。手加減してくれたんですね」
「あれで?あれで手加減なの!?」
「先を急ぐぞ」
オレが放った錬金術でいい感じに遺跡が壊れたのでそこから内部に向かった。
爆発の衝撃波で遺跡の床は崩れており、そこからは氷漬けにされたゴリラがいる場所の付近まで続いていた。
耳を澄ますと下の方で炎の燃える音や、何かが壊れる音が聞こえる。
「飛び降りるか」
風の術式を纏い、地下まで降りる。
エルフナインたちは置いてしまったが、なにやら胸騒ぎがする。
悪い予想は当たっていたようで、ゴリラ___たしかデリオラと言ったか。ソイツを封印していた氷が溶け出していた。
駆け足でデリオラのいたところに向かうと、ナツ、グレイ、銀髪の半裸男に水晶を弄ってる老人がいた。封印されているデリオラを見やる。
そこには紫色の魔法陣が描かれており、恐らくこれがデリオラの封印を解こうとしているのだろう。
オレは小さな術式を口元に展開し、喋り始める。
「エルフナイン。この遺跡の頂上に封印を解く術式が発動している。それを阻止しろ」
『分かりました。キャロルは?』
「なに、少し怪獣退治をするだけだ」
鼻で笑い、エルフナインとの会話を切る。そして氷漬けにされたデリオラを睨みつけ、異空間からダウルダブラを取り出す。
さっきから視界にちらちら映る水晶玉が目障りだ。老人に向けて土の術式を展開する。
しかし、その老人が放った魔法が土の術式をかき消してしまった。かき消したと言うよりは、時を戻したかの様に感じた。
「
「よくこれが
「だがオレの敵ではない。精々防いで見るんだな雑魚が」
4つの術式が老人を囲む。老人は慌てて魔法を発動しようとするが、そうはさせない。
「
小さく呟くと、術式から4属性のエネルギー波が老人を包んだ。まともに四大元素を受けた老人は溶けた水の中に沈んでいった。
『キャロル!』
エルフナインから念話が届いた。
「どうした」
『遺跡の頂上にこの魔法を発動している術者を倒しにいったのですが、エルザさんが倒してくれてて...』
「そうか」
『そしたらエルザさんが急に抱きしめてきて抜け出せない状態なんです!助けてください!』
「はぁ...」
『ちょっとキャロル!?早く助け...』
オレは呆れて念話を切る。
改めてデリオラに視線を向ける。するとデリオラ本体から眩い光が差し始め
「GYAOOOOOOOOO!!!!!!!!!」
鋭い雄叫びと共に衝撃波が辺りを襲った。
オレは障壁を張り、衝撃波を防いだ。
デリオラが復活した。...が動かない。魔力探知を使用するとやはりデリオラ本体に魔力が少ししかなかった。やはり封印で生命力、魔力が吸われていたのだろう。
グレイが変な構えをしているのを遠目から見える。オレはダウルダブラから鋼糸魔弦引っ張り出し、グレイを拘束する。次に風の術式を纏い、デリオラの近くまで移動した。
突然現れたオレに驚く3人だったがそれを無視する。
「こういう相手はオレの役割だ」
オレは複数の異なる術式を展開し、デリオラを覆う。デリオラはその状況に異変を感じたのか動き始める。すかさずダウルダブラの鋼糸魔弦を腕や脚に絡める。
「やめろ、やめろおおおおおお!!!!!」
「四大元素」
銀髪の男の叫び声を無視し、四大元素を放つ。
複数貼られた術式から炎、水、風、土の光線がデリオラを襲った。術式にオレの魔力を少し込めたお陰かいつもの四大元素よりも威力が増しており、デリオラを含む周辺に爆発が起き、爆破音と衝撃波、土煙が洞窟内を包み込む。
土煙が落ち着くと、デリオラはガラガラと崩れ落ち、溶け出した水と共に海の方へ流されて行った。
「コイツは封印されている間、魔力と生命力を奪われ続けていた。その最後の瞬間をオレたちは見ている」
「敵わない...!俺は、俺はウルを越えることができなかった...!」
「すげーな、お前の師匠」
「ありがとうございます...!師匠...!!!」
「氷は解けて、水になり、生命を紡いでいくだろう。だが、死んだわけではない。お前たちの師匠はお前たちの心の中に生き続けていく。それを忘れるな」
オレは
オレは小さな結晶を叩きつける。すると土や岩肌しか見えなかった洞窟から、綺麗な夜空が見える遺跡の頂上へ移動していた。
急に現れたことに驚いたルーシィは尻餅をついていた。エルフナインの方を見ると、エルザに頬擦りされており、その瞳には何もかも諦めた様な死んだ目をしていた。
「見損なったぞエルザ。まさかお前が見境なしに抱きつくとは...」
エルザはオレの声を聞くなり飛び起きた。
その隙にエルフナインは起き上がり、オレの背後に隠れた。エルフナインはすっかり怯えてしまった様だ。
「いや!これは違うんだキャロルお姉ちゃん!これには深いわけがあってだな...」
「なんだ、言ってみろ」
「..............」
エルザは俯いたまま正座してしまった。小さい頃からなんら変わらない。怒られるとだんまりを決める。でも変わらないところが見れて嬉しく思う自分がいる。
「これでS級クエストは終わったってことよね?やったー!」
「S級クエスト?あぁそうか、だからエルザは怒っていたのか」
「はい。S級依頼はS級魔導士がいないと受けられない仕組みになっている筈です。ルーシィさんやナツさんがここにいると言うことは...」
「ギルドのルールを破ったことになる。ギルドに戻ったら然るべき処罰を与える」
「ひぃぃぃ!!!」
エルザ立ち直り早すぎではないだろうか。
ついさっきまでしょぼくれていた気がするが。
「オレたちには関係ないことだ。お前らのことはお前らでどうにかしろ。オレたちは帰る」
「キャロルお姉ちゃんは依頼主のところに行かないのか?」
「オレの依頼主は評議院のクズどもだ。適当にレポートを仕上げて届ければ終わりだ」
「そうか...」
エルザは寂しそうな顔をしていた。オレはエルザに屈むように指示する。
顔にハテナを浮かべているエルザを抱きしめた。
「!?!?!?」
「なに、心配するな。また近いうちに会えるさ」
「本当に?嘘じゃないよな?」
「オレが嘘をついたことあると思うか?」
「ある」「ありますね」
「う“っ」
エルフナインとエルザが本当のことを言ってきた。その言葉はオレの心に突き刺さる。
まぁ嘘はつく。誰だってそうだ。
「でもキャロルの嘘は優しい嘘です」
「あぁ、そうだな。その通りだ。すーはーすーはー」
「ッ!お前は匂いを嗅ぐな!クソッ、誰だこんなふうに育てたヤツは!出てこい!」
エルザはオレの胸に顔を強く押し付け匂いを嗅ぎ続けている。それを面白そうにしながら微笑むエルフナイン。オレの叫び声はガルナ島全体に響いた。こうしてガルナ島の調査依頼は幕を閉じた。
これにてガルナ島のお話は終わりです。
アニメ見ながら書いているのでだいぶ遅くなっています。
漫画全巻買おうかしら←持ってないんかい。
お気に入り登録、感想、評価及び誤字報告のほどよろしくお願いします。