夢想少女探訪   作:九司空守

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赤茶けた王様③

 相変わらずの賑やかさに若干聴覚をまたやられながら、昨日は見れなかった景色を目指して散策をする。中央を避け、西日に向かって行く道を選んで歩いていると丁寧に区画整理された農場と牧場に辿り着いた。この世界に見合った時間の“それ”は、忙しなく働く訳でもなく怠ける様子もない朴訥な作業風景が広がっている。私の三つ編みの髪を細やかに揺らした風がそのまま奥の恵みに向かって行ったのを感じる。先程の街中に広がっていた景色と反する様子を見ているだけで私の気持ちを落ち着かせてくれる。が、“それは”お互いの世界の見た目が違うだけで、地続きである事を私は知っている。

 話しかけられそうな様子が見えた私は早速声を声を掛けに行く。

「こんにちは」

「あら! 可愛らしいお嬢さん!」

「どうしたんだいこんなところに?」

「此処に子供が来るなんて本当に珍しいねぇ。この街の子なら迷って来る事も無いんだ。他所から来て迷ったに違いないねぇ」

 へえ。

「迷った訳ではなくて……、遠くの国からこちらの王様の元で農業や技術を学びに来た者なんです。おはなしを少し伺っても宜しいですか?」

「あらまあ! なんてえらいお嬢さん!」

「感心な事だが、儂らから何を知りたいだい?」

「そりゃ決まってるだろうに。私達が王と共に得てきた事で良いんだよ、こういう場合は。相変わらず察しが悪いんだよアンタは」

「なんじゃと!?」

「あっ!? あの、落ち着いてください!」

 ハハハ……元気だ、見た目以上に。

 彼等を出来るだけ刺激し過ぎない様に会話をするのは多少面倒だったが、なんとか友好関係を築けた頃合いで、1番聞きたかった事を、さりげなく切り出した。

「ところで王様はどんな方なんですか。少し喋った事はあるんですが、正直恐くてあまり話せなくて」

 苦笑いの演技もしっかりと。

「アッハッハ! 始めて会えばそうなるさ!」

「あらま! 居ないからって!」

「今でも私は恐いよ。だがそれだけじゃない。あの方は常に私達を背負って前を向いてくれる王だ」

「そうね。その通りだわ」

「王は欠かさずに我々と顔見せ、対話をしてくれる方じゃ。それだけで安心して生活出来る」

「ええ。そうね」

 とても信頼されている。

「だからこそ私は許せないわ! 何が不満であんな……」

「こら! 止さないか!」

「あら! アナタは許せるの!?」

「2人とも落ち着きなさい。この子の前で」

「いえ。そんな」

 これだ。と直感する。

「ちなみに、どんな事が……?」

「単に王が面倒な連中に絡まれたというだけじゃ。気にせんでええ」

 このお爺さんでは話にならなそうだと思い、口滑らしそうな年配の女性に対して自然な印象を心掛けながら、彼女へ目線を向けてみた。

「聞きたそうにしているのだから私が教えてあげるわね。大丈夫よお嬢さん」

 案の定である。

「いいのだろうか。我々が勝手に伝えて」

 その流れはやめていただきたい。

「確かに。判断出来かねるな」

「まあ……困ったわ……」

「視察の最中を狙って襲ってきた愚か者がいたが、王は既に予見されていて何事もなく終わったという話じゃよ。これでええじゃろうて。なあお嬢ちゃん?」

「……はい。変なコトを聞いてしまって申し訳ありませんでした。お爺ちゃん」

「いや、口を滑らした方が悪いんじゃよ」

 彼はそう言いながらその場の全てを許す様な笑い声をした。

「まあ!」

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