家で迫害されている魔力ゼロの恵まれていない男ジート。
 しかし、彼は転生者であり、世界最高峰の肉体と五感を持っていた。
 
 恵まれなかった男ジートは、理想の《パパ黒》になるために暴れ回る――





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前に書いたやつをちょっと書き直して投稿


パパ黒転生

 

 ある森の中、十五歳程の身長で黒髪の一人の少年がそこにいた。

 

 今、その少年は数はおよそ二十といったところか、多くの盗賊に囲まれていた。

 

「よお、坊主。オマエみたいなガキを殺すのは心苦しいが見られちまったからには殺すしかねぇんだわ」

「悪いな」

「俺は別にガキ一人死んでも何とも思わねぇよ?」

 

 そんなやり取りにギャハハハと笑う盗賊たち。

 

「悪くは思うなよ」

 

 一人の男が少年を斬りつけようと前へ歩み、縦に剣を斬り裂いた。しかし、寸前のところで少年が躱した。

 

(いて)ぇな」

 

 少年は口元を抑えながら言う。

 

「まあ、ここなら及第点か」

 

 そんなことを言いながら不敵に笑う少年。

 

「やるなぁ。まぐれだろうけどな・・・・・・ッ!!」

 

 やっちまえ! なんて言いながら笑う盗賊達。

 

 男はもう一度斬りつけるため腕を上げようとするが、少年はその腕を掴み、力を入れる。

 

「い゛っ!?」

 

 男はあまりの痛みに耐えられなく腕が落ち、握っていた剣が落ちる。

 

「軟弱だな」

 

 少年はハッ、と笑って落ちた剣を拾って腕を抑えている男の首を斬り落とす。

 

「首チョンパは大事だからな

 で、次は誰だ? 男の相手をする趣味はねぇが、特別だ。全員かかってこい」

 

 少年は広角を上げ、周りを見渡す。

 

「このガキ!!」

「仇を取ってやんないとなァ」

「やるぞ、オマエら!」

 

 少年を囲んでいる盗賊たちは一斉に剣を持ち、襲いかかる。

 

「烏合だな」

 

 少年は次々と襲いかかる盗賊たちを躱し、剣で斬りつける。しかし、剣は少年の力に耐えることができなく、折れてしまう。

 

「ダメだな、こんな安物じゃ」

 

 少年は折れた剣を捨て、今度は素手で盗賊たちを殴りつける。その威力は到底、十五歳程の子供が出せる威力ではなかった。殴った骨は粉々に折れ、倒れていく。

 

 やがて、全ての盗賊を殺しきった少年は盗賊の手持ちの金を漁る。

 

「全然持ってねぇな。だが、もうそろそろいいかもな」

 

 少年は邪悪な笑みを浮かべて呟き、己の家であるイーゼン家へと帰った。

 

 後日、イーゼン家はこの少年により半壊し、倉庫にあった剣が数本程がなくなっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 きっかけは『呪術廻戦』という漫画を読んだ時だ、鮮明に覚えている。俺はその漫画のキャラクター『パパ黒』に憧れていた。

 

 五条悟でもなく、両面宿儺でもなく、呪力がなく恵まれなかった男が恵まれた相手を圧倒する。

 

 俺はそんなパパ黒に憧れ、そうなりたいと思った。

 

 誰もが漫画を読んでいた時に憧れた『領域展開』のように、俺にとってそれが『フィジカルギフテッド』だった。それだけのことだ。

 

 ただ五条悟に憧れた読者たちと違うのは、呪力が必要な読者たちと違って、俺には呪力が必要ないということだ。だから、俺はただひたすらに鍛え続けた。

 

 空手、ボクシング、剣道、総合格闘技・・・・・・パパ黒になるために必要なものは全力で習得し、そして女をナンパしまくった。いつか来るその日のために。

 

 学校では男と連まず、女と常に共にした。決して、男には飯を奢らず、女に奢られるプロヒモに。

 

 そして、裏側ではパパ黒の言いそうなセリフをひたすら考え続けた。

 

 それが俺の青春であり、パパ黒生活だった。

 

 だけど、時が経つにつれて不安が押し寄せてきた。現実と向き合う時が来たのだ。

 

 そう、こんな事をしていても、無駄なのだ。

 

 巷に溢れている格闘技、プロヒモ術、いくら習得しても『呪術廻戦』の世界にいたパパ黒にはなれないのだ。

 

 俺に出来るのはせいぜいチンピラ数人をボコり、周りの男よりはヒモ力があるだけ。完全武装の軍人に囲まれたら厳しいし、趣味の女は抱くことができないこの面。

 

 趣味の女を抱けないパパ黒・・・・・・笑える。

 

 俺が何十回整形しようと、俺の憧れたパパ黒フェイスにはなれない。俺は控えめに言ってモブ顔。ストレートに言えばブサイク。ただ、必死に鍛え続け、プロ術を学んでやっと、趣味ではない女を抱けるようになったくらいだ。

 

 それに、俺はパパ黒のような人外染みた肉体を得ることができないと知った。だって天与呪縛であの肉体を得たのだ。

 

 では、ここで諦めるのか? いいや、それはダメだ。俺はパパ黒になるためにここまで頑張ってきたんだ。

 

 なら、何が必要?

 

 パンチ力か?

 

 鋼の肉体か?

 

 無尽蔵なスタミナか?

 

 そんなもんじゃない。

 

 俺に必要なのは紐だったんだ。ヒモじゃない、紐だ。

 

 天与呪縛ってのは一種の縛り。なら、自分の体を紐で縛ればなんとかなるのではないかと思ったんだ。

 

 きっと、誰もが正気を疑うだろう。

 

 俺だってそうだ。同じように正気を疑うだろう。

 

 だけど、どうだろう。

 

 この世界に紐で縛れば縛りの代わりになると証明できた人はいない。それと同時に紐で縛っても縛りの代わりにならないと証明できた人もいない。

 

 正気では俺の目指したパパ黒にはなれない。それはきっと狂気の先にあるものなのだ。

 

 それから、俺は長い紐で全身をを縛った。一人で縛るのは難しかったが、色々工夫して縛ることができた。

 

 しかし、その状態で一週間待機していたが、何の成果も得られなかった。

 

 もう、俺の体は臭くて汚かった。パパ黒はこんなことにならない。こんなんじゃ、ヒモにはなれない。俺は急いで紐を解いて風呂に入ろうとした。

 

 しかし、その時躓いてしまった。その拍子に俺の首が強く紐によって締められてしまい、そのまま自宅で死んでしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 結果として、俺は強靭な肉体とエグい五感、パパ黒フェイスを手に入れた。

 

 目が覚めたら、周囲から呪力・・・この世界では魔力であったが、あるにはあった。まあ、魔力か呪力かは些細なことであった。

 

 とりあえず現在の俺は生後数ヶ月の男児。意識がはっきりしたのは最近だし、時間の感覚もまだ曖昧で正確なところはわからない。

 

 何より言葉も分からないし、中世ヨーロッパぐらいの文明っぽいってことがわかれば十分だろう。

 

 そして、俺には魔力がなく、代わりに先程言ったように強靭な肉体、エグい五感があった。

 

 呪力でなく、魔力であったが、天与呪縛みたいなものだろう。

 

 更に、俺の家はイーゼン家という割と大きな家だった。この家では魔力が物を言う、そんな感じだった。だから、魔力が一切ない俺は迫害されていた。

 

 うん、これはパパ黒だ。

 

 俺は家の者からどんな扱いをされようと、全く手を出さずにいた。いずれ、ちょっと暴れてやろう、と思っていたからだ。

 

 俺はこの世界でパパ黒になれるんなら、なんでもしてやる。

 

 そして、十歳のある日。よく盗賊が出現すると言われている森の奥地に放り込まれた。

 

 そこで初めて暴れた。前世で色々習っていたのとこのパパ黒スペックでひたすら暴れた。

 

 それから、度々放り込まれた。その度に無傷で帰ってきたため、家の奴らは大金を払って盗賊を雇ったというのを俺のイカれた聴力が拾った。

 

 そして、十二歳のある日。その雇われた盗賊に囲まれてあることを思い出した。

 

 俺には傷がない、と。

 

 だから、俺は上手く、傷ができるようにスレスレで躱した。

 

 ちょっぴり痛かったけど、それくらいしないと傷はできない。

 

 そして、盗賊から金目の物を盗んで、以前から貯めていたほんの少しの資金を持って、倉庫から武器を漁って家を半壊させた。本当は四分の一にも満たない程度でいいや、と思ったけど、楽しくなってやってしまった。

 

 よーし、女でも抱くか。

 

 

 俺、ジート・イーゼンは全力でパパ黒を遂行する。

 

 

 

 

 

 

 






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