かすみ「はぁーい皆さんこんにちわぁー! 将来の夢は『かわいい』であふれるワンダーランドを作ること! 虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会のかわいい担当、かすみんこと中須かすみですよ~♪」
しずく「どーもどーもー! 将来の夢は『かすみさん』であふれるワンダーランドを作ること! おはようからお休みまで一生かすみさんの保護者担当、しず子こと
かすみ「待って!? いきなり口上パクられてるし色々おかしいんですけど!?」
しずく「知ってる。かすみさんは大概おかしいよ?」
かすみ「かすみんの方がおかしいみたいにすり替えないで? 保護者担当って、なに?」
しずく「なにって。そのままの意味だよ? かすみさん、この前までよちよち歩きしてたよね?」
かすみ「してないよ!?」
しずく「バブバブも言ってました」
かすみ「言ってないってば!」
しずく「うそだもん! そんな顔で必死に隠そうとしないでよ!?」
かすみ「何かいきなり始まった!? しず子最初から飛ばし過ぎじゃない?」
しずく「かすみさんと、わたしの仲でしょ……? 本当の自分をさらけ出して?」
かすみ「いま自分をさらけ出し過ぎなのはしず子だよ! っていうかさ、桜坂しずくはいつから中須家のしずくになっちゃったの?」
しずく「あ、その件なんですよ皆さん」
かすみ「……どの件?」
しずく「突然ですが、わたしたちから重大発表があります」
かすみ「何かあったっけ?」
しずく「わたしとかすみさん、このたびついに籍を入れることになりました」
かすみ「初耳ですけど!? ねえ、ちょっと、みんなも拍手とかしないでくださいね!?」
しずく「よし外堀は埋まったね。あとは婚姻届けを出せば全て終わるよ、いいね?」
かすみ「いいね? じゃないよ! おまわりさん怖いです早く捕まえてくださいこの人!」
かすみ「で。かすみんたち、今日はどうしてこんなことやってるんだっけ?」
しずく「それがですね、わたしの所属する演劇部の部長から頼まれごとがありまして」
かすみ「あのちょっと厳しそうな部長さんだね」
しずく「うん。台本の作成をね。『ねえしずく、演技力向上のために漫才劇の練習もやっておきたいの。台本考えといてねー』だってさ。無茶ぶりもいいところですよ」
かすみ「ほんとに無茶ぶりですよ……あれ? でもそれかすみんと関係無くない?」
しずく「慣れない台本作りに夜遅くまで頭を悩ませてるとね、こう、だんだんイライラとストレスが溜まってきまして」
かすみ「頑張り過ぎは良くないよね」
しずく「そこで頼れる無敵級のかすみさんに電話でSOSを入れたわけです」
かすみ「……ふーん? かすみんのこと、ちょっとは頼りにしてくれてるんだ?」
しずく「いえ全然? かすみさんにも同じ苦しみを味わってもらおうかと」
かすみ「ただの八つ当たりだったよ!」
しずく「そんなこんなでかすみさんも手伝ってくれることになったし、安心したらあとはもう適当に作ってやろうかなって」
かすみ「適当にならないで!?」
しずく「そうして完成したのが、今こうしてお喋りしてる台本の原型なんです」
かすみ「……なるほどね。この適度に手を抜いたいい加減さは、確かにしず子らしさが出てるかも」
しずく「だよね? 大女優のタマゴにして、台本も片手間に書ける。自分の才能が怖くなってきますね」
かすみ「いや褒めてないからね? かすみんが言うのもあれだけどさ、この台本、スクールアイドル関連の内輪ネタばっかじゃん。部長さん納得するの?」
しずく「そこは大丈夫。うちの部長、ああ見えて実はスクールアイドルの隠れファン――」
かすみ「え、そうだったの? にっしっし、これはまたかすみんのファンが一人増えちゃいますね~」
しずく「――という設定が、つい最近発覚したところです」
かすみ「設定って何!?」
かすみ「まあこうして一緒に喋ることになったのはいいけどね、しず子ってば大事なこと忘れてるよね」
しずく「なんでしょう?」
かすみ「かすみんたち、まだコンビ名も決まってないよね?」
しずく「では〝しずかす〟で」
かすみ「……却下。なんかヤダ」
しずく「強そうでいいのに。まひるみポケモン『しずかっす』といえば、全国的に超有名ですね」
かすみ「トゲ○ッスだよ! 害悪で有名なやつじゃん!」
しずく「それじゃ、しずみんにしとく?」
かすみ「ピ〇ミンみたいだし、沈みそうでなんかヤダ……」
しずく「捻って、かすしず」
かすみ「全然捻ってないじゃん! まず〝かす〟から離れない……?」
しずく「この子イミワカンナイ」(髪の毛クルクル)
かすみ「大先輩の演技はやめて!? 怒られる!」
しずく「大丈夫だよ。この世で一番かわいいかすみさんがかわいーく謝れば、相手は全部許してくれるから」
かすみ「この世でいちば……ま、まあ? かすみんが宇宙一かわいいのは当然のことですから? 相手がどこのまき子だったとしても――」
しずく「ところで皆さん、22点でにゃんにゃんってかわいいと思いませんか?」
かすみ「ところで急に話変えすぎじゃない!?」
しずく「かすみさんのテスト結果です」
かすみ「とっくにみんなご存知だよ! 説明不要だから!」
しずく「11点でワンワンじゃなくてほんとに良かった……」
かすみ「追及しなくていいから! ……で? 22点でにゃんにゃんがどうかしたの?」
しずく「かすみさん、悪意の部分は取っ払ってよーく考えてみて?」
かすみ「悪意あったんだ!?」
しずく「22点でにゃんにゃんって語感がかわいいよね? 『○○で××』みたいなやつ」
かすみ「……いや、よくわからないけどさ。しず子が言ったらかわいく見えるから有りなんじゃない?」
しずく「だよね? 『22点でにゃんにゃん』が有りなら『しずかすでかすかす』も有りだよね?」
かすみ「無いよ!? しずく要素どこ行ったの!? 完全にすっ飛んだじゃん!」
しずく「あー、なるほど。しずく要素がすっ飛んだから『乾いてかすかす』になったんだね?」
かすみ「知らないよ! 上手いこと言った覚えも無いよ!」
しずく「かすみさん腕上げましたね? このこのやるぅ~」
かすみ「褒められてこれほどイラッとするのは初めてだよ!」
しずく「まあ心底どうでもいいんですけどね」
かすみ「急にどうでもよくならないで!?」
しずく「はぁ、こんな漫才早く終わらせたい」
かすみ「何か言い出した!?」
しずく「早く終わらせてかすみさんと午後デートしたい。いちゃいちゃしたい」
かすみ「しず子台本に無いこと言ってるよ!?」
しずく「この後ね、わたしたちデートなんですよ。かすみさん、またカニクリームコロッケをあーんってしてあげるね」
かすみ「もはや欲望ダダ洩れだよ!」
しずく「ダダ洩れですが、なにか?」
かすみ「開き直ってる!?」
しずく「それよりかすみさんはわたしのことをもっと大事にするべきだと思います」
かすみ「これはめんどくさいしず子が出てきてますね……」
しずく「この前かすみさんたちに仲間外れにされたこと、今でも忘れてないからね?」
かすみ「なんのこと?」
しずく「璃奈さんや愛さんと一緒に、すっごーく楽しそうだったよね」
かすみ「りな子と愛先輩? いつの話?」
しずく「私だって、あの新しい遊びに混ざりたかったのに」
かすみ「遊びって、本当に覚えがないんですけど……」
しずく「ほら、こうやって両肘を浮かせて」
かすみ「両肘……?」
しずく「みんなの心を〝動かすかす♪〟」
かすみ「かすみんですぅ! ……って、あれは遊びじゃないよ!? いつまでかすかすネタ引っ張るの!?」
しずく「――と、このように、わたしたち虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会は、素晴らしい仲間たちに囲まれて毎日幸せです」
かすみ「ここに若干一名、弄りまくってくるしず子ってのがいますけどね!?」
しずく「よし、かすみさん。この際だからわたしたちの絆がどれほど強いか、みんなに見せちゃおっか」
かすみ「今までかすみんのこと散々下げといてそれ!?」
しずく「実はわたしたち、他のメンバーの歌もちゃんと歌えたりするんですよね。ね、かすみさん?」
かすみ「いやしず子の言う通りだけどさ……」
しずく「そう。基本ソロ活動のわたしたちではありますが、いざとなればデュエットもこなせる。相方に合わせるのも息ぴったり。完璧なんです」
かすみ「しず子、そんな大きな事言って大丈夫……?」
しずく「では試しにかすみさんの持ち歌、『ダイアモンド』を二人で歌ってみましょうか」
かすみ「えっ、今から?」
しずく「わたしたち同好会の絆の強さ、見てもらうチャンスだよ?」
かすみ「……もー、仕方ないですねー。一度だけだからね?」
しずく「うん♪ かすみさんとのデュエット楽しみ」
かすみ「じゃあイントロからやるよ?」
しずく「オッケー」
かすみ「出だし間違えないでよね」
しずく「分かってるって」
かすみ「それじゃ、しず子と一緒にダイアモンド、行きますよー。せーの――」
かすみ&しずく「「てててっ♪ てーててっ♪ てーててーてんてん♪
てーてーててーて♪ て~んて~ん♪」」
かすみ&しずく「「てててっ♪ てーててっ♪ てーててーてんてん♪
てーてーててーて♪ て~んて~ん♪」」
かすみ「最上級レベルのえが――」
しずく「宿敵ッ! ライッバルッ! かんっぺきな――」
かすみ「待って待ってストォーップ!」
かすみ「しず子は何でBメロから歌い出してるの!?」
しずく「ごめんねかすみさん、わたしこのBメロ大大大好きで……」
かすみ「いやそれは分かったけど、出だし間違えないでって言ったじゃん!」
しずく「歌詞そのものは間違ってないからセーフ」
かすみ「アウトだよ! しず子のセーフ基準でごり押ししないで!?」
しずく「かすみさん? わがままはメッだよ?」
かすみ「しず子だよ! ここまでわがままなのは全部しず子!」
しずく「まあ些細なことは置いといて」
かすみ「些細じゃないし置いとかないで!?」
しずく「うーん、やっぱり自分の持ち歌じゃないと調子出ないみたい」
かすみ「さっき完璧って言ってなかった!? 絆の強さはどこいったの!?」
しずく「ごめんね。悪いけど、歌は『オードリー』に変えてくれる?」
かすみ「まったくもう……それじゃ『オードリー』にするけど。ちゃんと合わせるから、今度こそ間違えないでよね」
しずく「オードリーはたくさん練習したもん。絶対に大丈夫」
かすみ「その絶対が不安なんですけど……行くよ。せーの――」
かすみ「あこがれーの――」
しずく「わたーしは大女優ぅー!」
かすみ「おぃ待てぇぇ!」
かすみ「何いきなり終わらせてるの!?」
しずく「頭が良さそうな人に見える喋り方そのいち~」
かすみ「今度はなんなの!?」
しずく「まずは結論から話そ~う」
かすみ「どうでもいいよ!? 今それ本当にどうでもいいよね!?」
しずく「さて、この企画も飽きてきましたね。次のコーナーへ行ってみましょー」
かすみ「ねえさっきからフリーダム過ぎない!? ラジオ番組じゃないからね!?」
しずく「わたしもちょうどそう思ったところです。はい、息ぴったり。これでわたしとかすみさんの絆の強さが証明されました」
かすみ「何も証明されてないからね!? すれ違い過ぎてバラバラだからからね!?」
しずく「つまり、これはかすみさんと両想い……ってことで良いんだよね?」
かすみ「良くないよ!? もっと見当違いなこと言ってるよ!?」
しずく「そんな顔で必死に隠そうとしないでよ!?」
かすみ「ええええええ!? 今ここで!? 今ここでまたそれなの!?」
しずく「かすみさんと、わたしの仲でしょ……? 本当の自分をさらけ出して?」
かすみ「これ以上何をどうさらけ出せばいいんだよ!」
しずく「ハッ!? そっか。そうだったよね、かすみさん……」
かすみ「ちょっとしず子……? どうしちゃったの?」
しずく「よく考えれば、そうだよね」
かすみ「おーい、しず子?」
しずく「両想いとか、絆とか、そんなのはもう関係無かったんだよ」
かすみ「……どういうこと?」
しずく「やっと思い出せたの。何よりも大切なこと」
かすみ「大切な、こと?」
しずく「わたしとかすみさん、もうとっくの昔に籍入れてたんだった」
かすみ「いやそんな事実はどこにも無いからね!?」
かすみ&しずく「「ありがとうございましたー!」」