その決着は……。
対峙した敵EXAMマシーン、それはすでに『EXAMシステム』起動中を表す赤い光をデュアルセンサーに宿している。
そしてその機体はシャアが以前遭遇したEXAMマシーンとは違っていた。
「また新型モビルスーツか……連邦の技術力は化け物か?」
次々に繰り出される新型モビルスーツに、シャアは苦笑とともに愚痴を漏らす。
もっとも誰かがその言葉を聞いていたのなら、きっとこう返しただろう。「あんたの親友のシロッコよりは何倍もおとなしい」と。『原作』という下地があるとはいえ、シロッコの研究開発の速度は連邦以上に化け物じみているのである。
閑話休題。
シャアは表情を真剣なものに戻すと、敵の姿を観察する。
敵EXAMマシーン……ブルーディスティニー3号機はスマートな外見だ。武装に関してもビームライフルにビームサーベル、そして増設型バルカンポッドと非常にシンプルな構成だ。
しかし、相手から感じ取れる……こちらもとっくの昔に起動中の『EXAMシステム』によって手に入れたニュータイプの感覚で分かる気配によって、この相手が尋常ならざる相手であることを理解していた。
(間違いなく……今まで相対した敵の中でもっとも強い相手だ)
そうシャアは敵を評価する。
そして……イフリート改とブルー3号機のビームライフルが同時に相手に向けられ、ついに戦いの火蓋が切って落とされた。
互いのビームライフルの一射目をイフリート改とブルー3号機はともに横に跳んで避ける。しかしここは狭い渓谷だ。回避を続けるのにも限度がある。
ブルー3号機は先ほどニキたちを相手にも使った壁蹴りによって渓谷を上っていく。そして上を取るとビームライフルを放った。
「そうそう当たるものではない!」
しかしシャアもそれを先読みし、ビームライフルをかわしながら渓谷の出口を目指す。ブルー3号機の高いブースター性能を前に、イフリート改では推力で負け上を取られてしまい、この狭い空間で戦うことは不利との判断をシャアは下したのだ。
渓谷から飛び出したイフリート改、その後をブルー3号機が追ってくる。その渓谷から出る瞬間、シャアは渓谷の外壁にビームライフルを放った。渓谷の岩壁が崩れ、ブーストダッシュでイフリート改を追撃中だったブルー3号機に落石が襲い掛かる。
しかし、それを読んでいたブルー3号機はその落石を避けながら上空に跳んでいた。地上は落石によって巻き起こる土埃で著しく視界が悪くなったからだ。そこでの奇襲を警戒し、その高い推力にものを言わせブルー3号機は空中へと退避したのである。
だが、その動きをシャアは読んでいた。
先読みか、左へと振り向くブルー3号機。その視線の先には、ブースターを全開にしてブルー3号機に向かってくるイフリート改の姿がある。そしてその位置はあまりに近い。
イフリート改はブルー3号機がビームライフルを向ける暇も、ビームサーベルを抜く暇もなく接近していたのである。この時ブルー3号機にとっての幸運は、シャアの方もビームサーベルを抜く暇すら惜しんだ突進だったため、ビームサーベルでの攻撃ではなかった点だ。
イフリート改の加速を付けた飛び蹴りが、ブルー3号機に襲い掛かる。とっさにブルー3号機の方も左手にしたシールドを構え、それでイフリート改の蹴りを受けた。
これがもし地上でなら、ブルー3号機の性能とパイロットの技量なら踏ん張ることでバランスも取れただろう。しかし足場のない空中での衝撃はそのままブルー3号機を吹き飛ばす。
「もらった!!」
空中でバランスを崩したブルー3号機に向かって、イフリート改はとどめとなるビームライフルを向けた。ブルー3号機のシールドは強固ではあるが耐ビームコーディングは施されてはいない。多少の威力の減退はあっても、シールドを貫いて致命傷を負わせることができるだろう。
だが、そんなシャアの思考は甘かった。
バランスが完全に崩れたはずのブルー3号機は、スラスターを巧みに吹かす。それによって、頭部の増設型バルカンポッドの射線を確保したのだ。
ダダダダダダダッ!!
増設型バルカンポッドが唸りを上げて、高速で30mmの徹甲弾を吐き出していく。そしてその弾丸がイフリート改のビームライフルの基部を貫いた。
「しまった!?」
シャアがビームライフルを投げ捨てると、ビームライフルから貯蔵されていたメガ粒子は漏れ出して大爆発を起こす。その閃光の中をイフリート改とブルー3号機は大地に着地した。
着地した衝撃を感じながら、シャアは思考する。
(ビームライフルを失ったのは痛いな……)
ビームライフルの威力は絶大だ。自分がそれを失い、相手にはそれが残っているというのがどれほどの不利を意味するのかは、シャアはよく分かっている。
(何とか接近戦に持ち込むにはどうする……泥にまみれてみるか?)
一秒の時間もなくそこまでのことを考えると、イフリート改はその両足に装備されたミサイルを全弾発射した。有線によって誘導されるそれは、そのままブルー3号機に殺到する……わけではなく、その周りの地面に着弾した。
舞い上がる砂埃によって視界が塞がれるが、そんなものは一時的なものでしかない。しかし、シャアにとってはその一時的なもので十分すぎた。
イフリート改が踏み込みと同時にスラスターを全開にした。EXAMシステムによって機体リミッターを解除されているイフリート改は、求められるままに瞬間的にトップスピードまで上り詰める。
その様はまるで弾丸のようだ。そして、その弾丸がビームサーベルを抜き放ってブルー3号機へと迫る。
だが対するブルー3号機もさすがだ。普通のパイロットとモビルスーツならば、イフリート改の動きに反応することすらできずに斬り捨てられていただろうところを、ブルー3号機はイフリート改の動きを的確に察知してビームライフルの銃口を向けた。
自らを一撃で殺せるような兵器が的確に自分に向いたのなら、普通の人間であるのならば多少なりと動揺し隙をつくってしまう。だがシャアはそんなそぶりもなくトップスピードを維持した。
放たれたビームライフル、しかしあらかじめニュータイプの感覚で自らが貫かれる瞬間を幻視していたシャアは、どうすれば避けられるのかということも理解していた。あとは……。
(私の技量の問題だが……やれるか?)
「やるさ!!」
シャアがイフリート改の体勢を限界まで下げた。頭部ギリギリのところをビームが通り過ぎていく。だがそれによってバランスが大幅に崩れた。トップスピードで駆け回る真っ最中に無理な体勢をとれば当然の話である。そして戦場の、しかも敵の目の前で転倒したマヌケの行く末など『死』だけだ。しかしシャアはその天性ともいえるバランス感覚で機体を制御しきった。そしてイフリート改がブルー3号機の懐に飛び込む。
ザンッ!!
イフリート改が手にしたビームサーベルを振り上げる。それはシャアの動きに反応していたブルー3号機が後退したことで機体を傷つけることは出来なかったが、ブルー3号機の右手にしていたビームライフルを両断していた。ビームライフルを投げ捨てながら、バルカンを連射して後方に跳ぶブルー3号機。
30mmのバルカンとはいえ至近距離では装甲を撃ち抜くことも可能だ。イフリート改も左手で頭部を守るようにしながら跳び退く。しかしその際に置き土産のように右手のグレネードランチャー放った。
グレネードランチャーはブルー3号機が左手で構えたシールドによって防がれる。爆炎が広がりシールドの一部が欠けるが、ブルー3号機は無傷のまま着地した。同じようにイフリート改も着地する。
イフリート改とブルー3号機が距離をとって対峙した。
すると、ブルー3号機は頭部の増設型バルカンポッドをパージする。そして右手でビームサーベルを抜き、左手で突き出すようにシールドを構えた。
ブルー3号機の武装は外見上いたってシンプルだ。ビームライフルを失った以上、増設型バルカンポッドは唯一の射撃兵装だったはずである。たとえ弾切れだとしても、もっているだけで警戒を促すブラフには使えたはずである。それをこのパイロットは格闘戦で決着を付けるという覚悟とともに、少しでも身軽になるために増設型バルカンポッドをパージしたのだ。
「思い切りのいいパイロットだ」
そう言ってシャアはそれに応えるように右手でビームサーベルを、左手を突き出しグレネードランチャーを構える。そして両足の撃ち尽くしたミサイルポッドをパージした。
これでイフリート改の射撃兵装はまだ使っていない左手のグレネードランチャーだけである。
「状況はお互いかわらんな」、と苦笑してからシャアは覚悟を決めて隙を伺う。
そして……ブルー3号機が動き出した。左手のシールドを前面に構えながら、イフリート改に向かって突進してきていた。シャアはその姿をしっかりと見極める。
「……今!!」
そして十分に接近したところで、左手のグレネードランチャーを放った。そのグレネードランチャーをブルー3号機は避けることもせず、グレネードランチャーは構えたシールドにぶつかり爆発する。だが、グレネードランチャーの攻撃力では堅固なシールドは破壊しきれない。ブルー3号機本体は無傷である。
しかし、そんなことはシャアも百も承知だ。
「ここだ!!」
先のグレネードランチャーはブルー3号機を狙ったものではない。グレネードランチャーの目的は、ブルー3号機の動きを一瞬でも止めるための足止めだ。
グレネードランチャーは実弾兵器で、爆発によって大きな衝撃をともなう。シールドで防いだとして、本体は無傷だろうが動きが一時的に止まることは避けられない。
かといって回避を選んでもバランスはどうしても崩れてしまい、制御できたとしても隙になる。この極限の戦いでは大きすぎる隙だ。
シャアはその隙をつくるために、イフリート改の最後の射撃兵装であるグレネードランチャーを使用したのである。
そして、そんなシャアの攻撃にブルー3号機はシールドでの防御を選択した。そのことでブルー3号機は爆発の衝撃によって一瞬動きを止める。
そこにイフリート改は一気に踏み込んでブルー3号機との距離を詰めた。
「でやぁぁぁぁぁ!!」
ザンッ!!
ゴトッ!
裂帛の気合いとともに、イフリート改がビームサーベルを振り下ろす。分厚く強固なシールドが溶断され、重い音とともに地面に転がった。
しかし……。
「何っ、いない!?」
そのシールドの向こうにいるはずのブルー3号機の姿がない。そしてその瞬間、あのニュータイプの感覚がシャアの脳裏を突き抜けていく。
キュピィィィン!
「ッ!? 上かッ!!」
シャアの言葉通り、ブルー3号機は上にいた。あの瞬間に跳び上がってイフリート改のビームサーベルの斬撃を回避したブルー3号機はビームサーベルを抜き放ち、上からイフリート改を狙って斬りかかる。
ザンッ!!
「ぬぅっ!?」
必中のタイミングのビームサーベル、しかしシャアはニュータイプとしての先読みと、その天性の反射神経によってイフリート改を一歩だけ下がらせることに成功する。そしてその一歩が、シャアの命を救った。
イフリート改を縦に両断するはずだったビームサーベルはイフリート改のコックピット前の装甲をかすり抉るにとどまった。
シャアの目の前のモニターは砕け散り、コックピットがむき出しになったことでぶつかってくる生の風がシャアの身体を叩く。
「まだだ! まだ操縦系統が死んだわけではない!!」
シャアも黙ってやられてはいない。死んだモニターではなく目視によって、シャアは即座に反撃に出た。ビームサーベルを振り下ろした体勢のブルー3号機に、右手のビームサーベルを振り上げる。
ザンッ!!
手ごたえは……浅い。
振り上げたイフリート改のビームサーベルは直前でブルー3号機がのけ反ることで、ブルー3号機のコックピット前の装甲を削り取るにとどまった。ちょうどイフリート改と同じ損傷状態である。
そして、シャアはここで勝負に出た。
「決着をつける!!」
シャアはペダルを踏み込み、イフリート改を前進させる。
モニターが死んだ以上、ニュータイプの感覚を持っていようが、とても長時間の戦闘はできない。だからこそ今が勝利の分水嶺だとシャアは前進を選んだ。
しかし、それを選んだのはシャアだけではなかった。ブルー3号機も無茶な体勢のままに突進してくる。奇しくもブルー3号機のパイロットもシャアと同じ判断を下していたのだ。
ビームサーベルを振り上げたイフリート改の右手を、ブルー3号機の左手が掴んで動きを止めていた。
同じようにビームサーベルを振り上げようとしていたブルー3号機の右手を、イフリート改の左手が掴んで押さえつける。
互いの手を動かないように掴んだまま、勢いに乗せてイフリート改とブルー3号機がぶつかり合った。
「あれは……!」
互いの損傷によってむき出しになったコックピット。カメラ越しではなく、2人の目と目が合う。
その瞬間に、互いの意識は飛んでいた……。
~~~~~~~~~~~~~~~
光る宇宙のような空間にシャアの意識はあった。
視線の先、それこそ距離にして5メートルもない場所に同じようにパイロットシートに座る男の姿がある。その男こそがこの連邦のEXAMマシーンのパイロットなのだと理解した。
だが、こうして敵EXAMマシーンのパイロットの意識を感じるのは2度目だが、前回のブルー1号機のファレルとは何もかもが違う。
ファレルはEXAMシステムによって殺意に支配されどす黒い思念だけをまき散らすまでに至り、完全に『暴走』していた。
しかし、このパイロットにはそれがない。その証拠に、このパイロットの傍らにたたずむララァの魂の欠片は、シャアの隣にいるララァの魂の欠片と同じように微笑んでいるのである。
「何故だララァ、何故笑っている?」
そのシャアの問いかけに、ララァの魂の欠片は答えた。
『彼が……ユウがシャアと同じように、私を理解してくれるから』
そして流れ込んでくるのはブルー3号機のパイロット、ユウ=カジマの思念だ。
戦争開始直前、哨戒任務で偶然遭遇したモビルスーツの性能への衝撃。
その有用性を説いた結果、当時冷遇されていたモビルスーツ部門への左遷同然の転属。しかしながら、モビルスーツの時代を確信していたユウにとっては、それは栄転に等しかった。
戦争の勃発、宇宙戦闘機パイロットとしてルウムの戦いに参加し、モビルスーツの圧倒的性能によって多くの仲間を失いながらもモビルスーツの特性を掴んでいたことで生き残った。
その後のモビルスーツパイロットへの転換訓練と、連邦ザクによる実戦経験。
そして……EXAMとの出会い。
初めてのEXAMシステム起動実験でユウは殲滅衝動を受けながらもその強い自制心と意志力で抑え込み、そしてその衝動の向こう側にいる存在……ララァに気付いた。
ララァの本質……その優しさを見抜いたユウは、ニュータイプの魂を捻じ曲げ、ニュータイプ殲滅用のパーツの一つにするという『EXAMシステム』の真実に気付き、ユウは彼女に言った。「君はEXAMじゃない、ララァ=スンという名の心優しい一人の女性だ」と。殲滅衝動を植え付ける『EXAMシステム』と、その中に囚われた魂『ララァ=スン』は別のものだと言ったのだ。
ララァの意思とは関係なく殲滅衝動を振りまく『EXAMシステム』の一部となってしまったこと、そして本来のララァはそんなことなど望んでいないということを理解した上での発言だった。
そう、ユウはララァを深く『理解』してくれていたのである。その『理解』に応えようと、ララァはその力をユウに貸しているのだ。
ファレルのように殲滅衝動によってクルスト博士の狙った都合のいい『暴走』ではなく、『理解』することでその力を借りる……それがユウと『EXAMシステム』との関係だった。
『……あなたが、『赤い彗星 シャア=アズナブル』か?』
シャアにララァとは違う、物静かな男の声が響く。
「その通りだ。 そちらは……ユウ=カジマか?」
『ああ……会えて光栄だ』
シャアの言葉に、ユウは頷いた。
『あの有名な『赤い彗星 シャア=アズナブル』……ララァからも聞いている。彼女の大切な人だと。
だからいつか会ってみたいとは思っていたが……戦場では会いたくはなかったな……』
「私もだよ。
戦場で敵として……君のような男に会いたくはなかった」
シャアもユウも残念そうに……本当に残念そうに頷く。
『EXAMシステム』はニュータイプの能力を疑似的に発揮するシステムだ。それによってシャアとユウは分かってしまったのである。同じようにララァのことを理解していても、互いが決して退かないことを。
シャアはララァの魂を解放するために戦わなければならない。
一方のユウは連邦軍には仲間もいれば友もいる。ララァのことを、『EXAMシステム』の真実を知ってもそれを壊して解放してやることなど連邦の兵としての立場から出来はしない。ユウ本人がどんなにララァに対してすまないと思っていようと、だ。
お互いに、それが『理解』できてしまったのである。
「戦場以外で出会えていれば……」
『……友になれたかもしれない……』
互いを理解しながらも立場の違いから同じ道は歩めない……それが2人には残念でならない。
しかし2人は戦士である。戦わなければならないのなら、迷いを振り切るだけの強い意志力を持ち合わせていた。
だが……そんな中、異変が起こった。
シャアとユウのいる光る宇宙のような空間が、ザーッという音とともに歪み始める。それはまるでテレビのノイズのようだ。
「なんだ、どうしたのだララァ!?」
『これは……一体……!?』
状況が理解できずにうろたえるシャアとユウ、そんな2人の意識をそれぞれのララァの魂が守るように引っ張っていく。
すぐ近くだったシャアとユウの意識は一気に離れていき、そして……。
~~~~~~~~~~~~~~~
「はっ!?」
あの光る宇宙のような空間での、ユウ=カジマとの対面は現実の時間では1秒にも満たなかった。
シャアのイフリート改とユウのブルー3号機は互いにビームサーベルを手に組み合っている状態である。
その時。
シュゥゥゥゥン……
ブレーカーの落ちるような音とともにイフリート改のビームサーベルが消えた。それどころかジェネレーターまで停止している。
「どういうことだ!!?」
突然の事態にシャアが焦りの見える声を上げた。
それは当然だ、ジェネレーターが停止したモビルスーツなどただの巨大な鉄の置物に過ぎない。しかも今は戦闘中で組み合っている状態である。これでは何の抵抗もできずにやられてしまう。
冷や汗が噴き出る思いだが、シャアは視線の先でユウも何やら焦った様子で計器をチェックしていることに気付いた。
思えば、停止したイフリート改に対してブルー3号機からの攻撃もない。
「まさか……あちらも?」
その予想は正しかった。ブルー3号機もビームサーベルは消え、ジェネレーターも停止している。今、イフリート改とブルー3号機は互いに身体を預け合うようにして完全に停止していた。
2機が突然停止してしまったその原因は……『EXAMシステム』である。
『EXAMシステム』によって手に入れたニュータイプの感覚、それによって今しがたシャアとユウはララァの魂の欠片に触れ、互いを理解した。
だがそれによって引き起こされた負荷によって『EXAMシステム』が耐えきれずにシステムダウンを引き起こしてしまったのだ。『EXAMシステム』は必要とあらば機体の各リミッターまで強制解除してしまうようなシステムであり、機体制御系とも密接に関係している。そのため『EXAMシステム』のダウンによって制御系コンピューターもダウンしてしまい全機能がストップ、安全装置によってジェネレーターまで停止してしまっていた。
状況に思い至ったシャアとユウは、隔てる装甲の無くなった互いのパイロットシートに座りながら目と目が合った。互いの距離は5メートルもないだろう。
「ララァ……私と彼に争うな、と。
そう言いたいのか……?」
シャアの言葉に、なんとなく伝わったのかユウは少し苦笑いを浮かべながら首を横に振った。「それは無理だ」とその顔は言っている。
シャアも同意見だ。自分は彼……ユウと再び戦う運命なのだということを、シャアも理解していた。
だが、いつまでもこうしているわけにもいかない。
シャアとユウは互いに、機体を再起動させるために計器を操作し始めるのだった……。
ララァ「やめてー、争わないでー。 あ、システム止めればいいんだ♪」
シャア・ユウ「「やめろぉぉぉ!」」
というわけでシャアVSユウの第一ラウンドはEXAMシステムダウンによる両者強制停止でした。
……恐らくウィンドウズOSを使っていると見た(笑)
正直、リミッターついていないEXAMが限界を超えたらこんな感じで強制停止するんじゃないかなぁと思って書きました。
タイマンだから良かったものの、乱戦中だと戦死確実です。
……これをやってたニムバスは度胸あるなぁ。
次回はここにシロッコ&ヤザンさんの到着となります。
次回もよろしくお願いします。