近所のスーパーで売られてた98円の冷やし中華が消滅して悶えておりました。なんでまだ暑いのに鍋焼きうどんを仕入れたんだよぉ…(ヽ´ω`)
それではどうぞ_(:3」∠)_
2023/10/23
長らくお待たせしたした。大分時間がかかりましたが、やっと加筆修正が終わりました。
以前よりは面白くなったと思いますので、お暇な時に読んで頂けると幸いです。
「ここが『ウィザール平原』ですか…ワーテル平原とそこまで違いは無さそうですね」
「はい、平原タイプのダンジョンには構造がほぼ変わらないといった特徴があるんです。ただし、此処は☆8ダンジョン…モンスターの強さは並のダンジョンとは比べ物にならないのでご注意を」
「はい、肝に銘じておきます」
そんなやり取りをしながら俺達はダンジョン『ウィザール平原』に訪れていた。フブキちゃんのおかげで資格云々の問題も無く、入れて貰えたので本当に助かった。
他人とPT組めとか無理難題を押し付けられた時は死を覚悟したものだ(遠い目)
ざっと辺りを見渡してみたが樹木や岩石等の遮蔽物は見当たらず、ただただ広い平原が広がっていた。
見晴らしが良い為、モンスターにも見つかりやすいだろう。
「ここからはいつ襲われてもおかしくありません。気を引き締めて行きましょう!」
「分かりました。ただ…早速おでましみたいですよ?」
フブキちゃんに注意喚起を促されていた俺は地中から放たれる敵意を察知し、足を止めた。
少し離れた地面がボコリと音を立てて盛り上がり、水をかけた油の様な虹色の光を放つ粘液の塊が湧き出て来た。その数、6匹。
「アレは…『プリンプリンス』!物理攻撃が効かない強敵です!炎か雷魔法で攻撃を!!」
「了解!斬鉄剣が通用しないなら…魔法で!」
プリンプリンス達に指を突きつけ、意識を集中させる。
「《
指先に生み出された炎の玉が射出され、手前側にいたプリンプリンスを捉えた。その衝撃で火球は炸裂し、周りの3匹も炎に巻き込まれた。
表面は油で覆われていたのか、悲鳴を上げる事も出来ずに火だるまとなった4匹はのたうち回り、砂と化した。
「一度に4匹も倒しますか…白上も負けていられませんね!《
フブキちゃんが腕を突き出すと青い光の粒子が集まり、手元には鞘に収められた刀が生成された。
「からの…《
刀を抜き、指を這わせた刃先に燃え盛る炎が纏われた。
同時にフブキちゃんは距離を詰め、粘液の塊とすれ違いざまに刀を一閃。斬られたプリンプリンス達は焼かれる苦痛を堪能した後、その命を散らした。
「お見事です。一撃で仕留めるとは…流石はA級ですね」
「ありがとうございます。妬良さんこそ剣技に加えてあんな威力の魔法を無詠唱で使えるなんて…何者なんですか?」
「ちょっと研修で鍛えられただけの一般人ですよ。何故か有名になってしまいましたが…」
「ちょっとって…差し支え無ければ何があったのかお聞きしても?」
「勿論良いですよ。大した話ではありませんが…あれは今から36万…いや、つい先月の出来事でしたか」
「古い!?ネタが古いですよ!?」
「…という事がありまして、気がつけばこんな実力を身につけてたんです」
「さ…災難でしたね。なんで教官方に気に入られたんでしょうか?」
「僕も聞きたい位です。僕の何に光る物を感じたのか…コレガワカラナイ」
そんなこんなで俺達は過去の悪夢の様な出来事を語りつつ襲い来るモンスター達を蹴散らし、奥地へと到達した。
そろそろボスが出てきてもおかしくない筈なのだが…
「ッ!伏せて下さい!!」
唐突に発せられた警告に従い、地面に伏せて辺りを窺う。話に集中していて気が付かなかったが…だいぶ離れた先には見たことも無い何かがあった。
石碑だろうか…大きさは30m程、紫色の光を放つルーン文字らしき物が彫られており、草原にはあまりにも場違いな雰囲気を放っていた。恐らくアレがダンジョンの核なのだろう。
その異様な石碑の前にソレは居た。
筋骨隆々な巨体、巨木を彷彿とさせる強靭な四肢、湾曲した2本の大きな角、刺々しい棘が生えた巨大な尾…間違いない、今回のターゲットであるベヒーモスだ。
ベヒーモスはまるで核を守っているかのように、静かに佇んでいた。
幸いな事に奴は明後日の方を向いており、此方の存在には気付いてない様子だ。
「あれがベヒーモス…かなり大きいですね。妬良さん、準備は良いですか?」
「大丈夫です、問題ありません」
俺はその場で起き上がり、両肩をポキポキと鳴らして体をほぐす。
「すみません…本当は白上もお手伝いしたいんですけど」
「お気遣いありがとうございます、ヨルさんからも説明を受けているので大丈夫ですよ。ここからは僕一人でやります」
今回はあくまでも俺の実力を証明する為のクエストであり、彼女の力を借りる訳にはいかないのだ。
「よろしくお願いします。危険だと判断したら白上も加勢しますので…御武運を!《
フブキちゃんはその場で一回転すると半透明な霧に包まれ、姿をくらませた。
(よし、フブキちゃんも避難してくれたし…不意打ちでも仕掛けてみるか?)
フブキちゃんが隠れた事を確認し、ベヒーモスを見やるとちょうど前足で目の周りを掻いてる所だった。
狼なのに猫みたいな仕草をするのか…(困惑)
「まあいいか…油断してるみたいだし、とりあえず《
背後から音が響き、振り返った先には折れた木の枝が転がっていた。辺りに木が生えていないにも関わらずにだ。
視線を戻すとベヒーモスと目が合ってしまう。
うん、ガッツリバレてるね(白目)
辺りを見渡すも誰も見当たらず、俺自身も動いてはいない。つまり犯人は…
「フブキさぁぁぁぁぁぁぁぁん!?」
「ご、ごめんなさぁぁぁぁぁい!!」
『グルオォォォォオォォッ!!』
わざとではないとはいえ、気が抜けそうな雰囲気の中、魔獣との戦いの幕が開けた。
先に動いたのはベヒーモスだった。凄まじい勢いで距離を詰め、勢いのままに振り下ろしてくる巨腕を横に跳び、避ける。
腕が地面に触れた瞬間、爆発したと錯覚させる程の衝撃が走り、砂埃が舞った。
「中々の膂力だが…当たらなければどうということは無いな。ほら、かかってこいよщ(゚д゚щ)」
『グルアァァァァッ!!』
俺の挑発に乗り、額に青筋を浮かべた魔獣ががむしゃらに振り回す腕を難なく回避。振り抜いた隙に《
食らう度にベヒーモスの身体には火傷や傷が増え、肉が焦げる嫌な匂いが漂った。
『グルオォォォォォッ!!』
ベヒーモスは攻撃が当たらないと分かるや否や後ろに跳んで距離を取り、青いオーラを放ちながら吠える。
直後、空には渦を巻く時空の穴が幾つも開き、それぞれの穴から隕石が顔を覗かせた。
「接近戦の次は弾幕攻撃か?だったら…押し通るッ!」
雨のように降り注ぐ隕石を左右に躱しながら走り抜き、避けれない物は斬鉄剣で切り裂き、突き進む。
「どう攻撃したものか…ん?あの隕石は…使えそうだな」
隕石の中でも一回り小さく、手頃なサイズの物が降って来るのを見かけて口角を吊り上げ、跳躍。跳んだ勢いを脚に乗せ、サッカーボールの様に回し蹴りをかます。
「そーら!プレゼントだッ!!」
蹴り飛ばされた隕石は弾丸の如き勢いでブッ飛び、魔獣の顔面に直撃。着弾と同時に鳴り響いた轟音がその威力を物語っていた。
『グギャオォォォォォッ!?』
余程効いたのだろうか、魔獣は顔を押さえながらもんどりを打って倒れ、もがき苦しんでいた。
「今だァァァァァァァァ──ッ!!」
その隙を逃さず、俺はトドメを刺そうと距離を詰め、斬りかかる。
『グルアァァァァァァァァッ!!』
しかしベヒーモスもやられまいと手足をばたつかせて起き上がり、大きく跳んで距離を取る。
「チッ、そう上手くいかないか…」
予想外の反撃に驚き、俺は何も出来ずに退避を許してしまった。
全身が傷だらけになり、息も絶え絶えになっても尚、ベヒーモスは生きていた。
流石は☆8ダンジョンのボス…一筋縄ではいかないらしい。
『グルルゥゥゥ…グルァァァァ!!』
ボロボロの身体に鞭を打ち、ベヒーモスは二足で立ちながら白いオーラを放ち、天に向けて咆哮を上げた。
釣られて見上げると空に集まった雲が赤く光りながら渦を巻き、空いた穴からは山と見間違える程巨大な隕石が墜下してくる最中だった。
どう見てもベヒーモス自身に向かって降って来ていた。
恐らく、俺を道連れにするつもりなのだろう。
「覚悟を決めてる所に悪いが、まだ死ぬ訳にはいかないんでね」
落ちてくる隕石へ鋭い眼を見据え、手を伸ばす。
「《
瞬間──空中にぽつんと浮かんだ小さな穴は見る見るうちに巨大な空虚な穴へと変貌し、迫りくる隕石を瞬く間に呑み込んだ。
役目を終えた闇色の孔は少しずつ縮小し、この世から消え失せた。
『グ…グル…』
魔力を使い果たしたのだろうか、ベヒーモスは地面に倒れ伏し、虫の息になりながらも俺を睨みつけていた。
俺はトドメを刺す為に近寄りながら口を開く。
「お前は強かったよ…今、楽にしてやる」
斬鉄剣を握る手に力を込め、振り上げる。
「じゃあな」
首目掛けて振り下ろすと、ベヒーモスは砂の塊となって分解された。
「……ふぅ」
安堵のため息と共に地面に座り込み、空を仰ぐ。
「妬良さん、お疲れ様でした!」
いつの間にか戻ってきたフブキちゃんが頭上から見下ろしていらっしゃる…あっこのアングル駄目、心臓止まっちゃう(陰キャオタク)
「フブキさん、終わりましたよ」
「本当に凄い戦いぶりでした!特に最後の大技《エクリプスメテオ》を消滅させるだなんて!!何をしたんですか!?」
「それはブラックホールを発生させまして…ん?」
ふとベヒーモスがいた場所に目をやるとドス黒く、尚且つ高貴な輝きを放つ魔石が転がっていた。
「ささっ!ギルドに戻りましょう!道中で詳しく教えて下さいねっ!!」
「そうですね…のんびり語りながら戻りますか」
ベヒーモスの魔石を回収し、俺達はギルドへと帰還するべく出口へと足を進めた。
「おめでとうございます!これで妬良さんもA級ハンターの仲間入りですね!!」
「ありがとうございます。これで僕もハンター名簿に登録されるんですか?」
「はい!手続きは此方でやりますのでお任せ下さい!!」
ギルドに帰還した俺達はルナさんにベヒーモスを討伐した事を知らせ、残りの手続きを済ませて貰った。
これで俺は資格を取得し、名前がハンター名簿に加わる事で今までの様に騒がれる心配は無くなった訳だ。
「白上さん、おかげさまで平穏な生活を取り戻す事が出来ました。本当にありがとうございます」
「いえいえ!白上はダンジョンにお連れしただけですので!ベヒーモスは妬良さんが倒したじゃないですか!!」
「僕だけだとダンジョンに入る事すら出来なかったですし…白上さんみたいな素敵な方にリードして頂けて僕は幸せ者ですよ」
「にゃっ!?うぅ…恥ずかしいので止めて下さい!!」
褒めちぎったら耳を垂らしながら机の下に隠れちゃった…
なんだこの可愛い狐は?式場の予約は済ませておきますね。
「あの〜イチャイチャするのはその辺にして頂いて…ベヒーモスとモンスターの魔石はどうされますか?売却なされるのでしたら査定を行わせて頂きたいのですが…」
視線が!視線が痛ぁい!!イチャイチャはしてないけど謝るのでそんな死んだ魚みたいな目で見てくるのはお止め下さい(懇願)
「おっとすいません…じゃあベヒーモス以外の魔石を売らせて下さい。この袋にまとめてありますんで」
俺は誤魔化す様に《
ベヒーモスの魔石は記念として残したいので取っておく事にする。
「畏まりました。査定が終わりましたらお呼び致しますのでお待ち下さい」
「あっ、ルナさん!その前に聞きたいんですけども…人助け関連のクエストはありますか?」
「えっ?えーと…迷子犬の捜索と治療薬に使う薬草の採取クエストがございますが…」
「分かりました!受注しますので手続きをお願いします!!」
「えっ、今から受注するんですか?ついさっきまで僕のクエストに付き合って頂いたばかりなのに…」
窓を見ると既に夕日は沈み、暗闇に染まっていた。今から受注すると日を跨ぐ可能性もあるだろう。
「そこまで動いてないのでまだまだ余力はあります!それに…困ってる人がいたら見過ごせないじゃないですか!」
「そうですか…それじゃあ僕も受注しても良いですか?」
「えっ?駄目ですよ!妬良さんはお疲れの筈ですし…家でゆっくり休んで下さい!」
ここでフブキちゃん一人に任せて終わるなんて男が廃ってしまう。俺が手伝えばフブキちゃんの負担は減り、俺もホロメンと過ごせる。依頼主も早めに目的を果たせると皆が幸せになれるのだ。
俺も仲間に入れてくれよ〜^^
「いえ、僕も体力が有り余ってるんです。魔力もニ割程度しか使って無いので、まだまだ戦えますよ!」
「あれでニ割って…フフッ、妬良さんはお気遣いが上手なんですね。それじゃあ…二人でパパッと終わらせますか!」
「了解です!・・・ん?」
「どうかしましたか?」
「いえ、夜に二人で出歩くって…まるでデートみたいだなぁ…と」
「〜ッ!!変な事言ってないで早く行きますよっ!!」
「あっ!待って…って速っ!?ルナさん!査定の結果は戻ってから伺いますので!!」
「分かりました、行ってらっしゃいませ」
濁り切った目で見送るルナさんにお礼を言い、俺はフブキちゃんを追いかけるべくギルドを飛び出した。
「びっくりしたなぁ…いきなりあんな事を言って来るなんて…」
街灯に照らされる夜道を駆け抜けた私は落ち着く為に公園に寄り、ベンチに座り込んで一息ついた。
なるべく気を使わせない様に冗談混じりで手伝おうとしてくれるんだもの、そりゃあ白上だって女の子な訳だし…ドキッとしてしまうのは仕方がない。
そこに爆弾発言をかまされてしまったら嬉しさよりも恥ずかしさが勝ってしまう訳で…そう!妬良さんが悪いんだ!!
でも、もしも妬良さんとデートするなら…ハッ!?危ない危ない…顔が緩んじゃう所だった。
「はぁ…クエストの手続きも済んでないのに飛び出して来ちゃった。とても戻れる空気じゃ無かったし、どうしよう…」
「フブキさーん!待って下さーい!!」
そんな事を考えてると妬良さんが駆け寄って来るのが見えた。
「妬良さ…ッ!?」
彼の顔を見た瞬間、心臓がドキリと高鳴ってしまい、思わず駆け出してしまった。
「手続きは済ませて来ましたよ…って逃げた!?何でぇぇぇぇぇぇ!?」
──ごめんなさい、今は逃げさせて下さい。
だって…貴方の事が好きになってしまったから。
いつか、私の口から好きだと言えるまでは、どうか…
あの後、何故か逃げ出したフブキちゃんを落ち着かせた俺は二人で迷子犬を見つけ出し、ダンジョンに潜って薬草をむしり取り、クエストを達成してから出勤した。
フブキちゃんには別れ際にクエスト報酬と魔石を売って稼いだ大金を山分けにし、受け取って貰った。最初は断わられはしたものの根気強くお願いしたら何とか了承して貰えた。やったぜ。
一睡もせずに出社したにも関わらず、頭はハッキリしていた。フブキちゃんと過ごせたのも大きいが、今日から平穏な生活に戻れるのだ。浮足が立ってしまうのも仕方がないのだ。
何とか顔がニヤけそうになるのを堪え、PCと向かい合う。あぁ…なんて幸せな日なのだろう。新しいパンツを履いたばかりの、正月元旦の朝の様に気分が良いぞぉ!!
「妬良さん!大変ですっ!!」
勢いよく扉が開かれ、先程振りのフブキちゃんが飛び込んで来た。扉も酷使に酷使が重なり、金具がひん曲がっている…後で直さなきゃ(白目)
「どうしたんですか白上さん?そんなに慌てて」
「こっ、これを見て下さい!!」
フブキちゃんが見せてくるスマホの画面をまじまじと見させて頂く。何々…?
「『《朗報》最近話題の謎の男、遂にハンター名簿に登録されるwww』・・・えっ?」
「すみません!謎だと噂されていたので正体が知られたら収まると思っていたんですけど…逆に有名になってしまいました!!」
「・・・ウボァー」
衝撃の事実を聞かされ、妬良はアホみたいな呻き声を漏らし、停電したようにプッツリと意識を失った。
「ああっ!妬良さん!?しっかりして下さい!!誰か!誰かいませんかー!?」
助けを求めるべく、フブキちゃんは事務所を飛び出した。どうやら…妬良が求める日常を得られるのはまだまだ先の話らしい。
妬良京兵
また知名度が上がった事を知り、ぶっ倒れた。フブキちゃんに励まされ、いっその事有名になってやろうと開き直ったそうな。
白上フブキ
良かれと思って妬良に資格の取得を勧めた結果、ぶっ倒れたので本気で焦った。
気を失っている間は彼女が看病し、目が覚めた後に必死に励ました。立ち直った姿を見て安堵したらしい。
ルナ
ギルド『アクセル』で働く受付嬢。初心者に資格を与えたりクエストを勧めるのが仕事。
仕事が忙し過ぎて婚期を逃しそうになっており、血眼になりながら出会いを求めている。