「ふわぁ…眠い」
すいちゃんと激闘を繰り広げてから数時間後、俺はシャワーを浴びて身支度を整え、ホロライブに出社した。
病気とかならまだしも戦って疲れたんで休みますだなんて言えないからね、しょうがないね。
疲労もバッドステータスとして扱われないかと期待し、《
こうなりゃカフェインに頼るしかねぇ!モン○ナ!飲まずにはいられないッ!(グビッ!)
どうにか眠気に抗いながらも仕事をこなした俺は昼休みになるや否や事務所を飛び出し、自販機でレッド○ルをがぶ飲みした。そんな美味しくないのに妙に飲みたくなるんよ。
飲み干してからソファーに座り、ひと息つく。
「ふぃ〜…」
「ちょっこーん!妬良様、体調が悪そうだけど大丈夫?」
金髪を腰まで伸ばし、悪魔の角と羽を生やしたセクシーなお姉さんこと癒月ちょこ先生が心配そうに話しかけてきた。
胸元が大きく空いたシャツの上から白衣を羽織り、タイトスカートにガーターベルトと大変素晴らしい服装をなされている。
「ちょっこーんです。ちょっと寝不足なだけなので大丈夫ですよ」
「寝不足を甘く見ちゃ駄目。免疫機能の低下、昼間の眠気による作業能率の低下、視力の低下、注意力の低下、疲労感の増幅等と様々な症状が現れるのよ」
俺に詰め寄りながら丁寧に説明してくれる癒月先生。というか症状が具体的過ぎる…流石は魔界学校の保険医っすね。
「肝に命じます。…っと、それでは僕はこれにて失礼しますね」
「駄〜目。《スリプル》」
チラリと時計を確認し、針が休憩の終わりを示している事に気付いた俺は事務所に戻ろうと立ち上がったが癒月先生が何かを呟いた直後、凄まじい眠気に襲われた。
「うっ…何…だ?これ…」
柔らかい沼に沈む様な感覚に襲われた俺は立つこともままならず、そのまま意識が遠のいてしまった。
「おっと、危ない危ない」
意識を失い、前のめりに倒れそうになった彼を正面から抱きついて受け止めた。
「( ˘ω˘)スヤァ…」
ガッシリした体つきなのに意外と寝顔が可愛い…このまま見続けてると何かに目覚めそうな気がする。早いとこ運ばないと!
「ちょっと一人じゃ重いわね…!誰かいないかしら?」
「ちょこ先生、妬良さんを見ていませんか…って何をしているんですか?」
「えー様、ちょうど良い所に!妬良様が寝不足みたいでして、眠らせたので医務室に運びたいんですけど…」
「あー…昨日は大変だったみたいなので仕方ないですね。足は私が持ちますよ」
「ありがとうございます。それじゃあ私は背中を抱えて…よいしょっと!」
「ふぅ…手伝って頂いてありがとうございます。そういえば先程大変だったと言われていましたが…何かあったんですか?」
「(¦3[▓▓]スヤァ…」
医務室に彼を運び、ベッドに寝かせた私はえー様が漏らしていた発言について問う。
「先程私も知りまして…これを見てください」
「これは…うわぁ、妬良様も災難だったみたいですね」
「えぇ。流石に酷だと思ったので今日は半日で上がって頂こうと思っていまして…起きたら伝えておいて貰ってもいいですか?」
「承りました。休んで貰ってから帰って頂きますね」
「はい、よろしくお願いしますね」
伝言を頼んだえーちゃんは医務室を後にした。
「・・・んあ?」
目が覚めると見覚えのある天井が目に入ってきた。いつの間にか俺は医務室のベッドに寝かされていたようだ。
「お目覚めかしら?」
こ、この脳が蕩けそうな声は…!
「ご迷惑をおかけしてすみません、ちょこ先生」
ムクリと起き上がった俺は連れて来てくれたのであろうちょこ先生にお辞儀をしつつ感謝を述べた。
ちょこ先生はベッドの近くに座っており、腕を組んで豊満な胸を寄せ、すらっとした長い足を組みつつ妖艶な笑みを浮かべて此方を見つめていた。これで保険医は無理でしょ(正論)
「いえいえ、保険医として見過ごせなかったからね。それに昨日はすいちゃんと夜通しで戦ってたんだから仕方ないわ」
えっ、何で知ってるのちょこ先生?(困惑)
「・・・もしかしてすいせいさんが広めたりしてます?」
「いいえ、ちょっとコレを見て欲しいんだけど…」
ちょこ先生はスマホを渡して来たので受け取り、画面を見させて頂く。
【大神ミオ】
おはみぉ〜ん!昨日はすいちゃんと家のスタッフさんがダンジョンで激闘を繰り広げててびっくりしちゃった!
最後はスタッフさんが無力化して勝ったんだけど皆にも見て欲しい( ¯꒳¯ )b
何やってんのミオママァ!?
なんで動画を撮った挙句SNSに投稿してるんですかねぇ!?すいちゃんを砂で固めた所までバッチリ撮影されちゃってるよォ!?しかも20万いいねって…バズり方えぐいてぇ!!
リプ欄を確認すると『すいちゃんってA級の資格持ってなかった?なんで勝ってるのこの人…』『一度も反撃してない…紳士かな?』『最近のスタッフってこんなに強いのか…こわいなーとづまりすとこ』とか色々書かれてるよォ!どうしてくれんのこれ(憤怒)
「これだけ有名になったら日常生活にも支障を来たしちゃうだろうし…変装した方が良さそうね」
「どうしてこうなった…?」
陰キャなのにこんなに有名になったらどうなるのか考えただけで胃が痛い…ヴォエ!!(手遅れ)
「えっと…元気出して」
現実を受け止められずに膝から崩れ落ちた俺をちょこ先生は背中を擦りながら慰めてくれた。そんな事されたら恋に落ちちゃうだろ!(歓喜)
「あと…えー様から伝言を預かってるわ。『昨日は大変だっただろうし、今日は半日で上がって下さい』との事よ」
「分かりました。ありがとうございます…」
帰りに半額の惣菜を買いに行くつもりだったのにどうしてこんな目に…ミオママは後日問い詰めた後にホラゲーやって貰おう(鬼畜)
俺は身の安全を優先し、《
「ミオちゃ〜ん、ちょっといいかな〜?(#^ω^)ピキピキ」
「うひぃっ!!すいちゃん!?うちはただ二人の戦いが凄かったから皆に知って欲しかっただけでってお願いだからその斧を仕舞ってぇぇぇぇぇ!?」
「幹部!幹部ー!!いるかー!?」
カタカタとキーボードを鳴らしながら画面を見つめ、また赤字だと頭を抱えている私に対し、勢い良くドアを開けながら呼んで来る声があった。
我らが秘密結社『holoX(ホロックス)』の総帥であるラプラス・ダークネスだ。膨大な力を有しており、世界を支配するラプラスの悪魔…の筈なのだが未知の枷を着けられたせいで力は封印され、ただの角が生えた子供に成り下がっている。
「今吾輩の事馬鹿にしなかったか?」
「とんでもないです。それより何かあったのですか?」
「そうだった!これを見てくれ!!」
そう言った総帥は一人の人物が映されたスマホを見せつけてきた。
「この人は…最近有名になったホロライブのスタッフさんですね。この人がどうかしたんですか?」
「コイツを家のメンバーに加えたいんだ!!コイツが加われば世界征服も夢じゃないぞ!!」
「いやいや、この人は既に就職されているじゃないですか。それに雇えたとして給料はどうするんですか?いろはに至っては未だに5円チョコですよ?」
「き、給料に関してははかせに新薬を開発して貰えば何とかなるだろ!」
「無理です。一昨日に石油を水に変化させる薬を徹夜で開発して倒れました。現在も寝込んでいます」
「何の役に立つんだよその薬!?逆だろ普通!?」
正直私も止めれば良かったと後悔している。しかし『大丈夫!ぼくに任せて!』と目を輝かせ、自信満々に言われてしまっては止める気になれなかったのだ。
「という訳で現在、新しいメンバーを加入させる余裕はありません。諦めて下さい」
「ぐぬぬ…吾輩は諦めないからなー!!しんじーん!さむらーい!どこだー!!」
あらら、いろはと沙花叉を探しに飛び出してしまった…まあお腹が空いたら帰ってくるだろう。今のうちに新薬の使い道を模索しないと…。
今日もholoXは平和である。まる。
妬良京兵
帰宅後、醤油かけご飯をヤケ食いしてから爆睡した。貯金が30万を切り、本気で焦っている。
癒月ちょこ
妬良の体調を見抜き、魔法で眠らせて休ませてくれた恩人。えーちゃんの指示が無くても半日で帰らせるつもりだった。
妬良の寝顔に魅入られ、いつか医務室で二人きりになろうと画策し始めた。
星街すいせい
ミオちゃんに勝手に戦闘シーンを投稿され、流石に恥ずかしかった模様。この後目茶苦茶お話(物理)した。
大神ミオ
純粋に妬良の事を知って貰いたいと思って投稿したものの予想以上の反響にビビった。後日ホラゲーをやらされる事が確定した。
holoX一同
この世界ではまだホロライブに所属しておらず、世界征服を企んでいる。はてさてこの先…どうなりますことやら。