【悲報】ワイら、呪術界に異世界転移する。 作:なんか変な色の翼
アンケートが予想以上に接戦だったので。
それぞれの前日譚の詰め合わせです。おかげで睡眠時間が減りましたファ●ク。
下手に一話書くより別々の話の導入考える方がしんどいんじゃ。
あっ、それと懺悔をば。某ブログで私の小説が紹介されておりまして。
「私の子供(小説)を紹介してくれて、ありがとう」とメロンパンみたいなコメントをかましてしまいました。マジでご迷惑をお掛けしました。
【最強の定義】
「空青い....」
「空きれい....」
「うしお前ら、治療終わったぞ。感謝して平伏しろや」
「「空めっちゃきれい.....」」
「硝子、これ本当に大丈夫なのかい?」
「知るか」
医務室に連れ込まれた二人は、硝子による反転術式の治療を受けてベッドで横になっていた。随分ハイになっていたからか、放心状態にあるようだ。
衛宮は打撲傷と右肩の骨折、そして呪力の過剰使用による肉体の内部破壊を負っていたという。恐らく右肩の骨折は巨大化した如意棒を使った際に、内部破壊は領域の限定展開と反転術式の同時使用をした時に付いた傷。要は自傷ダメージだ。
悟は反転術式に全神経を注いだせいで無意識に無下限を解き、最後の一撃をモロに身体に受けたのが悪かったらしい。全身打撲に軽度の火傷、無数の呪具に込められた呪傷を受けていたとか。それでも後者の傷は自力で解呪したというのだから、凄いガッツだ。
「まあ後遺症も残ってないし、大丈夫でしょ。」
「なら良かった。助かったよ、硝子」
「なんで男って喧嘩ばっかするんだか、やっぱ馬鹿だから?」
「.....止めなかった責任が有るって言いたいのかな?」
「せいかーい」
ポケットから煙草を出して一服しようとするも、二人の顔を見てポケットに入れ直した。いつもは気遣いなんてしない癖に、こういう時は妙に気が利くから憎めないヤツなんだろう。
「んで、どう思った?」
「どうって.....」
「衛宮、強かった?アンタも気になってたんでしょ?」
......痛い所を突いてくる。
確かに、衛宮は強かった。私の予想以上に。
術式無効の短剣、因果逆転の槍、完全再現された特級呪具の数々、術式反転による爆弾化、そして領域展開という奥の手。
術式は一人につき一つ、というルールに根底から喧嘩を売るような特異点だ。彼が呪術師側の人間で本当に良かったと思う。私が彼に勝つなら、領域展開が出来ないようにトップスピードでゴリ押すしかないだろう。
「強かったよ。悟と渡り合えるくらい、強かった」
「ふーん、やるじゃん」
まるでお気に入りの玩具でも見ているかのような目つきで、衛宮を見る硝子。そこにあるのは尊敬か、親愛か、はたまた別の何かか。
私は───
「酷い顔だね。同期二人に置いて行かれて拗ねちゃった?」
「まさか、私がそんな子供に見えるかい?」
「闇雲に受け入れて自分を知った気になるのも、子供っぽいと思うけどね」
私も、いつか最強に───
【持ち出し厳禁】
「衛宮〜!もう朝じゃぞ、起きるのじゃ!!」
「......zzz.....」
ドンドンと衛宮の自室をグーでノックする天内。しかし、中の衛宮は全く起きる様子はない。
それもそのはず、昨晩は特級呪具を量産していたのだ。いくら慣れた術式とは言え、徹夜して使用し続けて疲労が溜まらないわけがない。
「衛宮ー!!もう入るからのー!?」
ガチャリと扉を開けると、机に突っ伏して爆睡する衛宮の姿があった。普段は早起きでマメな性格をしている彼からすると、中々レアな光景だろう。
「ぬぬぬ.....これは起こした方が良いのか....およ?」
ふと足元を見ると、大量にお椀が転がっているのに気づいた。全て几帳面に漆塗りされており、全て同じデザインだ。ちなみに天内は呪術に関しての知識は齧った程度しか無いので、これが高層ビルすら封鎖できる危険物とは毛頭気づいていない。
「綺麗.....一つくらい取ってもバレないよね?」
音を立てないようにお椀を一つ回収し、そっと衛宮の部屋を後にする天内。この2日後、食器棚の中で巨大化して他の食器が全てパーになる事など、誰も知る由もない話である。
【金の成る木】
『やあ五条君。元気にしてたかな?』
「全身打撲して停学になってるけど元気!」
『ふふふ、相変わらずポジティブだね」
寮の自室で謹慎中の五条。しかし、その顔はいつにも増して晴れやかである。通話相手の冥冥も、声色で何かを察したようだ。
「んで、どーしたの?金関係の話以外で俺に電話して来るって滅多にないでしょ」
『勿論金の話だとも。金に執着する人は奇異の目で見られる事が多いと言うけど、人間誰しも金に依存してるものさ』
「説教は良いから要件は?」
『ふふ、一銭にもならないジョークは嫌いかい?まあ単刀直入に言うと、君が先日評価を頼んで来た辟火罩についての話さ。アレ、何処で手に入れたんだい?』
急に真剣なトーンに戻る冥冥。確かに先日、衛宮の作った辟火罩を冥冥に査定して貰おうと渡した記憶が有るが、そんなに出来が良かったのか?
「おいおい、ただの複製品だろ?オリジナルの術式をコピーして貼り付けるだけなら誰にでも出来るんじゃねーの?」
『いいかい?普通なら、呪具には製作者の術式か、それに類似した拡張術式しか込められないんだ。つまり完成度の高い辟火罩を作れるのは、仙人の先祖帰りくらいしか有り得ないってわけ』
「......それって、つまり」
『ところが君が持って来たのはオリジナルの辟火罩と全く同じ物だった。完全なコピー品だと言っても良い。こんなの、過去にタイムスリップして本人に作って貰わなきゃ有り得ない話だ』
.....なるほど、道理で特級呪術師を名乗れるわけだ。
特級呪具を製作できるのみならず、一点限りの貴重品まで複製可能という事の特異性をナメていた。アイツは天才が生涯を費やして作った渾身の力作を、戦闘の片手間に再現投影してしまう。普段呪具なんて使わないから、そのヤバさを軽視していたな。
『あっ、ところで話は変わるけど。あの辟火罩、5億で売れたからね。製作主に免じて、アドバイス料はおまけしてあげよう』
「へぇ、5お......5億!?」
『売った事実より値段の方を気にするのかい。まあ、複製品とはいえ世界に一つしかない貴重な術式だ。そりゃ買い手なんて幾らでもいるさ。兎に角、製造元を教えたまえ』
「.....教えたらどうすんの?」
『身元の秘匿と安全を保証して、貴重なビジネスパートナーとして頑張って貰おうかと思ってね。でも私に教える気がないなら、ソイツが世に出る前に五条家で保護するのをお薦めするよ』
「ハア?なんで?」
『禪院家に取られるよかマシだからね』
確かに。冥冥の所で馬車馬の如く働かされる衛宮というのは中々滑稽だが、禪院家でこき使われる目の死んだ衛宮はシンプルに嫌だ。
それに、無下限呪術対策の呪具を大量生産され襲撃される、だなんて事も有るかもしれない。そうなる前に自分の手元に引き込む方が得策か。
『まあ見当は付いてるんだけどね。どうせ、新しい特級の衛宮士郎君だろう?君の強いだけの術式と違って、アレは金になる』
「清貧って言えよ、清貧って。もしくは最強って」
『まあ、新しい特級呪具を作ったりオリジナルの呪具を製作したようなら、また私に鑑定させてくれたまえ。他の術師よりは見る目は有ると思うからね』
「他の術師は鑑定品を転売しないからな?」
ふふふ、と意味深な笑い声を残して電話を切られた。冥冥は嘘はつかないが、その分断言していないことには狡猾に立ち回ってくる。どうせまた転売するんだろう。
「....それにしても、どうしたらいいものかねぇ?」
アイツは友人か、好敵手か、部下か、取引相手か、はたまた敵か。
.....まあ良い、時間は存分にある。今は何気ない青春を楽しもう。
【飲んで飲まれて、呑まれて呑んで】
「衛宮、アルコールは医学の中でも重要な役割を果たしている」
「家入」
「消毒殺菌だなんて野暮な回答をするわけじゃねーぞ。実は、アルコールは少量摂取すると逆に死亡率が下がるんだよ。Jカーブ効果って言って、日本人なら純アルコール20gを摂取するくらいが丁度いいんだってよ」
「家入」
「だから私は酒を飲む。衛宮だって、こんな究極美少女には長生きしてほしいだろ?分かったら焼酎を返せ、後生だから。それめっちゃ高いやつだから」
「家入?」
「わーったわーった。一回休戦しよう」
クズ共は兎も角、コイツは出し抜けなかったか。歌姫先輩にも飲酒は止められたが、Jカーブ効果の理論を延々と説明したら納得してくれた。流石先輩、アホ可愛い。
「嫌がらせとかじゃないぞ?最近目元に隈も出来てるし、よく授業中も寝てるし....その体調で飲酒とか余計に体に毒だと思うんだけど、どうかな?」
「100%善意だからムカつく、クズどもを見習え」
「す、すいません.....?」
「冗談だから真に受けるな、クズどもを見習え」
呪術師は全員、頭がイカれている。歌姫先輩みたいに善悪の基準を保ちながら呪術師を続けてる人はいるけど、殺さなきゃいけない時は人を殺すんだろう。一般人の社会に戻るには、あの人でも手遅れなんだ。
「いいか、私はアイツら程クズじゃない」
「お、おう」
「だからストレスの捌け口が酒と煙草しかない。それを取り上げられたらシン●ーとかマリ●ァナに手を染める。なんなら外科用モル●ネを大人買いするかもしれない」
「薬に大人とか子供とか無いだろ」
「うっせ」
一瞬の隙を突いて焼酎の瓶を取り上げる。あー!という顔をしてきたのでそのまま酒瓶アタックを鳩尾に叩き込んでやった。効果は抜群だ。
「痛ってぇ.....」
「腹筋が足りてないよ腹筋が。もっと夏油みたいにバキバキに割りな」
「あんなゴリラ腹筋は目指してないです....」
「じゃあ身長伸ばして筋肉の総量増やしな」
「泣くぞ?そろそろ泣くぞ?」
よくもまあ、夢見がちな子供みたいな精神でここまでやってこれたな。呪術師は正義の味方でも何でもないってのに、世の為人の為だなんて口ずさめるもんだ。
焼酎の瓶を開け、並々とコップに注ぎ入れる。ついでとばかりに、衛宮のコップにも水面張力が働くまで入れてやった。麦茶が入ってたけど知ったものか。
「え、えーっと、家入さん?」
「アンタも飲むんだよ。その方が早く空くだろ?」
【ゴリラ廻戦】
「.....来たか!」
「バ、バイエルさん!よくぞご無事で!!」
「お前はコークンか。あの地獄をよく生き延びた」
忌まわしい襲撃のあった8月も終わる頃。呪詛師集団"Q"の生き残りである俺たちは、東京某所に身を潜めていた。
あの全国同時襲撃という計画的な犯行。恐らく天元直轄の部隊か、それに匹敵する規模の自警団によるものだろう。我々もそれだけの組織に目を付けられるようになったというわけか。
「失礼を承知で申し上げますが、此処は安全なのでしょうか....」
「ああ、結界術では引けを取らないグラッツが隠遁の術を行使している。この場を突き止められるのは、それこそ天元くらいしかいないだろうな」
「.....そうですか、なら安心ですね」
「奥にプリマとニチハムもいる、挨拶して来い」
はい!と元気よく返事をして駆けて行くコークン。しかし、それは空元気だ。今の絶望的な状況で、心まで折れないようにする為の偽物の笑顔だ。
───俺が何とかしなくては。
俺は一級呪術師を幾度となく葬り、離脱すればQ自体が崩壊するとまで謳われた最高戦力のバイエルだ。この程度の逆境、跳ね返せなくてどうする。
考えろ、打開策を考えろ。この5人で、どうすれば呪術界を転覆させられるか──
「浮かない顔だな、バイエル」
「.....放っておいてくれ、グラッツ。今は話をする気分じゃない」
「ああ、でもアイツらはそうでもないみたいだぞ?」
顔を上げると、そこには仲間達の姿があった。
どいつもこいつも、絶望を知らない笑みを見せている。
「バイエル、大丈夫か?先ずは再会を喜ぼうじゃないか」
「プリマ.....」
「心配すんなってバイエル!俺たちがついてる!」
「ニチハム.....」
「バイエルさんには及びませんが、俺も粉骨砕身で頑張ります!」
「コークン.....」
「ほら、お前には仲間がいるじゃないか。一人で抱え込むなよ」
ああ、そうだ。俺は一人じゃない。
数々の苦難を共に乗り越え、志を同じくして集った仲間がいる。
「ああ、俺たちなら出来る!呪術界に一泡吹かせてやろうじゃないか!」
「そうだ、その意気だバイエル!!」
「俺たちは最強なんだ!」
例えどんな選択をし、どんな未来を歩もうとも。
仲間がいれば何も怖くない。仲間がいれば、そう、仲間がいれば──
「さあ行こう、皆!!」
「おu──────」
ぱん ぱん ぱん ぱん
唐突な銃声。床に倒れる仲間達。
薄気味悪い微笑みを浮かべながら、それは血の池に沈んでいった。
銃声の発生源を見ると、異様に筋肉質な男が一人立っているのに気づく。
「ハイお疲れ、解散解散」
「お前は、誰だ」
「それを言っても金にはならねぇだろ」
銃口がこちらに向けられる。避けられない死が口を開いて俺を待っている。
ああ、神様。なんで俺にこんな試練を─────
「うるせぇ。念仏唱えて来世に期待しとけ」
ぱん
【悲報】呪詛師集団"Q"、構成員全員抹消
【朗報】伏黒甚爾、全然ナマってないので今も全盛期
【悲報】冥冥さん、最強のビジネスパートナーを見つける
次回は日常回にしようかメインにしようか迷ってます。
プロットは死滅回遊中盤まで出来てるんだけどなぁ.....
次の話は?
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