【悲報】ワイら、呪術界に異世界転移する。   作:なんか変な色の翼

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いつから衛宮が日サロに行くと錯覚していた?


【懐玉-陸-】喪中につき年頭の挨拶をなんとやら

 

 

前略、衛宮士郎が死んだ

 

任務中に、呪詛師に襲われ死んだ

 

 

 

 

 

 

【五条悟の場合】

 

 

 

 

「────は?」

「何度も言わせるな。衛宮が昨晩の巡回中に襲撃されて死亡した。追加の人員は出ないから、天内はお前たち二人で護衛し続けろ」

「そんな話聞いてねぇんだよ、ボケたか?」

「....現場からは、特級相当の呪具の残穢が検出された。恐らくは天元様や天内理子関連ではなく、衛宮の懸賞金を狙った呪詛師による計画的な襲撃だろうとされている」

「だから、そういう話を聞きたいわけじゃねェんだよ!!」

 

 

 

あの日は、何処か違和感のある日だった。

 

 

確か、あの晩の巡回は俺と衛宮の二人でやってて。それで、早く終わらせたいから二手に分かれて半々で回ろうって俺が言って。

 

 

それで、コッソリ目を付けていた隣町の菓子屋で皆に手土産でも買って帰ろうとしたら硝子が後を付けてて、結局選びきれなくてタクシー呼ぼうとしたら俺だけスルーされて。

 

 

意地になって一人で歩いて帰ってきたら、衛宮が戻って来てない事を知って。傑が探しに行こうって言ったけど、俺は面倒だったからアイツなら大丈夫だろって言って。

 

 

 

......俺のせいじゃん。

 

 

 

衛宮単体にも懸賞金が懸けられたのは知ってただろうが。

 

俺があの時、衛宮と一緒に回ってたら。

 

俺があの時、意地を張らずにタクシーで帰ってたら。

 

俺があの時、傑の言う通りに衛宮を探しに行っていれば

 

 

そうしたら、アイツは死ななかったんじゃないのか?

 

 

 

「....悟。俺も何がなんだか分からんのだ.....!!」

 

 

 

違う、違うんだ夜蛾セン。

 

衛宮士郎は、アイツは、俺が─────────

 

 

 

 

 

 

【夏油傑の場合】

 

 

 

 

「はい、そうですか」

「.....落ち着いているんだな」

「こっち側の世界に来た時から、覚悟はしていましたから」

 

 

嘘だ。落ち着いてなんかいない。

覚悟はしていても、心の何処かで慢心していた。

 

悟に並び立っていた彼が、こんな簡単にいなくなるなんて。

そんな事が有るはずがないと、錯覚していたのだ。

 

後悔なんて、無いはずがない

 

 

「....本当に大丈夫か?顔色が悪いぞ」

「大丈夫、大丈夫ですから。話の続きを──」

「....天内理子及び、衛宮士郎に懸賞金を懸けていた組織が明らかになった。"盤星教 時の器の会"という宗教法人だ」

「────つまり、非術師が?」

 

 

 

その後の先生の話は、碌に頭に入って来なかった。

 

 

元から問題視されていた宗教団体で、フリーの呪詛師をバイパスとしてダークウェブにアクセスし、その資金源になっていたとか。

 

天元と天内理子の同化を阻止するのを目論む最中、その護衛に当たっていた衛宮にも矛先が向いてしまったんだろうとか。

 

何かそういう事を言っていた、ような気がする。

 

 

 

 

術師(強者)非術師(弱者)を守る為に存在する。

 

だから私たちは命を懸けて呪いを払い、彼らの安全を保障する。

 

それなのに、何故彼らから命を狙われなければならないのか。

 

 

何故、弱者の為に戦い抜こうとした衛宮士郎(友人)が死なねばならないのか。

 

 

心の中で、何か大切なモノが軋む音が聞こえた気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

【家入硝子の場合】

 

 

 

 

「あ、うん。そっか....そうだよね」

「....お前は巻き込まれた側だ。責任は無い」

「いや、別に責任感じてませんよ。私に出来ること、無かったでしょうし」

 

 

いつか、こんな日が来るとは思っていた。

 

人は平等に死ぬ。そして人は不平等に死ぬ。何はどうあれ、衛宮が特別なわけがない。

彼もまた、私たちより少し早く冷たくなってしまっただけ。

 

 

「コレ、歌姫先輩にも伝えるんですか?」

「報告するのは任務に関わった者だけだ。彼の知人には海外出張と伝えられる」

「そっか...アイツ、一応特級でしたからね」

 

 

特級呪術師の訃報など、呪術界にどのような影響を与えるか分かったものではない。

天元との同化が来年に迫っている現状、どうしても高専は衛宮の死を隠したがるだろう。

 

 

「先生、衛宮のホトケって」

「.....届いている。近日中に解剖される予定だ」

「私がやっても、いいですか」

 

 

それでも、私だけは彼の死を悼んでやりたかった。

私たちに振り回されて、大人たちから利用されて、遂には金に釣られた見ず知らずの人間に殺されて。報われないったらありゃしない。

 

思い返せば、衛宮が自分から私に何かを話そうとしたのは"あの日"だけだったんだ。

一緒にいて楽しいからって自分の都合ばっかり押し付けて、アイツの事なんて考えてなかったんだ。

 

 

「先に言っておく。硝子、絶対に後悔するぞ」

「....最期くらい、アイツの為に何かしてやりたいんです」

 

 

こんな事をしても、もう全てが遅いのは分かっている。

 

でも許されるのなら、もう一度だけ彼の声を聴きたい。暖かい温もりを帯びた、あの声を聴きたい。

 

 

 

 

 

 

 

【みんなの場合】

 

 

 

衛宮士郎は死んだ。誰も手の届かない場所へと逝ってしまった。

 

 

五条は喪失感を知り、自分を責め、もう二度と失敗するまいと固く誓った。

 

夏油は現実を悟り、信念を疑い始め、揺れる天秤に目を当てざるを得なくなった。

 

家入は後悔を覚え、理解者を失い、行き場のない衝動に心を焼かれた。

 

 

天内家の下駄箱に並ぶ靴が一足減った。夜中にふと金属音が鳴り、夏油がキレる事が無くなった。

 

食事を作るのが黒井さんと家入だけになった。朝のゴミ出し当番ルーティーンが少し早くなった。

 

天内が2日だけ学校を休んだ。黒井さんが毎晩、衛宮のいた部屋に向かって手を合わせるようになった。

 

4人で写った写真を見ると胸が痛くなった。全員で座っていたソファーが広く感じた。

 

取り留めのない話を纏める人間がいなくなった。五条が時々ぼんやりするようになった。

 

おかえり、を言う数が一回少なくなった。ただいま、という声を聞く数が一回少なくなった。

 

 

衛宮士郎が死んだ。それを受け入れるようになった。

 

衛宮士郎は死んだ。それが過去の話になっていくのを感じた。

 

衛宮士郎は死んだ。それでも、前を向いて行こうと思うようになった。

 

 

その全てが彼を置き去りにしているような気がして、全員が嫌悪を覚えた。

 

 

 





今回は暗いので短めです。

なんかメインを求める声が多いので、次回もメインにします。
はよ曇らせの沼から抜けたいのじゃ.....



次回、「【懐玉-漆-】"正義の味方"の味方になりたい」

少しメインはお休み。見たいショートストーリーを選ぶのじゃ

  • デンジとアリウスの邂逅
  • 完璧で究極のボンドルの研究日誌
  • まるでナルトス博士だな
  • はよメイン進めろやボケ
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