【悲報】ワイら、呪術界に異世界転移する。 作:なんか変な色の翼
もうちょいで一部は終わりです。
宿儺に堕ちそうなんですがコレって異端?教えて有識者。
領域展開。それは術式と結界術の終局点。
発動する為には、三つの難関を越えねばならない。
一つ。生得術式をアウトプット出来ること。
どれだけ優秀な術師だろうと、生得術式を持っていなければスタートラインにすら立てない。例え待っていようとも、身体の外部に術式の情報を反映できるほどに自己を理解していなければ話にもならない。
二つ。結界術を極めること。
結界術と術式の才能は別物であり、補助監督として帳を降ろす才能はあれど戦闘員としてはからっきし、という人間は珍しくない。その逆も然り、帳を降ろせない呪術師も存在する。そのような天に二物を与えられなかった人間では辿り着けない。
そして三つ。生得領域が鮮明であること。
生得領域とは術式や結界とは違い、術者の精神世界を指す。意志の強い人間であればあるほど具現化しやすく、呪霊のような生まれて来た理由のハッキリした生き物の場合は達成し易い。特級呪霊の四体のいずれもが領域展開を扱えるのはコレが大きいのだろう。
つまり、領域展開とは文字通りの"絶技"。一流の中での一流にのみ許された御業。
そのような技を正面から喰らい、生きて帰れる者はそれ以上に一握り。
特級呪術師とて、その例外ではない。
「存外ニツマランナ、特級」
掌印を解き、展開していた領域を引っ込めるミゲル。
その後には、全身を押し潰され血塗れになった士郎が残った。
「才能ガマルデ足リテイナカッタ。セメテ領域ヲ使エレバ少シハ退屈シナカッタダロウ」
空性結界を操作し、外部へと繋がる穴を開けるミゲル。無論、行き先は最下層の薨星宮だ。
「恨ムナラ俺デハ無ク諸悪ノ根源ヲ恨メ。アイツガ生マレテ世界ハ変ワッタ。五条サトルガ───」
「うるせぇよ」
黒のグラサン越しでも分かる程に目を見開いて振り返るミゲル。そこには、念入りに"潰した"はずの士郎の姿。立ち上がり、敵意に満ちた目で此方を見つめる男の姿があった。
「────で、誰だよお前」
「誰ダ、トハ?」
「とぼけるな。お前、薨星宮と忌庫の間に空性結界が有るの知ってただろ。一級呪術師でも忌庫から薨星宮への行き方を知ってるのは一握り、それを海外の呪詛師が完全に把握してるなんて有り得ない」
士郎の脳には、今は亡き"衛宮"が残した前世の記憶が宿っている。それは彼の分岐路であり、有り得ざる未来の結末であり、この世界の予想図。敵の手の内を暴き尽くす無比の遺産。
そして今、それが細胞の一片に渡るまで脳内に警鐘を鳴らしている。
「さっさと答えろ、オマエは誰だ!!」
ニマリと笑うと、船乗りのような帽子を勿体ぶって取るミゲル。
そこには─────────
「キッショ。なんで分かるんだよ」
全ての転移者の敵、羂索の
732:開ケロイト市警
開けろ、市警だ!
733:開ケロイト市警
死刑だ!
734:開ケロイト市警
開けロイト市警だ!
735:開ケロイト市警
デトロ、開けろ、開けロイト死刑だ!
736:名無しの呪術師
廃棄処分待ったなしで草
737:名無しの補助監督
28体のコナーだと!?
738:名無しの呪術師
前任者を壊れてもリサイクルし続けた結果か。3Rの存在意義を見直さねば
739:偽物の先生
それ、同一のデバイス判定されるんだね.....
740:開ケロイト市警
報告が入りました。石流が壊した結界の穴、修理完了です
741:開ケロイト市警
報告が入りました。夜蛾、冥冥、歌姫の三名の場所を特定。
全員生存、マップにピン刺ししておきます。
742:開ケロイト市警
報告が入りました。管理人、空性結界へと通信を拡張。
衛宮士郎との視界リンク、再開します。
743:名無しの呪術師
やっとか
744:工場長
雑魚戦終わったし、残りは特級どもか。五条の救援はどうする?
745:鼻☆塩☆塩
別に要らないだろう。彼、最強なんだし
746:アメリカ大統領
御三家秘伝の落花の情が有る。今の時点でも飲んだくれよりは強いだろうし、大丈夫だな
747:偽物の先生
おっ、リンク戻った
748:名無しの呪術師
749:名無しの呪術師
は?
750:名無しの補助監督
え?
751:名無しの結界師
うそやろ
752:名無しの呪術師
あ?
753:偽物の先生
早くコテハン送って、早く!
754:一方通報
オイオイオイ、そういうのアリかよ!?
755:アメリカ大統領
フィジギフ組で帳付近にいる奴はいないのか?
756:グラニテバット
無理!!俺と柳生さんは機動タイプじゃないんだっつーの!
757:名無しの呪術師
おーい!衛宮、お前生きてんのか!?生きてるよな!?
758:名無しの補助監督
なんでミゲルを回収してんだよ、キッショ!!
759:管理人
生きてる?
760:衛宮士郎
ギリだ
761:偽物の先生
忌庫までワープでコテハンを送るから少しだけ耐えて。
管理人も直ぐに到着するから。
「.....いやいやいやいやいや、コイツは....マジかよ」
金属バットと柳生との交戦開始より、凡そ七分が経過。
戦場は粗方掃討され、無数に展開されていた改造人間と呪詛師も底を突き始めた。
そんな中、士郎の通信から知らされた羂索の存在。それも空性結界まで侵入しているという号外モノの報告。これには流石の2チャンネルも、相応の対応をせざるを得なくなった。
一つは、呪骸と判定されやすい人員の緊急派遣。
元から派遣されていた呪力が無いアンドロイド、コナーに加えてエージェント・スミス、グリーヴァスなどのドロイドの大群が押し寄せており、物量作戦で窮地に追いやられていたポイントの奪還も時間の問題だろう。
「こいつは.....スイートが過ぎるってもんだろ」
もう一つは、"管理人"のアバターの投入。
五百年の
江戸の世で無双を誇っていた石流に、数世紀ぶりの緊張が走る。
羂索は死滅回游の游者を手駒のように扱っているが、誰でも利用できる訳ではない。このままでは死滅回游が開催できない、と脅しをかけてノッて来ないと復活させただけ損を食う。だからこそ、羂索は蘇らせる協力者に"強い理由を持ち死滅回游に参加している者"という条件を付けている。
事実、レジィは死滅回游の最期を見届ける事に興味が有り、石流は満足感を求めて参加している。第二の人生を謳歌しようと早退される危険はあれど、現代の術師という人参を吊るしてやれば勝手に働いてくれると判断されたのだろう。哀れリーゼント。
....話を戻そう。であれば、この男は圧倒的な暴力を前に退却するだろうか?
小鹿のように臆し、誇りを放り捨ててまで命を拾うのだろうか?
「術式出力最大───グラニテブラストッ!!!!」
答えは否。むしろ、全力でぶつかりに行く。
石流の術式は呪力の放出。故に、いざとなれば領域で相手の術式を潰して素の呪力での殴り合いに持ち込める。上空より飛来する管理人に砲身を向け、昂る精神を乗せた一撃を放───
「.........ガ、ハッ.....!!」
「させるとでも?」
───とうとした瞬間、背後から黒杖に丹田を貫かれる。
いくら呪力出力と瞬発力がピカイチだろうが、呪力の発生源を潰されると元も子もない。
(コイツ....分身の術式!?透明化の能力を待った式神に自分を格納して、姿を消していたのか!クソッ、今はとにかく呪力を───)
「遅い」
背後から石流を貫いた黒杖を両手首にも突き刺して彼の身体を固定する。
そして、滞空していた管理人は右腕を変形させ───
「修羅ノ攻・遠」
「......ああ、こりゃ胃もたれしそうだ」
巨大な砲身へと変え、グラニテブラストにも劣らぬ呪力の弾丸を撃ち出した。防ぐ両腕を奪われた石流は真正面から喰らい、高専結界の外殻を越えて吹き飛ばされて行く。
「仕留め損なったか。だが────」
結界の起点が有効範囲外まで飛ばされた事により、直線上に張られた帷が崩壊する。恐らく再起不能にはなっていないだろうが、機動力の低い石流であれば結界侵入前に追い付かれる事は無いだろう。
紙袋を被り直し、目出し穴から紫の瞳を細める管理人....のアバター。倫理観がゆるキャラな人に仕立てて貰った機体に、中の人もご満悦の様子だ。
「六道の術に問題は無し。肉体の術式とも併用出来るな」
分身の術を解除しながら、右腕を次から次へと多彩な兵器に変形させる管理人。
お察しのとおり、管理人の名は長門。忍びの世で神を名乗った、やはり天才な人である。
アバターの肉体は無論、分身の術式を持つ呪詛師のモノ。アバター運用のプロフェッショナルことボンドルドの手が加わり領域の中でも活動可能となっており、呪術界に出せば特級相当の呪物に判定されることは間違いないだろう。
これが、五百年の妄執。宿儺にも引けを取らぬ呪いの権化の力。
多少寝起きで出力は落ちているものの、十二分に"アッチ側"の存在だ。
「これで詰めだ。どう出る、羂索」
(まさか、まだ意識が有るとは....何故死んでいない?三十秒も"潰した"はずだ)
取り外した頭蓋を元に戻したミゲル....いや、羂索は訝し気に士郎を眺める。それはそうだ、羂索の領域は宿儺と同じ"閉じない結界"。確実に彼に直撃した事は確かな上、悪足掻きの簡易領域すら展開されなかったのは確認済み。それなのに、何故コイツは立っている?
術式反転させた反重力機構を領域に付与した"胎蔵遍野"は、天元でも直接解除させるのは不可能な神業。特級呪術師の九十九でさえ、対領域に特化した簡易領域を使っても数秒しか時間を稼げず、一撃でノックダウン出来るほどの破壊力を持つ。
それを何の対策もせず、肉体の強度も未成熟な少年が耐え切った?
(術式反転が使えるのは知っている。ここまで追い込めば回復への転用も出来るようになっていてもおかしくないな。だが好きにすればいい、私は今の内に術式を回復させてもらう)
疑問を抱きつつも冷静に戦況を解析する羂索。今は術式が焼き切れており、お世辞にも十全に戦える状態とは言えない。手数の多い万と戦う場合をシミュレートして、勝率は四割といったところか。そこに領域展開を加えれば更に大特価半額セールされるかもしれない。
しかし、自分の手元には特級相当呪具の黒縄が有る。その効果はあらゆる術式効果の中和。通常の呪術戦でのアドバンテージは元より、たとえ領域展開をされようとも領域に付与した生得術式を中和する事で無害化させる事ができる。
つまり、今の羂索にとって"接近戦"以外は全て対策済み。その選択も先出しの領域で潰した。反転術式で治療すれば術式を回復させられ振り出しに戻る。
一手の詰将棋の如く、単純明快な"詰み"の局面。
「───
だが、ここに例外が存在する。
衛宮士郎が駒だというのなら、彼の手の届かない場は存在しない。
動けないのであれば、"動かす"まで。肉を切り骨を断ってでも歩を進ませる。
たとえ肉が潰れようとも、彼には覚悟が有る。破れぬ誓いが有る。
その規格外の精神力が、羂索の予想を盤上ごとひっくり返した。
「治せよ!!!」
「治さねぇよ!!!」
筋が何本も裂けた脚を酷使して跳躍し、羂索へと肉薄する士郎。だが、それを易々と許す羂索ではない。黒縄を鎖鎌のように振り、死角から頭部への奇襲を狙う。
対して士郎はノーガード。防ぐだけの余裕が無いのか、そもそも気付くだけの意識が残っていないのか。呪力を通された黒縄は唸り、うねり、そのまま士郎の側頭部に───
────命中し、黒縄は砕けた。
「は?」
羂索の口から間抜けな声が漏れる。
黒縄は、アフリカの部族が何十年単位で作り上げる呪術的繊維を編んで作った逸品だ。
呪物を作る際、器に呪いを込める際に時間をあまり取らなかった場合、器自体に欠陥が残る事も有る。よって、同じ量の呪いを込める際でも、より長い時間をかけて作り上げた呪物の方が長持ちするのが条理。
では、何故一撃で砕けた?
いくら黒縄が消耗品といえど、人体を叩いてこんな事が起きるのは有り得ない。
まるで術式そのものを攻撃したかのような摩耗の仕方だ....術式そのもの?
「そうか、そういう───」
「オラァッ!!!!」
鼻っ柱に右ストレートを喰らい、二転三転しながら転がる羂索。
鼻の頭が折れて鼻血を吹くと同時に、"斬られたような"痕が残った。
「.....領域展開を耐えられたのにも納得がいく。体内で領域を完結させたか」
拳の先から鉄片が飛び出す士郎を見て、何かを悟る羂索。
そう、士郎は自らの肉体を領域の外殻と定義して簡略化する縛りで、掌印と祓詞を省略した領域展開を成立させていた。こうすれば肉体の内側には必中効果は届かず、羂索の領域であろうとも致命傷は避けられる。
(しかし、領域展開の結界には質量が有る!仮想の物質といえど、現実世界に存在するためには、多少は現実の法則に則った性質が付与されている!それを体内で展開するのは、筋肉の下に鎧を着込むような凶行と同じ!)
だが、それをやってのけるのが衛宮士郎という男。
自らを乗せる天秤が壊れた男に、自己犠牲も、リスクも、駆け引きも存在しない。
最善手のために自らを投げ打つ事など、今更造作でもないのだ。
「狂ってるね。何がそこまで君を追い立てるんだい?」
「は?」
「星漿体護衛の任務は確かに大事だ。失敗すれば日本全国に被害が及び、場合によっては日本全国が地獄絵図になるだろうね。でも、所詮は他人に与えられた任務だろう?」
残った黒縄を拳に巻き付けつつ、士郎を一瞥する羂索。直に叩きに来ようとしているのを見るに、どうやら接近戦の土俵に上がってくるらしい。
「その態度は御立派だが、それに命を懸けるのは理解できない」
「.....どの口が言ってんだ」
「信念や目標とか無いのかい?他人の為に生き続ければ限界が来る。自分の人生は自分に使ってこそだろうに、なんで他人なんかのために必死になれるんだい?」
嘲笑うように口角を上げて見せる。当然、ただの煽りではない。前述した通り、領域展開を使用するためには生得領域が鮮明であることが条件である。
感情の昂ぶりは呪力を生み出す重要な要素だが、生得領域は心の不安定さに影響されて波紋が広がる。多少リスキーな手では有るが、これも心理戦の一つなのだ。
それを士郎は───
「ああ、好きなだけ言ってろ。俺のは所詮、偽善だからな」
「他人の為だなんて言いながら、結局は自分の為だった。誰かに笑って貰うのが好きだったんじゃない、誰かを笑わせるのが好きだっただけだ。己を賭した献身だとか、聖人君子の騎士道なんて理解出来やしなかった」
今の彼には、全ての記憶が有る。
正義の味方となった自分。守護者となり摩耗した自分。全てを手放して壊れた自分。
普通の人間として幸せになった自分。約束を果たせず、大切な人を置き去りにした自分。
そして、世界の敵となってでも願いを突き通した自分。
「だけど、それを肯定してくれた人間がいた!なら俺は───偽善に従って、それに応える!!」
何度でも言おう。
それは、本来であれば衛宮士郎が絶対に取らないであろう選択。
一人の人間を守りたい、などという自分自身が許さない筈の願い。
「どけ!!俺達は─────ッ!!!」
しかし、どれほど自らを斬り刻もうとも、彼が折れる事はない。
"衛宮"は死んだ。夢は潰えた。
この風の向こうに、正義など存在しないと分かっている。
だが、それでも。まだ
衛宮ルートに決まってから、これがやりたかった.....!!
お気に入りしてる人全員が高評価すればよォ~!8000人分の評価の追加で総合評価爆上がりだなァ~!?これで日刊一位は俺のモンだぜェ~!!
....嘘です。でも高評価してくれると嬉しいです。
次回、「【凱玉】正義を超えて」
すくにゃん!
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好き!救済欄に入れていいよ!
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嫌い!虎杖にしばかれろ!!
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どっちもあり得る。そんだけだ。