【悲報】ワイら、呪術界に異世界転移する。 作:なんか変な色の翼
ジョイン ジョイン ゲトォ(視点キャラ)
日本。
余裕で潰せる。悟と士郎を除けば。
この国のトップは、実質総監部なのだ。総監部が潰れれば御三家が政治に裏側から口出しするようになる。だが、御三家は対立しあっているからこそ御三家なのだ。現状ですら最適解の出せない日本政府が彼ら全員を納得させる事の出来るような行動を取れるわけがない。
国会議事堂を襲撃なんて直接的な行動を取らずとも、勝手に沈没するだろう。
アメリカ。
資本主義の塊のような国だ。相応の品を送れば内政干渉は行わないだろう。
呪力というものは性質上、現実に存在するエネルギーに近からず遠からずの特性を持っている。そのため、第一次エネルギーの代替品としては十二分に機能する。実際、タービンを回すだけならば私の呪霊操術で火力発電所を石油要らずで百基は稼働できるだろう。
日本人の拉致が起きるかもしれないが、その時はその時で考えれば良い。
中国。
利権干渉には事欠かない狂ったスピーカーだ。どうせ難癖を付けてくる。
希少な例外を除けば日本人にしか宿らない固有の能力だというのに、独占もクソも無かろう。最悪の場合は呪術的な侵攻も考える必要が有るかもしれないが、そこまで計画が進んだ段階でもビッグマウスを保っていられるかは見ものだな。
ロシア。
アメリカと"お話"をする以上、こちらも見逃せないな。面倒なものだ。
一番面倒なのは、日本国民の保護だとか何とか言って戦争を起こされる事だが.....その心配は無いだろう。人間、それも非術師は祓除の何たるかを知らない限り呪霊には勝てない。日本の中でも有数の情報源、私の術式に対抗できる数の呪具、そしてその使い手を持たない限り、彼らの勝利は現実的ではない。
特級呪術師の基準は"単独での国家転覆が可能"である事。
つまり、私にとって国家は障害にはなり得ない。小石を蹴るように退かせるのだから。
ならば、私にとっての障害とは何か。それは.......
「火、要るかい?」
「
「喧嘩売ってんのかい?」
かなり大多数の男性を敵に回しそうな口振りの硝子。人の事を犯罪者扱いするくらいなら、その手に持った煙草をどうにかしてから言ってほしかった。
「で、何か用?」
「運試しってところかな」
「へぇ....一応聞くけど、冤罪だったりする?」
「ないね、残念ながら。覚悟してやったことさ」
「ついカッとなったんじゃなくて?」
「勿論。これを足掛かりに日本を....いや、世界を変えようかと思ってね」
意味わかんねー、とあしらいながら携帯をワンプッシュした。相手は恐らく悟だろう。別に止められたところで何も感じやしないだろうが、それでも少し期待してしまった自分がいるのに気付いた。
「ま、好きにすれば?特級様でしょ、アンタ」
「様付けされるとは、私も出世したものだね」
「アンタの性格じゃ、これが一番効くでしょ.....五条?夏油いたよ。そ、新宿.....嫌だよ、自分で話しなってば。私じゃ何されるか分かんないじゃん」
やはり、こちらには女児誘拐として伝わっているのだろうか。せめてアレは誘拐ではなく保護なのだと誤解を解いておきたいが.....いや、悪化させるだけだな。まあいい、全てが終わった後に、ゆっくり話せばいいさ。
「切るよー.....で、世界をどうやって変えるわけ?」
「全部壊す。呪術師も非術師もいない、私の信頼する人間だけの世界に変える」
「
「この世界じゃ、私は腹の底から笑えやしないからね」
普段とは違う嫌悪の声。ここまで彼女が感情を露にするのは珍しい。
でも、私は止まるわけにはいかない。何故なら、そう決めたのだから。
「七海がぼやいていたよ、"呪術師はクソ"だって。そりゃ、自分の命を誰かのために投げ出す事を強いられて、他人に勝手に命や
だから、この世を変える。根こそぎ膿を潰し、全てを
そこには思想も、善悪の概念も、私達を傷つけるモノも、何もない。
ただ惰性的に、恒久的に続く穏やかな日々があるだけだ。
「だから、世界を変える。そして私が作り直す」
「理子ちゃん、泣くんじゃない?」
「泣くだろうね」
「士郎と五条、多分ガチでキレるよ?」
「そうだろうとも。覚悟の上さ」
「ははっ、サイテーじゃん」
「うん、知ってる」
だが、それを私の守りたい人は望んではいない。
この掃き溜めのような世界を変えたところで、私しか笑えない。
その内、きっと私自身も笑えなくなってしまうのだろう。
「まだ止まれるよ。引き返したら?」
「.....二人に宜しく言っといてくれ」
「何言っても変わらないと思うよ」
だけど、もう止まれない。振り向く事は許されない。
弱者生存を否定したのならば、最後まで突き通さなければ。
たとえ行き着く先が、地獄の窯に繋がっていようとも。
「客は揃っているのか」
「そりゃもう。各支部長、代表役員まで」
「上出来だ」
半月が経った。友人からの電話、メール、その他諸々は着拒した。
本当に笑える。腐った世界の中にだけ、唯一の青春が残っているのだから。
「....会長はいないのか。時の器の会の後進だろう?」
「どこからか献金を管理する通帳のデータが漏れて、豪遊しまくってるのがバレたんだと。それが原因で信者から訴えられまくってるらしい。アンタも気を付けろよ」
「しないさ。そういう事をしたくてココに来てるんじゃないんだからね」
言わば、この教団を乗っ取るのは"足掛かり"だ。
金を集め、呪いを集め。もっと大きなモノへと噛み付くまでの隠れ蓑であり、善根宿。
二、三年も経てば用済みなのは間違いない。自分だって、こんな場所は虫唾が走る。
「夏油様......」
「良い子で待っていなさい」
金髪と茶髪の女の子....菜々子と美々子の頭を優しく撫でてやる。
そうだ。私は何も、全てが壊れるべきだと思っているわけではない。
弱きが強きを侵す事もなく、強きが弱きを蔑む事もない世界を欲しているだけだ。
残った人間にソレを理解されないとしても。
「あー、あー。長らくお待たせしました。では手短に」
舞台袖から登場した私に、会場内からどよめきが起こる。
実に煩わしい、せめて話を聞いてからにしてくれないだろうか。
「今この瞬間から、この団体は私のモノです。勿論名前は改めますし、献金の制度も変更致します。これは要求では有りません、命令です。代表役員などの要職も解体するので、是非とも私に従ってください」
「困りましたね....ああ、園田さん!宜しければ壇上へ!そう、貴方で───」
渦巻いている。心の中で、油のカスのような呪いが渦巻いている。
それは劣等感、それは嫌悪、それは理不尽への憤怒。
それは軽蔑、それは拒絶、それは抵抗、それは欺瞞。
陰陰滅滅な感情のごった煮が、延々と廻っている。
「─────ああ、そうか。来るよね、そりゃ」
それに色を付けるならば....いや、濁って何色かも分からないのだろう。
行き場のない、ぶつけようのない
何故なら、自分一人で完結してしまうから。
自分という殻の外に出る事はなく、他人という光に照らされずに終わるから。
「で、殺しに来たのかい?」
それでも、私は一つだけ色を知っている。
きっと、私が世界を全て変えてしまおうとも。彼は変わらないのだろう。
それは─────────
「いや.....
~~聖徳太子が川に流れるまで~~
村人1「巻き巻き巻き巻き」
村人2「そォォい!!!」
青ジャージ「パハマァ!!!」
この間、僅か0.2秒。
皆は聖徳太子の不法投棄はやめようね。
次回、玉折最終回。
「【玉折-後編-】空と油」