【悲報】ワイら、呪術界に異世界転移する。 作:なんか変な色の翼
ジョイン ジョイン ゴォジョォ(視点キャラ)
「.......は?」
「何度も言わせるな。傑が非術師に暴行を加え、呪術師の素養が有る女児二名を誘拐して姿を眩ませた。本来であれば顔見知りのお前を動かすわけにはいかんが、相手が相手だ。私情を殺して取り掛かれ」
「聞こえてんだよ。聞こえてるから"は?"って言ったんだ」
「.....傑の実家にも調査員を送ったが、帰って来た形跡は一切無かった。国外への逃亡のリスクも有る。総監部は尋問のための捕縛という名目は出してあるが、いざとなれば処刑も黙認するそうだ。もし傑が手に負えない場合は──────」
「ンな事できるかよ!!何なんだよ、この茶番は!!!」
「悟....俺も、何が何だか分からんのだ.....!!」
【お掛けになった電話は、電波が──────】
「.....クソッ!!」
役立たずの携帯電話を床に叩きつけ、呻くように罵声を飛ばす五条。夏油傑の捕縛任務を受け、半月が経とうとしていた。
頼れる情報は、新宿で家入と接触したという一件のみ。もしや自分も探されているのではと思い周辺を六眼で探したものの、彼の残穢すら確認することはできなかった。
士郎は九州への出張により合流不可能。特級案件だというのも有るが、捻くれ者の集まった総監部の事だ。難癖を付けて妨害するのは目に見えている。
【電話番号をお確かめの上で──────】
「クソッ、クソッ、クソッッ!!!」
見つからない。繋がらない。今まで当たり前に接してきた人間が離れるという事は、これで二度目だ。言い換えようのない虚無感と焦燥感が脳を掻き立て、過呼吸を引き起こしそうな興奮と身の毛がよだつ悪寒が絶え間なく襲ってくる。
「俺だって....何が何だか分からねぇよ!!」
何故。何故、夏油は去ってしまったのか。
五条にはそれがどうしても分からなかった。
高専に入る前....いや、つい最近まで、自分と自分以外には線引きがされているものだと思っていた。どれだけ友情を感じようとも、どれだけ親愛を積み重ねようとも、自分と他人の間には種としての違いが有るものだと思っていた。自分以外の全てが、花のようだとすら感じていた。
どれだけ雄大に咲き誇ろうとも、どれだけ可憐に彩ろうとも、結局は花の中の尺度での話。それを愛でる事は有れど、同じ地平に立って話す事は生涯無いだろうと思って生きてきた。
「嫌だ.....そんなの嫌に決まってるだろ!何で相談してくれなかったんだよ!何で一人で抱え込んだんだよ!まだお前と、どんだけ話したい事が残ってると思ってんだ.....!!」
だが、この胸の痛みは何だ?
花の一輪が欠けた、では済まされない喪失感は何だ?
それを五条悟は理解できない。本来、理解する必要も無い事なのだから。
花壇の花が風に吹かれ飛ばされたのならば、新たな花を植えれば良いだけの話。
周りを向けば、自分に擦り寄ろうとする
「分からねぇ....けど、それでも俺は.....!!!」
「で、殺しに来たのかい?」
「いや.....
半月ぶりの再会。しかし、双方の面持ちに笑みはない。
郷愁にも似た複雑な感情の籠った黒の瞳と、悲痛な慟哭すら漏れそうな蒼の瞳が交差する。
「説明してくれ、傑」
「硝子から聞かなかったのかい....まあ、大雑把に言えば日本を転覆させる。勿論世界も落とすよ。醜悪な国家の基礎理念も、反吐の出るような烏合の概論も存在しない世界で私は────」
「違う....違うだろ!!お前はそんなトンチを言うような奴じゃなかっただろ!!」
悲鳴のような叫び声が、集会場の中に木霊する。
その最後の反響を聞き届けてから、夏油はまた口を開く。
「違う、か。なんでそう言えるんだい?」
「なんでって....俺はお前の親友で....!!」
「君は最強なんだろう?あの先生方も、今じゃ君にはとても敵わない。君は最強だから五条悟なのか、五条悟だから最強なのか.....そこまで人並み外れた君が、私の事を理解した気になれるのは何故かって聞いているんだよ。それこそ、最強だからかい?」
淡々と、起伏のない口調で言の葉が紡がれていく。
最強という文字を語りながらも、そこに憧憬はない。
ただ、軽蔑の意を表すためにソレを使っているのだ。
「教えてくれ、悟。君に分かるのかい?」
「俺は──────」
「見えるのかい?本当の、私の心の内側が」
それに、
「──────俺が悪いんだよ」
「........え?」
「ずっと親友だって言葉を振りかざして甘えていた!きっと傑なら大丈夫だって考えるのをやめてた!もう誰も離れないだろって、怖い事から考えるのをやめてた俺が悪いんだよ!!」
──────今この瞬間だけ、最強である事を、辞めた。
「自分を分かって貰えやしないと思ってたのに、他人を分かった気になってた。他人を分かろうともしない癖に、勝手に孤独を感じてた.....だから、今の俺じゃ傑の心は分からない」
「..........」
「でも、このままじゃ取り返しの付かない所に行っちまう!俺たちの手の届かない場所に、もう帰ってこれない場所に傑が行っちまうんだ!それだけはダメだって、俺の魂が言ってんだよ!!」
「..........それが、君の答えか」
話は終わりだ、とばかりに術式を行使する夏油。
唱えたのは呪霊操術の最深、"極ノ番"が一つ。"うずまき"
彼の持つ全ての呪霊を一纏めにして放出する虎の子であり、ほぼ術式を空にするも同然の切り札。
非術師の密集した此処で放てばどうなるかなど、火を見るよりも明らかだ。
「構えなよ、悟。二択に一択だ」
最高に趣味の悪いトロッコ問題。
夏油傑の親友としての自分、呪術師としての自分。
それを選べ、と。彼は告げた。
「1756体の呪霊の渦だ。君は無理でも、この場にいる人間は全員殺せる」
「傑......!!!」
「後回しになんかさせない。ま、好きな地獄を選んでよ」
親友の命。呪術師としての自分。残される人間。
果ての無い後悔。理不尽への怒り。自分への嫌悪と侮蔑。
反転術式でも治せない吐き気と痛みが、五条悟の脳を侵す。
そんな中で、彼に出来る事はたった一つだけ。
「傑」
「.......なんだい?」
「これが終わったら、一緒に謝りに行くぞ」
軽快。まるで、いつもの喧嘩であるかのような口調。
その言葉に、細めていた夏油の瞼が大きく開かれる。
「俺はお前を信じる。傑との思い出を信じる。傑がどんな風になっても、傑が自分を信じてここまで来たんだって言うんなら、それを信じて俺はお前を止める」
「君って奴は、本当に.........!!」
「否定はしない、肯定した上で連れ戻す。だって俺達は──────」
夏油の"うずまき"には赫では対抗不可能。その先の術が求められる。
術式順転。全てを飲み込む虚無の渦、蒼。
術式反転。具現化された無限の発散、赫。
その表裏の間にて顕現する仮想の質量を押し出す、五条家でも一部の人間しか知らない神業。
こんな代物は、生きていてほしい人間に撃っていいものではない。
見ることも触れることもできない「重さ」だけが回避不可の速度で押し寄せるのだ。
正しく必殺技。これを撃てば、九割九分九厘の確率で夏油傑は死ぬだろう。
しかし..........五条悟は、信じた。
夏油傑
「────────────最強なんだ」
2006年12月24日
3学年
夏油 傑
東京都立呪術高専 学年主任
夜蛾 正道 印
東京都立呪術高専 顧問
碇 ゲンドウ 印
上記の生徒(呪詛師として仮認定中)の捕縛の完了を此処に記録する。
この後、上記の者は尋問対象として忌庫にて厳重に封印される。封印の期間は無期限とする。
脱走の恐れが有るため、呪霊操術の術式封印の縛りを高専顧問と結ぶものとする。
また、外部との連絡を取るリスクや忌庫内の情報漏洩を防ぐため、面会は禁止とする。
2006年12月25日 改訂
面会禁止を改訂。
五条悟の付き添いが有る時にのみ限り、夏油傑の外出を許可するものとする。
異議の有る者は、総監部では無く五条悟個人と会談すべし。
玉折、完全に終わりました。お疲れサマンサ~!
リアルの都合で、少し次回の投稿送れるかも。ごめんちゃい!
それと呪術0にあたるプロットが確立したぜ!
虎杖編まで半年かかりそうで花なんだぜ!ごめんちゃい!
次回「【輝け】急に全てが嫌になった佐藤カズマ」