【悲報】ワイら、呪術界に異世界転移する。 作:なんか変な色の翼
感想で「中の人の設定死んでない?」との声を頂きました。
釈魂ソードでギコギコしない限り中の人の描写はございません。違和感を感じても意識が衛宮/士郎になるのは基本有り得ません。なので、他キャラも佐藤/カズマになったりフレ/ンダになったりする事は有りません。
んで、衛宮も空港に行ったので描写が有りません
設定が死んだというより用済みだな!ガハハ!
「悟」
「どした?」
「確かに、"拘留所には娯楽が無い"って言ったよ?実際、忌庫には電話は通らないし雑誌を買う購買も無いからね」
「おう、そうだな」
「それで、前の尋問で映画でも観に行きたいって言ったよ?君が担当してたよね、どうやったかは知らないけど」
「おう、そうだな」
「だからって....これは.....」
とある平日昼、とある場末の映画館にて。
泣く子も黙る特級呪術師、五条悟と
ジジイも泣かす特級仮呪詛師、夏油傑は
クソ映画を観に来ていた。
「悟、マジで考え直してくれ。友情を失うよ?」
「大丈夫、傑も最強だから」
「呪詛師にも人の心ってあるんだけど」
パラパラと何枚綴りかになった映画のパンフレットを振りながらぼやく五条。一日中クソ映画漬けとは最低な尋問を思い付くものだ。これには特級呪詛師もお手上げである。
「なんでクソって分かってる映画を観に行くのか意味が分からないよ.....それで、映画のタイトルは?」
「ハエマゲドン」
「は?」
「"は?"じゃなくて、ハエね。外宇宙から巨大なハエが地球に侵略してくるパニックホラー系。ストーリーはしっかりしてるらしいよ?」
1998年に放映された某超大作映画のパロディー映画。明らかにタイトルで出オチしている上、パロディー元に比べて内容の薄っぺらさが浮き彫りになり過ぎている。無闇にパニックホラーにするのではなく、路線変更してサイココメディにした方がマシかもしれない。
「.....それで、次のは?」
「えっとねー、漫画の実写化映画。イビルマンだって」
「原作が有るのか.....レビューはどうなんだい?」
「監督が"チャンプで読んでた"ってコメントしたんだけど、その原作が載ってたのはララジンだったらしくてさ。そりゃもう掲示板が大荒れよ」
「映画以前の問題じゃない?」
実写化映画は原作というストーリーラインをパテ埋めするだけの単純作業かと思われがちだが、現実はそうでもない。既存のキャラクターのイメージを崩さない演技、観客を惹きつけるオリジナル展開、マニアを唸らせる小道具の数々、その全てが欠かせない高難易度クエストなのだ。
映画監督の中でも、これを完璧に遂行できるのは一握りだろう。この映画の場合は別の問題が有りそうだが.....
「んでー、次が.....コレか」
「絶対ロクなのじゃないだろう」
「ラーミネーター・ソルジャー。期待できそうじゃない?」
「あの有名作の続編か!これは───」
漸くマトモな映画が来たか、とパンフレットを覗き込む夏油。なにせ、ラーミネーターは"タイタンニック"を手掛けた巨匠によって作られ、その後も大物監督によって支えられた人気シリーズだ。2年前に4作目が作られていた筈なので、相当な急ピッチで撮影したのだろうか?
「.....ねぇ悟、なんか設定が前作と違くない?」
「さあ?ラーミネーター見た事ねぇから分からん」
「なんか恐怖のサイボーグ兵士って書かれてるんだけど。ラーミネーターって未来から来たアンドロイドで史上最強の悪のヒーローなんだろ?明らかに別物だよね、コレ」
ラーミネーターはラーミネーターでも、呼称を被せただけの乗っかり映画だったようだ。ちなみに同年、"勝手に戦え"という語録の付いた有名作品のコラボ映画らしきものも放映されたようだが、それも乗っかりだった模様である。映画界の厄年か?
「後は色々よ。北京原人が現代に復活するヤツのリバイバル放映も有るし、最終手段のフリキュアの映画版まで何でもござれ!」
「なんでフリキュアが一番マシなんだい.....?」
「休日だとお子様が多いだろうからね。それとも、休日午後にでも席取って欲しかった?浮くよ、絶対」
「君さぁ.......はぁ、伊地知が苦労するわけだ」
五条が度々連れ回しているため、夏油は外の世界の事情の大体は把握している。五条が灰原と伊地知に補助監督への道を進めた、と聞いた時は驚いたが、その後の話を聞くに案外的外れでも無いアドバイスだったようだ。
映画のパンフレットを五条から受け取り、パラパラと捲りながら過去に浸る夏油。二年と少しの青い春が、パノラマのように展開される。
「そうだ、灰原と七海は元気かい?」
「大丈夫、元気ピンピンだよ。七海は最近になってやり甲斐がどうとか言ってたけど、灰原に説得されて続投するってさ。何でも、一度決めた筋は最後まで通してみたいって」
「何だいそれ、熱血じゃないか。灰原のが移った?」
あの七海が精神論を口にするようになるとは、全く年月というのは侮れないモノだ。歳を重ねてアラサーになれば、残業無き労働は労働に非ず、などと言うようになるのだろうか。
灰原も補助監督になったとはいえ、七海との交流は深めているのだろう。感情ではなく理屈で動く七海にとって、彼は良いアクセルでもありブレーキにもなるだろう。そのままの関係でいて欲しいものだ。
今の生活に不満は無い。過去の行動に後悔はない。
それでも、少しだけ皆が恋しくなってしまう。
「.....あれから五年も経ったのか。美々子と菜々子は大丈夫なのかい?夜蛾先生は拘束されたし、あの先生方も引退したんだろ?」
「硝子が面倒見てるから安心しろ、今日も元気に保健室登校だ。子供の内から高専で教育を受けられるとか超貴重だぜ?」
「そうか。で、その硝子は?」
「今日も元気に残業日和。あんまり酷い顔だから写真撮ってやったんだけどさ、それを見た天内が卒倒してやんの。次会ったら顔面凶器って言ってやろ」
「それ言うなよ、絶対殺されるよ?」
私も見たい、という衝動を理性と生存本能で抑え込む。喉に小骨が引っ掛かるような気分だが、命には換えられない。平時なら兎も角、今は術式を封印されているのだ。腹に膝を入れられ、額に根性焼きされる未来が簡単に見える。
「で、士郎は?」
「今は福岡。五年前に出張してた所に再出張だって」
「へぇ......忙しそうだね、電話しよう」
「賛成」
ピッと士郎のケー番をワンプッシュでダイヤル。この全力少年のノンデリぶりは未だに健在。既に酒を飲める年頃だというのに、身内に対する我儘っぷりは治らない模様だ。この男の場合、身内で無くとも我儘は言っていそうだが。
『ただいま、電話に出られません』
「いや何処に行ってるんだよ」
「それな」
「あー、これはダメだわ。アラサーの巫女服呪霊に襲われてるわ。こりゃもう手遅れ、南無三南無三」
「悟、売れ残り弄りは良くないよ?まあ、歌姫は顔も整ってるから引く手は無い事は無いんだろうけど」
「教職に専念したいんだと....って、別に歌姫とは言ってないだろ。お前も大概、はい論破」
天内の行っていた学校の先生曰く、教職の出合い率の悪さは深刻らしい。事実、京都校の正規の教師は歌姫と学長のみらしく、残りの担任や副担任としての業務は講師が手分けして行っているらしい。そのブラック加減は特級呪術師とタメを張れるだろう。
「悟は教師にはならないのかい?結構高専に入り浸ってるってのは聞いたよ。それに、時間が空いたら講師紛いな事はやってるんでしょ?」
「まあね。でも手に職付けるのは違うでしょ」
「それは.....どうして?」
「硝子や傑らと馬鹿やってる方が百倍楽しい。総監部から睨まれるのも嫌だし、冥さんみたくフリーが一番さ」
うーむ、と伸びをして身体をコリをほぐす五条。彼も一応、人に教える立場というものに興味は有った。後進を育て、その生徒らが呪術界を変えていくという夢物語を考えはした。
だが....."自分でやった方が早くね?"という結論に至ったのである。夏油や天内を失ったのであればまだしも、この五条は自分だけが強くてもダメだという発想には辿り着かなかった模様だ。
しかし、時間と共に総監部の力は三家へと分割されつつある。その勢力関係でも五条家は抜きん出て強い。もう十年経てば、今の総監部の位置に五条家が立つ日が来るだろう。
「まあ、皆幸せだし良いんじゃない?もう少ししたら総監部にも口出し出来るようになるし、傑もシャバに出せるでしょ」
「その言い方止めてくれない?まだ拘留だからね?」
「何年拘留されてんだよ。こんだけ長いと、シャバの企業で面接した時に気まずくなるヤツじゃねーか。言い訳できないぞ?」
「そりゃ、資格の勉強とか色々.........」
「高専中退のクセに?」
「悟、数年ぶりに喧嘩するかい?」
ファイティングポーズを取る夏油に対し、両手を上げて落ち着かせる五条。術式を封印されようと特級は特級、呪力操作のみでも対術師の実力は一級呪術師並に有る。こんな場所で暴れられれば確実に死人が出るだろう。
まあ、本当に踏み切る可能性は0に等しいのだが。
「んで、結局どれ見んの?やっぱフリキュア?」
「外で話そうか、悟」
「一人で行けよ、恥ずかしがり屋か?」
ツー、ツー、ツー、
『─────午後のニュースをお伝えします』
ツー、ツー、ツー、
『正午頃、福岡県久留米市にてガス爆発が発生──』
ツー、ツー、ツー、
『耳納城跡付近と見られますが、付近に住宅は無く───』
ツー、ツー、ツー、
『怪我人はいませんでした。事件の可能性も含めて警察は──』
────ただいま、電話に出られません。
ご用件のある方は、発信音の後に────
連絡事項
・なんか五年経ってる
・スピンオフ書いてる場合じゃねぇ
・三年生福岡分校編、執筆決定
・高評価の文章書き込み必須をオフにした
その高評価の一手間で、作者は救われるんやで。
次回、「【設定集】こんなに大きくなりました」
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