産まれた推しの子の電脳物語   作:阿後回

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「ねえ〜、アクア……最近どーしたの?」

「……なんだよ、急に?」

「最近、ほとんど部屋から出てこないし、部屋から出てきたかと思ったらエナドリ買ったり、訳のわかんない本買ってきたり、変な部品買ってたり……ほんっとおかしいよ〜〜!!!」

「…………」

「ママも心配してたし、この間も、監督が会いに来てたのに、全然顔出さないじゃんっ!!!」

「友人とネットで会ってたんだから、しかたないだろ?」

「仕事も休んでんだから、私達にも時間かけてくれたっていいじゃん! 家族で遊びに行こうよ〜〜」

「いや、別に……」

「……悪い、呼び出しが来た」

「また、ネットの友達?」

「ああ、……じゃあ行ってくる」


4.1章 承 芽吹

 

 2012年 5月3日

 

 最近、妹の様子がおかしい。

 俺の後をついてまわっていたり、どこに行くのか、誰に会いに行くのか何度も何度も聞いてくる。

 

 その度、友人に会いに行くことを説明しなければいけないし、『EDEN』の中で尾行されていることもあった。

 

(あのときはなんとか撒けたが……、ここに来てることはバレたくないな)

 

 そんなことを考えながら指を動かす。

 

「……おい、マリン」 

 

 背後から声が聞こえてくる。

 

「また、『そこ』間違ってるぞ。そこの文体は『R』じゃなくて『T』だ」

 

 黒髪の少年……『真田アラタ』が教科書を丸めて、頭をこづいてきた。

 

「……悪い」

 

 こづかれた頭のあたりの『黒髪』を撫でながら、アラタに謝った。

 

 俺は今、『EDEN』のネット塾、『ハッヴァー』でハッキングについて教えてもらっている。もちろん、月十万を自分の貯金を切り崩しながら、アイやルビー、家族に黙って勉強にきていたのだ。

 

「……たっく、今日はこれで3回目だぞ? あいっかわらず、変なところのミスが多いな。俺より勉強ができるくせに、なんでこんなことができないんかね?」

 

「……そう、だな」

 

 考え事をしながら、プログラムを弄っていたのはバレていないみたいだ。

 

「基礎的な技術(こと)を覚えるのにも結構時間かかったよな? もしかしてお前、勉強が苦手なのか?」

 

(…………)

 

「……いや、俺もこんなにもできないことに驚いてる」

 

 アラタに言われたことを思うところがあって、少しだけ今までの自分とのギャップに戸惑ってしまった。

 

「……なんで、こいつ……俺よか勉強ができるんだ? 俺今、中3なのに……こいつに勉強教わってんだけど」

 

 アラタ自身も俺に勉強を見られていることが不満なのか頭を悩ませている。

 

「本当に、そうだよな」

 

 そのことについては俺も同意だ。

 勉強はできるのに、なんでプログラムを弄ることができないのか、甚だ疑問が尽きず……、頭を悩ませている。

 

 

 この『星野アクア(からだ)』になってから、『変に』物覚えが悪くなった気がする。

 

 台本は覚えられる。

 

 ダンスも得意だ。

 

 演技も簡単にできる。

 

 これらは『星野アイ』の息子だから、なんとなくできるのかもしれない。

 

 前世で大学までに学んだ『知識』や『医術』、『薬学』から、役に立たないであろう『家事』や『スポーツ』、『女性とのデート術』に至るまで、前世で経験したことはすぐにマスターできる。

 

 

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『身につかない』と言っても過言ではない。

 

 例を挙げるとするなら、たとえば、『ゲーム』。

 ルビーに誘われたり、有馬に挑発されてやったゲーム。そのほとんどに敗北している。アクションやRPG、パズルにシュミレーション……、ジャンルが違っても、結果は同じだどれもこれもうまくいく試しがない。

 

 たとえば、『創作』。

 学校で学んだ『絵画』の技法的な内容ならともかく、イラストだったり、キャラクターの原案を出したりすることは正直言って苦手な部類だ。どれだけ練習しようとも、『身体に身につかない』。

 

 どれだけ練習しようとも、俺の体に身につくどころか、一日二日で勉強した内容が頭から離れていってしまう。

 

(あたま)』がどれだけ大事か理解していようとも、『肉体(からだ)』が拒否するように、勉強に時間がかかってしまうのだ。

 

 

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 ……とでも、言われているかのようだ。

 

 そして、その最たる例が『ハッキング』だ。

 本を読めば頭から煙が出るように脳が働かなくなり、パソコンに向き合えば小さなミスが多発する。やっとのことで覚えた関数の使い方は、明日の朝までに復習しないと忘れてしまう。

 

 身につくのは、最低『5回』、他人から教わらないと、体が覚えてくれないぐらいだ。もちろん、自分で勉強しなければ、もっと時間がかかっているだろう。

 

 昔、前世の友人からなんども言われた『才能がある奴はいいよな』……、という言葉の意味を、身をもって実感してしている。

 

 

「……はぁ」

 

 自信の至らなさにほとほと呆れていると……、

 

 

「ため息を吐きたいのはこっちだ、このバカ!」

 

「────いったっ!?」

 

 

 つい漏れたため息を聞かれ、アラタに頭を叩かれてしまった。

 

「勉強に集中しろ」

 

「……わかってるさ」

 

 叩かれた頭をさすりながら、アラタを睨む。

 

(……結構本気で殴られたな)

 

 バシン、と叩かれた音が大きく聞こえた。

 

「モニターに集中しろ。睨んでる場合じゃねえからな」

 

「……わかってるさ」

 

 そう思って、モニターの方を向こうとすると、塾の『一階』から、ドタドタと足音が聞こえてきた。

 

 

「おっはよ────って、えっ!?」

 

「おはよう、アラタ、マリン」

 

 

 金色に近い茶髪の少年と灰がかった黒髪の少年が入ってくる。

 

「よお、アラタ」

 

「おはよう、千歳」

 

 茶髪の少年は『 今井千歳(いまいちとせ)』。黒髪の少年は『御島龍司(みしまりゅうじ)』。2人とも俺より三つ年上の中学生で、この『ハッヴァー』で臨時講師をしている。

 

「またアラタに絞られてるのか?」

 

「…………」

 

 千歳に図星を突かれた。

 思わず視線を横にずらし、明後日の方を向いたが……、

 

「アラタ、お前なぁ」

 

「アラタもそこまでにしてやれ。この前の合宿でなんでできないかは……、原因はわかってるだろ?」

 

 2人とも呆れた様子でアラタに休憩を促した。

 

「…………」

 

 アラタは時計を見ると……たった一度だけため息を吐いて、

 

 

「しょうがねぇなっ、休憩にすっぞっ!!!」

 

 

 そう言って休憩を始める。

 電子時計を見れば、11時と表示されている。

 

(2時間半もやっていたのか)

 

 集中力は開始の10分程度で切れていた為、実際にはもっと時間がかかっていたように感じていたが……、それはいつものことなので、時間自体を気にしていなかった。

 

「……龍司も千歳も悪いな」

 

 俺は千歳達の方を見て謝る。

 

「別にいいさ。この店に金出してんの実質お前ぐらいだからさぁ……、俺らは文句言えねぇよ。先輩?」

 

 千歳も龍司もお金を払っていない。

 店長が無理矢理ここに連れてきた人間だからだ。店長は気まぐれに『EDEN』の中で、自惚れたハッカーもどきを捕まえて、ここで面倒を見ているのだ。

 

 千歳も龍司もそのうちの1人で、『EDEN』でハッキングを試そうとしたところに、店長に見つかって、面倒を見られている。

 

 独り立ちできる技術と知識が得られるまで……、実際に学びにきているのは俺だけで、免許皆伝が出るまでは、ここからの、店長からの監視網を突破できないのである。

 

 アラタと龍司と千歳は免許皆伝なんだけど……な。

 

「アラタがここまでつきっきりになって教えているのはマリン……お前ぐらいだ。金を出しているのもそうだが、真剣に勉強しているのも理解してるはずだ……それなのに、なぜ……?」

 

 なぜ、勉強がここまでうまくいかないのか……、ではない。

 

(最近、アラタは何かを焦っている)

 

 店長の目を盗んで、アラタは俺の勉強見る時間が増えた。

 

『アレ』は思春期の男子の目ではない。

 

 ハッカー仲間を増やしたい……そんな目ではない。

 

 ただ、何かに対して思うところがあって、それに対して焦っている……という出力で感情が表れている……そんな感じだ。

 

「さあな、アラタもにも考えがあんだろ? 龍司も知らない何かをやる予定があるのさ……きっとな」

 

 龍司も俺も頷いた。

 アラタはわかりやすい奴だから、『ハッヴァー』のみんなに焦っているのはバレている。バレていないなんて思っているのは、本人だけだ。

 

 

「────よしっ!」

 

 

 千歳が顔を叩いた。

 

「そんなことより、実践だ。実践! クーロンの中のスペースを使って、前回学んだ『ファイヤウォールLevel.2』を設置と解除の練習だっ!!!」

 

 俺の手を取って、この部屋から『クーロン』に連れ出そうとしてくる。

 

「……実践、か」

 

 だけど、基礎を終えたばかりで、応用すらままならない俺がやってもいいことなのだろうか? 

 

「実践でやってみないことにはわからないことも多分にある。『EDEN』のハッキングとはそういうものだ。マリン……、机の上ではわからないことが沢山あるんだぞ」

 

「龍司、お前もかよ」

 

 龍司からの追撃。

 いや別にやりたくないわけじゃないし、実践でやることの意味も理解している……ただ、尻込みしてるだけなのだが……、

 

 

「いいんじゃねえの?」

 

 

 部屋に戻ってきたアラタがそう言った。

 

「千歳と龍司が付き添うんだったら、俺も文句は言いやしねえよ」

 

「……アラタまで」

 

 アラタまで実践することを要求してくる。

 

「むしろ、俺もついていく。『EDEN』のハッキングがどこまでおもしろいことができるか、マリン……、お前に教えてやるよっ!!!」

 

「なんで、お前が一番楽しんでるんだよ!?」

 

 むしろ、アラタが一番乗り気だった。

 

「いいねえ、俺達はこれぐらいでいいんだよ」

 

「店長に見つかる前に行くぞ!!!」

 

「「おうっ!!!」」

 

「……あっ、おいっ……ちょっと待てっ!? ああ、もうっ!!!」

 

 

 三人に引っ張られて、俺は『クーロン』へと連れて行かれた。結局、その日はうまくいかず、『ファイヤーウォールLevel.1』を突破することしかできなかったが……、

 

 

「よっしゃ、Level.1突破っ!!!」

 

「マリン、よくやったな!」

 

「基礎はうまくいってるな、……基礎は」

 

「なんだよ、アラタ? 成功したんだからいいだろ?」

 

「別にわりいとは思ってねえよッ!!!」

 

 

 そんなことを言いながら、1日は終了した……その後に、勝手に『クーロン』に入ったことを怒られたが、とても楽しかったので……よかった気がした。

 

 

 

 2012年 11月13日

 

 

「……終わった」

 

 埋まった解答用紙と、その目の前にあるモニター、実践として目の前に置かれた『人型』を見ながら、ゆっくりと地面に座り込んだ。

 

「これで、応用まで全て終了した。あとは発展問題……という名前の実践で勉強するぐらいだ」

 

 アラタから言われた一言が、テストに合格したことを理解させられる。

 

「…………」

 

 アラタがまた何かを考えている。

 春から始まったそれが、夏から秋にかけて一気に増え始めた。一日一回はそんなアラタの様子を見ている気がした。

 

「……どうしたんだよ、アラタ?」

 

「……いや、ちょっとな」

 

 そう言って、アラタは誤魔化した。なんども聞いているが、そうやって答えてはくれないので、また、『いつものこと』かと、自分から話すのを待とうと別のことを考えようとすると……、

 

 

「マリン、ちょっと待ってろ」

 

 

 アラタはいつもと様子が違っていた。

 

「…………?」

 

 思わず首を傾げる。だけど、アラタは一階への階段に向かって歩き出す。

 

「……龍司と千歳を呼んでくる」

 

 階段の前で一言、アラタはそう言った。

 

(龍司と千歳を?)

 

 

 

「なんだ、アラタ……何か用事か?」

 

「俺、リアルでナンパ中だったんだけど?」

 

 龍司と千歳がやってきた……ん? 

 

「中学生でナンパってどうなんだ?」

 

 そのなりでナンパって……、今の時代、バイトして金を稼げるようになった後じゃないと、彼女ができても困るだけだろ。

 

「別にいいだろうがっ!? 俺は彼女ほしいのっ!!!」

 

 俺が眉を顰めたのに気付いたのか、それとも小声で言った言葉が聞こえたのかは定かではないが、中学生でナンパって……、

 

 

「彼女ほしいのにあの『ナンパ』……さすがにひくわ」

 

「あれで成功すると思ってたのか?」

 

 

 リアルで交流がある2人が引いている……つまり、

 

(どんな口説き方をしてるんだっ!?)

 

 服装は別に悪くないし、見た目も清潔感のある部類の千歳が、2人に引かれてる現状に、俺も引いてしまっていた。

 

「じゃあ、アラタや龍司がやってみろよっ!!!」

 

「別に俺は、……彼女なんかほしくねえし」

 

「俺は……、チャラチャラした女は好みじゃない」

 

 千歳は2人に見本を見せろというが、2人はそもそも彼女を積極的に作りたいってタイプではない。

 

「マリンはっ、マリンはどーなんだよっ……気になってる女とかいねえのかよっ!?」

 

 千歳は藁にもすがる思い出俺の方を向いてくる。

 

(……彼女、か)

 

 

『アクア』

 

 

 ふと、1人の少女の顔が思い浮かぶ。

 少し前までコンビで働いていたその少女を……俺は、……。

 

「……今は、そんなこと考えてる余裕はない」

 

 俺は邪念を振り払うように千歳の言葉に首を振った。

 

 

「……たっく、これだから枯れてる奴らは……、俺だってなぁ、もっと彼女ほしいんだよっ!!!」

 

 

 俺の変化には気づかなかったようで、千歳は彼女ができないことを嘆き始め……、龍司が動き始めた。

 

「……そんなことは置いておいて、アラタなんのようだ? 何かトラブルでも発生したか?」

 

 アラタに本題を聞くらしい。

 

「別にそんなんじゃねえよ」

 

 トラブルじゃない……でも、アラタのやりたいこと? 

 

「……ただ」

 

「「「……ただ?」」」

 

 アラタはゴクリと唾を飲み込んだ。

 

 

「最近、『EDEN』に現れてるハッカーについて知ってるか?」

 

 

 アラタの言葉を聞いた。

 

(最近のハッカー?)

 

 俺は最近のことを考える……が、『EDEN』でやってることは、『ハッヴァー(ここ)』によるか、ちょっとした買い物ぐらいで、ここのハッカー以外には滅多にあったりしない。

 そもそも、ハッカーに会う場所は大抵『クーロン』か『アンダークーロン』ぐらいだ。会う機会なんてほぼないに等しい。

 

「……最近、か」

 

「うーん」

 

 龍司と千歳が頭を巡らせる。何か特筆するようなことがあるのだろうか? 

 

「カタギの素人が『クーロン』にきてるのは見かけたことがある」

 

「……そーいや、こないだも『クーロン』に明らかにハッカー(こっち)じゃない奴が、やばそうなハッカーに絡まれてたのを見た気がする」

 

「……そうなのか?」

 

 龍司のヤクザ用語はともかく、龍司と千歳の意見が一致するのも珍しいと思った。

 

「店長が急いで止めに入ったところをたまたま見たんだよ」

 

「ありゃ、やばかったぜ?  ……アカウントを奪われるところだったからな」

 

(……店長が?)

 

 アカウント狩り。

 最近、ハッカー……特に、クラッカーの連中が好んでやっている遊びだと、店長が言ってた……気がする。グルスガンマモンにも気をつけろと言われてた、……ような……、

 

 

「……やっぱり、そうか」

 

 

 ……アラタ? 

 

「なあ、お前ら」

 

 アラタがさっきの話に反応した。

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()()?」

 

「────えっ!?」/「……ハァッ!?」/「────ッ!?」

 

 

 アラタの唐突な言葉に俺達は驚いてしまった。

 

「『EDEN』が作られてから2年……、一般の奴らも『ハッキング』をかじって、いい気になってる連中も増えてきた」

 

「そんななか、こんな素人まじりの奴らが派閥を作り始め、ハッキングで人を困らせている……、そして、最終的には『EDEN』のアカウントを狩り、奪ったアカウントを売買しはじめる奴らが現れ出した」

 

「おっさんは『『EDEN』に任せたらいい』なんて(あめ)えこと言ってるが、この半年、『EDEN』がまともに動いてる様子は見たことねえ」

 

 

「だったら、俺達『ハッカー』がこの『EDEN』の治安を守る必要があんじゃねえか……って思ってな」

 

 

「…………」

 

 アラタの意見には納得できるところがある。

 

「…………」

 

 店長の下で勉強したハッキング、それを活かす機会ではあるが……、

 

「…………」

 

 俺に、俺達みたいな子供にできるのか? 

 そもそも、その手の奴らから『EDEN』を守ったところで、俺達にどんな得があるんだろうか? 

 

 そもそもなんでこのタイミングで聞いてきた? 

 

 俺が独り立ちしたからか? 

 

 それとも俺も含めて頭数に入れたかったからか? 

 

 頭の中で疑問が巡り始める。

 

 

「……どうだ?」

 

 

『どうだ?』とアラタは聞いてくるが、俺の頭はまだ混乱したままだ。アラタが何を考えているのか、俺には理解できない。

 

「……1人でもやるつもりか?」

 

 龍司が聞く。

 

「1人でもやるつもりだ」

 

 アラタはその答えとして、1人でもアカウント狩りと戦っていくことを決意していた。

 

「しょうがねえ、手伝ってやるよ」

 

「…………千歳?」

 

「俺も……暇だったしな」

 

「龍司もっ!?」

 

 千歳も龍司もアラタが放って置けないみたいで、アラタについていくみたいだが、

 

(……どうする、この場の雰囲気に合わせてはいけない)

 

 アラタの目的にただ賛同してはいけない。

 

 これは間違いなく犯罪に手を染める行為だ。

 

 店長の言うとおり、『EDEN』の行動を見てから判断すべきだ。

 

 この目的に同意してしまえば、後戻りはできなくなる。

 

 

「……マリン?」

 

 

 それが、それがわかってると言うのに、

 

 

()()()()()()()()

 

 

 ここで力をつければ、『EDEN』の内情を詳しく知ることができるかもしれない。

 

 今後来るであろう『岸辺リエ』や『末堂アケミ』の行動を予測できるかもしれない。

 

 味方を増やせば、タイトの言う『世界の滅び』に対しての協力者が得られるかもしれない。

 

 ここはデメリットよりも、メリットの方が大きいはずだ。

 

 

「俺も……俺もやる」

 

「────っ、そうかっ!?」

 

 アラタの喜ぶ声が聞こえた。

 

(言ってしまった)

 

 頭の中では、確実に選んではいけない選択だった。それを迷ったとしても選んでしまった。

 

 もう、二度と俺達は平穏には戻れない。

 

「実は名前も考えてある。『ジュード』って言ってな────」

 

 アラタの声が聞こえてくる。その声を聞きながら、俺は今後の活動について不安を感じているのであった。

 

 





電源が切れた暗い画面が、今の俺の顔を反射している。

『EDEN』とは違う『金色の髪』と『青色の瞳』が、現実であることを実感させる。

あんなことをしなければよかった。

あんな提案をしなければよかった。

あのとき、俺は……、


そう考えて、首を振った。


今やらなければならないのは、……デジヴァイスを手に取る。


開く名前は決まっている。

もうテレビでもネットでも聞かなくなった『彼女』の電話番号を開いて……、俺は決心した。

8/1に向けた番外編のif√再アンケート (if√ハッピーエンドに、if√ネタバレ含む情報開示あり)

  • 『√アポカリモン その手で掴む為』
  • 『√カオスドラモン 星に寄り添う月世界』
  • 『√??? 失望の果て』
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