『……ちょっと待ってほしい。今日、なんとか時間空けるからさ……もう少しだけ待っててほしい』
「ーーーーっ、うんっ! わかった!!!」
電話越しに、ひさしぶりに聞いた彼の声。でも、今日中に会えることが嬉しかった。
「……時間はどれくらいかかりそう?」
『そうだな……、1時間以内には用事が終わる。仕事も今日はないし、部下の諸々を手伝ったらすぐに会えるようにする』
『時間はおって連絡する。場所はーーーー』
「いつもの喫茶店で!」
『……そうだね、そうしよっか』
誰にもバレてない秘密の喫茶店。
彼のケーキと紅茶の香りがするあの喫茶店で、いつもと同じように彼と話をそれがたまらなく嬉しかった。
「それじゃあ切るね!」
『あとで連絡するよ』
その声が聞こえてから電話を切る。
急いで服を着替えて、ジャージから服を着替える。黄色のTシャツに黒の短パン、ゴーグル型のデジヴァイスをつけて、ポーチも持って……鏡を見る。
(もう少しオシャレをしたほうがいいかな?)
そんなことを考えつつ、顔を洗って、軽く化粧をして……うん、身だしなみは整った!
「よしっ!」
玄関に走る。
場所は決まってて、相手はいつ来るかはわからない。でも、気持ちは晴れやかでとても気分がいい。
私以外誰もいない家。
私以外誰も帰らない家。
その家に……、
「いってきますっ!」
大きな声でそう言って、私は出発するのだった。
2016/10/2/AM8:27
【カミシロ】『僕らの』『私達の』『『EDEN探索記』』掲示板 part.67【大暴走】
1:ハッカーも徒然 ID:7km/52wc2
なお、主演はパンピーの模様
2:ハッカーも徒然 ID:EJLNc3Rpp
何回その話してんだよ
3:ハッカーも徒然 ID:VE1X++0fF
イケメンと美少女なんだから別にいいだろ? ハーレムになってるのは許せねぇが
4:ハッカーも徒然 ID:1+fjJAc00
うっせえ、あんなおもしろそうなものを使えて羨ましいんだよ。こっちはっ!!!
5:ハッカーも徒然 ID:SyrCVTQao
知らねえよ、そんなこと……それよりも、
6:ハッカーも徒然 ID:QkP+ewlbK
番組が始まるな
7:ハッカーも徒然 ID:vppNnj/RW
わくわく、わくわく
『その日私達は、『EDEN』にあるとある存在に出会った』
8:ハッカーも徒然 ID:5FrzegfSq
ルビーちゃん、かわいいっ!!!
『その日俺達は、『EDEN』の未来に関わる仕事を請け負った』
9:ハッカーも徒然 ID:tJqS/N/dX
金髪イケメン、顔面ドアップ来たこれっ!?
10:ハッカーも徒然 ID:a7aQ7AV7l
星野兄妹ビジュ良すぎなんだけどっ!?
『『デジタルモンスター、通称『デジモン』』』
11:ハッカーも徒然 ID:UQoWbAstV
……これが、デジモン?
12:ハッカーも徒然 ID:AjqyKCI02
旧世代のハッカー先輩、チーっす!
『私達の生活に欠かせなくなった『EDEN』』
『その中に生まれた新たな
『私達は知るべきだろう『デジモン』のことを』
『俺達は知るべきだろう『デジモンと関わる人々』のことを』
13:ハッカーも徒然 ID:OkAqai584
歩く度に、デジモンにスポットライトがあっていくな
14:ハッカーも徒然 ID:isyJ09cqv
えーっと、ルビーちゃんの隣にいるデジモンは……このデジモンなんだっ!?
15:ハッカーも徒然 ID:jtgsbfjeZ
アクアくんの隣にいるのも何モンもわかんない奴だっ!?
16:ハッカーも徒然 ID:+uCU5U7Xk
どんどん、どんどんわからないデジモンが増えていくっ!?
17:ハッカーも徒然 ID:mkuw+yCeq
カミシロ、どんだけ隠し玉持ってんだよっ!?
18:ハッカーも徒然 ID:JeBxZaagM
あっ、止まった
『『……だから、今』』
19:ハッカーも徒然 ID:7d7Mov0k2
スポットライトが2人に集中した
20:ハッカーも徒然 ID:8F5aKo9Fk
……いったいどうなるんだ?
『『私達/俺達は『
21:ハッカーも徒然 ID:dcUrS+yKC
うぉおおおお────っ、すっげぇっ!?
22:ハッカーも徒然 ID:rbbLsDRLV
すっごい数のデジモンっ!?
23:ハッカーも徒然 ID:syKc2q/hh
それよりも、あかねちゃんがアクアくんの隣にいたんだけどっ!?
24:ハッカーも徒然 ID:+Z5fJZHAr
そこは有馬かなの横にいろよっ!?
25:ハッカーも徒然 ID:VliWZ9nHB
アクかな派がいたぞっ、公式に喧嘩売った奴だ。◯せぇっ!!!
26:ハッカーも徒然 ID:y4kLh6kAF
くっ、見つかってしまった
27:ハッカーも徒然 ID:ekyaum1Wb
MEMちょだっ!?
28:ハッカーも徒然 ID:du6YNhWPQ
フリルちゃんが抱きついたっ……だとっ!?
29:ハッカーも徒然 ID:YDct/Xk8A
やはり、百合は尊い
30:ハッカーも徒然 ID:bsGoDw/Nj
……お前ら番組を見ろよ
31:ハッカーも徒然 ID:QfR6OdNnt
見てるだろうがっ!!!
32:ハッカーも徒然 ID:4xF1rJxom
赤い鳥デジモン。また珍しい奴だっ!!!
33:ハッカーも徒然 ID:isG2Ufih/
白衣着てる……ってキャラ濃っ!?
34:ハッカーも徒然 ID:ZRcRDCvCf
赤い鳥でデジモンでオタクキャラ、博士キャラにメガネ属性……属性が渋滞しとるって!?
35:ハッカーも徒然 ID:GmPt+seTK
説明が始まるぞ
97:ハッカーも徒然 id:7km/52wc2
……、これは
98:ハッカーも徒然 id:dcUrS+yKC
……やばくない?
99:ハッカーも徒然 id:54QDjd/SG
『D-3』まじで、やべえわ
100:ハッカーも徒然 id:OpfBJWv1z
デジモンを一時的とはいえ進化させられるの。まじぱねぇっす
101:ハッカーも徒然 ID:40cdWtNH7
……言うて、退化できる方が有用じゃないか?
102:ハッカーも徒然 ID:ekyaum1Wb
デジヴァイスのメモリ管理が楽になるしな
103:ハッカーも徒然 ID:QfR6OdNnt
アーマー進化すごくね?
104:ハッカーも徒然 ID:FiMhDn0Wf
いや、そんなすごくねえだろ
105:ハッカーも徒然 ID:7c9SrUMBU
リーダーと副リーダーの模擬戦を見てるとなぁ?
106:ハッカーも徒然 ID:Ast2N6VNf
ザクソンにいわれたくねえよ
207:ハッカーも徒然 ID:54QDjd/SG
朗報『役者チーム開幕ダッシュ』
悲報『アイドルチームのリーダー報酬に夢中』
208:ハッカーも徒然 ID:aq4YYTxDZ
何してんだぁっ!?
209:ハッカーも徒然 ID:01HxOf4SS
俺達は早く、アーマー進化の戦いが見たいんだよっ!!!
210:ハッカーも徒然 ID:jAQvt08ae
ブイモンも何してんだよっ!?
211:ハッカーも徒然 ID:40cdWtNH7
『ミラクル肉はどこだっ!!!』……じゃないっ!?
212:ハッカーも徒然 ID:3griA7lrt
走れっ、早く走れっ!!!
213:ハッカーも徒然 ID:OpfBJWv1z
……ああ、言っちゃった
214:ハッカーも徒然 ID:wQXoZ8xdQ
というか、場面が変わったな
215:ハッカーも徒然 ID:vxIJ5Pfjy
役者チーム視点か?
216:ハッカーも徒然 ID:eI5N1kyf/
……クーロンだな
217:ハッカーも徒然 ID:ndbIAXDqs
クーロンだよな?
218:ハッカーも徒然 ID:alubC09aW
これが撮影されたのはいつだ?
219:ハッカーも徒然 ID:FiMhDn0Wf
いつ頃だろ?
220:ハッカーも徒然 ID:v3gQY4jHK
…………あれ、最近のクーロンって、やばい事件が発生したよな?
221:ハッカーも徒然 ID:tWHMIkCAR
いつのまにか終息してたけど……?
222:ハッカーも徒然 ID:t8zccoiPT
パグモンブームのあの事件のことか
223:ハッカーも徒然 ID:ZOuMIs/TH
ザクソンも対処に困ってたアレだよな?
224:ハッカーも徒然 ID:Y3e0FONvl
そうそう、ハッカー達の間でパグモンが人気になって……、それに目をつけたバカなハッカーが、大量にコンバートして……、結局飼いきれずにクーロンに逃したっていうアレのことな
225:ハッカーも徒然 ID:ffyKfePwj
幼年期のデジモンだからコンバートはしやすいから、誰かにコンバートしてもらう必要はないし
226:ハッカーも徒然 ID:/YiuwvuKF
値段もぼったくりだった……アレな奴だったよな
227:ハッカーも徒然 ID:02q8bdtpp
たしか、変なメガネの……?
228:ハッカーも徒然 ID:MEhlH7nre
パグモン、だよな
229:ハッカーも徒然 ID:drruJ3yH8
パグモン……ですね
230:ハッカーも徒然 ID:KLWxMTHzi
────っ!?
231:ハッカーも徒然 ID:UROaK5EE5
────まさかっ!?
232:ハッカーも徒然 ID:woEjcXRk4
本当にそのまさかかっ!?
233:ハッカーも徒然 ID:rubtHcIim
あかねちゃんかわいいっ!!! ……って、そんなことはどうでもいいんだよっ!?
234:ハッカーも徒然 ID:Jz6y8Yl82
クーロンの生態系、壊れちゃーう!!!
235:ハッカーも徒然 ID:idwKeCswB
見慣れた攻撃だなあ(初見時、アカウントを壊されたおバカ)
236:ハッカーも徒然 ID:XttUuSDcW
幼年期は舐めてはいけない(戒め)
lalala……lalala……、
370:ハッカーも徒然 ID:OR3i4lf/6
うぉおおおおお────っ!!!
371:ハッカーも徒然 ID:a4DBUhD2q
進化バンクキタコレッ!!!
372:ハッカーも徒然 ID:8T448uutY
誰の歌、誰の歌だッ!?
373:ハッカーも徒然 ID:Cf5+HQX/C
ブイモンが炎で燃えてるっ!?
374:ハッカーも徒然 ID:zpD1qMECI
カミシロさん、まじぱねぇっすっ!!!
375:ハッカーも徒然 ID:Cfz2DYx/Y
どんだけこの企画に力入れてんだよっ!?
376:ハッカーも徒然 ID:PvbgPRNFJ
進化……、し終えたみたいだけど。
377:ハッカーも徒然 ID:5b74hIf7P
赤の幹部っぽいデジモンにアーマー進化したっ!!!
378:ハッカーも徒然 ID:zwwjjvU/m
ワームモンめっちゃかっこいいっ!!!
379:ハッカーも徒然 ID:/2tFe6lQ7
……っ、このイビルモン強っくない!?
380:ハッカーも徒然 ID:NcZI20g0f
めっちゃ強いんだけどっ!?
381:ハッカーも徒然 ID:7c9SrUMBU
…………そんなにか?
382:ハッカーも徒然 ID:Ast2N6VNf
同系統のデビモンならともかく、熟練のハッカーが鍛え上げたイビルモンでも、こんな動き見たことないぞっ!?
383:ハッカーも徒然 ID:apUyzIzAd
成熟期や他のイビルモンよりかは絶対に強いデジモンだよ、こいつっ!!!
384:ハッカーも徒然 ID:hG1wgexw0
……デジモンってすごいんだなぁ
385:ハッカーも徒然 ID:zsFGPawLs
俺達も知識をアップデートしないと
386:ハッカーも徒然 ID:yK7IpTuP0
…………パグモンがやられたことには言及しないのですわ
387:ハッカーも徒然 ID:NnPe2TmTt
別に
388:ハッカーも徒然 ID:pfLzMhTIb
残(念ながら)当(然)
389:ハッカーも徒然 ID:1OoOex9TA
それより、シェイドラモン……強くね?
390:ハッカーも徒然 ID:RgLr7GsO5
あのイビルモンと戦ってやがる
391:ハッカーも徒然 ID:rDxmMpxr4
うぉぉおおおお────っ、急接近したっ!?
392:ハッカーも徒然 ID:9ObNaqTLW
イビルモンの『ナイトメアショック』が命中したっ!?
393:ハッカーも徒然 ID:L6JiEVRCy
シェイドラモンは大丈夫かっ!?
394:ハッカーも徒然 ID:rhqjMMQ4n
シェイドラモン────っ!?
395:ハッカーも徒然 ID:ZK3YFsIXa
『ナイトメアショック』と『フレアバスター』がぶつかりあってるっ!?
396:ハッカーも徒然 ID:qzaN2jA7B
必殺技同士のぶつかりあいだっ!!!
397:ハッカーも徒然 ID:znLhG8ltC
どっちが勝つ、どっちが勝つ?
398:ハッカーも徒然 ID:SFN1iUm1C
……相殺……っとぉっ!?
399:ハッカーも徒然 ID:DQQneA2Se
シェイドラモンが超々近距離まで接近
400:ハッカーも徒然 ID:SXxqNipCO
イビルモンの口の中左腕を突っ込んだっ!!!
401:ハッカーも徒然 ID:csKUWrJkc
いけっ!
402:ハッカーも徒然 ID:CUiBW9G2t
いけっ!!!
403:ハッカーも徒然 ID:I24FWscSW
いけぇっ!!!
404:ハッカーも徒然 ID:zMHOS88Qm
シェイドラモンが倒したぁああああああっ!!!
事務所のパソコンからDIGItubeを開き、『カミシロ』公式の私達のチャンネル『ぼくわた電脳チャンネル』から、『僕らの』『私達の』『『EDEN探索記』』の第一話をプレミアム公開していると……、
「……すごい熱狂具合だね」
チャンネルのチャット欄が大変なことになっていた。
「DIGItube同接30万人とか私、見たことないんだけど」
『……』
「それはもうすごいよ。すごいんだよっ! リアルタイムで私達の動画を見てくれる人がこんなにもいるってことなんだよ!」
『…………』
「もう、そんなことまで言っちゃってっ!」
横でMEMとツチダルモンが会話をしてる。内容はわかんないけど……、
「…………」
「…………」
その様子を見て、私とアクアは顔を見合わせる。
(ついにはジェスチャーもいらなくなったのか)
ツチダルモンはジェスチャーしていないのに、MEMちょと会話している。うん、いつ見ても不自然だ。
(最近できるようになったんだって)
初めて見た時は、超能力に目覚めたのかとびっくりした……だけど、
「チャンネル登録者数は……、この1時間で10万人も増えてるっ!?」
ああやって楽しそうにしてるので、私的には文句派────、
「私のチャンネルとアイドルチームのチャンネルも5万人近く登録されてるんだけどっ!?
ええっ!?
(ついこの間、1万人記念取ったばっかなのにっ!?)
デジヴァイスですぐに確認すると、自分達のチャンネルの登録者が48.789人……、実質登録者数が五倍近く増えていることに驚きを隠せない。
「それだけ注目されてるってことだろ」
『デジモンの情報を手に入れたいって企業をたくさんあるみたいだからな』
『政府も動向を伺ってるみたいだし……あっ、場面が切り替わった』
アクアとブイモン、ワームモンが話してると……アクア達の戦いが終わってシーンが切り替わった。
『……これ』
『ルビーのシーンに切り替わってる』
…………私の?
客観的に見て、流れてる映像は『ひどかった』。
『ブイモン、次だよっ!!!』
『OK、ルビーっ!!!』
落とし穴の中に嬉々として入れる少女とデジモン。
『えっ、ちょっと、まっ……まじでこんなことやるのっ!?』
『ルビー、コンプラ的にまずいですよっ!?』
仲間が止めてるのにも関わらず、少女達は岩を投げ込み続ける。
『パイセン、MEMちょ……それは甘いよ』
よそ見をしている間に、1体のデジモンが穴から這い上がってくる。
『だめだよ、逃げたりなんかしちゃ』
『お前はここで死ぬんだよ』
少女達は嬉々として、そのデジモンを蹴落とした。
『岩を、岩を落とすんだっ!!!』
『倒せ、倒すんだっ!!!』
自分達の……ひいては、
『
『『
何かに取り憑かれたように、攻撃し続けた。
『……ひぇええ、こわいよぉ』
ワームモンが怯え始める。
それもそのはず、試写として送られてきた第一話よりも、演出やカットの内容が変わってて、どう見てもヤバげな私の顔が全国に晒され続けてるのである。
『コロナモン……、裏でこんなことやってたんだ』
『俺だってやりたくなかったよっ!!! ……でも』
「……ん?」
『────あの姉ちゃん、すっげえ怖いんだよっ!!!』
コロナモンあとでお仕置、き……アクアとMEMちょがこちらをじっと見つめてる。
「……えっと」
「……掲示板が阿鼻叫喚になってる」
「コメントもやばいよ〜〜っ!!!」
MEMちょの悲鳴を聞いて、私はすぐにアクアに駆け寄り────、
「────アクアッ!!!」
「────っ、と、ルビー、危ないだろっ!?」
アクアからデジヴァイスを奪い取り、掲示板の内容を確認する。
「『悲報? 『ルビーちゃん、サイコパスだった』』、『ルビーちゃん、笑顔で幼年期デジモンを倒していく』、『ルビーちゃん萌えならぬ、ルビーちゃんこわ』、『サディスティックルビーちゃん』、『ルビーちゃんとブイモン『ミラクル肉』と連呼』、『『ミラクル肉』とかいうやばい『薬物』について』……まだまだスレが上がってる」
……なに、これ?
「…………」
アイドルチームのチャンネルのコメント欄を見れば、
『ルビーhshs』『ルビーちゃん萌え』『こいつ、炎上レベルで酷くね?』『新しく見つけたご主人様や────!』『その表情、めっちゃ、エッ!』『これが、……のいもうと? 新しい癖にめざめちゃーう!』『しっ、子供はまちゃいけません!』『悲報『子供番組』子供向けじゃなかった』『えっちなのはダメ! 死刑っ!!!』
……等、さまざまな意見が上がっており、私は────
『ルビー、大丈夫?』
私は────、
「どーして」
「どーしてこーなったっ!!!」
私は頭を抱えて嘆くのであった。
「「「いや、自業自得だろ(でしょ)(かな?)」」」
はい、自業自得です……すみませんでした。
2016/9/10/PM5:35
「…………っ」
路地裏に夕陽が差し込んだ道……、俺は会うこともないと思っていた相手からの電話が終わり、ひさしぶりに笑みが溢れる。
(どうかされましたか?)
ご主人様、ご主人様と呼ぶこいつにどう話そうか……そう悩み、
(なんでもーーーー、)
話すのはやめようと決めたその時だった。
「ーーーー
中肉中背の平凡な男に声をかけられる。
「…………」
どこかで見たような容姿に、どこかで見たようなスーツ姿……、その上で、俺の中の『既視感』がそこには存在した。
「『カミシロ』所属、末堂アケミの息子、末堂マナトだな」
そうだ、こいつは、こいつはたしか……、
「……あんたは、たしか記者だった」
「『保坂アキラ』……しがないゴシップ記者さ」
俺がいつも情報を売りにいく会社の、……窓際にいた男だった気がする。そこで、何かを見てニヤニヤした顔で……『保坂』?
「それで、保坂アキラさん。俺になんのようですか?」
「あんたに見てほしいものがあってな」
「ーーーーッ、それはっ!?」
「『
とんでもないものを見せられた。
「見てたぜぇ、この前の中学バレーの全国大会……、あんたがとある女の子に会いにきてたところを、よ」
俺がこの間彼女と会っていたところを写真に撮られていたらしい。
「…………」
『EDEN』に繋がってるようなデータ関連は破棄するように命令してたし、きっと……旧型のカメラで写真を撮ったのだろう。現像の荒さが見て取れる。
「四宮にバレたらやべえんじゃねえか? こっちによく『
……ああ、そうか。
「…………」
そうだったな。
「報復されたらたまんねえぜ。この女の子……、たしかぁ、『相羽アミ』っていったっけなぁ? こっちの業界の先輩の娘だってんだから、バレたら俺もやべえ……が、」
「…………ふっ」
「ーーーー、おい、何笑ってやがるっ! 状況わかってんのかっ!?」
保坂アキラに怒鳴られるが、俺の『既視感』が何かようやくわかってしまった。
「
「ーーーーなにっ!?」
《『あたりの空間が捻じ曲がり始める》》。
「なんだ、なんだよここはっ!?」
焦る男を見て、さらに笑いが込み上げてくる。
「ここは『マヨイガ』だよ」
「マヨイガ、だあっ!?」
正直に答えてあげたのに、彼はどこか混乱している。ああ、そっか……それだけじゃ伝わんなぁよな。
「あははっ!」
だけど、教えるつもりは、『もう』ないんだ。
「…………っ」
「俺はさ、ずっとずっと待ってたんだよ」
「なにを、ーーーーッ!?」
「
「なんだお前、やめろっ!?」
『次元の狭間』から『銀色の触手』が現れる。
「化け物、バケモノがっ!?」
保坂は走って逃げようとするがもう遅い。
「触手が来る、触手が、俺に触るーーーーな、……っ」
保坂アキラは『捕食』されてしまった。
「はい、ストップ」
俺の、その言葉を聞いて、『炎の矢』が触手を貫く。
触手は身動きも取れず、機能を停止させた。
「ご主人様」
デジヴァイスから最後のパートナーが現れる。
「何かな、マナコ?」
マナコは究極体に進化したその姿で俺の隣に立ち、俺に恭しく頭を下げている。
「『デジタルシフト』はどうされますか?」
目の前の……いや、電脳世界と現実が混ざったような俺のいる異空間。そこには先日父と仰ぐ相手が名付けた『デジタルシフト』という現象が広がっている。
「父さんには悪いけど……、テトに頼んで壊してもらおう。原作前に余計な
俺は指を鳴らすと、近場にあった『デジタル情報の流れ』がピタリと止まってなくなる。
異空間は消えてなくなり、デジタルシフトはなくなった。路地裏にいるのは倒れた保坂とマナコと俺……、
「それで、この男は」
「それはいつもどおり……」
「
そして、『
「最悪ですよ、我がジェネラル」
保坂が『白塗りの猫顔の男』の着ぐるみへと変わり、顔だけがうめきながら立ち上がった。
「これはやってますね。タバコにビールに薬物……は手を出してないけど、こいつ
犯罪……こう言う輩は特にやっている何……ああ、
「……今度は何やってたんだ?」
そういえば、と、記憶の奥底が呼び覚まされる。
「アカウント狩りに薬物の売買、接待と称した違法風俗……あと臓器売ってますね。業界ぐるみでやってるんで、バレにくいっぽいです」
「臓器売買?」
「なんでも『ハーレムができる』、『好きな女の子と暮らせる』……つうコンセプトで人を騙して、意識を『EDEN』に閉じ込めて、残った肉体はバラして売る……こいつが元締めみたいで……えげつないことやってんな」
こいつはハカメモの『主人公のアカウント』を狩った男だ……そして、
「……あの『依頼』……こいつが」
サイバースルゥースにもそんな依頼があったことを思い出した。
「…………ご主人様」
「……ん?」
服の裾が引っ張られる。
クダモンに戻ったマナコがこちらを見ている。
「ご主人様、ベツモンがここにいるということは……」
「シキは来てないよ。安心していい」
マナコは今でも『シキ』に対してしたことについて怒っている。
「ご主人様、私今でも怒っていますからねっ!」
いい加減諦めてほしいものだ。
「しょうがないだろ。マナコには別のことをやってもらうつもりなんだからさ……それに、戦力はいくらあってもいいんだ」
「それはわかってますけどぉ」
戦力が必要で、なんでも言うことを聞いてくれる相手じゃないとできないことだったんだ。しかたないことなんだと、なんども言ったはずなのに、こいつはいまだに納得していない。諦めてくれることを願っているのだが……、
(……しょうがない)
今回も俺が折れよう。
「テトやユイには別のことを任せてるし、シンは他のデジモンを鍛えてる。お前だけなんだ、今俺が頼れるのは」
「ーーーーッ!?」
『お前だけなんだ』……と耳元で囁く。
「頼むよ、マナコ」
甘える子供のようにそう言ってやれば……、
「ーーーーッ、もうっ、しょうがありませんわねっ! ご主人様、……今回だけ、ですからね?」
「うん、ありがとう」
いつもどおり、こいつは勝手に動いてくれるのだ。
「ベツモン、また頼むよ」
「おっす!」
保坂アキラに成り変わったベツモンに後を頼み……、俺はデジヴァイスを開いた。
「……それじゃあ、」
『さっきの件なんだけどさ』
『時間が空いたから、すぐにいくよ』
『俺も、ずっと君に会いたかった』
『ありがとう、アミ』
「行こうか」
俺は喫茶店へと歩み出す。
たった1人の、ただ1人の主人公を目指して。
1/1の番外編のアンケートについて 〆切 12/26
-
√カオスドラモン 星に寄り添う月世界
-
√??? 失望の果て