320:洗脳デジモン捜索隊 ID:JeKoEEi/V
ウチのテイルモンもやられたっ!?
321:洗脳デジモン捜索隊 ID:yD/y2d8Z7
くっそ、あの変態メガネなんとかならねえのかよっ!!!
322:洗脳デジモン捜索隊 ID:Pj/Ui4G5y
大丈夫だよ、カミシロの人達が動き出したってっ!!!
『EDEN』の掲示板サイト。そこでひたすら文字を打つ。
468:洗脳デジモン捜索隊 ID: Pj/Ui4G5y
テレビでやってるでしょ! あの役者達が動き出したんだっ! お姉さん達ならなんとかしてくれるよっ!!!
469:洗脳デジモン捜索隊 ID:AtDVLaWVf
ユーゴだってまだ静観の構えだぞ。そんな話信じられるか!!!
470:洗脳デジモン捜索隊 ID:KN0pC3EF5
スチームリーマンの奴らが動いてるみたいだが……、カミシロが動いたってほんとかよ?
(お姉ちゃんが、お姉ちゃん達がきっと、きっと助けてくれるっ!!!)
みんなに早く伝わるように、みんなに早く教えられるように……、早く、早く文字を打つ。
693:洗脳デジモン捜索隊 ID:6KP1FuDo7
その話本当みたいだぞ!
694:洗脳デジモン捜索隊 ID:BTi/Gt4Dx
クーロン近くのサーバ。侵入ができなくなってるが、監視用のデジモンウィルスの映像をハッキングしたら……ビンゴだっ! 映像は荒くて見えないが……、
695:洗脳デジモン捜索隊 ID:CG2lK9NPe
早く映像を流せっ!!!
…………そして、
1000:洗脳デジモン捜索隊 ID: Pj/Ui4G5y
お姉さん達が、負けた?
1001:洗脳デジモン捜索隊 ID:00000000
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映像越しに見えたのは、洗脳から解けた自身のデジモンと呆然とした少女の背中だけだった。
蒼の髪が電脳世界の風にたなびいている。
「私達の……」
「デジモンを奪う者?」
MEMちょとカナ先輩の声が聞こえているのはわかっている……だけど、
「────
「『
敵に狙いを定めた一撃。
アカウントを確実に破壊する為、敵の存在を確実に消す為、コロナモン達を助ける為、あのメガネに向かってブイモンの一撃を叩き込むように指示をした。
『────』
瞬間、矢のような形をした氷がブイモンの目の前を通り過ぎた。
「「────っ!?」」
氷の矢、敵の攻撃……、その視線の先には……、
「……っと、危ない」
「……ルナモン、なんで?」
「────っ!?」
あかねちゃんの言葉にアクアの戸惑う表情が見えた。
(…………っ、だめっ!!!)
瞬時にその答えに辿り着いた。
(あれはもう/(アレは、
「理解できないのかな? こいつらはもう君達のデジモンじゃない」
デジモンカイザーが手を振り上げる。
「
「デジメンタル────」
アクアが『D-3』を掲げたそのとき、
「『』」
「────ぐぅっ!?」
「ワームモンっ!?」
ワームモンに向かって、炎の爆弾が降り注ぐ。
(ルビー、下がって)
ブイモンの言葉に三歩後ろに下がった。
「……まったく、油断も隙もない。僕が優雅に説明しているというのに、君達は乱暴者で困るよ」
デジモンカイザーは自慢げにそう言いながら髪をかきあげる動作する。明らかにいらだちと憐憫が混じったそのふざけた姿に……、
(────ブイモン)
(進化だろ、準備はできてる)
私達/俺達はいらだっているんだ。
「…………」
いつでも攻撃が避けれると、いつだって進化できるんだと、腰を低くして、走りだす準備を始める。
((────、今っ!!!))
ブイモンと私は同時に走りだす。
[ブイモン 進化]
「『エクスブイモン』ッ!!!」
狙いはデジモンカイザー、アカウントを壊すことを目的とした特攻で、確実に奴を倒す。
「そんなに戦闘がしたいなら、……さぁ実験の時間だ」
私達の思考を読み取ったのか、デジモンカイザーが『黒いD-3』を掲げる。
(────あの、光はっ!?)
たった一度だけ、
ただ一度だけ見たあの光。
重く、重く、重く……塗りつぶしたような『黒』の光。
「……あっ、あっ!?」
「────黒川あかねっ、しっかりしなさいっ!!!」
その言葉を聞いて、振り返って……、だめっ!!!
「さあ、僕に忠義を示せ、ファイラモン、レキスモン」
私は/俺は
[
黒い光と強烈なエネルギーが撃ち放たれる。
「「全員避けて(ろ)っ!!!」」
「『トリニティゴスペル』」/「『ヘルファイア』」
暗黒の闇から放たれる毒々しい光と闇の弾丸。
「────ッ!?」/「アーちゃんっ!?」
「────、ルナモンッ!!!」
「────っ、こんの、バカっ!!!」
「…………っ」
「ツチダルモンッ!?」
「しょうがねえよなっ!!!」
「ガルルモンっ!?」
アクアが、ワームモンが、あかねちゃんが、カナ先輩が、MEMちょが、ツチダルモンが、不知火さんが、ガルルモンが……、
((間に合わなかったっ!?))
横を通り過ぎるデジモンカイザーの攻撃。
私とエクスブイモンでは耐えられない攻撃。
私達ではどうしようもない攻撃が、背後のみんなに襲いかかった。
襲いかかった…………、
「『
…………はずだった。
振り返ると黒い羽が舞った。
振り返れば黒い翼が見えた。
たった一度、
たった一度だけ見せたあの姿は、
「「「────ッ!?」」」
黒いカラスの剣が振り下ろされた。
「……遅くなった」
突如現れたカラスのような、妖怪のような出立ちのデジモン。金色の剣が、銃弾と光を切り裂き俺達を守っていた。
「…………お前は」
たったったと走る音が聞こえてくる。
「────ユイッ!!!」
「「「────ッ!?」」」
笑顔で近づくルビー。安心し切ったその表情に、俺達は戸惑いを隠せない。
「助かったぞ、ユイっ!」
「早く、敵を倒してっ!!!」
ルビーが『ユイ』と呼んだデジモンは呆れたように首を振った。
「おい、ルビー……こいつのこと、……」
カン!
音が鳴った。
周囲には黒いリングが落ちている。
「────ひっ!?」
黒いリングが俺達の足下に割れ、落ちていた。
(……こいつは)
そう、その実力を目にして、
「……その名はやめろ。今の我は────」
ルビー達に向かうリングを切り裂いたそのデジモンは、
「しがない、『博士』でありますからな」
俺達の見知ったひょうきんなデジモンが笑っていた。
「……なんだ、お前はっ!?」
デジモンカイザーが叫ぶ。
「我の名は『カラテンモン』。この者等を守りにきた」
ユイがカラカラと笑いながら、ことも投げにそう言った。
「カラテンモン……だとっ、ふざける────」
ふざけるな、そう言おうとしたデジモンカイザーの表情が笑いに変わっていく。
「ふっ、ふふふ」
「────?」
デジモンカイザーが笑いながら腕を振る。黒いバネのようなリングが雨のように降り注いだ。
「笑わせてくれる。わざわざ、強力なデジモンが目の前に現れるとは……、さぁ、行けイビルスパイラル。僕の手先になるがいいっ!!!」
────スパァン
かちゃん、かちゃん
雨は光のような速さの剣によって、四つに切り裂かれ、黒い羽が『EDEN 』に舞い落ちる。
「偽『十文字斬り』……、本物に比べれば威力は劣りますが、この程度の『
「────なっ!?」
ユイの剣技は黒いバネをものともしない。デジモンカイザー派その姿を見て戸惑うことしかできなかった。
「……ムーチョモン博士、なんですよね?」
「…………」
「ルナモンを、ルナモンを助けてくださいっ!!!」
「あかね、あんたっ!?」
「それだけの力があるなら、私の友達を、ルナモンを早く助け────」
黒川あかねがユイに縋る。
「……残念であります……が」
しかし、
「
口調が変わったユイが見た方向には────、
「「「────っ!?」」」
無数のデジモン達がそこにいた。
「────やれっ、お前達っ!!!」
動き出したデジモンの軍隊。
(あれ全部、操られたデジモン?)
中華風ドラゴンに天使に悪魔、虫に植物に骨の竜、キメラ見たいなデジモン。さまざまなデジモンがサーバの地面テクスチャから次々と召喚されていく。
「どうだ僕のデジモン軍団はっ! お前達も僕の軍団の仲間に入れてやるよっ!!!」
デジモンカイザーを背負うレキスモンだった悪魔。それの周りを警戒するファイラモンだったケモノ。その腕には、首筋には黒いバネのリングが付けられている。
「……ルナモンっ!?」
「……コロナモンっ」
黒川あかねが手を伸ばし、有馬かなが苦虫を潰したような表情で自身らの『元』パートナーデジモンを見つめている……だが、
「これは、僕の『アスタモン』と『マンティコアモン』*1だ」
その言葉と共に放たれる。
「『マーヴェリック』」
「『アシッドインジェクション』」
かつてのパートナーを狙った無慈悲な攻撃。アスタモンが黒川あかねを、マンティコアモンが有馬かなに襲いかかる。
「────きゃっ!?」
「────っ!?」
迫り来る2体の猛攻、それに伴い痛みが来る。
((……あれ?))
来るはずだった。
2体の攻撃に当たる寸前、目を閉じた2人。来るはずの痛みは、傷は、牙は、その身に未だ来ていない。……そして・その耳にはギギギギギギギ……という、油を差していない歯車のような音が鳴り響いているだけだった。
「大丈夫でありますか?」
「……ががが」/「────ッ!?」
ユイの剣で防がれていた。
マンティコアモンの牙が、アスタモンの蹴りが片腕で止められている。
「大丈夫でありますか?」
「「────ッ!?」」
ユイはその攻撃を難なくいなし、剣をデジモンカイザーに向けて投げつける。
「おっと、危ない……っ、なぁっ!!!」
だが、マンティコアモンが尻尾で叩き落とす。そして、銃口は有馬かなへと向かい、
「『ヘルファイア』」
「偽『打首獄門』ッ!!!」
アスタモンによって放たれた銃弾をユイは左手に残った剣で全て切り落とした。
「無茶苦茶やる」
冷や汗をかくデジモンカイザーと、
「そうでもない……、たかだか、成熟期数十体程度、軽くあしらえないとこっちが殺される」
剣を担いで睨みつける。
「たかだか、だとっ!? こっちがどんな思いで、この軍勢を作り上げたと思っているっ!!!」
「知らぬ、……いや、知りたくもない。我が剣、我が力が届く範囲に群がっている程度の蛆虫が目に入り、鬱陶しく思っただけだ。貴様等はその程度の存在だと知れ」
激昂と諦観、両者のいらだちが混じった視線が重なり合う。
「……くっ!?」
だが、それはデジモンカイザーの敗北を確かに意味していた。
(…………ユイ)
「……すごい」
MEMちょがこぼしたその一言を皮切りに、事態は大きく動き出した。
「やれっ、デルタモンっ!!!」
「『トリプレックスフォース』ッ!!!」
先頭に立つ両腕がドラゴンのキメラ……、いや、デルタモンが動き出した。
「…………」
黒い首輪が赤い目をたぎらせ、ユイに襲いかかる。
「どうだ、『僕』のデルタモン*2はっ! そいつは正真正銘、僕のデジモンだっ!!!」
「温いっ、偽『打首獄門』ッ!!!」
「ぐがぁっ!?」
「デルタモン!?」
あっさりとやられるデルタモン。それを見た者の中で、たった1人、動きだす影がいた。
(……フリルちゃん)
(────MEMちょ?)
(今のうちに、コロナモン達を助けに行こう)
(……ガルルモン?)
(…………わかった)
2体のデジモンが嵐のように戦う中、少女達は動き出した。
「舐めるなぁっ!!!」
「やれっ、ワルシードラモン*3、スカルグレイモン*4ッ!!!」
雷を操る海竜とアンデットの名に相応しき骨の竜が襲いかかるも、
「…………はぁ」
ユイは刀を振り上げて、
「
「『
背後には巨大な竜の戦士が宿り、2体の完全体デジモンを切り裂いた。
「────っ!?」
「────くっ!?」
「────きゃぁっ!?」
吹き荒れた爆風。ユイの攻撃の余波によって生み出された衝撃に足を食いしばる……にしても、
「……なん、だと?」
デジモンカイザーも、
(なんて、威力……)
スカルグレイモンとワルシードラモンが真っ二つに斬られたように見えたのは一瞬だけだった。2体の居た場所には剣で切られたような跡と立っていた場所を中心に倒れる成熟期のデジモン達だけ。
(あんな細い剣で……この威力……、それに)
ルビーの目には、ブイモンの目には見えていた。
倒れたデジモン達のお腹は動いているのが見えていた。
呼吸をしているのがわかってしまった。
あれだけ余波があったのに、あれだけ強い攻撃だったのに……、
(あの2体を殺さずに気絶させたの?)
ルビーとブイモンの目の前にいる存在は悍ましいほど、その技量を持っているデジモンだった。
「いい加減、諦めろ。主命により、その2体だけ手放せば、見逃してやる」
ユイは左腕の剣で砂埃を払い、デジモンカイザーに叩き落とされた剣を右手で拾いながらマンティコアモンとアスタモンを睨みつけた。
「…………見逃してやる、だと?」
デジモンカイザーは肩を震わせる。
「見逃して、やる。見逃してやるだとっ!!!」
地団駄を踏み、怒りに身を任せ、
「ふざけるなぁっ!!!」
怒号を持って、宣言する。
「貴様ら、全霊を持って奴をデリートしろっ!!!」
その怒号と共に、背後のデジモン達が動き始める。
「『メガフレイム』」「『フォクスファイアー』」「『ヘブンズナックル』」「『メガブラスター』」「『スピニングニードル』」「『ヴォルケーノストライク』」「『ネコパンチ』」「『デスクロウ』」……、
火、水、光、闇、植物、衝撃波、毒……、さまざまな攻撃が絡み合い、ユイ……いや、デジモンカイザーの敵へと迫る。
「……」
ユイは両腕の力を抜くように剣を地面に向ける。
「ハハハ、どうした? ついに諦めたのかっ!? お前なんか僕の部下にはいらない、そのまま消えてなくなれっ!!!」
敵の一撃が、デジモンカイザーの勝利への確信が、ユイに触れようとしたそのときだった。
「『
「……は?」
ガチャン、剣が鞘に収まる。
「くそ、くそっ、クソッッ!!! なんなんだ、なんなんだよ、お前はっ!!!」
その光景を見て、デジモンカイザー発狂しながらユイに問う。
「……今は」
左手に剣を手に添え、右手でズボンのポケットから……、
「ただのしがない博士であります」
伊達メガネを取り出して、一言そう自慢げに言ってみせた。
「……博士、だと?」
その回答から止まるデジモンカイザー。
「まさか、あのデジモンかっ!?」
怒りと戸惑いから、思考を取り戻し、驚愕へと表情を変えた…………しかし、そのユイの行動は、
────どたどたどたっ!!!
「────っ、お前等、そこで何をやってるっ!?」
それは『状況を把握』する程度の冷静さをデジモンカイザーに与えてしまったのだ。
「────っ、やって、ツチダルモンっ!!!」
「ガルルモン、お願いっ!!!」
だがもう遅い……、デジモンカイザーのその声を聞いて、彼女達はそう確信する。マンティコアモンとアスタモンを挟撃するような形で、2体とそのパートナー達は必殺技を繰り出した。
『グレートウェイト』
「『フォクスファイアー』ッ!!!」
2体の狙いは黒いバネ……いいや、イビルスパイラル。
ツチダルモンの必殺の一撃が、ガルルモンの青い炎が、マンティコアモンの首筋に、アスタモンの腕を焼き焦がさんと近づいていく。
「フリルちゃん、お願いっ!!!」/「MEM、コロナモンを頼んだっ!!!」
その確信は奪われたパートナー達に電波し、
((これならいけるか(も)?))
ルビーやアクア達にも希望を見せた。
「僕のデジモンに触れるなっ!!!」
「────待てっ!!!」
「「、────ッ!!!」」
デジモンカイザーとユイの声が重なり合い、
(進化したコロナモン達の目が光ったっ!?)
2体のパートナー達の攻撃が、今にもイビルスパイラルへと迫りゆく……その瞬間、マンティコアモンとアスタモンの目が赤く光り輝いた。
「『
「『
赤く輝いた視線が、2体のデジモンを捉えた。
「────なっ!?」
「────っ、っっ!?」
ガルルモンは強力無慈悲な闇に蹴り穿たれ、ツチダルモンは3つの尻尾に貫かれ磔にされる。
「ツチダルモンッ!?」/「ガルルモンッ!?」
「MEMちょっ!?」/「不知火、下がれっ!!!」
危険なデジモンに不用意に近づいた者の、安易に動いた末の、無力な者が驕った故の末路がそこにあった。
「ふは、ははははははは────ーっ!!! 僕のデジモンに触れるからそうなるんだ」
デジモンカイザーが嗤う。
ガブモンが蹴り飛ばされ、磔にされたツチダルモン……いや、ララモンは地面に叩きつけられていた。
「ガブモンっ!!!」/「ツチダル、モン?」
「ルナモン……っ」/「────ッ!?」
目の前にいる最悪の結果……、それぞれが、それぞれのパートナーを見て、苦悶の表情を浮かべる最中、
(ねえ、ユイ……なんとかならないのっ!?)
(お前の強さならなんとかなるはずだろっ!?)
兄妹はユイに詰め寄る。
(……エクスブイモン)
(わかってる)
兄妹のそれぞれのパートナーは、これよりも『最悪』を考え……、パートナーの隣に侍り、
(……ミスったであります)
2体の完全体の足下に伏す成長期。
ユイは行動の把握をしていたものの、『運が良ければ』と放置した末、2体は未だ敵の攻撃範囲内にいる。
(……守れはするが)
守れは、命だけは守れはする。
ただ……、
(これは後で地獄の特訓コースでありますな)
自身の油断が命取りになってしまった。ユイの視線は……、
「さあ、僕のデジモン達よ。眼前いる邪魔者を……、っ」
「……何を? ────ッ!?」
笑っている……、星野アクアの言葉はデジモンカイザーの視線の先がユイから移り変わったことで止まってしまった。
「そうか、こうすればよかったんだ」
2体に向けてアスタモン/マンティコアモンは銃を/尻尾を向ける。
「────、まさかっ!?」
ユイの動きが変わる。
「────やれっ!!!」/「全員、離れろっ!!!」
「「『ヘルファイア』/『トリニティゴスペル』!!!」」
「『────ン』ッ!!!」
大きな爆発音、何も見えないほどの強烈な光……、爆心地に残る嫌な何かが燃えるような奇妙で、酷い匂いが周囲に立ち込める。
「…………逃げられましたな」
爆震源には2体の倒れたデジモンと、1体の白衣とメガネのデジモンが立っている。
「ルナモン?」
パートナーを失い呆然とする者、
「…………っ」
悔しさでと怒りで打ち震える者、
「起きて、起きてよ。ツチダルモン」
状況が理解できず、ひたすらにパートナーに縋る者、
「ごめん、ごめんなさい……ガブモン」
自身の浅慮さを理解した者、
「アーちゃん」
「……ワームモン?」
敗北、その2文字が……、結果として残されている。
「これって」
「俺達の負けだ」
その事実を『痛感』する者。
「「…………」」
…………そして、
「「私/俺達が負けた?」」
ウィルス種デジモンのデジコアが好物という獰猛な魔獣型デジモン。その悪魔的ともいえるウィルスへの執着に目を付けられ、天使系デジモンに使役されている。知性や理性といったものはなく、他者のデータを貪り喰らうことだけが、ただ一つの存在理由だ。
必殺技は頭部と両腕にある計3つの口から放つエネルギー弾「トリニティゴスペル」と、3つの尻尾で敵を串刺しにし強酸を体内に流し込む「アシッドインジェクション」。戦闘中に見せるあまりの凶暴さに、使役する側の天使系デジモンでも手に負えないことがある。
3体のデジモンが融合した合成型デジモン。それぞれが別々のデジモンとして存在していたが、強力な電磁波の嵐を受けたコンピュータの暴走により、バグが生じ融合してしまった。3つの頭、2本の尻尾をもつこのデジモンは、体の特徴を生かした3段攻撃を得意とし、1度に3体のデジモンとの戦いも可能だといわれている。しかし、それぞれが凶悪なデジモンだったため、破壊という統一の意識はあるが協調性がなく普段は仲が悪い。必殺技は3つの口から出るエネルギーを合わせて発射する『トリプレックスフォース』と左腕のデジモンが繰り出す『スカルファング』。
邪悪に進化したシードラモン種のデジモン。頭のブレードのようなツノで闇の力をコントロールできる。よりズルがしこい性格になっており、エモノを追いつめるしつこさはメガシードラモン以上だ。必殺技は、闇の力で作り出したうず巻きで敵をのみこんでしまう『ダークストローム』。
全身が骨だけになってしまったスケルトンデジモン。戦う事だけに執着してきた デジモンが、肉体が滅んだにも関わらず闘争本能だけで生き続けた結果、スカルグレイモンになってしまった。闘争本能しか持ち合わせていないスカルグレイモンには知性のかけらも無く、他のデジモンにとってはその存在は脅威となっている。必殺技は脊髄から発射される有機体系ミサイル『グラウンド・ゼロ』。近年の研究では、新たに追尾機能も加わり、威力・範囲も格段にグレードアップした『オブリビオンバード』として進化を遂げたとされている。
「……ふぅ」
煌びやかなホテル。緊張しているのかつい溜息が出る。
「アミ様……、どうかなさいましたか?」
スーツ姿の黒髪の美女が私を心配そうに声をかけてきた。
「ううん、大丈夫だよ。シキさん」
マナトくんの部下のシキさんだ。
(……相変わらず、とんでもない美人だ)
絹のように綺麗な長い黒髪で、ボンキュッボンの、とってもスタイルが……良い女性で、顔も映画に出てくる女優さんよりも遥かに美人で……、高そうなスーツを着て、こんなに気遣いもできて……アニメに出てきそうな完璧な女性だ。
(私だって、……まだ、中学生だし。顔はともかく……成長期は終わりかけだけど……少しずつ体って成長するし……)
私の服装と彼女の服装を見比べる。
私は学校指定のセーラー服で、シキさんは何十万もするような高そうなスーツや時計、アクセサリーを身につけていて……、私とは比べるまでもなく、社会人の……大人の女性だ。
(マナトくんもこんな女性がいいのかな?)
私の思わず溜息が出そうになった。
マナトくんは、いつもこんな美人を側に侍らせているのだ……、きっと彼もこの女性のことが、た、た……タイ、……ううん、そんなわけない。きっとそんなわけない……と信じたい。
(綺麗な黒髪の女の人がタイプなのかな?)
そう思って自分の髪の毛を弄る。
(相変わらず赤い髪で……、癖っ毛だ)
父親に似た赤い髪に、祖母から遺伝した癖っ毛の髪型……、もし、本当に彼の好みが黒髪ストレートの、女性だったとしたらーーーー、
「
隣からそう聞かれ、思わず肩を揺らしてしまった。
「うっ、うん」
じっと見つめる綺麗な青色の瞳に、私は急いでその言葉に頷いた。
「そうですね。いくら知り合いの店とはいえ……、こんなところに呼び出されてしまったら、緊張されてしまいますよね」
「ーーーーうぐっ!?」
「どうかなさいましたか!?」
「……いえ、なんでもないです」
本当に、本当になんでもないです。貴女の気遣いに少しだけ、ほんの少しだけ、心を痛めただけなのです。
(ほんっと、私ってバカだなぁ)
そんなことを思いながら俯いてしまう。
「でも、安心してください。マナト様はいつもと変わりありませんから」
そう、微笑んだ彼女の顔を見てーーーー、
(こんなふうに綺麗に笑える人の隣だったら、男の人は惚れてしまうんだろうなぁ)
……と、見惚れてしまった。
「……それと」
「…………?」
彼女は私の隣でイタズラっぽく笑い、
(私と彼の方は『そういう関係』ではありませんから、ご心配はいりませんよ)
そんなことを言った。
「ーーーーぶっ、ふぇっ、ふぁいっ!?」
彼女のその言葉にびっくりして、思わずむせてしまった。大きな声を出してしまって、別のお客さんからの視線が集中したのを感じ……、顔が真っ赤に染まってしまった。
「……ふふ、女の子がそんな顔するものじゃありません。髪が乱れてますよ」
「ーーーーっ!?」
さらりと私の髪を触るシキさん。間近に映るその色っぽい仕草に、赤くなった顔がさらに赤くなる。
「……気づいてたんですか?」
「もちろん。バレバレでしたよ」
私の髪を弄りながら、彼女は優しく微笑んだ。
「……ひどいです」
「あからさまに表情を変え過ぎです。そんなに顔に出ていると、彼の方にもバレてしまいますよ」
「ふーんだ」
「…………ふふっ」
私はそっぽをむき、シキさんは寂しげに笑う。
「そもそも私が彼の方の隣にいるのは『ボディガード』で『部下』だからです。それ以上でもそれ以下でもありません」
「……ボディガード?」
こんなに華奢なシキさんが? 何かの冗談……と思ったけど、シキさんが話し出した。
「そう見えないかもしれませんが、これでもテト様、我らが……いえ、マナト様の直属の方々から、護衛として側に侍ることを許された唯一の……1人ですから、これでも力は強いんです!」
でかい胸を張って自慢げに笑って見せる彼女。だけど、その言葉に説得力はない気がする。
「……そう、なんですか?」
疑い半分、嫉妬半分にその言葉の意味を聞く。
「私との関係を望まれるのであれば、私はそれを受け入れますが……、彼の方はそのようなことはしないでしょう」
寂しげに笑う彼女。
シキさんはどこか寂しそうで、悲しそうで……でも、晴れやかに笑って見せている。
「…………なんで、なんでしょうか?」
私の疑いの言葉に、
「『彼』は絶対に望まないでしょうから」
彼女は確信を持って、笑って見せた……そして、
「私がそういう関係になろうものなら、……いえ、そもそも彼の方の直属方々直々に、……っ!?」
話しているうちに、彼女の体がビクンと震えた。
「…………思い出しただけでも、吐き気が、が、がっ」
吐き気も催し始める。
体は小刻みに震え、顔は真っ青に染まり、先程まで私の髪を触っていた腕は血の気が引いていく。
「大丈夫ですか、シキさんっ!?」
その異常な様子に、私はさっきまでの考えを捨て、シキさんに声をかけた……すると、
「半年間、家なし、風呂無し、電気なし、暖房なし、冷房なし、雪あり、雨あり、夏暑い、冬寒い、虫嫌だ、作っても作っても壊される、逃げられない、あと3ヶ月……、もう無理、長い長い、長い長い長い長い長い長い長い……、2ヶ月、敵を倒して逃す逃す逃す逃す逃す逃す逃す逃す。……あと1ヶ月、敵から狙われ続ける。鬱陶しい鬱陶しい鬱陶しい鬱陶しい鬱陶しい。軍隊多い多い多い多い多い多い多い多い多い多い多い多い多い多い多い多い多い、死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬーーーー」
「ーーーーー大丈夫ですかっ!?」
頭を抱えながら急に発狂しだすシキさん……、虫? 夏? 外……?訓練をした、のかな?
「…………っ、はっ!? 大丈夫です、大丈夫なはずです……、訓練の時のトラウマを思い出しただけなので……」
大丈夫なはず……って、
(どんな訓練をすれば、トラウマになるんだろう?)
大丈夫、大丈夫……あれを突破したのは私だけ、私だけなのだ。トラウマだけじゃない。トラウマだけじゃないのだ……そう歪んだ笑みを浮かべながら、大丈夫という言葉を繰り返すシキさんに、思わず後退りをしてしまい……、
「アミ」
背後から聞き慣れた声をかけられる。
「お母さん」
お母さんがホテルの受付から戻ってきたみたいだった。
「……彼女、どうしたの?」
私の背後で鬱々とした表情のシキさんを見て、どうしたのかと聞いてくる。……けど、
「…………なんでもないよ」
「…………?」
そう言って、周囲を見回すと……、
(ーーーー来たっ!?)
ホテルのエレベーターが開いて……っ、いつもとは違う彼とスーツを着た男性がこちらへと歩いてきた。
「お待ちしておりました。相羽アミ様と……、おひさしぶりですね。相羽◯◯様」
お母さんが神妙な顔で頷き、私が首を傾げ……、
「さぁ、こちらにどうぞ。席が準備されています」
マナトくんがそう笑って歩き出した。
1/1の番外編のアンケートについて 〆切 12/26
-
√カオスドラモン 星に寄り添う月世界
-
√??? 失望の果て