暦の上では初冬、1日経てばカレンダーでも冬に入る秋最後の日。気温10℃を切り、
「ーーーーよしっ!」
掲示板の画面をが開いている。そこには、『衝撃、カミシロ、デジモンカイザーに宣戦布告!!!』とスレが開かれている。
あの戦いから数日後、私達は『EDEN』にてデジモンカイザーへ『リベンジマッチ』を宣言した。
「アクア、準備はいい?」
「問題ない」
あの日以降、デジモンカイザーは鳴りを潜め、虎視眈々と力を蓄えているのだろう。
「アクアくん、ルナモンのことお願い」
「うん、わかってる」
『うん、だいじょうーーーー、あ゛ぁーーーーっっ!?』
「ルビー、ブイモン、コロナモンのこと頼んだわよ」
「パイセン、誰に言ってんの。絶対に奪い返してみせるって!」
『あんな奴に負けてたまるかってんだ!!!』
心配そうに2人は私達を見送りに来た。
アクアはあかねちゃんを抱きしめて、私はパイセンにピースで答える。ワームモンとあかねちゃんの言い合いをBGMに、自動ドアの扉が開いた。
「準備は完了したでありますな」
ムーチョモン博士がモニターに映ったロボットが、現実の会議室の中に入ってくる。
「問題ない」
「アクアくん!!!」/『アーちゃんッ!!!』
「私も問題ないかな?」
『ルビー、俺もOKだっ!』
隣でアクアがあかねちゃんに揺られてる気がするが気のせいだと信じたい。
「…………」
「どーしたの、ユイ?」
「……いや、なんでもないのであります」
何か言いたげにこちらを見て、……それでも首を振って、言葉を濁したユイ。
(……心配してくれてるのかな?)
そんなふうに思い、ボーッとユイを見てると、
「それでは行くでありますぞ」
と声がかかった。
「ルビー、いけるか?」
これが、これこそが最後の確認。
私達の向かう戦場。
私達の仲間を取り戻す戦いへの第一歩。
それに答える言葉はもちろん、
「いけるよ、アクア」
私はそう言葉を返し『EDEN』へと向かった。
2016/11/30/AM10:37
「……来たか」
宣戦布告した時間の11時から20分ぐらい早い時刻、私達が入念に準備に準備を重ねて進め、選んだ戦場で敵は待っていた。
(……あれ?)
周囲をキョロキョロと見渡しているデジモンカイザー。
(何かを探してるのか?)
何かを探している様子のデジモンカイザーは、3分ほど何かを探したところ、最後に眉間に皺を寄せ私ただを睨んだ。
「おい、あのカラスはいないのか?」
(…………ああ、そう言うこと)
アクアは納得半分、怒り半分でデジモンカイザーを睨みつける。
「スポンサーの意向で戦えないらしい。悪いけど相手は俺達だ」
そう、私達が戦うんだ。私達で戦って、勝って、仲間を取り戻すんだ。他の誰でもない、番組なんて関係ない、私達で勝ちたいんだ。
「お前達が相手だと? 話にならないな。奴じゃないなら帰れ」
「私達のデジモンを奪えば出てくるんじゃないかな? そんなことはもう二度とさせないけど」
「……そうか、なら相手してやる」
呆れたようにそう言ったデジモンカイザー。
(ああ、そうだ。こいつの、こんなところが嫌なんだ)
自分が私達よりも上にいると思い込んだ顔つきを、自信に満ちたその顔を……、
「来い、アスタモン、マンティコアモンっ!!!」
「────ッ!」
「……ゥゥウ」
我が物顔で仲間を操るその姿を、私は、私達は許せないんだ。
「お前の好きにはさせない!」
「私達がお前を倒すっ!!!」
『D-3』を取り出し、ブイモン/ワームモンに声をかける。
「やるよ、ブイモンッ!!!」/「やれるな、ワームモンッ!」
「OK、ルビーっ!」/「いこう、アーちゃんっ!!!」
初めて使うデジメンタル。
これで、『最後』のアーマー進化。
そう、私達は、
「「デジメンタルアップッ!!!」」
この戦いを終わらせるんだ。
ブイモンが/ワームモンが黄金の光に呑み込まれていく。
光はブイモンを強靭な姿へと変貌させる。
光はワームモンを光輝く丸い蛹へと変貌させる。
そして、ブイモンは/そして、ワームモンは
かつての姿を取り戻す。/羽化し、金剛の鎧を纏う。
[運命の煌めき]/[奇跡の輝き]
「『
「『
そこには、『本来』の幻の竜がそこにいた。
そこには、神を宿した虫が佇んでいた。
「ゴールドブイドラモンとコンゴウモン、だと?」
デジモンカイザーの驚く声が響く。
(そうだ、お前は知らないはずだ)
(これはブイモン達の最後の)
((アーマー進化だから))
『あっ、言っとくのでありますが、このデジメンタルは一回こっきりしか使えないのであります』
『『……は?』』
ユイのありえない一言に私とアクアが聞き返す。
『だから、一回しか使えないので、本番は頑張ってくるのでありますよ』
平然と言うなよこいつ。
『『なんで、そんな大事なことを最後に言うのかなぁ(んだよ)っ!!!』』
アクアがユイの胸ぐらを掴み、私が頭をグリグリ攻撃をする。
『痛い、痛いのであります!? 離してくだされっ!?』
頭がグリグリされたユイは情けない声をあげなが、説明を始めた。
『不完全な状態での使用は、それ相応のデメリットがあるのでございますっ! 今回はデジメンタルにそのデメリットを押し付けることで、時間制限付きでアーマー進化できるように改造したのであります!!!』
『しかも、時間制限付きとかっ!?』
『そんな大事なことは最初に説明しろっ!!!』
さらに隠してたことがあったらしい。
アクアとアイコンタクトをして、さらに追撃を行う。
『それでは、番組的にも、お2人的にも納得されないのではありませんかっ!? ……って、やめっ、やめろぉおおおおお────っっ!?』
そんなこんなで、あの後、デメリットを説明されたんだけど、
「これが私達の」
「最後のアーマー進化だっ!!!」
2体のその背中を見て、私達は……、
「ゴールドブイドラモン……、ひさしぶりにその姿だけど、いける?」
「問題ない……、むしろ」
「想像以上の力に驚いてる」
ゴールドブイドラモンは、
「コンゴウモン」
「僕の相手は、……やろうっ!!!」
コンゴウモンは、
「「いくぞ(よ)っ!!!」」
マンティコアモンへ/アスタモンに向かって、走り出した。
「……開幕から突撃か? 迎え撃て、マンティコアモンッ!!!」
「ルゥアッッ!!!」
マンティコアモンの3つの口から光が集まる。
「力比べだよ、ゴールドブイドラモンッ!!!」
「真正面から、突き破ってやるッ!!!」
「『ブイブレスアロー』ッ!!!」
「『トリニティゴスペル』ッ!!!」
ゴールドブイドラモンとマンティコアモンの光線がぶつかりあう。
(……威力は十分っ!)
脚を食いしばるマンティコアモンに、ゴールドブイドラモンは黄金の『ブイブレスアロー』を放ちながら、敵陣へと突き進んでいく……そして、
────ドカァアアアアアンッッ!!!
相殺し、弾けた衝撃が爆風を生む。
(…………っ!?)
暴風で髪が揺れる。
立ちすくむ必要はないかもしれない。だけど、それぐらい激しい戦いに身を投じてるのだと私は感じ……、
(……この感じだ)
頬が懐かしさで緩んだ。
一年前のあの『戦い』……、それに近しい緊張感に全身が懐かしさと共に緊張を取り戻していく。
「…………っ、……最後のアーマー進化と言った割には弱いじゃないかっ! 所詮、アーマー進化でしかない。死力を尽くしてその程度しか出力が出ないのは笑いものだな。さらなる進化系を持つ完全体には敵わないんだよっ!!!」
デジモンカイザーがマントを翻して、そう叫んだ。私達を嘲るようなその言葉……しかし、
(────ッ!?)
私はその言葉の奥にある『動揺』を見逃さなかった……そしてそれは、
「
「────ッ!?」
光線通しがぶつかり合った衝撃、相殺で発生した爆風を突き抜け、煙の中からゴールドブイドラモンがマンティコアモンに超接近していた。
「やって、ゴールドブイドラモンッ!!!」
「────おっ、ラァッ!!!」
「────ッ、ァァルァ!?」
私の声に導かれるようにゴールドブイドラモンはマンティコアモンに尻尾を掴み上げ、ぐるぐるぐるぐると回転した。
「さあ、てめえのデジモンとやらを返してやるよっ!!!」
ゴールドブイドラモンはマンティコアモンの尻尾を離す。
「ルゥゥウウウウ、ぁぁ、アアアアアアアアアアアアアア────ッッ!?」
すると、ゴールドブイドラモンの力と遠心力によって、マンティコアモンはデジモンカイザーのところまで投げ飛ばされた。
「……マンティコアモンを投げ飛ばした、だとっ!?」
ゴールドブイドラモンは自身の2倍近くあるマンティコアモン投げ飛ばした。そのことに対して驚いているのはデジモンカイザーだけじゃない。
「ルビー、すげえっ! パワー、スピードがブイドラモンとは比較にならないっ……むしろ」
ゴールドブイドラモンも目の前の光景に驚いていた。
(……)
だけど、それは……、
「────まだだよ、警戒してっ!!!」
目の前へと迫り来るアスタモンの影に気づいてないだけ、……そして、
「こちらもいくぞっ!」
それは、アスタモンもおんなじだった。
「『ヘルファイア』」
「『ヴァジュラ』ァッ!!!」
アスタモンの銃弾が、コンゴウモンの錫杖『ヴァジュラ』によって全て叩き落とされる。
「────っ!?」
「……っ、アスタモン、何をやってるっ!?」
アスタモンはその動きを見て、背後に飛んで距離を取ろうとするが……コンゴウモンもその動きに追随し、アスタモンへと金色の羽で急接近する。
「アスタモン、やれええっっ!!!」
「『ヘルファイア』ッ!!!」
「潜り抜けろっ!!!」
「『ヴァジュラ』ッ!!!」
アスタモンの強力な銃撃を物ともしないで突き進むコンゴウモン。
「アスタモン、もっと力を入れろっ!!!」
デジモンカイザーは気づいていないが、アスタモンは思うように攻撃が通じていないことに気がついていた。理由はわかるはずもない。
(コンゴウモンはフリー種。
どんなデジモンの攻撃も弱点にならない代わりに、どんな相手にも一定のダメージしか与えられない)
それに加えて、その肉体を守る『クロンデジゾイド』製の鎧があらゆる攻撃を弾き飛ばしていたことが要因であった。
(実際の戦闘では有利不利なんて考えられなかった。それに実感もなかったわけだが……)
「基礎中の基礎がこうも反映されるとはな」
コンゴウモンが一つ一つの攻撃を瞬く間に避け、弾き、潜り抜け、突き進む
「同格同士の相手であればこのように」
……その結果、
「捕まえた」
「────ッ!?」
アスタモンの胸元に飛び込むことに成功した。
「『
「ーッ、ーッ、ーッ!?」
『ヴァジュラ』による連続攻撃。
『奇跡』の名を冠するデジメンタルによって底上げされた緑力の力で、大きな音を立てながら弾き飛ばされる。
「────アスタモンッ!?」
ゴールドブイドラモンによって投げ飛ばされたマンティコアモンにぶつかるように、アスタモンがマンティコアモンに叩きつけられる。
「ええいっ、お前達、互いに相手を変えるんだっ! 乱戦に持ち込めっ!!!」
「────、っ!!!」
「────ルォウッ!!!」
怒りと焦り、デジモンカイザーの焦燥感に釣られ、デジモン達は雄叫びを上げながら立ち上がる。
「初めてのアーマー進化してる奴らだ。進化したてで連携は取ることなど不可能……、相対してる敵の連携の隙をつけっ!!!」
デジモンカイザーの希望は乱戦に持ち込むこと。
最後のアーマー進化……つまり、初めての進化形態をどれぐらい使いこなせるか、どれぐらい連携できるかが、ルビーとアクア、両名のパートナーの勝機のポイントとなる。
たとえどんなに連携できようとも、互いの必殺技の理解度が低ければ、邪魔しあう要因になりうることをデジモンカイザーは知っていたのだ。
「「そうはさせるかっ!!!」」
そして、それを深く理解しているのは、私/俺達も同じだ。
「ゴールドブイドラモンッ!!!」
「OK!!!」
マンティコアモンが、アスタモンが、ゴールドブイドラモンへと接近戦を仕掛けてきた。
「────アクアッ!!!」
私はアクアにアイコンタクトで意思を伝える。
「コンゴウモンっ!!!」
「問題ないよ、アーちゃん!」
ゴールドブイドラモンを守るように立つコンゴウモン。
「舐めるなっ、やれっ!!!」
「『マーヴェリック』ッ!!!」
「『アシッドインジェクション』ッ!!!」
デジモンカイザーの声に反応して、2体のデジモンの攻撃が迫っていく。両名の左右からの同時攻撃……しかし、
「不用意に近づくからだ。コンゴウモンッ!!!」
「『鉄砲』!」
マンティコアモンが攻撃せんと大きく伸ばした尻尾を、『鉄砲』の連撃で左へと受け流した。
「ル、ァ゛ァ゛ッ!?」
「────ッ!?」
勢いはそのままに、アスタモンへと接敵する『アシッドインジェクション』。しかし、アスタモンの蹴り技『マーヴェリック』は尻尾を弾き、また、マンティコアモンの尻尾から出た酸がアスタモンの足へと飛び散った。
「マンティコアモンの巨体をアスタモンの攻撃の壁にしただとっ、卑怯だぞっ!!!」
痛みにのたうち回るデジモン達と卑怯だと宣うデジモンカイザー。
「卑怯、何言ってるの?」
「洗脳なんて卑怯な行為を続けてきたお前に言えることじゃないだろっ!!!」
だけど、私もゴールドブイドラモンも
「……まぁ、コロナモンには悪いと思っている……でもな」
「僕達はそれでも仲間を取り戻して、お前を倒すんだっ!!!」
アクアもコンゴウモンも、お前のしたことを許すつもりはない。
「────くっ、マンティコアモンッ!!!」
「『アシッドインジェクション』ッ!!!」
痛みにうめいた2体だったが、先に立ち上がったのはマンティコアモンだった。
「アクア」
「……ああ」
私達は次の技で決めるつもりだ。
「選手交代だよッ!!!」
コンゴウモンとゴールドブイドラモンの前衛が入れ替わる。
「1回、2回、3回……、締め付けに突き刺し攻撃、薙ぎ払い、……まだだっ!!!」
壊れた鎧から酸が漏れ出す尻尾による右上と左下からの同時攻撃、右からの連続攻撃、締め付け、突き刺し、薙ぎ払い、叩きつけられ、酸の飛沫が舞う。
「大丈夫だよ。そのまま、攻撃を弾き続けて!!!」
ゴールドブイドラモンの口元に金色の『煌めき』が光り始める。
「……っ、やれ、アスタモンッ!!!」
デジモンカイザー何大声で叫んだ先を見る。そこには這いつくばりながらも銃で狙うアスタモンの姿があった。
「無駄だよ、ゴールドブイドラモンっ!!!」
「『ブイブレスアロー』ッ!!!」
「ルゥゥウウウウ、ァァ゛っ!?」
「っ、ッ゛ッ!?」
完全とは言い難い小規模の『ブイブレスアロー』がマンティコアモンの胴体へと命中。アスタモンはその衝撃で弾き飛ばされたマンティコアモンの下敷きとなった。
「うっとうしい、うっとうしい、うっとうしいんだよお前達ぃっ!!!」
デジモンカイザーが怒り狂う……でも、
「それは」
「こっちのセリフっ!!!」
それは俺/私達も同じ……、俺/僕達は負けたりなんかしないっ!!!
「終わらせろ、コンゴウモン」
「やって、ゴールドブイドラモン」
『ヴァジュラ』が『輝く』。
『ブイブレスアロー』が『煌め』いた。
「『鉄砲』」/「『ブイブレスアロー』ッ!!!」
その2つの光の狙う先……それは、
『
「「俺/私達の勝ちだっ!!!」」
大きな音を立てて、砕け散る音が鳴り響いた。
「コロナモンッ!!!」/「ルナモンッ!!!」
戦闘が終わったわかったのか、あかねと有馬がこのサーバ内に入ってきた……、あれは……っ!?
「コロナモン、コロナモン!!!」
「……か、な、?」
「────ッッ!!!」
「痛いよ、カナ?」
「うっさい、心配かけさせんな」
「…………へへ」
「ルナモン、ルナモンッ!!!」
「……ごめん、なさい」
「いい、いいのっ!!!」
「ごめん、ごめんね、ルナモンっ!!!」
「あかね、ごめんね」
互いのパートナーを抱きしめる2人。
「よかったな、嬢ちゃん達」
……と、ハンティング帽を深く被るおっさんが1人。
「何やってるんですか、又吉さん」
「おっ、アクアか……ひさしぶりだな?」
感動しているおっさんに声をかける。
「なんでここにいるんですか?」
「仕事だ仕事……『カミシロ』からの連絡をもらってな。デジモンカイザーとやらの捕縛を……っと、感動してる場合じゃなかった」
『EDEN』で使う意味があるのか……と、思うような物……手錠を取り出す又吉さん。
「…………」
項垂れるデジモンカイザー。その手の動きはマントに隠れてよく見えない。
(……だが)
もう、洗脳されたデジモンはいない。
コロナモン達の性能を気に入ったのか、それとも、ムーチョモン博士との実力差に隠れていただけか……理由はわからない。
だが、デジモンが奪われたという噂はこの1月一度も聞いたことはなかった。
(ハッカー達の情報網でも奪われた、いなくなったというデジモンの話は聞かない)
抗う手段はもうないだろう。項垂れたデジモンカイザーを見てもう終わったのだと……そう思えた。
「デジモンカイザー……、お前は……ううん」
「お前を逮捕する」
そうやって、又吉さんが手錠をはめようとした時だった。
「……ふふ」
(────ッ!?)
デジモンカイザーが急に笑いだした。
「何がおかしいの?」
俺と同じようにデジモンカイザーを見ていたルビーが、その笑い声について聞く。
「おかしい、おかしいだろ? お前達はまだ何もわかっちゃいない」
その言葉に急激な怖気を感じる。
(────コンゴウモンはっ!?)
非常時に備え、時間制限ギリギリまでアーマー進化させていたのは正解だった。俺の近くでデジモンカイザーに向けて走りだして────、
「────ッ、全員逃げてっ!!!」
ルビーの咄嗟の声が響き渡る。
「
デジモンカイザーのその声が聞こえた途端、
「『
灼熱が地面からせり上がった。
「「────ッ、ぁああああああっっ!?」」
「────コンゴウモンッ!?」/「ゴールドブイドラモンッ!?」
巨大な灼熱を纏った拳。それを全力で抑える2体のデジモン。
「これが、僕のデジモン。僕が産み出し、僕が手に入れたこの世にたった1体の『完全』なデジモン」
デジモンカイザーの嘲笑うような、見下すようなそんな声が『上』から聞こえてくる……そして、灼熱は止み、
「『
巨大な化け物がこのサーバに『舞い降りた』。
「……、なんだ、あの……化け物?」
煙の中、地面に這いつくばった俺は、その姿を見た時、理解し難かった。
カブトムシのような鎧の頭、オレンジの立髪、獣の足、赤と黒と骨の腕、天使とコウモリのような羽、竜の胴体……そう、あれはまるで、
「カブテリモンの頭にグレイモンの胴体、腕はスカルグレイモンとデビモンっ!? 脚はガルルモン……だよね? 羽はエンジェモンとエアドラモン……いったい、何体のデジモンを合体させれば気がすむのっ!?」
ルビーの叫び声と同じく、俺は多くのデジモンが『合成』した姿なんだと直感していた。
「嬢ちゃん、よくわかるな?」
「敵にしたデジモンぐらい調べるのは基本だよっ!!!」
感心する又吉さんに吐き捨て、ルビーは化け物に向かって睨みつける。
「ふははははっ、どーだ、すごいだろ? ハッカー達のデジモンのデータを元にこんなにすごいデジモンを創り上げたんだっ!!!」
子供が100点のテストを自慢するように無邪気に笑いかけるデジモンカイザー。
「カラテンモンを実験台にしようかと考えていたが……、まぁいい。お前達を蹴散らして、『EDEN』で暴れてから考えてやるよっ!!!」
非常に危険な思想だ。
今すぐ戦って、なんとかしないと……『EDEN』が危ない。
(早く、戦わないと)
1ヶ月もの時間、力をつけていたのは自分ただだけじゃなかった。コンゴウモンと一緒に奴を倒さな────、
「……コンゴウ……ワームモン?」
煙の晴れた先、『ワームモン』がキメラモンの前に、俺の前に立っていた。
「アーちゃん達は守れたけど、エネルギーを全部使っちゃった」
ワームモンの謝罪……、もう一度、もう一度デジメンタルを…………っ、デジヴァイスの中に、壊れた『奇跡』のデジメンタルがそこにあった。
「ブイモン」
ルビーの謝るような声。
(ルビーも、……デジメンタルが壊れているのか)
その様子から、デジヴァイスを見るルビーの様子から、もうアーマー進化ができないと理解してしまった。
「進化だ、進化するしかないっ……ルビーっ!!!」
「進化だよ、アーちゃんっ!!!」
その声を鼓舞するように叫ぶ2体。
(やるしかないのか?)
あのデジモンと戦うしかないのか? そう思わざる得ないほど、俺達の状況は逼迫している。
(だが、逃げられる訳がない)
体はすくみ、心は震える。
全力はもうだし尽くした。戦えるのは俺達だけ……背後には動けなくなった仲間しかいない。
(俺は、俺はどうすれば────)
「先輩達は逃げてっ!!!」
ルビーの咄嗟の声が響き渡る。
「ルビー、あんたっ!?」
ルビーがこちらを見る……、そうかっ!?
「ムーチョモン博士に助けを呼んで来るんだっ!!!」
「アクアくんっ!?」
これ以上ない緊急事態がここにある。これ以上負ける様子など番組には映せない。それならカラテンモンを出すしか手段はなくなる。
「おい、嬢ちゃん達行くぞっ!!!」
「でも、アクアくん達がっ!?」
「アクア達を放ってはいけないでしょっ!!!」
又吉さんがあかねと有馬を引っ張って行こうとするが、2人ともここから動かない。
(まだ、迷ってるのかっ!?)
目の前の敵に対して、勝てないとわかってる2人。その状況で残ろうとするのは当たり前、当たり前だが……、
「「────早くっ!!!」」
俺とルビーの怒鳴り声が有馬とあかねに向けて放たれる。
(頼む、頼むから行ってくれ。早くムーチョモン博士を呼んできてくれっ!!!)
俺達はそう願いながら2人に向かって叫んだ。
「「…………」」
…………2人は、
「「…………っ」」
2人は又吉さんと一緒に走りだした。
「邪魔者はいなくなったようだね?」
見下すように見やがって。
「アイツらも飽きたことだし、君達のアカウントをデリートした後で、君達の……、いや未来の僕のデジモン達デジモン次は遊ぼうかな?」
値踏みするように俺/私達のデジモンを見つめるデジモンカイザー。
「そんなことさせるものかっ!!!」
「僕達はお前の思い通りになんかならないっ!!!」
そうだ、俺/私達は負けるつもりなんて毛頭ない。
「口だけならなんとでも言えるさ……、やれ、キメラモン」
今まで沈黙していたキメラモンが動きだした。
「キシャァアアア────ッッ!!!」
キメラモンがその巨大な腕を振り下ろしてくる。
「アーちゃんッ!!!」
[ワームモン 進化]
一ヶ月、俺達も何もしてこなかった訳じゃない。
ワームモンが姿を変えていく。
幼虫はやがて蛹になり、羽を広げて大きく強く成長した。
虫は戦士へと姿を変え、蒼の光は姿を変じさせた。
「『スティングモン』ッ!!!」
昆虫の戦士が降り立った。
「ブイモンッ!!!」
[ブイモン 進化]
「『エクスブイモン』ッ!!!」
ルビーの呼びかけにより、ブイモンはエクスブイモンに進化した。
「『ヒートバイパー』ッ!!!」
キメラモンの灼熱の拳が2体に迫る。
(あの攻撃を止めれるか?)
(……避けるだけでも難しそう)
(掠ったら、一撃でお陀仏かな?)
(どーしよっか?)
2体は背後にいるパートナーへと視線を向け────、
「────
「『
「……ヒーローは遅れてやってくるって言うでしょ?」
「『
新たなるデジモン達が姿を現した。
「MEMッ!?」/「不知火ちゃんっ!?」
キメラモンの攻撃の向きをずらした2体。
「「さあ、時間稼ぎといこうかっ!!!」」
MEMとフリルは互いに頷き、そう叫んだ。
ブイモンが“運命のデジメンタル”で“アーマー進化”した幻竜型デジモン。その存在は貴重で、アーマー体の中でも並外れた攻撃力を持ち、ピンチになると究極体クラスの力を発揮する。また、黄金色のボディでネットの闇を照らし出す。必殺技は、黄金の熱線『ブイブレスアロー』。
“奇跡のデジメンタル”のパワーによって進化したアーマー体の昆虫型デジモン。全身が黄金色に輝くメタルボディーで、重量級のパワーファイターである。6本の手に持つ聖なる武器“ヴァジュラ”で奇跡を起こし、あらゆる神事に精通している。古来より、コンゴウモンは天使型デジモンとは別の、神の地上代行者と言われている。必殺技は6本の腕から繰り出される、強烈な連射張り手『鉄砲(テッポウ)』。
手、足、体、尾など全体を構成する各パーツが、様々なデジモンの合成で組み合わされ創られている合成型デジモン。何故このような合成が行われたのか、それは謎に包まれている。数種のデジモンのメタルパーツを合成したムゲンドラモンに対し、生身のパーツで組み合わされており、ムゲンドラモンの試作型なのか、対ムゲンドラモン用に造られたデジモンなのか、その真相は未だ解明されていない。ただ一つだけ分かっていることは、キメラモンの恐るべき闘争本能、そして強大な破壊力だけである。四本の腕から放出される、死の熱線『ヒート・バイパー』。この熱線を受けたものはキメラモンの呪いのごとく、見るも無残にバラバラに四散してしまう恐ろしい技である。
「……序盤、……上手くいってる。中盤は、……頼んだ」
「うん、うん」
「攻めろ、攻めろ……OK、思いどーりに動いてる。……あとは」
「……出番だ」
「……がんばれ、MEM、フリル」