:なあ、あの問題発言からどれくらい経った?
:クリスマスの特別企画で、某犯罪者ハッカーとの事件をデジチューブで流してから……、まだ、1週間しか経ってないぞ
:ルビーたんひどすぎなのであります!?
:『クリスマスは空けといて』だなんて……、よく『カミシロ』は編集せずに載せたよな
:友人の『B小町』ファンが絶叫してた。『『推し』に彼氏がいたってどーいうことだってばよ』……って
:あっ(察し)
:でも、あの苺プロだからなぁ〜〜
:アイの子だから、しょうがないよね
:親が親なら娘も娘ってか?
:脳が破壊されるンゴ
:……てか、事務所公認ってマジかよ
:普通苺プロは止める側だろ
:……むしろ、苺プロは『カミシロ』との関係強化の為、娘の熱愛を応援してる立場なんだよなぁ
:アイドルなんだよねぇ゛っ!!!
:こ゛ん゛な゛の゛N゛T゛R゛だよ゛っ!!!
:NTRは悪い文明
:寝てから言え
:というか、『カミシロ』はただの友人関係って公言みたいだし、クリスマスにも会ってないって、デートしてないって言ってただろ?
:クリスマスはピンク髪の超絶巨乳美少女とデートしてたって、ネットでも話題になってやろ……、所詮ルビーは負けヒロインや
:↑ご主人様の秘書さんはこんなところで遊んでないで仕事をしてくださーい!!!
:うっさいわ、ボケェっ!!!
:草
:うっそだろ、おいっ!?
:『カミシロ』の人達、コメント欄で遊んでて草
:うわ出たよ、おもしろおかしい中学生秘書
:謝罪会見で暴れまくった人だ
:……なお、当人はテレビに出ない
:ムーチョモン博士(本名ユイ)のパートナーらしい
:秘書さんってムーチョモン博士に『アレはデートなどではないんだが? デートじゃないんだが? ただ、買い物に付き合っただけなんだが?』とコンコンと謝罪会見で説教をされてたピンクの髪の巨乳のかわいい子……だよね?
:その自称巨乳美少女……いや、客観的に見れば、芸能界でグラビアの雑誌の表紙になってそうな子だったけどさぁ
:だから、あのブサイク女がテレビに出るなんてアカンって言うたのに……彼の方はホントいけずやわぁ
:お前の方がブサイクやろっ!
:出たな、エセ京都人
:神城悠子がアカウント名で黙ってくださいって言うまで喧嘩してたリアルキチガイ
:誰がエセやとっ!? てかっ、神城悠子やないっ! 神城悠子様やろうがっ、ボケナスゥッ!!!
:そういうところがエセやって言うんや、ヘンテコ頭
:うっさいわ、エセなんわお前やろがいっ!!!
:あのぉ
:仲良いなこの2人
:あの
:リアルでも友達らしいし
:友達じゃあらへんわっ!!!
:友達じゃないんやけどっ!!!
:あのっ!
:さっきからなんやっ!
:さっきからうるさいねんっ!!!
:もうすぐ、動画始まります
:あっ
:あっ
第一話 出発 北海道へ!!!
2016/12/31 AM10:29
「3・2・1……カメラ回りまーすっ!!!」
寒空が広がる透き通るような空。
ガラス越しに暖房の風が身を温め、やけに色白の顔つきのカメラマンの男性の声がこの大きな部屋の中に広がって、響いたのが聞こえ……、
「『僕らの』」
「「「『私達の』」」」
「「「『EDEN探索記』特別企画っ!!!」」」
私達は回り出したカメラの前でタイトルを読み上げる。
「10:30……、現在、俺達は成田国際空港に来ています」
「年末年始はぁ、『カミシロ』のみなさんのご厚意で、私達全員で北海道旅行になりまーすっ!!!」
時計を見る様も様になってるなぁとアクたんと思いつつ、笑顔でこれから旅行へいくぞーって、私も元気に言おうと、言おうと……言おう、うん。
「…………」/「……てか」
真っ赤な顔のかなちゃんの顔がカメラに映って……あっ、
「「お前は/あんたはいつまで怒ってるんだよ/のよっ!!!」」
かなちゃんとアクたんが怒った口調で彼女を、
「むっすぅ〜〜」
ルビーに向かって怒っていた。
カメラマンの人が『むっすぅ〜〜』と頬を膨らませて怒ってるルビーの顔をカメラに映している。
(……あわわっ!?)
ルビーはクリスマスからご機嫌ナナメ。
理由はもちろんわかっている。みんなわかっているのだが……、今日は特に『怒ってます』と顔に書いてあるぐらい怒っている。
「いい加減にしなさいよっ! 番組始まってるんだからねっ!!!」
「そうだ、ルビー。もう番組ははじまってるんだから、いつまでもむくれてるな。次の進行に響くんだよ」
アクたんもかなちゃんもルビーに対して『仕事中だぞ』って言ってくれてるんだけど……、
「パイセンはいいよねぇ。今回のゲストに思うところがなくて」
当のルビーが朝からこんな調子なので、強制的に番組を始めた次第です。
(まあ、ルビーの気持ちもわからなくはない)
1、番組で公開デート宣言するも、当日朝に当の本人からクリスマスに予定があることの連絡を告げられる。
2、クリスマスでやけ食いしようと外に出れば、デジラインで友人(恋のライバル)から『クリスマスデート中❤️』というメッセージと一緒に、腕を組んでるツーショットを写真で送られてくる。
3、クリスマスにチャンネルで公開されたデジモンカイザーのノーカット、ノー編集版の動画の最後に断られた筈のデート宣言の映像がネットに公開される
4、その件で社長夫婦から説教兼、謝罪会見が行われてしまう
5、……それは、
(ううん、……仕事に私情は持ち込んじゃいけないのは社会人としての鉄則)
ここはちゃんと叱らないとっ!?
「ルビーのせいで謝罪会見まで発展したんだよっ、少しは反省しろぉっ!!!」
「ちっ、反省してまーす」
舌打ちされた上に、雑に謝られたっ!?
「たいどわるっ!?」
あまりの態度の悪さに、私も目が飛び出すところだったよっ!?
「だってぇ、マナトもマナトだよっ! ひさびさにあそぼって誘ったのに、出てきた返事は……『ごめん、無理』の一言だけっ!!!」
うん、それは何度も何度も話で聞いたし、
「さらに、『年末年始に遊びに行こう』って連絡があって、2人きりで遊べると思ったら……なんかみんなついてきてるしっ!!!」
……怒り半分で、ちょっと浮かれてたのはそういうこと……それは相手が悪い気がしなくもないけど、
「それは仕方がないだろう? 番組の企画としての旅行だって、苺プロにも連絡きてただろ?」
「……それは、そうだけどぉっ!!!」
「ルビーちゃんの気持ちすっごくわかるよ。私もアクアくんと2人で旅行に行きたかったもん」
「……っ、あかねちゃんっ!」
アクたんが嗜めるように、あかねちゃんが諭すようにそう言って……、なんかわがままを言う娘を両親が叱ってるように見えてきたんだけどっ!?
本当にあの2人は未成年なのっ!?
「黒川あかね、惚気てんじゃないわよ」
かなちゃんが隅でいじけてる。
そうだよね、かなちゃんもアクたんのことが大好きだもんね。しょうがない、しょうがないんだけど……、
(なんでこんなに胃が痛いんだろう)
歳のせい?
もう直ぐ2◯歳になる……みそ……ううん、私はまだ若い。まだまだ若くてアイドルでもやってけるんだ。
「ううん、いっそ、番組メンバーは許せた……許せたの」
そう、私は現役アイドル。
花も恥じらう純潔で、清らかな……、ルビーから不穏な言葉が────、
「私は楽しみにしてたのに……楽しみにしてたのに」
────マズイッ!?
「マナトくーん、マイクやよ」
ピンクの美少女秘書の友人兼恋のライバルがマイクを付けられる思い人の姿。
「……シキ、この後のスケジュールは?」
黒髪の美女にスケジュールを確認する思い人の姿。
「30分後、飛行機に乗る予定です。1時間程度で着陸……、その後は周囲の観光をして、午後四時までに所有している別荘へと到着……その後は────ー」
優しげな声で美女から微笑まれる思い人の姿。
「
「「「…………」」」
(……これは)
(……否定できない)
脳が、脳が破壊された音が聞こえた気がした。
「へへん、クリスマスに遊んだのはルビーやないっ! ……ウチやっ!!!」
「みなみぃっ!!!」
「でかい声出さなくても聞こえとるで、負けヒロインッ!!!」
『ルビー、いけぇっ!!!』
『ミナミ、そこだっ、やれっ!!!』
「元気だな」
「元気ですね」
微笑んでるんじゃない元凶ども……、あっ、コメント欄は炎上してないかな……様子をチラリ、
:…………
:…………
:…………
:アレ、何が見える?
:美少女が集まってるようにしか見えないのだが?
:女の子が男装女子に言い寄ってる?
:ロリにしかみえないんだが?
:……でも、男なんだよな?
:もしかして、リアル男の娘?
:ガタッ!?
:だったら話が変わってくるぞっ!?
:だが、美少女や美女に囲まれる男を許せるのか?
:許せる許せないじゃない。こんな同人誌展開がリアルに存在したのかっ!?
:この間に挟まれたら、もしかして幸せなんじゃあないのか?
:黙れ、◯すぞ
:百合(?)の間に挟まるのは流石にNG
(……確かに、女の子にしか見えない、けれどもっ!)
別の意味で興奮しているコメント欄の皆様。
(いつもなら、男は死ねだの、アイドルに男の影なんてっ!? って怒ってるお前らはどうしたのっ!?)
男の娘は別腹の節操がないメンツが集まっているようで別の意味で安心してはみたのだけれど……、
「シキ、このルートだと護衛が追いつけない。別ルートのルートにできないのか?」
「では、こちらのルートなら?」
「それなら……」
「みなみ、離してよっ! マナトに言ってやらなきゃいけないことがたくさんあるのっ!!!」
「いい加減にするんやっ! マナトくんは今大事な話をしとる最中やろがいっ!!!」
アレはもはや収集がつかない。
(いや関わりたくないんだけどっ!?)
羽交締めにする秘書ちゃんに、マナトさんに向かって暴れるルビー。あんなやばいのに突っ込んでられるかっ!?
:ゲストと喧嘩するアイドルって、どーなんだよ?
:アレがアイドル……、知らない子ですね
:てか、なんで秘書さんとあんなに仲がいーんだよっ!?
:彼ら同じ中学の同級生で、友達なんじゃない? by苺プロor『カミシロ』の某HP
:ホントだっ!?
:リアル百合(?)ってことはっ!?
:男の娘は百合じゃない!
:あんなにかわいい子が女の子な訳ないじゃないかっ!!!
:そんなことはどうでもいい
:大事なのは抜けるか抜けないかだ
:ちなみに男子と普通に遊びに行ってる様子が写真に撮られてる(駅前の掃除をしている画像)
:まじかっ!?
かなり論争になってるみたいだ……だけど、
(あの中に入っていく勇気はない)
チラリと同じくMCをやってたアクたんの方を見ると、
(アクアくん……これは)
(話を進めるべき、だな)
アクたんとあかねが何か作戦を立ててる様子。
(NICEだよ、アクたんっ! あかねぇっ!)
アクたんが暴れるルビーに近づいてこづく。
「あいたっ、何するのアクアっ!?」
「ほら、ルビー。進行を進めるぞ」
そう言ってルビーにマイクを渡す……その手があったかっ!?
「……なに、アクア? 私は────、ゲストのみなさんです。こちらから」
カンペをジロリと睨んで、ルビーはしぶしぶゲスト紹介へと移る。
(業界の人だもん。マイク渡されたらしぶしぶでも仕事のスイッチが入るよねっ!?)
テロップでカメラマンの人がゲストの方へとカメラを向け始める。
「『カミシロ』から来ました。末堂マナトです」
「秘書の寿みなみや」
「ボディガードの黒猫シキと申します。今回はどうぞよろしくお願いします」
ルビーが暴走した元凶の3人……そして、
「苺プロ所属、女優の星野アイだよっ! 今日は保護者としてやってきましたっ!!!」
(キャーッ! アイさんと仕事できるなんて、この仕事受けてよかった────っ!!!)
うん、この仕事を受けてよかったと心から思えた気がする。まあ、アイさんには苺プロでほぼ毎日会ってはいるんだけど……、
(でも、憧れの人と仕事ができるなんて、この仕事を受けて本当によかった)
明らかな地雷原から断ろうと思案していたが、これを聞いて仕事を受けることに決めた過去の自分にNICEと賛辞を送る。
「同じく苺プロの……プロデューサー兼社長の斎藤壱護だ。なんで俺がこんなことを……」
「苺プロのマネージャー斎藤ミヤコです。うちのアイドル達が迷惑をかけるみたいですが、よろしくお願いします」
苺プロの御二方もいらっしゃったようで、……今の運営はどうなって……考えないようにしよう。
「アイさんっ、おひさしぶりです。そちらは────、元気そうですね」
「うんっ、私はとーっても元気だよっ! マナトも元気だよね?」
「俺も……、元気です」
……あれ?
「マナト様」
「うん」
なんか、いつものアイさんと雰囲気が違ったよーな……、
「壱護さん、ミヤコさんおひさしぶりですね……、お疲れのようですが……」
「ハハハ、お前のせいだよっ!!!」
社長と仲よさそうに話してるみたいだし……、気のせいだよね?
「ルビーの件、本当に申し訳ございませんでしたっ!!!」
「こちらが動画の確認をせずにほぼフルでネットにあげたのが原因ですし、……こちらこそ申し訳ございませんでした」
社会人として、日本人としてよくある光景が目に入ってくる。
「……っ、いえ、……こちらこそもうしわけ────」
謝りあう様子には傍目からは辟易するばかりだけど、当事者としてはやらなくたゃいけないのはわかってるし……うーん、
「もーっ、ミヤコさんもマナトもそーいうのは番組の裏でやってよっ!」
……あっ!?
「……ルビー?」
一番マズイ人がゲストの目の前に立っていた。
「ひさしぶりに会った友人にこの間の扱いはないんじゃないかな────って、私は思うんですけどっ!!!」
ぷんぷんと怒っている様子のルビー……、あの背中に般若がいる気がするのはなぜなのでしょうか?
「ははは、ごめんって……こっちはこっちで忙しかったんだよ。それに先約もいたし」
マナトさんは目を逸らしながら謝る。あんなに怒ってるルビー相手に目を逸らしたくなる気持ちはわかります。気持ちはわかりますが……、
(流石にちゃんと謝ったほうがいいってっ!?」
ルビーが当日に向けてものすっごくオシャレしてたの私知ってるんだからっ!?
体重をどこまで減らそうかとか、服装はどーしようとか周りに相談してて……そーいう乙女の気持ちを踏み躙った罰を受けてほしいというか、許せないとか気持ちで私達はいっぱいなんですがっ!?
「へん、ウチらのデートに横から割り込もうとするのが悪いんやっ!!!」
そして、隣にいる友人も黙らせてほしいと言いますか……、
「なんだとぉっ!!!」
「文句あるんかぁっ!!!」
アイドルばりの美少女(1人は本物)同士がメンチを切り合うのは、お姉さんどうかと思うのですが、
「……2人とも、話が進まないから静かにしていてくれ」
そこ、ヤレヤレしないっ!?
「マナト」
「ひさしぶりだな、アクア……それと」
「挨拶は終わっただろ。話を進めるぞ、……それで、今回はどこに行くんだった?」
アクたんっ!?
「今回は北海道の函館へ、2泊3日の慰安の目的として旅行へと行こうと思ってる」
うんうん、こーいうのが番組MCとして求められる行為だよね。流石アクたんっ!!!
「そのついでに番組としてクリスマスの時に発生した問題の説明と当人達の顔合わせ、関係は良好ですよって会社間での繋がりを見せようって魂胆だよな」
社長、余計なチャチャを入れないっ!!!
「それもあります……しかし」
ほら、彼何か言おうとし────、
「いえ、なんでもありません。こちらへと着いてきてください」
言い淀んだ……むっちゃ気になるぅっ!?
(むっちゃ気になるんだけどっ!?)
何かとっても色気のある視線で目を逸らしながら話されると、ちょっとお姉さん気になっちゃうかなぁっ!?
「────っ、言い淀んで、なに企んでんのよ、マーナートっ!!!」
ほら、ルビーが反応したっ!?
「企んでないって……、ひさびさに友人達と集まれたなって思えた。それだけだよ」
「「マナト(くん)」」
「いちゃいちゃすんなっ!?」
惚気る奴らについ大声を出してしまった。
「ぷぷぷ、MEM……必死すぎ」
そこ、ファンなら笑わないでもらえませんかねっ!?
「ごっほん……さあ、行こうか。道はこっちだ」
……マナトさんが道案内を……って、そっちは────
「マナトさん……国際便の搭乗口はこっちなんじゃ……?」
思わずそう突っ込んでしまった。
「…………?」
マズイ、何かと────ってもマズイ予感がする。
「
…………、
「「「────ハァッ!?」」」
聳え立つ巨大な白い翼。
テレビで見たことあるような小型のやつじゃない。
真横で滑走路で飛びまくる飛行機が目の前にあった……しかも、
「「「────でっかぁっ!?」」」
間違いなくこれは『航空機』であった。
「……頭が痛い」
「どうかされましたか?」
「これを買ったバカに言っといてくれ。『いくら俺の口座を好きに使っていいとは言ったが、無駄な物に金と時間を使いやがって、使い道なんかほぼないだろうが』って」
「あはは、これをオーダーメイドするのは多少骨が折れたとは、ナノ博士も言っておりましたが……、これ、どうしましょうか?」
「知らん。これが終わったら分解でもして、売っぱらってくれ。俺には無用の長物だって知っているだろ?」
「……それは、そうなのですが」
やばい話が横から聞こえてくる。
(マイクに入ってないよね?)
動画のコメント欄を見るのが恐ろしいと思えてくる程のお金持ちワードに当人達でも困惑して……というか、
「ねえ、本当にこれ、……マナトが持ってる飛行機?」
「えー、まあ……そうですね」
「これバリバリの航空機だろっ!? いったいどこからこんな金用意してるんだっ!!!」
「……ポケットマネー?」
「……、は?」
「まあ、俺の部下が勝手に作った奴だし、……オーダーメイドだから、安全は保証……保証、保証できるレベルだよなぁ……あの
苺プロも相当稼いでる筈なのに、社長が叫んでる。
(やっぱり、『カミシロ』の御曹司って、世界指折りの金持ちなんだな……あはは)
泣きたくなってきた。
「……かなちゃん、私の家って結構お金持ちだと思ってたんだけどね。これに比べたら、全然普通の家なんだなって……そう思えるみたい」
「……それ、自慢かな? 私に対しての自慢なのかな?」
高いお給料もらってるけど、メッチャ涙が出てくる。
これだけのお金があれば、あの子達を簡単に学校行かせられて、私もアイドルを目指せられて……あははははは、
「ちなみに軍用にも使うことができて、ミサイルとか付けることもできるらしいです」
「────マジかっ!?」
「それは自衛隊の偉い人に駄目って言われた筈だ。シキもそうはしゃぐな」
「……はい」
アクたんの喜ぶ声が聞こえてくるけど、もーどーでもいいや。次行こ次……、
「それじゃあ今回のパイロットの」
「シルズ・コマンドです。よろしくお願いいたします」
緑髪、碧眼の筋肉ムキムキイケメンを紹介される。
「うっわ、外国の人だ」
「軍人っぽーい」
「よろしくな、嬢ちゃん達っ!」
キラリンッ! ……白い歯が太陽の光に反射した。
(めっちゃアニメに出てきそうな外国人のイケメンが出てきた)
すげー、『カミシロ』すげー。
「シルズもぐだぐだ話してないで、さっさと準備を始めろ」
シキさんがシルズさんに前訓練してくれた時の口調で……、
「承知しました、り────」
「────ふんっ!」
……えっ!?
「────ってぇ、何すんだよっ!?」
「────は?」
「……申し訳ありません、シキさん」
シキさんがシルズさんを殴って……って、その前に、
(……り?)
シキさんに向かって『り』?
(シキさんの名前で、なんで『り』?)
『り』がつく階級?
でも、シキさんはボディガードであって、軍人じゃないし……なんなら、ただのあだ名?
(気になる、めっちゃ気になっ────)
「もうそろそろ出発時間になりますので、席へとご搭乗ください」
────っ!?
「……はい」
美人の笑顔ってものすごく怖いんだなって、私、理解しました。
「それじゃあ、現地に着いたらもう一回カメラ回しまーすっ!!!」
「1時間後にまた会おうね────っ!!!」
そして、私達は函館旅行に向けて旅立ったのであった。
「あ゛ぁ〜〜、年越しまであと少しだーーーーっ!!!」
「2ヶ月後にある高校入試は……、うん、年末年始だし、三ヶ日ぐらいは休んでいいよね」
「コタツでぬくぬくして……うん、冬休みの宿題も終わってるし、BBが教えてくれた動画でも見てみよっかな〜〜……なんて……ん?」
『デジモンカイザー打倒記念! 正月旅行!!!』
「なんで」
「