2017/5/11
「……カーラ」
目の前にいる女性はシキさんだけを見つめている。
「随分とその子達を甘やかしてるようね、シキ?」
「才があるからな?」
……まるで、この部屋の中には2人しかいない部屋のように感じた。私達は2人の視界には入ってなくて、それでいて、2人からの緊張感だけは伝わってくる。そんな、……そんな気持ち悪い空気が流れている。
「『才がある』ぅ? 冗談よしなさいよ。一年と半年近く訓練してようやくそのレベルの雑魚のどこに才能があるってのっ!? 笑わせないでっ!」
私達をバカにするような声も、『体が凍えるような』嫌な感覚で反論できない。
「ーーーーなんだとっ!!!」
「チコモン、黙ってっ!!!」
一回だけ、……たった一回だけ私とチコモンへと視線を移したあの目。間違いなく、『ヤバイ』とそんな感じがした。
(ファンロンモン? ……ううん、もっと……っ!?)
シキさんと女性……、『カーラ』の気配はドンドン『重み』を増していく。立てているのが不思議なくらい……、そんな変な感じがする。
「……そういう貴様こそどうなんだ? マナト殿から頼まれていただろう? 貴様も……その」
「この子のことね」
その中で1番変だったのは、カーラの隣にいる『少年』だった。
(あの人は一体なに?)
この空気の中ただ2人を見ている少年とタマゴのような形のデジモン。その雰囲気から2人にどう声をかけようか迷ってる……、そんなふうに見えるけど……、
「この子はね、すっごいわよっ! その子達とは比較になんないぐらいドンドン成長してくれる……、『私達』にも届くんじゃないかしらぁ? ねえ、『K』?」
「…………っ!?」
『K』と呼ばれる少年は、カーラから急に私達と自分を比較するような、私達を笑うようなそんな声に戸惑っている。
(雰囲気からして悪い人ではなさそう……でも、)
あのデジモンは何だ?
タマゴのような見た目に悪魔のような見た目の……、翼のような何かが割れたタマゴから飛び出してる……、あと、大きな穴から出てるクチバシ。そのクチバシにいくつもついている目玉からは不気味中視線が私達に向けられていた。
「黙ってないでアンタも言ったらどーなの? 『こんな雑魚を育てるぐらいなら、俺達の修行を手伝ってくれ』って……、まあ、シキみたいな奴より私が教えた方が千倍教え上手だったって真実を知るいい機会なんじゃないかしら? どーなのよK?」
「やめてくれ、……煽っても意味ないだろ?」
「あるわよ。こんな弱い子達、ほっとけないじゃない」
そんなことを考えていると、カーラの声が突然私達を労るようなそんな声色に変わった。
「マナト殿の『直属』のコイツが手取り足取り教えてるのに、『まだ』究極体になってないのよ? 笑わせんじゃないわよ」
……究極体? デュナスモンになってないことが関係あるの?
「3ヶ月よ、3ヶ月。私達がみっちりとはいかないまでも、ある程度鍛えるぐらいなら『そこそこ』には強くなれるはずなのに、未だに『完全体』の雑魚しかいない。弱いったらありゃしないわ」
カーラのその言葉に私は思わずシキさんの方を見た。
(シキさんを疑うわけじゃない……、わけじゃないけど……)
カーラとKの私達を労るようなそんな話を聞いて、究極体に慣れてないことへのぎも……っ!?
「…………」
……シキさん?
「しかも、アレでしょ? この子達を育てるのをマナト殿から直々に頼まれているのにも関わらず、このレベルってなに? ……こんな奴が私よりもマナト殿からに認められてるなんて許せるわけないじゃないっ!!!」
「……だからって」
「それにね、あんたも知ってるでしょ? ーーーー、
「カーラ」
「……何よ?」
「
「ーーーーッ、なんですってぇっっ!!!」
「ーーーーシキさんっ!?」
……シキさん?
「『選ばれただけの雑魚』って言ったんだ」
普段のシキさんとは違っていた。
「『私は掴み取った』が、『お前は選ばれただけ』……運が良かっただけの雑魚だと私は言ったんだ、カーラ?」
煽るような口調に、何かを睨みつけるような冷たい視線。敵を見てるようなそんな怖い感じがする。
「だれが、……誰が選ばれただけの雑魚ですってっ!!!」
シキさんの言葉にカーラが怒った。怒ってしまった。
「実際にそうだろう? 『アレ』に適応できていなければ、そこらの雑魚と変わらない貴様が私に命令をするな」
シキさんとカーラの膨れ上がる気配に、さっきまで異性の良かったチコモンが震え始める。
(……なに、これ?)
アクアも不知火ちゃんもMEMちょも黙って見てることしかできない。そんなそんな恐ろしいものが『ここ』にあることだけしかわかんない……、でも、動けなくて、怖くて仕方ない。それがとてつもなく怖かった。
「言ってくれるじゃない。弟子すら助けられない無能の癖に……」
……ただ、
「ーーーー
「「「ーーーーッ!?」」」
カーラが『言ってしまった』その一言で、さらに空気が重く、遅く、怖いものへと変わってしまった。
「『アレ』はあの子が選んだ結末だ。他の誰でもないあの子が選んだ……な。貴様のような『モドキ』と一緒にするな」
売り言葉に買い言葉という言葉がある。
実際にみなみと喧嘩した時、そんなふうになったことは一度や二度じゃない……だけど、
「……『モドキ』、ですってっ!?」
「「「ーーーーッ!?」」」
わざと言わなくてもいいじゃん、シキさんっ!?
「
カーラの口調が変わった。
「『俺』は彼に選ばれたんだよッ! 能無しの売女と違ってなぁっ!!!」
シキさんもカーラも明らかに怒ってる。
「「……本気で殺すぞ、貴様/テメェッッ!!!」」
シキさんの右手にはいつのまにか『金色の爪』が、カーラの両腕には『蒼色のガントレット』が、それぞれがそれぞれに向けられる。
(ヤバイ、ヤバイ、ヤバイッッ!?)
ただ、ボーッと見てるだけだけど、アレはヤバイッ!?
なんていうか、こう……うーっとわかんないけど、何となくヤバイ気がして、言葉にできないけど、とにかくヤバイ気がするっ!?
(ーーーーチコモンッ!?)
(ーーーー、)
ダメだ、……この空気にやられて動けない。本能で動けないんだと思う……けど、チコモン、さっきの威勢はどこいった!?
(アクアとリーフモンッ!?)
それと、他のみんなだけでも……と思ったところで、
「
「『ブラックデスクラウド』ッ!!!」
2人の間に向かって、さっき私達を襲った『黒い影』が迫っていく。
「「ーーーーッ!?」」
シキさんは地面に叩きつけて、カーラは明後日の……私達のいない方向に『黒い影』を弾き飛ばした。
(……うそ、……アレとんでもない威力だと思ったんだけどっ!?)
間違いなく究極体の『必殺技』が目の前を通ったはずなん……ですけどっ!?
「……、お前は」/「……K?」
「シキさんも落ち着いてくれよ。マナトさんからやりあっていいって言われたのかよ? 言われてないだろっ!?」
しれっと話を進めないでほしい。
チコモンも目をかっぴらいて驚いてるし、なんなら、シキさんのこととんでもない目で見てるから……、マジでヤバイ目で見てるから……、
「カーラさんも少しは落ち着いてくれ。こっちの様子を見に来ただけで、シキさんを煽りに来たわけじゃないんだろ? 喧嘩する為に来たんだったら俺はアンタを引きずってでもこのサーバから出るぞっ!!!」
「周りの人のことを少しは考えてくれよっ!!!」
「「…………」」
「……フンッ、まあいいわ。弟子の面子もあることだし、帰って『あげる』」
「帰れ帰れ、……今回の件は喧嘩を買った私の負けでいいさ。マナト殿にもそう伝えろ」
いやいやいや、説明不足も甚だしいってっ!?
帰るよりも、まずこの空気感……空気感を察してほしいっていうか……、いや、まぁ……うん、この際そんな話はどーでもいい。
「それこそ負け惜しみみたいでみっともないったらありゃしないわよ。次会った時は覚えてなさいよ。我らが……、あぁ、うん……私達の主人の横を今度こそ奪わせてもらうから」
「勝手にしろ」
そうやって帰っていく3人。見送るシキさん……、なんか、どっと疲れた……さて、……あ゛っっ!?
「すまなかったな……、修行の続きといこうか」
見送ったシキさんが振り返った。
「……ええ、あっ、はい……それなんですけど」
私は……ううん、私達はシキさんが叩きつけた『黒い影』の『一部』が飛んだ先を指差した。
ーーーーぷすぷすぷす。
黒焦げになってる『竜』が1匹。
「ヴォルクドラモンーーーーッッ!!!」
シキさんが倒れたデジモンへと走っていく……と、その前に私達に振り返り、
「修行、今日は中止にする。また、次の休日ここに来い」
「「「ーーーーわかりましたっ!!!」」」
そこで今日の修行は中止となった。
(でも、)
シキさんとカーラの動きを見て、『すごかった』ことを思い出した。ファンロンモンやデュナスモンよりも『すごかった』。
(チコモンもあれくらい強くになるのかな?)
そんなことを思いながら私達は帰路に着いた。その裏で何が起こっているかも知らずに……。
2017/5/21 PM14:26
「…………間に合わなかったっ!!!」
ズドンッ! と、ジョッキに入ったウーロン茶をテーブルに叩きつける。
秋葉原で新宿で起きたアレが起きたと情報を手に入れて15分……、現地に到着した途端に元の裏路地に戻ってしまった上、あたりは警察が封鎖しはじめ……なんてことになって、私達は現場の検証すらできなかった。
(……で、今はカラオケで今日あったことをまとめてる……と言えればいいんだけど)
実際には愚痴を言い合っているだけであった。
「秋葉原がまさかあんなことになるとは思ってなかったけど……、毒されてるのかな、私」
かなちゃんはカランカランとジョッキの中の氷をマドラーでかき混ぜながら現実逃避をしてる。
「かなちゃん、現実味がないのはわかるよ。でも、それも今更だよね」
でも、逃さないよ。
ここまで一緒に付き合ってもらったんだから、たとえ地獄だったとしても最後まで付き合ってもらうよ。
「……うっ!? ……そんなことより、次の新宿を探さない? あんたの予想では次はどこらへんになりそうなのよ?」
かなちゃんも
(……うっ!?)
痛いところを突かれた。
かなちゃんは思ってもないだろうけど、いまだに詳細な情報は掴めてない。ただ、
「デジタルウェイブの規模にもよるけど……、今はまだわからない……かな?」
デジタルウェイブ。
電脳空間『EDEN』における情報の流れ。これが大きければ大きいほど、あの……、仮称『新宿化現象』が起きやすいことがわかった。
(新宿みたいに現場をもっと検証できたら、わかることも増えるんだけどなぁ)
あのニュースの数日後、私達は新宿を調べて回って、仮称『新宿化現象』が『デジタルウェイブが関係してるんじゃないのかという』という結論を出した。
(……出したのはいいんだけど、東京全体が『EDEN』という巨大なSNSに繋がってるせいで、仮称『新宿化現象』がどうして起きるのか、『デジタルウェイブ』がどれぐらい大きいと発生してるか判断できないんだよね)
『EDEN』自体がそもそも『デジタルウェイブ』が生まれやすく、どの情報の流れが大きいのか小さいのか、どれぐらいの大きさで仮称『新宿化現象現象』が発生するのか……、まだ未検証なことも多い。
だから、実際の目で秋葉原で起きた仮称『新宿化現象』に入っておきたかったんだけど……、
(今は警察がたくさん出入りしてるから、入るのは1週間ぐらい先になりそうかな?)
今の職場にはかなり無理を言って休ませてもらってる。かなちゃんも私も今回も緊急の有給休暇をもらってなんとか追いかけたぐらいだ……でも、得られた結果はあまりにも少なかった。
「みんなには無理言って休みをもらってるけど……うん、ルナモンはどう思う?」
今回の休みは私はアクアくん、かなちゃんはルビーちゃんと交換してもらったものだ。2人は『いいよ』と言ってくれたのはいいんだけど……、
『デジタルウェイブ……というのが、よくわからないけど、……さっき見た秋葉原みたいな場所のような感じは東京全体でそんな感じがするの』
ルナモンの感覚はまさに私が直面してる問題を裏付ける物であった。
「……東京全体で、ね」
東京全体のデジタルウェイブの動きはかなり複雑で読みづらい。そして、電脳空間を棲家とするデジモンも『東京のデジタルウェイブが複雑すぎて上手く状況がわからない』という感覚を理解している。
(じゃあ、東京全体がデジタルウェイブがおかしいってこと?)
齧った程度のハッキング技術で読み取った東京の異変。それを裏付けるには重要な情報……しかし、情報が足りない。
「コロナモンはどう思う?」
かなちゃんがコロナモンに話しかける。
『ルナモンと同じ……だけど、気になってんだけどさ』
「……何が気になってんのよ」
『
「「────ッ!?」」
コロナモンが『地下』に何かあるって言ったっ!?
「地面の下から? ……地下ってわけっ? ……んなわけ────」
かなちゃんから急いでデジヴァイスを奪い取る。そこに重要な情報が確実に存在する。
「地下なんだねっ!?」
私はコロナモンに確認をとった。
「────ちょっと何すんのよッ!?」
「────おっ、おう!?」
かなちゃんが横でうるさいが、この話を聞いて詳細がわかった。
「地下が新宿や秋葉原みたいなことになってるとしたら……」
もし、もしかしたら……そう思いながら地図を開く。
「次の機会は────」
2017/5/29 PM14:26
「……予想通り」
『『────浅草が変な感じになってるっ!?』』
浅草の雷門。
その大きな門は今、新宿の駅で発生した電脳空間のような変な空間へと変わってしまっていた。
「……で、黒川あかね。どーすんのよ?」
「……入るよ……けど」
日時の都合を合わせようやくこの場に居合わせたのだ。入る選択以外ないないのだけれど、未知の空間に対しての恐怖が足をすくませる。
(二の足を踏んでる暇なんてない……っ!?)
そう思いながら雷門へと踏み出そうとしたそのときだった。
「……黒川あかねっ!?」
「────ッッ!?」
かなちゃんと私の視線の先。赤髪の女の子と黒髪の少年が雷門の中へと入っていく。
『……女の子と男の子が神社の中に入ってっちゃったよっ!?』
『どーすんだよ、カナッ!?』
そうこうしてる間に野次馬が……、警察もやってきた。もう迷ってる暇なんてない。
「「追いかけるよ/追いかけるわよっ!!!」」
「……ここは?」
中に入るとそこは『異質』な世界だった。
「……現実と『EDEN』が混ざり合ってるみたいな世界ね」
昔あったゲームのように、電脳空間と現実が混ざり合い、至る所が『現実ではないような』そんな空間だと認識させる。
「────カナッ、俺、俺、カナの隣に立ってるよっ!?」
「あかね、あかねっ! 私も現実世界のあかねの横にいるのっ!!!」
横から……、ううん、『聞こえるはずのない』声が真横から突然聞こえてきた。
「「────ッ!?」」
私の左にはルナモン、かなちゃんの右にはコロナモンが
(やっぱり、ここは電脳空間みたいなもの?)
ルナモンやコロナモンだけじゃない。
黒髪の少年の横にいる紫色の虫みたいなデジモンも赤髪の子の横にいる狼みたいなデジモンも現実世界に存在している。
「……ほんっと、おかしな世界になったわね」
「……うん、そうだ……っ!?」
ケモノガミと呼ばれた神様が、現実世界に復活してきて────、今、おかしなことを言わなかったっけ?
(周りをもう一度よく見直して────って、ええっ!?)
「かなちゃんっ!?」
私はその言葉の違和感を思い出して、急いでかなちゃんの口元を塞いで裏道へと隠れる。コロナモン達にも急いでついてくるように合図……、ようやくわかった。
「────もわっとっ……って、何すんのよっ、黒川あかねっ!!!」
「……しっ!」
大声でかなちゃんが講義してくるけど、私はかなちゃんに静かにするように促して、かなちゃんに例の2人を見るように首を動かした。
(あの2人)
(あの2人がどーしたのよ)
少年と少女の2人は『何の躊躇いもなく、この不思議空間に現れたデジモン』達を簡単に倒していく。
(動きに迷いがない)
(────ハァッ!?)
成熟期デジモン。
レオモンやレッパモンといったデジモン達が彼らを襲っていくが、彼らは『迷いなく』デジモン達を倒し、奥へと進んでいる。
((……ん?))
私の言葉に耳を傾けていたルナモン達の視線が、彼らへと移った。
(それって、どーいうことよっ!?)
(たぶんだけど……、こんな事件に前から関わったことがあるんだと思う)
彼らは『あまりにも迷いがなさすぎる』。
何度も経験していないとわからないような動きで、ルナモン達が進化してたとしても苦労しているであろうデジモン達を難なく倒し、奥へと進む。その姿は
(前って……、新宿とアキバの事件の他にもこんなことが起こってたってわけっ!?)
かなちゃんのその驚く声に耳を傾け、『違う』という結論が出ていた。
(違う……、もしかしたら、なんだけど……)
そう、たぶん……いや、確実に、
(
あの事件は彼らが解決したものなのだろう。
「「────、ッ」」
かなちゃんとコロナモンが驚いて声を上げようとしたので、私とルナモンが同時に口を塞いだ。
(だから、静かに)/(しーっ!)
((コクコク))
そう頷いた2人を横目に、ルナモンに話が聞こえないかと聞いてみる。
(ルナモン、聞こえる?)
(うん、……えーっと、途切れ途切れだけど・話し声は聞こえる……けど、内容がわけわかんない)
ルナモンは首を傾げた。
話の内容は聞こえているみたいだけど、内容の説明が難しくて上手くできないってことなのだと理解した。
(聞こえるなら、内容をそのまま口に出してもらっていい?)
(何言ってるのかよくわかんないんだけど、それでもいい?)
私はその言葉に頷く。
(『デジタルシフト』と『マヨヒガ空間』、……この世界の名前みたい。それと、青い服を着た男の子が『おっさん』って言ってるんだけど、その人が『デジタルシフト』って名前をつけたって感じなのかな? 女の子の方はほっぺをぽりぽりかきながら謝ってる? ……なんでだろ?)
『デジタルシフト』に『マヨヒガ空間』……よしっ、とりあえず、この空間の正式名称がわかった。それだけでも大きな一歩に繋がった。
(『デジタルシフト』……この空間の名前がわかったわね)
(1つ前進……って、ところかな?)
かなちゃんと頷きあう。
たぶん、あの2人ついていけば話が聞こえ────、
(あっ、まだ、話してるみたいなんだけど……)
ルナモンが彼らの話の続きがあると言った。
(何の話よ?)
かなちゃんが面倒くさそうに聞くけど、重要な情報だと思うのでルナモンにはこの場で話してもらう。
(
予想以上の重要情報が出てきたっ!?
(詳しく、その名前を教えてっ!?)
私はルナモンにこの場で聞いた。
(『
「「────ッッ!?」」
私とかなちゃんが『よく知ってる人物』と同じ苗字が聞こえてきた。
(おい、カナ……どーしたんだよっ!?)
(あかね、そんな顔してどーしたのっ!?)
私は急いでこの情報をメモを行った。
(ルナモン、ありがとう)
ルナモンに感謝を伝え、かなちゃんと頷きあう。
(つまり、『カミシロ』はこの現象のことを知ってたってわけ)
かなちゃんも今の内容を理解している。
(あの2人が『カミシロ』とどんな繋がりがあるかはわからないけど……)
『カミシロ』はこの現象のことを知っていた。それが裏付けることができたことで、ようやく『末堂マナト』の尻尾を掴むことができた。
(このまま追跡、続行ってわけね)
(いこう)
このまま真実を追うことを私達は決意した。
(((りょーかいっ! /おうっ! /うんっ!))
彼らを追い、内容を暴き、……末堂マナトを追い詰めてみせる。
戦って、
『デジモンごときでアイ・ホエールを立ててくる奴かと思ったら、……随分と珍しいデジモン持ってんじゃねぇーかっ!』
『
『ヒャッハー、スキアリィィイイイイーーーーッ!!!』
戦って、
『『イーター』と出会ってませんか?』
『この世界を元に戻すためには、内部にいる『イーター』を倒さねばなりません』
『『まとも』な世界、……そんな世界はいったいどこにあると言うのでしょうか?』
『……『誰』の為の『まとも』なんでしょうねぇ?』
戦って、
『西野さん、……俺、アンタの漫画結構楽しみにしてたんだぜ。とにかく漫画を描くのが好きって感じがさ』
『どうして、どーして、……こうなっちまったんだよ』
『……真田くーーーー、』
『『ーーーーッ!?』』
『ーーーーテメェッッ!!!』
戦って、
『……くそっ、クソクソクソッッ!!!』
『ここまでリエおねえちゃまに顔見せできねぇじゃねェかッ!!!』
『今度こそ、……今度こそアンチクショーにっ、リエおねぇちゃまの横にうろつくあのガキよりもスンゲェとか見せるチャンスだったってのにヨォッ!!!』
『体勢を立て直してやるッ! 今度こそテメェらを俺のロックンロールでーーーー、
『逃すと思うか?』
『ーーーーテメェはっっ!?』
『ーーーー『♾️キャノン』』
戦って、戦い続けて……、
『じみけん? 変な名前だなっ! このルガルモンが噛み砕いてやるっ!!!』
『アミ、オレの後ろへ下がれっっ、奴だっ! イーターだっ!!!』
『くそっ、我らがもっと強ければこの方も救えたというのにっ!!!』
『……君達のデジヴァイスに現実世界の少女達が集められている場所の位置情報を送っておく。後始末を頼むようですまないが……、行くぞ、フェイ』
……私は、
……ううん、……私は、
『どうしたのかな?』
私はひさしぶりにマナトくんに電話をかけた。
「うん、ちょっとお願いがある」
『…………』
あんなことを言って、あんなお別れになった……、少しだけ、ううん、とってもみっともないことをしてるのはわかってる。
「私を……私達を強くしてほしい」
わかってるけど、『覚悟』がようやく決まったんだ。
『……へえ、どうしてそう思ったのかな?』
マナトくんにそう聞かれて……、
「…………」
どう、答えればいいのかな?
「…………」
ただ、強くなりたい? ……違う。
「…………」
負けたくない?
奪われたくない?
私の体を元に戻したい?
あってるようで、……それも違う気がする。言葉に上手くできなくて、少しだけ、あと少しだけこの時間が続けばいいのに……とそう思ってしまう自分がいる。
「…………」
なら、……どう答えればいいのかな。
『……答えがない? 上手く言葉にできないなら……、』
「ーーーー待ってっ!!!」
マナトくんにそう言われて、思わずそう言ってしまった。
「大丈夫。ちゃんと言えるよ」
言えるわけない。でも、私の中で上手く言葉にできてないのに、そう言ってしまったから……、
『答えを聞こうか』
マナトくんにそう言われ、
「
思わず、そう答えてしまった。
「もしかしたら負けちゃったかもしれなかった」
初めて
「もしかしたら後悔しなくてよかったかもしれなかった」
秋葉原での戦い。
もっと、……もっと早くあの人の異常に気づいてれば、あの人は『EDEN症候群』にならずに済んだ。アラタが後悔することになったのは私のせいだ。
もっと、もっと早く……『デジモンを倒せていれば』、本当にそう思った。
「もしかしたらもっと良い選択ができたかもしれなかった」
私は……、私が弱かったから、私が弱かったから、タンクモンを救えなかった。もっと強くて、タンクモンを制圧できる力さえあったら、タンクモンは死なずに済んだはずだったのに……、
「もしかしたら泣かせてしまったかもしれなかった」
ジミィKENとの再戦。
初めての究極体との戦い。ボルトモンを相手に、3体の完全体の力で翻弄してなんとか勝てたあの戦い……、負けられなくて、苦しくって……ようやく勝てた。でも、ジミィKENのアカウントを破壊するユーゴを止められなかった。
もっと強ければ、よかったってそう思った。
「……もしかしたら」
もっともっと強くなりたい。
『誰にも』、『何にも』、……ううんそうじゃない。
「
そうだ……、私が言葉にしたいのはこういう言葉だったはずだ。
「失いたくない。奪われたくない。逃げたくない。後悔したくない。絶対に絶対に絶対に」
そう、私は、
「……私はっ!!!」
『……わかった』
私はただ、マナトくんに言葉の全部をぶつけていた。
『指定した時間に『例の場所』に来てくれ』
その全てを聞いたマナトくんは言った。
『教えてあげるよ』
その言葉、その手は『救いの手』のようにも感じられたし、『悪魔の契約』にも感じられた。
『
でも、私は『迷わなかった』。