2017/6/10 PM04:17
「……ハァ、ハァ……っ!?」
……ウソでしょっ!?
なんで、パイルドラモンの攻撃が効いてないのよっ!?
「「ルビー/アクア、どうすればいいっ!!!」」
パイルドラモンの当たり前の質問がうるさい。そんなのわかってるでしょ?
「どうすればいい? そんなの決まってるでしょっ!!! 戦うのっ! 勝つのっ! そうしなきゃここで『カミシロ』が終わっちゃうっ!!!」
私達の戦いも、タイトの目的も、こんなハッカーなんかにメチャクチャになんてされてたまるかっ!!!
「……っ、それしかないよなっ!!!」
隣でアクアが立ち上がる。わかってんなら、もっと根性出してよっ!!!
「「パイルドラモンッ!!!」」
「「ーーーーいくぞっ!!!」」
目の前の究極体にパイルドラモンは飛び掛かる。
「……、まあ根性だけは認めたる。それ以外は論外やけどなぁっ!!!」
「『
パイルドラモンが振るう『エスグリーマ』を切り返すように、相手のデジモンの剣がパイルドラモンを切り裂いた。
「ーーーーっ、あっ!?」
「「パイルドラモンッ!?」」
パイルドラモンが2つに分かれ、チビモンとミノモンが『アヴァロン・サーバ』の床に倒れ込んだ。
「よぉーーーーっ、やく、そのブッサイクなツラを歪ませることができたわ」
なんで、なんであんなハッカーに負けた?
ブイモンはもっともっと……、違う、そうじゃない。そんなことはわかってる。
(私達が弱かったから負けたんだ)
変なシニョンの女が私の顔を嘲笑う。ママから貰ったこの顔を笑った?笑ったのか……許せるはずがない。
「ユーゴはんに認められただけの雑魚が、ユーゴはんを止めに来た? 冗談も大概にしたらどうなんや?」
認められただけの雑魚?
あんな雑魚に『認められた』? ふざけんなっ、弱くなってなければ、究極体に進化さえできてればこんなはずはなかったんだっ!
「…………っ!」
私が立ち上がってあの女を殴ろうと走り出す。
「やめろ、ルビーっ!!!」
アクアのそんな声が聞こえる。だけど、それももう遅い。チビモンもミノモンも助けなきゃいけない。『アヴァロン・サーバ』に近づいてユーゴがやってる何かも止めなくちゃいけない。
(ここで私がなんとかしないで、いつ頑張んのよっ!!!)
最優先はチビモンとミノモン。その次はユーゴ、……相手のデジモンの攻撃の合間を抜けてーーーー、
「……さあ、そのデジモンともども、アカウントごと破壊してやりますさかい……往生せいやっ!!!」
相手のデジモンの黄色い腕が見えた気がした。
もう終わる。
でも、チビモン達は回収できた。
あとは、アクアになんとかしてもらうだけ……、『カミシロ』からの救援が来れば、こんな奴らに絶対に負けないはずーーーー、
「ちょーーーーっと、待ったーーーーッッ!!!」
「「ーーーーっ!?」」
赤い髪の少女が私とチビモン達の前に現れる。
「弱い者イジメ、ダメ絶対。『ザクソン』の2代目ともあろう人が、一般の人を襲うなんてぇ、ふてえこと……、仏様が許してもこの『アッキーノ』が許しませんよぉーーーーッ!!!」
スタイルはいい。
顔もいい。
アイドルとしてなら……、ううん、タレントとしてなら立派になるかもしれないぐらいかわいらしい少女……ただーーーー、
(…………っ)
(いや、それをいうなら……No.2では?)
目の前に
「それを言うなら、No.2やろ……、というか、よーやくきはったみたいどすなぁ」
「伝わればどーでもいいでしょ?」
「どーでもいいわけないやろ。ほんっと、アンタは空気が読めへんなぁ?」
どうやら『ザクソン』の少女と知り合いっぽい。でも、それにしてはいがみあってるような……、ううん、まずはアクアのところに戻らないとっ!?
「……どーでもいいのっ! そんなことはっ!!!」
「どーでも良くないだろ」
アクアが少女の声にツッコミを入れた……って、今はそんな場合じゃないよねって!?
「ノキア、言われてるよ?」
「あの人の言葉も一理あるんじゃないかな?」
「シャラップッ、ウォーグレイモン、メタルガルルモンッ! ……弱気を助け、強気を挫く……それこそが、この『白峰ノキア』率いる『リベリオンズ』のモットーだって忘れたのっ!?」
「「ーーーーッ!?」」
ーーーーッ、『リベリオンズ』っ!?
『ザクソン』や最近倒された『デモンズ』……その他ハッカーを引き抜いたり、残党を集めて結成された新しいハッカーチームっ!?
(その目的は『デジモン達と仲良くなること』……だったよね?)
(そうだ。調べた限りでは対等の関係を築くのが目的のはずだが……?)
『アヴァロン・サーバ』になんで来たんだ? と首を傾げた。
「そんなどうでもいいこと気にしてないで、目の前のわるーいハッカーをぶちのめすよっ!!!」
「りょーかいだよ、ノキアッ!」/「OK、いこうっ!」
「うっさい声にブッサイクなツラでよう喋りはりますわ。頭が痛くて痛くて堪りませんわ」
今までパイルドラモンと戦っていたあの女ハッカーは、いつのまにか目の前のノキアという少女との戦いに移り変わっていた。
「ここで今までのインゲン全部ぶっ飛ばして、あんた達みたいな悪いハッカー、全部私達がぶっ倒してやるっ!!!」
「頭の痛くなるようないい加減見飽きたそのブッサイクなツラ、……ボッコボコのギッタンギッタンにして、もっとブッサイクにしてやりますかい。往生せいやっ!!!」
『カミシロ』に関わってるのに、『アヴァロン・サーバ』を守ることすらできなかった。
戦った相手からはもう意識すらされてない。
なんで、なんで私達はこんなに……、こんなにーーーー、
強くなりたい。
2017/6/12/AM08:23
「星野タイトさん」
────カラン、と、マナト……、対面に座る星野タイトのコップの氷が揺れる。
「…………」
彼はただ無言で目を伏せた。
「否定、なさらないんですね」
彼は否定をしなかった。
「……する必要がどこにある? まだ、俺は何も聞いてないからな。聞いてもいないのに否定するのは論外だろ」
否、する必要がないのだ。
彼自身を……、末堂マナトが星野タイトであるという証拠を集めきっているという事実は相手に知られていると言っても過言じゃない。なら、彼にとってこの茶番にはどんな意味があるのだろうか?
「…………」
「……そう、ですか」
踏み込むべきは……、ううん違う。
(そこに私達の打開策がある)
「話してみろ」
自信ありげに……、それでいて目の前の私達を見ているようで、私達を見ていないようなその視線は、どこか心に不可解な不愉快さを感じさせる。
(かなちゃん)
(……わかってるわよ)
それはかなちゃんも同じだと思った。だから、口止めをした。そして、それも一つの合図だ。
「まず、私達はアクアくん達から、『末堂マナトは星野タイトである』という情報を聞かされ、一緒に調べてほしいとお願いされました」
私達の推理を話す為の合図だった。
「私とかなちゃんはあなたの動向を調べ、あなたが『星野タイト』であるという人物と接触……、あなたが一昨年の7月に林間学校に行った場所、『水無瀬村』で会った教授と呼ばれる人物とその姉です」
ここに来るまでにあったことを話し始める。
「ケモノガミと呼ばれるデジモンとの戦い。あなたが世界を救う為に僅か3歳という齢でこの世界から旅立ったこと……、ルビーちゃん達と共に世界を救ったこと……、全部、全部聞きました」
相手方には知られていることを前提に話して……、
「はーい、どーぞ」
「ありがとう、ウケモチ」
この男、私達の話を聞かずに店員の女性から巨大なハンバーガーを受け取った。
「……」/「……どーも」
「ごゆっくりぃ〜〜」
店員さんはクリーム色の服を着た『ぽやややや〜〜〜〜ん』と擬音が聞こえてくるような柔和なかわいらしい女性だった。
「…………」
星野タイトは店員さんからもらったハンバーガーの包み紙を綺麗に開け始める。
「続きを話します」
私はその姿に構わず、先程の推理の続きを話し始めた。
「…………」
…………っ、
「私達はあなたの目的を探しました」
パクッ!
「『白い少年の幽霊』……、デジモンカイザーとの戦いの後、私達が探し始め、半年……ついこの間まで見つけられなかった存在です」
もぐもぐ、
「『白い少年の幽霊』はバケモノでした」
もぐもぐもぐもぐ、
「電脳世界に現れ、人の魂を喰らい、『EDEN症候群』を引き起こすバケモノ……、それが『白い少年の幽霊』」
ゴックンッ!
「私達はただ蹂躙され、あのバケモノに狙われた時、あなたの密偵と思われるデジモンに守られました」
────グシャリ、
「……うまいな」
「ウケモチっ、これものすっごくおいしいっ!!!」
「ありがとうございますぅ〜〜」
星野タイトは店員に向けて笑いかけた。さっきまでの怒りはどこかへと消えていったかのような清々しい笑顔を、先程ハンバーガーを渡しにきた朗らかな女性に向けている……、私達のことが視界に入っていないかのような笑顔で……、
((────イラッ!))
当然、腹がたった。
(ねぇ、こいつっ、ちゃんと話聞いてる? ボーッとハンバーガー食ってるだけにしか見えないんだけどっ!?)
彼の横顔は外の窓へと視線が向いている。私達の話を聞いている様子もない。しかし、私は彼が話を聞いていると思わずには、……信じずにはいられなかった。
(……落ち着いてかなちゃん。彼はちゃんと話を聞いているは────)
「
…………ず?
「────ッ!?」
つまらないものを見るように彼は私達を一瞥し、その後すぐに窓の外へと視線を戻した。
「話したいことはここからです」
彼は確かに私達の話を聞いていた。なら、私達の話は順調に進んでいるということだ。
「……ふーん、その話は? 何?」
彼はつまらなさそうにコーラが入ったコップのストローをいじり始める。
「あなたの目的についてです」
ここからが正念場だと心を奮起させ、つまらなさそうな彼に興味を抱かせるように話を続ける。
「目的……ねぇ?」
ストローを弄る手が止まった。
「『俺』の目的と言っても、君達が詳しく知っているわけじゃないと思うんだ」
彼は知らないと言った。
「いえ、あなたの目的はわかっています。水無瀬教授から聞きました」
だから、私は私の『予想』に確信が持てたのだ。
「……その目的とは?」
彼が彼自身の目的について話を聞いた。
「
私は答えた。
私自身が水無瀬教授から見聞きし、彼が2年前どう思って、彼の現在の行動から予測した答え……、それが、『世界を
「…………」
ストローを弄る手が完全に止まった。
(彼の興味をひけはじめたっ!?)
心の中のたくさんの驚愕の感情と目的を言い当てたことに対する達成感が胸の中を占める。
(……ううん、気を引き締めないと)
耳を傾ける彼の目の前で気持ちを整理し、私の予想を話しはじめる。
「教授から聞いた話です」
そう、あの日……水無瀬教授から聞いたことを話しはじめた。
「ケモノガミの世界にいた頃、あなたは何度かこのようなニュアンスの言葉を口にしていました。『自分はこの世界の住人じゃない』、『自分は長い間別の世界にいた』『この世界で産まれた人間とケモノガミの手でこの世界を救うことだ』……等、話しており、ルビーちゃんやあなたの現在の部下である寿さんを助けていた、と」
彼はルビーちゃん達が本当に危険な目に遭う直前まで、自分はこの世界の人間じゃないから自身が救うべき出ないと言い続けた。
「実際にケモノガミの世界を救ったのはルビーちゃんと寿さん……、その2人が互いのパートナーデジモンと力を合わせたことで奇跡を起こした……そう、聞いています」
そして、最終的には少女達が力を合わせて、ケモノガミと呼ばれる日本の
「そして、私達の件もそうです」
そう、今回も同じだ。
「私達にあなたは『D-3』とデジモン達を渡した」
約1年前のあの秋、私達は初めてデジモンと出会った。
「血を繋がった家族を守るためなら、アイさんにも『D-3』を渡したはずです。大切な人を守る斎藤夫妻だけに渡せば良かったはずです。それなのに、私達に『D-3』を渡した。それなのに、一昨日のイベントに参加人々に『D-3』を渡した」
彼らだけじゃない。
私やかなちゃんにルナモンとコロナモンを渡したこと、デジモンカイザーと呼ばれる不審なハッカー、そして一昨日にあった『D-3コピー』配布という『カミシロ』のイベント。全てが全て繋がっていると思った。
「それには深い意味があると私は思っています」
だから、ここまでは事実を話しただけ……、彼の興味を惹ける手段でしかない。
「ここからは私の妄想です」
本当に彼が表舞台に立って、
「あなたは今でも『この世界を自分が救うべきでない』と思っています」
彼を私達の味方として戦ってもらえるように、
「それは、私達や『カミシロ』のイベントに参加した人々に『D-3』を渡したことが証拠になります」
私は彼を、星野タイトとして動かす理由を作らなければならない。
「あなたは……、星野タイトとそのデジモン達は、この世界の危機に関わるつもりがないと思っています」
そう、星野タイトはこのセカイの危機に立ち向かうつもりはない。
「理由は、『
家族さえ守れればそれでいいと考えてる。
「そして、最初に私達に『D-3』を渡した理由は、星野家に深く関わっており、家族を守ってくれる可能性が高い人物だからです」
私はアクアくんの恋人だし、かなちゃんはアクアくんの幼馴染で、アクアくんはMEMは彼女の夢を叶えた借りがあった。全員が全員逃げないという保証はないけれど、『壱護プロ』という芸能プロと深く関わり、逃げ出せばすぐさま末堂マナトに話が伝達される道筋ができていた。
「唯一の例外である不知火フリルは、かつてケモノガミを救った水無瀬教授の血縁ということもあり、なんらかの契約を交わしたのでしょう。秘密を話さないように厳命することを条件に」
そして、唯一の例外も補足する。
彼女は本当に偶然の産物だったのだろう。逃げる可能性や渡したデジモンを持って逃げ出される可能性もあった。しかし、結果として彼女はデジモンカイザーという強敵から逃げずに立ち向かった。
「…………」
無言で聞き入る彼の様子から、その偶然であることが証明された。なら、私の予想はあってるということだ。そして、
「そして、私はこうも考えています。『白い少年の幽霊』を私達に探させるつもりがなかったのではありませんか?」
彼の指が動いた。
ガタンッ、と大きな音が隣で鳴った。かなちゃんが息を荒げるように椅子から立ち上がっていた。
「────ッ、それってどういうことよっ!?」
どういうこと……、この件は説明してなかったね。
「かなちゃん……、簡単な推理だよ」
かなちゃんにも話していない説明を始める。
「家族をここまで危険から離そうとするこの人が、私達に勝てないようなバケモノを無理に探させると思う?」
「────ッ!?」
そう、あの日からずっと、ずっと疑問だったのは、……それだ。
「ずっと、ずっと気になっていました。
『白い少年の幽霊』を探せと『カミシロ』から命令されているにもかかわらず、当の『カミシロ』から『白い少年の幽霊』の発見情報が送られてきていた……、どんなに探しても正しい情報が見つからなかったにも関わらずっ!!!」
そもそも、『カミシロエンタープライズ』という日本……、いや、世界きっての大企業が、自身の製品の不具合を番組のイベントにするだろうか?
それは否だ。
粛々として行い、結果として『こんなことがありました』という報告だけで済ませるのが普通である。しかし、結果として私達は番組として『白い少年の幽霊』を探し続けていた。それも、半年近くも……だ。
「…………」
彼の視線がテーブルの上のコップへと移った。俯くようなその姿に私の考えの正確性を確信する。
「かなちゃん、この人は私達に『白い少年の幽霊』……ううん、あの日見たオウムガイのバケモノを見つけないように、見つからないように情報を歪め、万が一にも私達の命の危機がないように監視までつけていたんだ……、この人の
「…………っ!?」
ずっと、ずっと見つからないのが謎だった。
いくら『EDEN』を探しても噂だけで、本当にいるのかどうかすら疑問に思っていた……、そして、『
「あの浅草の事件の後からずっとずっとあなたのことを考えていました。あなたの目的、あなたの守りたいもの、あなたが本当にしたいこと……、それは」
そう、ここから、ここから私は────、
「
彼は外を見た。
窓の外……、街の中を行く人々に視線を移し、天を見上げて……、
「……ああ」
「
────ズドンッ!!!
突然、地震のような大きな揺れが『空から降ってきた』。
「「────ッ!?」」
────っ、コイツ……、『今なんて言った』?
「カナッ!?」/「あかねっ!?」
聞き慣れた声が突然隣から聞こえてくる。
「コロナモンッ!?」/「ルナモンッ!?」
……うそっ、ここはデジタルシフトじゃないはずなのに、どうしてルナモンとコロナモンが……って、そんな場合じゃないっ!?
「
この不可思議な現象の原因が目の前にいるっ!!!
「────あんた、何をやったのっ!!!」
「かなちゃんっ!!!」
かなちゃんが星野タイトの胸ぐらを掴もうとしたのを無理矢理引っ張って遠ざける。
「黒川あかねっ、なにするんのよっ!!!」
「いいから下がってっ!!!」
どうする、どうすれば……、そんなこと考えてる場合じゃないっ!?
「あかねっ、かなっ!!!」
ルナモンに指示────、
「こいつはオレ達が……あっ!?」
「コロナモ────んなっ!?」
コロナモンが突然倒れ……、ルナモンもっ!?
「コロナモン?」/「ルナモンッ!?」
ルナモン達が頭立てずに倒れた?
ううん、違う……、よく見れば、厨房の店員がこっちを見て微笑んでいる。きっと何かしたはず……っ!?
「
星野タイトが気になることを言った。その言葉に耳を……、違うっ!)
(脱出経路は……、カウンター近くの出入り口しかないっ!?)
裏口は塞がれてると思っていい。逃げる方法を考えろ。
「かなちゃん、逃げる……っ!?」
かなちゃんの方を向いた時、かなちゃんがピクリとも動いていないことに気がついた。いったいなにが……っ!?
「
空がまだお昼にもなっていないのに夕暮れのように真っ赤に染まって、空から人型……ううん違う、いろんな形の生き物? なんで降って────、
「時間切れ、だね」
星野タイトがそう言った。
「この世界に何をしたのっ!?」
原因は間違いなくこの人だ。でも、この人が何をやったのか私達にはわからない。
「何をしたとは失礼だな? 『私』はただ時間を稼いでいただけだよ」
……時間を、かせぐ?
その言葉に頭が真っ白に染まって、……、トンと体から力が抜けていくのを感じた。
「
「……っ、あ」
……かな、ちゃん?
「ウケモチ、ありがとう」
「どーいたしまして、なのです!」
2人の足音が聞こえる。
私の体がふわりと浮いた……、どこか、つれて……、どこ、私は────、
「……目が覚めたら────」
どこで、……間違えた?
2017/6/10 PM04:41
ヒュウウオオオオオーーーー、
電子の空から金の背に乗って、私は遥か下にあるサーバを見下ろした。
「ほらほらどーしたっ! わるーいハッカーを全部ぶっ倒すんじゃなかったんどすかぁ!!!」
聞こえる。
「ーーーーくっ!?」
「ーーーーウォーグレイモン*1ッ!? アラタッ、アミはどこ行ったの。こういう時はいっつもいるじゃないっ!?」
「あいつがどこに行ったかなんて、俺が知るわけねぇだろッ! 杏子さんもこの事件が起こった時に、『最終決戦までには戻る』つって、どっかに消えたつってたんだよっ!!!」
聞こえる。
「なんでこんな時にいないのよっ!?」
「知るわけねぇだろうがっ!!!」
友達の声が、
「終わりにしたるさかい、往生せいやッ!!!」
敵の声が、
「ウォーグレイモンっ、メタルガルルモンっ!?」
『
「
私/オウリュウモン*2は
「ーーーーなっ!?」
「「ーーーーッ!?」」
「なんなのよ、これはっ!?」
「クリサリモン、止まれッ!!!」
「いったい、なんなんや……これはっ!?」
狙い通りに舞う剣の雨。
『
「……来たね」
「「「ーーーーッ!?」」」」
トンッ、と足音が鳴った。
オウリュウモンの背中から降りて、私の体が『アヴァロン・サーバ』にたどり着いた。
「オウリュウモン」
ジャキン、とオウリュウモンが背後で剣を担ぐ。
「ブリウエルドラモン*3」
ガンッ、と、大きな盾が私の前に現れる。
「フェンリルガモン*4」
グルルと唸り声が私の横から牙を剥いた。
「なんだよ、アイツ?」
「……なんだ、あのデジモン」
「てか、あのハッカー……、胡散臭い探偵のところの奴だよな?」
「アラタさんが動きを止めるように指示している。動くなよ?」
「ユーゴさんが動かない。戦いを止めろ」
「アッキーノさん、俺達はどうすればいいんですかっ!?」
この場にいる全ての人の視線が、デジモン達の敵意が私達に向いている。
(いこう、みんな)
心の中でそう思い、宣言する。
「ここにいる全ての人に命じます」
そう、私は『
「今すぐ戦闘を止めログアウトをしてください」
この戦いを終わらせる為に……、ううん違う。
私の
超金属「クロンデジゾイド」の鎧を身にまとった最強の竜戦士であり、グレイモン系デジモンの究極形態である。グレイモン系デジモンに見られた巨大な姿とは違い、人型の形態をしているが、スピード、パワーとも飛躍的に向上しており、完全体デジモンの攻撃程度では倒すことは不可能だろう。両腕に装備している「ドラモンキラー」はドラモン系デジモンには絶大な威力を発揮するが、同時に自らを危険にさらしてしまう諸刃の剣でもある。また、背中に装備している外殻を1つに合わせると最強硬度の盾「ブレイブシールド」になる。歴戦の強者の中でも真の勇者が自らの使命に目覚めたときウォーグレイモンに進化すると言われている。必殺技は大気中に存在する、全てのエネルギーを1点に集中させて放つ、超高密度の高熱エネルギー弾『ガイアフォース』。また両腕の「ドラモンキラー」を頭上で合わせ、高速回転しながら突撃し敵を貫通する『ブレイブトルネード』がある。
オウリュウモンとは、“デジコア(電脳核)の空想”が生み出した架空のデジモンである。額のインターフェースによってデジコア自身の創造力までもが奇跡的に解き放たれて進化した姿である。元々デジコア内に日本の神話における“竜”や“武将”などの猛々しい戦闘データを持っていたためか、デジコアの創造した姿は、威風堂々とした和風の鎧を身にまとい、両腕に刀を持つ“武者竜”であった。左手の刀は「鎧龍左大刃(がいりゅうさだいじん)」、右手の刀は「鎧龍右大刃(がいりゅううだいじん)」である。背部の翼の刃は「鎧馬大名刃(がいばだいめいじん)」と呼ばれる。必殺技は両腕の刀より放つ『永世竜王刃(えいせいりゅうおうじん)』と、大河の土砂流のごとく荒れ狂い、全てを切り裂きながら突進する『黄鎧(おうがい)』。これはファンロンモンの必殺技『黄廻(おうかい)』にルーツがあるとの説もあるが定かではない。
ほぼ身体が盾で形成され、ドラゴンの姿となった「Legend-Arms」盾デジモンの究極体。神話やゲームからなる『伝説の盾』のデータを得て、どんな攻撃をも傷がつかない最強硬度の盾に進化している。見た目はレッドデジゾイド製に見えるが、その硬質は解析不能である。ブリウエルドラモンには「ゴース」と「フェイ」という2体の自立型AIが全方位の視覚を担っている。この「ゴース」「フェイ」も炎のバリアを持ち、バリアの範囲はブリウエルドラモンまで拡げることができる。「ゴース」「フェイ」はどこまで遠くても活動ができるため、世界全てをバリアで包むことも可能と言われる。最強の盾であるブリウエルドラモンだが、宿敵デュランダモンにバリアを打ち破られ圧倒されたことがあるらしい。
必殺技は、炎の翼から烈火を放つ『グレンストーム』と、翼を分離し炎のバリアを展開しながら敵に突撃する『ブラストスマッシュ』がある。「Legend-Arms」の真価である盾に変わったブリウエルドラモンを持てば、どんな敵も攻撃を諦めるという。
フェンリルガモンとは、“デジコア(電脳核)の空想”が生み出した架空のデジモンである。額のインターフェースによってデジコア自身の創造力までもが奇跡的に解き放たれて進化した姿である。元々デジコア内に現実世界の神話に登場する魔狼のデータを持っていた為か、デジコアの創造した姿は、白銀の鎧をまとった無尽蔵の魔力を持つ“究極の魔獣”であった。全身に帯びた蒼い魔炎は自身の意思の制御下にあり、超々高温の燃焼温度ではあるが、平時には音もなく静かに美しく揺らめいている。必殺技は身にまとった蒼き炎を遠吠えとともに瞬時に爆発燃焼させ周囲を焼却する「ラグナロクハウリング」と四肢からレーザー状に噴出している魔炎で相手を切り裂く「ヨトゥンヘイムゲイル」。さらに「フローズヴィトニル」と呼ばれる魔炎の分身を召喚することもでき、この分身はフェンリルガモンと同じ技を扱えるため、相対するものは相当に苦戦することだろう。