とある昔の話。
少年は友達と旅に出ました。
苦しい、苦しい旅でした。
1つめの国はこどもの国。
たくさん、たくさんのこどもが少年を仲間外れにしました。
少年はがんばりました。
たくさんたくさんがんばって、さらに友達が2◼️できました。
仲間外れにしたこども達も許しました。
こども達は少年を許しませんでした。
こども達は軍隊を連れて、少年達を倒そうとしました。少年の友達が1人いなくなりました。
少年は怒ってこども達を倒しました。軍隊を倒しました。
少年もこども達を許しませんでした。
少年と友達たちは2つめの国につきました。
白い白いお城のある国です。
とても、とても綺麗なお姫様が治める国です。幸せがいっぱいある国です。少年はお姫様に受け入れられ、友達たちもお姫様は受け入れました。
少年は幸せでした。
友達たちも幸せでした。
でも、少年達は歩きはじめました。
少年達は3つ目の国に行きました。
悪い王様が戦争をしている国でした。言うことの聞かない住民をたくさん、たくさん捕まえて、働かせていました。
少年は反乱軍に参加して、たくさんの住民を守りました。
最後まで戦争には参加できなかったけれど、少年のおかげで悪い王様は倒されました。
少年は自分の国に帰りました。
家族に会いたい。その一心で帰りました。
でも、少年は…………、
『なんなんだ!? なんなんだよ、コイツらっ!?』
聞こえる。
『……うそ、うそだよ……、なんで、なんでなんでなんでっ!?』
聞こえる。
『ルビーっ、知ってるのっ!?』
『……やられた』
知った人の声が、悲しみに暮れる声が、その全てが、
『タイト────ッ!!!』
『お前ら、逃げろぉっ!!!』
異界へと変じた空間。
『壱護っ、逃げろって言ったって、どこに逃げればいいのよっ!?』
聞こえる。
『いいから、逃げろッ! アイを連れて……っ、くそっ、アイッッ!!!』
聞こえる。
『ぐーちゃんっ!? お願い、出てきてよぐーちゃんっ!!!』
諦めた声が、無力に苛まれる声が聞こえてくる。
『……ケッ、……アイツに目をつけられちゃぁ、無理だよな。結局のところ運の尽きってヤツだ』
『ぐーちゃん?』
狂った世界で、くるくる変わる不可思議な世界で、
『さて、今度はどこに連れて行かれるのやら?』
黒き竜は不敵に笑っていた。
2017/6/12 AM11:37
サウンドバードモンが映す、テトの腕に掴まれ叫びながら気絶していく家族の姿をただただ、ボーッと見つめ続ける。
「…………」
心にあるのはただ一言。
(あっけなかった)
その言葉だけだった。
その言葉とともにあるのは、どこか胸が空くような感覚……、それと、妙にスッキリとした、晴々した気持ちだけであった。
「……タイト氏、本当にこれでよかったのでありますか?」
左に侍るユイにそう聞かれた。
(……は?)
全てがうまくいった。うまくいったというのたというのに、なんでそんなことを聞いてくるんだ?
今日、この日の為に、作戦を練り、その結果が……、目の前にいる警戒対象であった黒川あかねと有馬かな、そのパートナー達を封殺することができたのだ。これ以上望ましいことはないはずだった。
(俺はなにかミスをしたのか?)
まず、最初に俺はアクアが動くと読んだ。
(『ジュード』の事件の失敗を経て、アクアが身近な人間の信用が足らず、結果的に失敗したのだと思想がよらせるように、事情を知らないワームモンを送ったんだったよな?)
結果として、ワームモンとしての力をアクア十全とは言わないまでも使いこなし、味方がいることの重要性を理解させ、アクアを都合のいいように動かすことができた。
(その後は、アクアと恋人だった黒川あかねと恋敵の有馬かなに力を貸してくれるように求めると踏み、見事その通りにアクアを動かしてみせた。自分でその行動を選んだとでもいうように……、偶然のように見せかけその会話に混ざり、俺という存在を印象付けた)
その次は、アクアが動かないように、ルビーとの約束を守るという程を使って、アクアが動く理由をなくした。
(『パラダイスロスト計画』の全容を話した)
アクアは俺が家族の為に動いていると思い込んで、アクアは俺を探るのを辞めた。それによって、黒川あかねはアクアに対して疑心を強め、アクアを巻き込まずに行動をはじめる。
(デジモンカイザーという存在はルビー達のレベルアップ兼、黒川あかねの目眩しとしてもちょうどよかった。仕事の忙しさとデジモン達のリハビリを理由に彼女達の行動範囲を狭めれたのは、十二分に仕事ができたと言っても過言じゃないだろう)
考える時間というのはとても都合のいい存在だ。
黒川あかねは時間が経つに連れて、有馬かなとともに俺への疑心をさらに強めた。
(水無瀬村の事件を必要以上に情報操作しなかったのも、………… うん、間違ってはいなかったはず)
2年前に起きた『ケモノガミ』との戦い。
水無瀬村になにかあると踏んだ彼女達と、水無瀬姉弟に対し口止めをしなかったのが功を奏した。
彼女達が水無瀬の兄妹を訪ね、世界の真実を知らされた。
(まさか、浅草の『デジタルシフト』まで読み切られるとは思っていなかったわけ……だが)
俺の読みを越えて、彼女の溢れ出るバイタリティは『デジタルシフト』を探り当てることに成功する。
(彼らが間に合ってなければ、アクア達になにを言われるかわかったモンじゃないからな……、本当にヒヤッとした)
『デジタルシフト』内でのイーターとの戦闘……、イーターに蹂躙され間一髪のところで、『彼ら』が間に合った。
(…………)
そして最後には、この世界の異変を察知し、俺に力を貸すように頼み込んできた。
(俺が初めから警戒していたのは黒川あかねだったことには、最後まで気づかれなかったんだよな)
アクアは俺と話す時には既に心を許していた。だから、俺の考えを読みきれなかったのかもしれない。
(高い知性と好きな人の為ならどんな状況でも屈しないバイタリティ……、警戒しておいて正解だった)
ヤツの能力は『私』が警戒するに値していた。アクアへの恋心という足枷があったとしても……いや、恋心がなんてものあったから余計に容赦するつもりはなかった。
(恋をした女を相手にするのは厄介なのは重々理解している)
前世での苦痛な記憶……、中でも思い出したくない部類の……、いや、本当に思い出したくない。黒川あかねみたいな一般的に整った顔立ちをしていて、気遣いができて、尽くしたがりな年相応の少女ならともかく、前世のあの◾️ ◾️で、◾️ ◾️な、◾️ ◾️のような存在を思い出しただけで胃が痛くなってくる。
(……っ、そうじゃない)
黒川あかねにだけはアミの存在を、半電脳体のバレる訳にはいかなかった。
(最も危険だと判断したのはヤツのコネクションだ)
黒川あかねは比較的裕福な出の人間だ。
芸能界にも突出した才を持ち、父親が警視正としてのコネクションから警察にも睨みが聞く。父親の警察に関しては上から押さえつければ済む話だが、比較的自由に動ける彼女にその情報が行き、俺ではなく『カミシロ』自体の警戒を強める形になるのは不確定要素を増やす原因にもなり得た。
だから、新宿に現れた異様な姿をした電子生命体も、新宿の『デジタルシフト』も、アミに合流された時点で俺の詰みになりうる可能性になり得た。
(全てを背負い込む黒川あかねは、暮海杏子に相談すらしなかった訳だが……、もっといいやり方はあったかもしれない)
ミスはやはりなかったが、危ない橋を渡ったのも事実……、
「……何が?」
結局分からなかった為、そう聞いたユイに言葉の意味について聞いてみた。
「タイト氏は今の状況を見てどう思われますか?」
現状、現状、現状……?
ふと、ユイの視線の先を見つめると、テトの腕の動きと俺の顔色を心配そうに見つめていることに気がついた。
(もしかして、家族のことを聞いているのか?)
ズィードミレニアモンの力を奮うテトによって、1人、また1人と気絶させられ、連れて行かれる家族の姿を見る。
(思わないことはない……けど、さ)
思わないことはない。
俺の名を叫び倒れる家族を見て、思わないことはないのだ。
(だが、それはもう『終わった』ことだ)
終わったことだと自分に言い聞かせ、……それでも、ユイにこう答える。
「よく『は』ない。けどさ……」
よくはない。
自身の精神衛生上よくはないのだが、……そうだな。この言葉が1番合っているのだろう。
「
「────ッ!?」
クロスウォーズの世界で、俺は理解してしまった。この世界が救うに値しないのだと、俺はそう思ってしまったんだ。
「もう、決めてしまわれたのですか?」
衝撃を受けたような、悲しそうな顔で見つめられる。そんなに驚かれることであったのだろうか? ……でも、
「ごめん」
そう言わなくちゃいけない気がした。
「そうでありますか」
ユイが不意に俺の左手を強く握ってくる。俺はその手を強く握り返した。
「「「全部体、整列につきましたっ!!!」」」
ふと、そんな話をしていると、ようやく準備を終えたのかこの『秘匿サーバ』に俺のデジモン達全員が隊列を組み、集合し終えていた。
「ジェネラルっ! 諜報部隊全員なり代わり完了致しましたっ!!!」
白い顔の男……、いいや、ベツモンの部隊……、というよりも、大勢のベツモンが俺の前に跪いた。
「我らがジェネラル。オレ達の……、私達スピリット部隊も配置完了済みです」
サゴモ、……カー……、ラーナモンと背後にいる3人の少年達が俺の前で跪いた。
「ジェネラルゥ、補給部隊ぃ、ぜーいん指示どーりに動けるよぉ〜〜!」
カンカンカンと、オタマとフライパンを叩きながら立つウケモチ……、バーガモンとその後ろで跪く補給部隊。
「我らがジェネラルよ。研究部隊最高に準備が整っておりますよ。例のアレ完璧な状態で送れそうです」
ナノモンとその仲間達は跪かず、白衣を着た姿で他のデジモン達に比べて明らかに汚い隊列を組んでいる。
「…………」
シキが心配そうにテトの腕を見ている。上の空のようではいつもの凛とした姿とは明らかにかけ離れていた。
「シキ、どうした?」
「……はっ、はいっ! 我ら広報部隊、全員配置完了しましたっ!!!」
俺に声をかけられたことで普段の彼女に戻った。サウンドバードモン達とモニタモンも彼女の背後に跪いている。
「……テト」
俺はすぐに状況の確認に入る。
「なに、タイト?」
「リエさんはどうなった?」
シキを部下に置くテトへと唯一の懸念事項であったことを聞いた。
(リエさんがいつ死ぬか都庁から落ちるかわからなかったから、わざと先手を打ったんだけどなぁ)
黒川あかねが異常に気づいて都庁に向かうのも阻止できたのはいいけれど、原作ではフーディエと警察に追い詰められ、岸辺リエの肉体を手放さざる得なかった。
「大丈夫、落ちきる前に助け出せたよ」
テトのその言葉に少しだけホッと、心の中で胸を撫で下ろす。だけど、それだけじゃない。
「他のみんなは?」
確保を任せた他のみんなの容体も聞いてみる。
「こっちで気絶させた。怪我はないよ? タイトの為だからね」
その言葉に深く頷いた。
長い間俺達と一緒に空間を移動し続けたテトだから問題ないとは思っていたものの、少しだけ心配であったのだ。
「ベツモンに成り代わらせた後は、僕が預かる手筈だったよね? あとは指示通りにやればいいんだよね?」
「……頼んだ」
最後のフォローまで任せてしまって申し訳ないとは思いつつも、やはり、頼りになるのはテトだと再確認する。
「シン」
「わかってるっすよ。彼女の居場所はこっちで把握してるっす……が、あの女が動いてること、放っておいていいんすか?」
「そっちは予想通りだ」
シンはこちらの指示通りに動いてくれた。
テトとの協力網によって、アミがどこにいるのか、危険ならすぐにテトが助けられるように把握してるのはすばらしい。シンはいつも俺の期待に応えてくれる。
「ユイ」
「テレビ局への連絡はもう済んでるのですぞ。3日後、全てを始める準備を整えたのですぞ」
「……よくやった」
ユイの下準備のおかげで、部隊の配置は完了しつつある。後々の問題は詰めていけばいいだろう。
「マナコ」
「もっちろん、ご主人様のお願い通り、ラーナモン達とあの子達をいじめ抜いておりますわぁ〜〜っ!!!」
「…………」
こいつが1番問題児なんだよな。
言ってることとやってることがおかしい……、心配なのはこいつだけではないのだが……、
「ご心配には及びません。彼らは私達のシゴキについてこれている様子です。若干態度が悪いヤツもいますが……」
マナコの部下であるラーナモンが補足の進言をしてくれた。
(……そっか)
ラーナモンの判断なら比較的安心できる。彼は厳しい面もあるが、有能な部類だ。
「……修行に繋がってるなら問題ない。ラーナモン、今後もマナコのフォローを頼んだ」
「はっ!」
彼女に任せていれば問題はないだろう。
「ご主人様っ! 私が彼らを鍛えてるのです! このオカマではなくて私がっ!!!」
……いや、それは────、
「「「いや、それはない(っす)(であります)」」」
テト、シン、ユイが俺の心の中で思っていたことを言及する。
「ムキーッ、だまらっしゃい、この三馬鹿どもがっ!!!」
「うるさいぞ、マナコ」
うるさい。本当にうるさい。
「ガビーンッ!? なんでですか、ご主人様ぁっ!?」
なんでですかと聞かれてもな……、思い出される奇行の数々。
『ごっ、主人様、ごっ、主人様ぁ〜〜っ!』
俺への讃美歌を歌いながら、死ぬ寸前まで部下を痛めつけるマナコ。
『ちょっと、カーラさん? この子達の修行手ぬるいんじゃありませんこと?』
俺が許可した修行内容に口出しをして、さらに苛烈な戦闘訓練へと変更させるマナコ。
『これでぇ〜〜、ご主人様の視線はく・ぎ・づ・け♡』
仕事の最中にバカな高校生が読んでいそうなオシャレ雑誌を手本に、人型のデジモンでもないくせに化粧をしているマナコ。
……うん。
「普段の行いが悪いからだろ」
「ガーンッ!?」
どう考えても普段の行いが悪かった。
「……怒られてやんの」
「うるさい、このバケモノッ!!!」
「タイトの力になれるならならバケモノで結構だよ。僕がバケモノじゃなくて、そっちが弱いだけだろ?」
「チクショーッ!!!」
テトが真面目に働いてくれてよかったよ……、ほんとうにさ。
「…………」
あれ……どうしてだろう。胃のあたりがキリキリと痛んでいるような……?
「我がジェネラル、どうぞ胃薬です」
「ありがとう、ナノモン」
列から離れたナノモンがこっそりと胃薬と水を渡してくれる。ナノモンの優しさが心に沁みた。
「……ゴックン、……よしっ!」
胃薬を飲み、隊列に戻るように指先で指示。速やかに全員が指定の位置に戻る。
「では、はじめよう」
全員の視線が集まるように、台の上に立つ。
「我らの雌伏の時は終わりを告げた」
この2年……、いや、ノルン様の世界を抜けて4年。ずっと、ずっと『私』は待ち続けていた。
「闇の中で爪を研ぎ、機を待ち、ようやく我が望みの鐘の音が鳴り響く時が来た」
長い間、テトやシン、ユイ、マナコ……、そして、ここにいるデジモン達とともに歩んだ道のりを思い出す。
テト達は俺についてくることを確認済みだ……、しかし、
「君達に問う。『本当に俺について来るのか?』」
みんなにはもう一度考えてほしかった。俺についてきてもいいのか……ということを。
「そんなことはもはや聞くまでもありません。私達はあなたについていくと決めたのです!!!」
真っ先に上がったのはキャンドモン……、いや、ヴォルクドラモンの声であった。
「辞めるなら今、止まるなら今だ。君達には関係ない話のはずだ」
関係ないはずだ。
君達は『俺』の世界の事情に付き合わなくてもいいんだ。こんなクソッタレの世界に付き合うことなんか……、
「寂しいことを言わないでくれっ! オレ達はアンタに付き従うためにここに来たんだっ!!!」
シールズドラモンが叫んだ。
「故郷を捨て、見ず知らずの世界を我らとともに戦うなど、ハッキリ言って下らないとは思わないのか?」
くだらないんだ。この世界はほんっとうに、くだらなくて、救う価値なんてない。
お前達も見ただろう?
この2年間、俺に付き従い、苦しみ、悩み……そして、見てきたはずだ。こんな世界に付き合うなんて、こんな世界の為に行動するなんて笑えないとは思えないのか?
「我らがジェネラル。あなたは我々に希望を見せた。ならあなたの絶望にすら寄り添うのが、我らの務めというもの。どうか手足のようになんなりとお使いください」
ナノモンが恭しく頭を下げる。
「我が神の
ノルン様ならお前達を受け入れてくれるはずだ。
俺はあの世界で『光』を見た。そして、クロスウォーズの世界でも同じことだ。この世界には『闇』しかないかもしれないんだぞ。それでも────、
「マ……タイトさま、私はあなたの為にご飯を作るのが生き甲斐なのです。そんな悲しいこと言ったらメッですよっ!」
ウケモチ……、バーガモンがその言葉に怒った。
「命を賭ける必要なんてないんだ。考え直すなら今だけ……、正直に言えば、俺は考え直してほしい」
本当にこれで最後なんだ。
この話を最後にもう本当に後には引けない。ここからはもう後には引けないんだ……だから、
「まだ、私は、オレはシキに勝ててないんだっ! あんたがくれた力を十分に使いこなせていないっ! もっともっと強くなりたい。命だって賭けてやる。アンタの下につく為にオレ達は頑張って来たんだよっ!!!」
ラーナモン……っ、お前もか。
(…………っ)
1体1体が立ち上がって、俺を見つめる。そして、シキがこの場にいるデジモン達の代表のように一歩、また一歩と歩き、俺に立ち、恭しく頭を下げた。
「我らがジェネラル」
「……シキ」
「我らの想い……、我がジェネラルに捧げます」
シキが俺の前に恭しく跪いた。それに付き従うように、この場にいる全員が跪いた。
「バカだろ、お前ら」
「あなたがバカなのは私達も知っております。だから、私達もついていくのですよ」
シキの軽口とみんなの笑い声。
「……バカが」
ここには本当にバカが集まっていたみたいだ。
(…………なら)
全員が俺に従うと言ってくれた。なら、俺も覚悟を示さなければならない。
「
この秘匿サーバに大きな『クロスハート』の旗を俺は掲げた。
「かつて我らは代理の旗を掲げた」
俺達は
「赤く、紅く、赫く……、当時、いずれ王となる、今、君臨する偉大な王と偉大な
その世界は救われ、世界を救った新たな王が君臨している……、しかし、
「だが、今は違う」
ここは『
「我らはかつて救おうとした世界とは違う世界にいる」
ここは『
「前に戦い、集った結果とは違うモノを我らは求める」
望んだものはなんだ。
願ったものはなんだ。
選んだものはなんだ。
かつて、救いを求めた我らとは違う。我らの集う『旗』はこれではない。
「『俺』が、『僕』が、『私』が我らの旗を掲げる時が来たのだ」
『
「
『真紅』のように燃え上がる色は、澱み、荒む濁った色の『緑』へと変じた。
「
この世界を救い出す
「
無地の『旗』は闇夜色の線が引かれて、1つの絵が映し出される。
「さあ、掲げる時が来た」
『旗』の中心に『水晶』を、それを8本の朽ちた腕が掴み取るように囲っている。
「この『旗』を掲げる者よ、叫べ」
そのモチーフは『ズィードミレニアモン』と『イグドラシル』。俺達の力の象徴だ。
「この『旗』を掲げる者よ、蹂躙しろ」
そう、宣言しろ。俺達の名を……、
「
『私』達の名は『エボルブレイブ』。
「世界の明日問う者の名だ」
そのとき、流れ星が1つ空から消えた。
ハッ、ハッ、ハッ!
息が途切れる。
私達の街が見たことのない姿へと変わってしまった。
ハッ、ハッ、ハッ!
嘘だと信じて、信じて、信じて……、目的の場所まで全力で走った。
ハッ、ハッ、ハッ!
足がもつれ、倒れそうになった。
それでも、それでも立ち上がって、全力で目的の場所まで走り続ける。
ハッ、ハッ、ハッ!
ホントはわかってる。
わかってるけど、信じられないだけ……、本当はもっと早くあの場所までつけることができたはずなのに……、
「ハッ、ハッ、……はぁ、はぁ、はぁ……着いた?」
辿りついた場所にいた人物は……、
「おかえり、アミ」
「マナトくんッ!!!」
「