「ねえ、タ〜イ〜ト〜! いつになったらこの雨は止むんだろうね! いいかげん外に出て戦いたいよー!」
「それは無理じゃないっすか? 雨や嵐は四聖獣様の気まぐれって言うじゃないですか……そんなに文句を言うなら、街にでも行けばいいんっす! もしかしたら、四聖獣様に会えるかもしれませんよ!!!」
降り頻る雨を荒屋の外から眺めながら、文句を言うムゲンドラモン。文句を嗜めるプラチナヌメモン。その横で笑っているゴールドヌメモン……その様子を微笑ましく思える。 [こんな時間が続けばいいのに」
「こんな状況じゃ、行けるわけないじゃん」
まあ、ムゲンドラモンの言いたい事もわかる。デジモンの三大欲求は食欲、睡眠欲、戦闘欲だ。進化する度に強くなるし、戦闘タイプだと闘争本能だってより強力な物になっていくから、これ自体はしょうがないとしか言いようがない。 [だけど、少しでもゆっくりできるのなら、俺はこの時間を楽しみたいな]
「まあ、そうなんだけど────」
瞬間、火焔が家を包み込んだ。
「ムゲンドラモンっ! 家から出るぞ!!!」
「『∞キャノン』っ!!!」
火の海の中からムゲンドラモンの砲撃を放ち、退路を確保する。
「────ピギャアっ!?」
「ギャアアッ────!?」
「グァアアア────ッ!!!」
退路の先から悲鳴の様な声が聞こえた。『∞キャノン』の射線上に通りすがりのデジモンがいた……もしくは、襲撃にあった可能性を考える。
「────こちら、『
耳を澄ませると、街のクランの一つ『ブルークロス』の声が聞こえる。俺たちのことを敵だと言った。
「敵襲だ。火の海を出たら、敵の攻撃に備えろっ!!!」
「「「おうっ!」」」
火の海を出ればどこのバカが攻撃して…………なあっ!?
目の前に入るのは五つの旗……クランの象徴たる旗が五つも靡いていた。
「驚いている様だな」
先程声が聞こえた青十時旗のクラン『ブルークロス』。『トリ』系統のデジモンを管理しているクラン。
「我々はお前達を倒すために連合を組んできた」
緑の虫の旗……クラン『グリーンプラント』。『ムシクサキ』系統のデジモンを管理しているクラン。
「あーしは別にいいんだけど……アンタらと戦ったデジモン置いて尻尾巻いて逃げてきたやつのせいでメンツ潰されたから、やり返さないと気が済まないわけ」
天使の羽が描かれた黄色の旗……クラン『イエローウィング』。『セイ』系統のデジモンを管理しているクラン。
「君らが他のクランのデジモンを盗んだと聞いた……だから、倒しに来た」
赤い旗に龍の絵……クラン『レッドドラゴン』。『リュウ』系統のデジモンを管理しているクラン。
「部下が舐められたみたいだな」
悪魔の尻尾に白い牙のデザインの黒い旗……クラン『ブレイカーズ』。『アンコク』系統のデジモンを管理しているクラン。
……計、五つのクランが俺達を狙って戦いに来ただとッ!!!
「ヤバいよタイト……1、2、3……いっぱい、敵がいっぱいいる!」
『∞キャノン』が通った先には何もいないが、斜線上の外にはデジモンの群れとテイマー達が軍隊の様に列をなしている。
「オイラ達より、強そうなのたくさんいるっす!!!」
見た限り究極体10数体、完全体20数体、成熟期・成長期が目で数えられないほどたくさんいる。
「あっちにたくさんいるんだ、テイマー……こっちはムゲンドラモン以外、戦力にならないのに!!!」
どうすればいい? 敵はたくさんいる……見た限り、包囲されてるのもわかる……逃げ場が無い?
怖い 逃げたい
いや、迷っている暇なんかない!!!
迷っている間にも、敵が向かってきている。逃げ場がないんだったら、正面突破で、逃げ道をつくればいい!!!
「やるしかないだろっ! ゴールドヌメモンとプラチナヌメモンは俺を守れ! ムゲンドラモンは全力を持って突き進めっ!!!」
テイマーキングがクロノモン様に打ち勝ち、約一年がたった。私は出来る限り、この世界に所属しているテイマーがよりデジモンと共にあれるように四聖獣様達と共に街を建て直してきた。
半年程前、とある幼い少年とデジモンがデジタルワールドにやってきた……我々は少年らがどこの世界から来たのかわからなかった。
この世界に暮らしているテイマーやデジモン達は、小さな少年とそのパートナーを自分たちのクランに入れることはしなかった。理由は……安定してきたこの世界で、不安定な要素でもある身元のわからない子供を、助けようと思わなかったと、後に多数のクランから言われてしまった。
……できれば、私は少年らを救いたかった。
かつてのテイマーキングのように、この世界に偉大なことをしてくれる存在なのではないかと……感じたからだ。
だから、何度も何度もクランのリーダーたちに説得をした……だが、受け入れられることはなかった。
そんなある日、少年がとうとう『ブロンズテイマー』の称号を手に入れることができた……方法はたしかに荒かったが、以前の……無法者が歩き回り、犯罪を犯すデジタルワールドに比べればなんてことないことだった。
今まで、少年の待遇は変えることができなかったが、少年らの頼みを聞き、
少年らへの負目があった。少年らの頼みを聞くことで、現状を打破できない自分をなんとかしたくなった。
彼ら達からの頼みは『悪評を流してほしい』という物だった。理由は『自分たちは強くならなければならない』と言われた。
……彼らの目的はわからなかったが、少年らの立場が今よりも悪くなりそうだったので、『挑戦者求む、テイマー対テイマー 』という依頼を街のクエストに出した。こうすることで、多くのクランの目に届くように、多くのテイマーたちと戦えるように、テイマーたちの意識を促した。
私の計画は成功し、中堅から強豪のクランのテイマー達は少年らに対して戦いに行った。そして、少年らはその全てを返り討ちにしている。それを聞くたびに私は晴れやかな気分になった。
そして、それでよかったのだと……私は心の奥の蟠りを飲み干し続ける。
こんなことを考えながら仕事を進めていると、大きくノックの音が3回ほど鳴り響いた。
「……どうぞ」
執務室のドアから入ってきたのは、依頼の管理を行っているトゲモンだった。
「クラヴィスエンジェモン様っ、報告があります! セラフィモン様が出された依頼を計五つのクランが引き受けました! その管理はパルモンが行っており、トロピカル諸島にクランが連合軍になって攻め込みました!!!」
「なんだとっ!? それは本当か!!!」
トゲモンは私の答えに深く頷いた。
「はい! 我々が確認した時にはパルモンもおらず……申し訳ありません!!! 次回からこの様なことがないように…………」
トゲモンの謝る声が聞こえる。しかし、トロピカル諸島にクランが五つ……となると、依頼を多人数で片付けに行ったのか!!!
「謝るのはいいっ! 私は、テイマーキングに連絡してみるっ! 業務が遅れることを他のデジモン・テイマーたちに伝えてくれ……後は頼んだ!!!
たしか、テイマーキングは四聖獣様達に呼ばれていたはずだ。となれば、最上階にいるはずだ……頼む、少年たちよっ、間に合ってくれ!!!
「タイト、ダメだっ──敵が多すぎる!!!」
30分程『∞キャノン』を打っているはずなのに、敵の量が減らない……ムゲンドラモンの攻撃に怯むことはあるが、テイマーの激励で特攻してきやがる。
「ハーッハッハッハ、どうだ我らの戦力は……一体でどれだけ戦い抜けるかな!!!」
高台に立つテイマー達、ガラ空きに見えるな。
「あいつを撃て!」
「『∞キャノン』」
「おっと、危ない」
奴ら、成熟期と成長期を盾にしやがった!? 成長期・成熟期デジモンがデータの屑になって散った。
「おいやめろっ! 俺たちはあいつのデジモンを倒しきたんだろ! 仲間を盾にするな!!!」
「奴は人間を狙ってきた、なら、容赦する必要がないはずだ! やれ!!!」
『ブラストファイヤー』
『メガフレイム』
『メガブラスター』
『ヘブンズナックル』
『メガデストロイヤー』
「タイト、ダメだ……攻撃が止まない!!!」
人間はクラン同士で仲間割れをしているが、デジモン達はこっちに向かってきやがる。
「それでも、道を切り開け! 敵のトップを狙い続けろ!!!」
人間を狙うしか、対処ができないぐらいにうじゃうじゃと敵が出てくる。
どうすればいい。
[なんでこんな思いをしなきゃいけない]
……どうすれば安全な場所へ行くことができる!!!
[嫌だ、死にたくない]
せめてムゲンドラモン達だけでも安全な場所に……
[怖い、逃げたい、助けて! ]
…………どうすればっ
「タイト、危ない!?」
「『デスクロウ』」
俺を狙った悪魔の爪をゴールドヌメモンの体を貫いた。
……つらぬいた?
「『∞キャノン』っ!!!」
ムゲンドラモンが咄嗟に敵デジモンと俺たちの間に、攻撃をしてくれた……そのおかげでゴールドヌメモンを見ることができた。
「……なんでっ!? 急いで応急手当っ、機能『バンソウコウ』起動しなきゃ……なんで!?」
デジヴァイスicが反応しない……デビモンの必殺技が当たったんだ……ゲームの即死判定を現実で喰らったんだ。
「タイトっ、ゴールドヌメモンっ大丈夫か……!?」
「なんでっ!? なんでっ!? なんで起動しない!!!」
ムゲンドラモンが敵の攻撃を捌いてくれている……だけど、頭に入らない。
「ゴールドヌメモン! ねえタイトっち早く怪我を治してくれっす!!!」
「今、やってる……でも、起動しないんだ!!!」
なんとなく頭の中で理解はできていた……ゲーム内での即死判定は何度も喰らったんだことがあった。だから、蘇生アイテムや特別なスキルがないと復活しないってわかってたんだ……だけど、納得できなかった。
「なんで、なんで起動しないんだよッ!? 早くしないとゴールドヌメモンが、死んじゃうだろ!!!」
ゲーム内では気絶判定だったが、現実ではそうはいかなかった……ゴールドヌメモン左の羽は千切れて、左目は切り取られている。口も半分抉れている状態だった。
「はやく動けよ、こんな時のデジヴァイスだろ!!!」
無理だと思った。ショップ機能には蘇生アイテムがなく、HPやMPを回復させるものや育成アイテムしか売っていなかった……それでも、納得できなかった。
「……ワイらは、夢があったんだ」
なんでコイツが死ななきゃいけない。
「おい、しゃべんなっす……タイトっちがなんとかするまで我慢するっす」
機能をいくら調べても、何もわからない。
新しい機能がある、これで救えるのかっ!
『デジモンロード』? 『コンバート』? そんなものじゃ救えない……それでも耳に入ってくる。
「強くなりたかったんはそうだけど……こんなにも信じ合える仲間ができて嬉しかったんだな」
知らねえよそんなこと! ……もう、死ぬようなことを言わないでくれよ!!!
「ゴールドヌメモン喋るな、今、今解決方法を……」
ムゲンドラモンが1体で守ってくれてるのを感じる。ああ、まだ敵の攻撃は続いてるんだ……はやく、はやく見つけないと!
「タイトはやくっ! ……次の攻撃が来ちゃうよ!? はやくゴールドヌメモンを治してよ。攻撃が来たら僕はどうすればいいのっ!?」
ムゲンドラモンが俺の命令を待っている……まだ、俺はゴールドヌメモンをを治す方法を見つけなきゃいけないのに!!!
……なんで、待ってくれないんだよっ!!!
ムゲンドラモンはこの空間で一番強いのに、なんでお前は守れなかったのかという気持ちが強くなる……そんな不条理な気持ちが強くなってくる。
「テイマーがなんか怖がってることが許せなかったんだ」
……怖がっていた?
「
……安心してなかった?
「先輩、から家族の ことを聞いて」
家族……家族もこんなふうに守れないのか?
瞬間、家族がこの状況に陥ることを考えてしまう。
母さんが?
アクアが?
ルビーが?
斉藤さんが?
ミヤコさんが?
ムゲンドラモンが?
こんなふうに、目や耳、足や腕が千切れたら、焼かれたら、俺は…………いやだ、そんなのは許せない。許せるはずがない。
「家族になれば、安心できる か って」
ゴールドヌメモンがボロボロになっていく。
おい待てよ、俺はまだ約束を守ってないぞ。
「おい死ぬなっ、俺はお前らを強くするって約束したんだ! ……だから、死ぬなよ!!!」
「オ は 『テイ ー 家 になりた 』」
バリンと大きな音が鳴り、ゴールドヌメモンのデータは塵へと変わり、消えてなくなった。
死んだ? デジモンは完全体まで進化するか、戦闘経験が多ければデジタマになるが、ゴールドヌメモンは死んだ。
「ふーん、死んじゃったんだね」
聞き覚えのある声がする……パルモンだ。
「クランを集めたのは私よ……だってあなたたちに馬鹿にされたのがとっても嫌だったもの」
いつのまにかクランの攻撃が止んでる……コイツが前に出てきたからか。
「でも、しょうがないわよね。仲間が死んでも」
「だって、たくさんのデジモンや人から恨みを買っていたあなた達だもの」
「しょうがないっ、ゴールドヌメモンのことをしょうがないって言ったんすか! ふざけんな!!!」
プラチナヌメモンが怒った。怒りで震え、目からは涙が出ている。
「アーハッハッハ、ざまぁないわ、だって、あんなにイキってたクソガキをこんなふうに追い詰められるなんて」
パルモンは嗤った……
だから、
そして、自身の中に疑問が浮かんだ。
|そんな存在の為にゴールドヌメモンは死んだのか《もっと強く進化させてあげればよかった》?
「『プラチナヌメモン:キャプチャー』」
プラチナヌメモン
今からやることは、俺が
『何をするんすか!? タイト!!!』
だから、デジヴァイスic
何の為に?
許せなかった、
『機能:デジモンロード』待機状態
「……ムゲンドラモン、奴らを喰い殺せ」
「わかった」
パルモンを守る10体のデジモン……それらへと突き進むムゲンドラモン。クランどもは俺たちが動き出したのを見て、再び攻撃を開始する。
「……で、まああんたみたいな────って、何してるんですか? 敵が来てますよ、やっちゃってください!!!」
空から来る敵の攻撃を受けながらパルモンへと進み続けるムゲンドラモン。
『ブラスト────ッ』
ムゲンドラモンはガルルモンを喰いちぎる。
「1体目」
「なっなにを!?」
カブテリモンの頭と胴体を掴み引きちぎった。
「2体目」
『ヘブンズナックル』
「3体目」
『∞キャノン』
エンジェモンの拳をそのまま受け止めて、捕まえる。ゼロ距離で放つ『∞キャノン』に天使はデータの屑へと変わってしまう。
「だったら、人間の方を狙いなさいっ──グレイモン、デビモン!!!」
『メガフレイム』
『デスクロウ』
ムゲンドラモンの横を通り過ぎる火球と悪魔の爪、
「やった!」
「……なにが、『やった』なんだ?」
闇夜色のデジソウルを纏う体はその攻撃の一切を通さない。
「……なんで!?」
俺の心臓を狙ったデビモンの腕をそのまま引きちぎる。
「2度も同じ手にかかるかよ……ムゲンドラモンの方も終わったみたいだな」
「……え?」
「……10体目、ねえタイト次はどうすればいい?」
そこにいたのは、完全体2体を貫いたムゲンドラモンだった。
「こうするんだよ、ムゲンドラモン」
俺はできる限り、無機質な声になるように振る舞って、
『機能:デジモンロード』起動
「ヒェッ────、なんなのよこれは!?」
グレイモン
ガルルモン
カブテリモン
モノクロモン
エンジェモン
メタルグレイモン
クワガーモン
スカルグレイモン
デビモン
エアドラモン
計10体の屍がデータの屑へと変わっていく。
周囲の倒したデジモン達の屍……つまりデータの塊がムゲンドラモンへと吸収されていく。
「……タイト、なんだか気分が悪いけど、強くなってる気がする」
気分が悪いのは、倒した屍がそのままムゲンドラモンの力へと変換されているからだ。
ムゲンドラモンの周りはデータの屑が集まり、綺麗な光を放っている。
「……パルモン、お前には感謝してるよ」
「……へ?」
だが、ムゲンドラモンの体は少しずつ異形へと『進化』していく。
「だって、お前のおかげで」
『ムゲンドラモン:進化』
「『ミレニアモン*1』」
頭は鉄のカブト
胴体は恐竜
足は獣と竜を混ぜたような足
悪魔と竜を混ぜたのようなおどろおどろしい腕
背中にはムゲンドラモンの影と実体を持つ大砲を背負う
「コイツに進化することができた」
……そんなデジモンへと進化した。
「おいっ、お前逃げろっ!!!」
クランの……誰だっけ? どうでもいいやつがパルモンに声をかけた。
でも、もう遅い。
『タイムアンリミテッド』
時間の圧縮は次元を歪め、トロピカル諸島全域に強力な衝撃を与えた。
「ありがとう……って、もう聞こえないか」
震源地にいたパルモン達は消滅してしまう。
「うぐ」
「……なんなんだよ、あれ」
「わかんない、でも」
生き残ってるやつが見えている、究極体や完全体の近くにいたやつか。
「ミレニアモン」
「何?」
「
私は階段を登り、最上階の……四聖獣達が暮らす部屋へと到着した。
「テイマーキング、テイマーキングはいますか!!!」
会議室のドアを開けて、中にいるはずであろうテイマーキングを見つける。
「うわっ、なんなんだいったい!?」
「なんなんだ、あんた急に来て!?」
「そうよ、今は会議中よ!」
彼は3人の男女と四聖獣の中心に座っている。
「クラヴィスエンジェモン!? どうしたんだい、そんなに急いで!!!」
会議中に突然侵入してきた礼儀知らずな私に、テイマーキングは心配そうな声をかけてくれる。
「会議中のところすまない……緊急の案件が」
「緊急の案件とは、『七大魔王』よりも大切な案件────ッ!?」
チンロンモン様の諭すような声が聞こえたその時、強力な振動が会議室を襲った……いや、街を、デジタルワールドを襲ったのだ。
「クラヴィスエンジェモンッ! これが、オマエの言ったことなのか!?」
空間さえ揺れる衝撃が会議室を荒らす。そんな中でも、気丈にスーツェーモン様がテイマーキングを支えていた。
「わかりません、でも振動が来たのは私がお願いしようとしていた案件の方向です」
衝撃が来た方向にあるのはトロピカル諸島……今究極体を扱えるのはテイマーキングしかいない……だが、完全体の技でこんな強力な技が放てるのか!?
数分間、会議室が揺れた。
「なにが起こってるかわかんねえがいくぞ! トウマ、ヨシノ!!!」
振動が収まったとき、テーブルの下から少年が立ち上がった。
「わかってるわよ、マサル……私たちの、七大魔王のことかもしれないし、いくしかないわよ、立ってトウマ!!!」
「悪いが、ヨシノ。案内人がいないと場所がわからないだろう……すみませんが、クラヴィスエンジェモン。現場まで連れてっていただけますか?」
続いて少女と少年が立ち上がる。トウマと呼ばれた少年が私へ案内を要求した。
「わかった、ついてきてくれ……たぶん、あそこにいるはずだ」
少年の暮らしていた場所は特定してある。トロピカル諸島の南方の地域だったはずだ。
「クラヴィスエンジェモン、俺も行きます」
テイマーキングは一緒に着いてきてくれるみたいだ。
「いいのかい?」
「そもそも、俺が呼ばれたはずです。それに……」
テイマーキングのデジモン達が、デジヴァイスから出てきて頷く。
「俺達はこの世界を守りたいから」
「わかりました……ありがとうございます」
テイマーキングと3人の少年少女とともにトロピカル諸島へと向かう。
「おい準備ができたんならいくぞ!」
「そうだそうだ! アニキを待たせんな!!!」
マサルと呼ばれた少年とアグモンがトウマ少年とヨシノ少女を連れて走り出してしまった。
「はやく行かないと行けないね」
テイマーキングはその様子を見て、にこやかにこちらへと微笑んだ。そのおかげか、少し、私の気持ちも落ち着いた気がする。
「そうですね、はやく追いつきましょう。四聖獣様、行ってきます」
四聖獣様に声をかけて、テイマーキングとともにトロピカル諸島へと向かう。
いったいトロピカル諸島でなにが起こっているんだ!?
「ズィートミレニアモン*2」
「なに?」
「俺は歌いたいんだ、聞いてくれるか?」
「いいよ」
夕陽の歌を歌う。
ずっと一緒にいたいと思った少女の歌を。
死んだ君に届くように。
「……ああ、ようやく来たんですか」
「人間は死んでませんよ、人間はね」
「俺を捕まえるって……どうぞ、ご自由に。その代わり監視はそこの三人にお願いできませんか?」
「俺たちは力が欲しいんです、もう誰にも奪われない……そして、正しい力が」
「なあ、『クロアグモン』」
圧倒的なパワーをもつムゲンドラモンと、様々な強力なデジモンのデータをもつキメラモンが融合した究極の合成型デジモン。倒すことは不可能であると言われているが、今だ解明されていない融合の原因をつきとめることが、その攻略の糸口になるのではないだろうか。必殺技は、時を圧縮して異次元を作り出し相手を永遠に亜空間に閉じ込めてしまう「タイムアンリミテッド」。
時空間を自由に飛び交い、あらゆる時代・世界を破壊しつづけんとする邪悪なる王。デジモンは戦いに敗れるとデジタマになるのだが、非常にまれであるがデータの屍の中から蘇生することがある。一説では、ミレニアモンが激しい戦いで死んだとき、闇の魂を持って蘇生したものがズィードミレニアモンであると言われている。また、ズィードミレニアモンの体に張り巡らされている帯は、能力を押さえ込む鎖のようなものと言われており、誰がズィードミレニアモンにそのような呪縛を与えたかは不明。しかし、この呪縛から解き放たれると、計り知れない破壊がデジタルワールドに降り注ぐと予言されている。必殺技『タイムデストロイヤー』は、敵対する相手を時空のかなたに葬り去る。この技によって吹き飛ばされた時空間から生還した者は、まだ誰もいない。
『デジモンロード』
デジモンに別のデジモンデータを吸収させ、デジモンの能力をパワーアップさせることができる。これを「デジモンロード」と呼ぶ。
また、アニメ『デジモンテイマーズ』において、進化をせずに倒したデジモンのデータを吸収することでパワーアップする……そして、短期間で吸収しすぎると、吸収したデジモンの影響が体に現れる。デジモンの腕や脚、鎧、武器等、デジモンのデータが体内から突き出すような形として現れる。