1回目に比べて、そこまで面白いとは思わなかったものの、やはり02を一度でも見たことある人のためにつくられてるなって感じました。
……にしても、デジモンカードゲームのデッキをもらったはいいものの、これはどうやって遊べばいいんだ?
正直、遊戯王やバトスピみたいにこのカードゲームをやってる人は少ないだろ。
「────そこっ」
「────うぐえっ!?」
「右から角で攻撃」
「ちょっ、────うぐおっ!?」
「『メガフレイム』」
「────うぐあああああっ!?」
テトの尻尾攻撃、事前に予告された角での薙ぎ払い攻撃、『メガフレイム』での威嚇射撃による
「今の攻撃……シャウトモンの実力なら避けられたよ。次は避けてね」
「……わかった」
テトとシャウトモンは、このような特訓を1時間ほど続けている。
「次の攻撃は突進」
「────うおおおっ!?」
テトはシャウトモンに対して、手加減した動きをしている。攻撃をする前は事前に予告し、隙を見せたら手加減した一撃を与える……その行動を繰り返している。
「次は『メガフレイム』」
「『メガフレイム』」
「このくそっ!? ────うごぇ!?」
しかし、シャウトモンはテトの攻撃を避けることができない。
もともとの地力や経験の差があれど、それはテトが手加減しているから、問題はない。
本当に問題なのは、
「────ゼェ、ハァ、ゼェ、ハァ」
「……やっぱり、シャウトモンはスタミナ不足だね」
テトの言うように体力が足りていない。
今まで戦ってこられたのも、シャウトモン自身の根性や精神性が大きな支柱になっていたのだろう。
だけど、それだけでは勝てない相手があらわれたから、シャウトモンは今修行をしている。
「10分間の休憩……その間は水分補給やトイレをやっといて」
「────ありがとうだぜ……ゼェ、ハア、ゼェ、ハア」
次の日、俺はタイキさんに連れられて、この山中までやってきた。
テトがシャウトモンに修行をつけていると言われ、その様子を見にきたのだ。
「……っ!? タイト」
俺が見ていたのに気がついたのか、テトは申し訳なさそうに近づいてきた。
「ごめん、タイト……わがまま言っちゃって」
テトは申し訳なさそうにそう言った。
「……別にいいさ」
その姿が、あまりにも珍しかったので、少し息が詰まってしまった。
「……いやだった?」
少し悲しそうに聞いてくるテト……ああ、俺はそんな顔をさせたいわけではなかったのに。
「いや、驚いただけだよ……テトはいっつも、俺のことを考えてるからさ。そんなことを言うのが初めてだったからな」
「あいつよりも、タイトのほうが大事だよ……やめろって言ってくれたら、すぐにやめるよ」
そうか、テトはただ俺を1番に考えてくれているんだ。そんなことにも気づかずに俺は……
「────っ!? ……はあ」
罪悪感からか、口からため息が溢れてしまう。
「────っ!?」
……ため息をついただけで、これだ…………俺が、こいつに俺だけを考えるようにしてしまったのかもしれない。
俺の中にある憂鬱な気分を押し殺し、できる限りの笑顔を顔に貼り付けた。
「やめなくていい……テトはテトの好きなようにしてくれたらいい。テト自身が望むことを今はただ見ていたいんだ」
胸の中にある罪悪感に飲まれそうになるが、ネネさんに言われた通り、本心を伝えてみる。
「…………」
「うん、わかった!」
そう言ってシャウトモンのところへと走り出したテト……一瞬呆けたように見えた……そんなに意外だったかな?
「────じゃあ、もう一回始めるよ」
「わかった、もう一回だっ!!!」
インターバルが終了して、テトとシャウトモンの特訓がもう一度始まる。
「────まだ、スピードが足りない」
「うぁっ!」
「攻撃を避けるときは、ちゃんと次の行動を予測しないとダメだ」
「────ぬぉっ!?」
「相手が力を溜めている時がチャンスだよ。攻撃するにしても、逃げるにしても隙が大きいからね」
「────ちょっ、まっ、てぇ!?」
テトのアドバイスと同時に、シャウトモンは攻撃を受ける。ただ、そのような様子が繰り返されている…………でも、
「────すごいな」
一方的なのは変わらないけど、休憩前よりも少しずつだけど、シャウトモンの動きが良くなっている気がする。
「上段からの攻撃は、少しずつだけど喰らう回数が減ってきているし、尻尾の薙ぎ払いは反応が少しずつよくなってきている────まるで」
主人公みたいだ。
そんな感想が口から溢れそうになった。
『────ワ ────は、 タ ト ────』
間の前で死に絶えていくデジモンの姿が思い浮かんだ。
「────いいや、違う」
一瞬だけ、トラウマがフラッシュバックしてくる。憂鬱だった気持ちに、さらに不愉快な感情が混ざっていくのを感じた。
「
俺が、俺自身がやらなきゃいけないんだ。
俺は、なにを勘違いしていたんだろう。
主人公たらねばいけないのは俺だ。
シャウトモンでもタイキさんでもない。
…………俺、自身が、
「────ちょっと、隣に座っていいか?」
「…………、────っ!?」
突然のことに、その場をすぐに離れる。
集中している時に、背後を取られた?
そんなことはここ数年なかったことだ……なのに、なぜ?
声をかけた人間はなんで言っていた?
「……えっと?」
背中越しに声の人物に気がついた……タイキさんだ。
「────っ!!!」
恥ずかしくて顔が真っ赤になる。
戦ってないのに、こんな変な姿を見せてしまった。
「あはは……とりあえず、横に座っていいかな?」
愛想笑いをされた。
それから、数分間はまったく会話ができなかった……というより、タイキさんのほうを、恥ずかしくて見ることができなかった。
やばいやばいやばい、まだ野宿してた頃の経験が抜けていない!?
あの半年間は野良のデジモンだけじゃなくて、遊び半分で攻撃してくる人間や俺の完了した依頼の報酬を横取りしようとしてくるやつらがたくさんいた。
だから、外に出ている時に仲間以外の、自分が認知していない声が近くにあると、過剰に反応してしまうようになってしまった。
一応、味方であるこの人にこんな変な姿を見せてしまった。
どうすればいい?
どうしたらいい?
考えろ、考えろ。
「────なあ、ちょっといいかな?」
隣からそんな声をかけられる。
「────タイト、君に聞きたいことがある」
…………。
「……テトから聞いたんですか?」
「────ああ、彼から聞いた」
「他に知ってる人は?」
「俺以外は知らないと思う……ただ、ドルルモンから話を聞いた時にその名前をシンが言っていたと聞いた…………たぶん、ドルルモンも勘付いていると思う」
…………。
…………っ、はあ…………バカみたいだ。
せっかく、名前を隠してたっていうのに……テトもシンと同じことをやってるじゃん。
ささくれた心をかき消すために、左手で頭を掻きむしる。
……余計なことは考えるな。
まだ、暫定的な敵に言わず、味方に相談しただけテトのほうがある程度マシだ。
「────それで、聞きたいことは?」
頭の中を切り替える。
「……いいのかい? 仲間に相談しなくても」
「どうせこの世界ではほとんど役に立たない情報しかありませんよ……この世界の法則と俺の知るデジモンの知識は一致していません。あなたが知りたいと思うことはほとんど役に立たないと思います────仲間のほうは……まあ、お互い様ということで」
この世界の話を剣さんから聞いて、実際に戦いを見て、ある程度俺の知っている情報から考えて、今まで経験から判断して……今までの世界とは何もかもが違うと理解した。
仲間に伝えるのは、まあ……あいつらもしゃべったんだし、別にいいだろ。
「……それなら、まあ」
また、苦笑された……なにか思うところでもあるのだろうか?
「それで、なにが聞きたいんですか?」
「────君のことについて」
「────俺、のことですか?」
さっきとはまるで雰囲気が違う。
テトを見ていたときは優しげに、自分の名前のことを知られたときは呆れて、質問を受けようとしたときは覚悟を決めたように、そして……自分のこと聞きたいと言われ、少し肩透かしをくらっているみたいだ。
テトから聞いた話とは、まるで違うように見える。
わずか3歳でデジタルワールドへ行き、他人の悪いところばかり見てきて、仲間を殺されて、牢屋に捕まえられて、家族と会う機会もなく……それでも世界を救いたいと願うお人好しと思っていたんだけど、
「────ただの普通の人みたいだ」
「……はっ?」
「────いや、なんでもない」
うっかり、口に出てたみたいだ……危ない、危ない。
……ただ、なんでこんな人が世界を救いたいと考えているのだろう?
俺みたいになにかあったんだろうか?
「────質問、しないんですか?」
「────えっ、ああ、うん」
ちょっと、考え事は置いておこう。
今は、彼からの話を聞くことのほうが大事な気がする。
「とりあえず、『君は何を知ってる?』」
「……何を、ですか?」
少し、曖昧だったかな?
「うん、ちょっと曖昧だけど、君が産まれて数ヶ月でデジモンの知識が存在したことを聞いてね……正直言って、おかしいなって思った。普通の人間の赤ん坊が異世界の……ううん、日常生活もうまく理解できない子供がそんなことを知っているはずがない────だから、知りたいんだ」
まずは、テトの話からできた疑問を聞いてみる。
「────っ、…………わかりました」
10秒ほど迷うような仕草があった。
話すかどうか迷っているというよりも、どう話せばいいのかわからな考えているようだった。
「────俺には……産まれた時から『デジモンについての知識』が埋め込まれていました」
「……埋め込まれて、いた?」
ただの赤ん坊に? なぜ?
「なぜかはわかりません……ただ、アニメやゲームを見るように……タイキさん、あなたのような子供が主人公ようにデジモン達と共に戦い、世界を救う物語を知っていました」
物語の主人公……俺が?
いや、この話が本当なら、俺以外にもたくさんのデジモンと出会って、世界を守るために戦っている人間がいるのか?
その知識を埋め込まれていたのだとすれば、いったい誰が?
「……その姿にどうしようもなく憧れて、『こんなふうになりたい』、『こんなふうに生きられたら』…………なんて感じたんです」
……えっ!?
「でも、周りの人達はデジモンを知らないと知りました」
いや、ちょっと────
「自分のできる範囲で調べたら、この世界では『デジモン』という存在が無いことに気がつきました」
……ああ、
「正直言って、絶望しましたよ」
その時、初めて話している彼の顔を見た。
どこか絶望している顔……いや、なにかを諦めている顔で、ただ、どうでもいいものだったことを話していました。
「そんな時、テト……いや、
「────っ!?」
話の内容が変わったのを感じる。
「運命だって、思いました」
顔つきが変わった。
目に光が灯り、希望の未来が始まったようなそんな顔つきに変わっていた……でも、
「俺は……俺自身が『主人公』のようになれるって、そう思いました」
そこから、再び暗い顔つきに変わる。
「……あっ、いや」
かける言葉が出てこなかった。
テトとの話から、その後のことを考えてしまった。
家族と離れ離れになり、世界から除け者にされ、自分を追い込み……そして、仲間を失った。
きっと、俺にはは考えられないほどの苦難な道のりだったのだろう。
「そこからは自分の知識を全部使って、強くなろうとしてきました……と、幼少期はこんな感じですかね」
淡々と、でもどこか悲しそうな雰囲気を感じる。
ただ、その雰囲気に歪さを感じてしまっていた。
「……その後のことも聞きますか?」
ヘラヘラと笑っているような声で、無表情に話す彼。きっと、無理にでも自分が出した雰囲気を良くしようとしてくれたのだろう。
「……いや、次の質問がしたい」
……それがわかってしまったから、聞くに聞けなくなってしまった。
「わかりました……次の質問は?」
催促した彼のことを見つめ、少し考える。
テトと出会った時のことを聞いた。
テトには今まであったことを話してもらった。
他になにを聞くべきだろう?
ドルルモンから聞いた会話と、自分がテトから聞いた経緯を思い出す。
シンは仲間を裏切った。
敵に仲間の情報を売り、仲間と自分の命乞いをした。結果的に仲間の命を守れたからよかったけど、尊敬する先輩であるテトから憎まれ、修行をしても、タイトから頼られないという存在という事実、力を求めても、結果を見せても状況は変わらないという不安。それでも、タイトはテトを信用し、テトを常に戦う時は隣へと置く。
そこから、2人への感情の隔たりを感じ、不満が溜まっていた。
テトはタイトを独占したかった。
タイトの初めてのパートナーとしての自覚、リアルワールド・デジタルワールド含めて幼少期からタイトを守ってきたという絶対的な自信、タイトの喜ぶことだけをしたいと常時考えていること……それ以上に、自分が認めた者以外がタイトの幸せに関わることへの嫉妬。
そこからくる、シンの不愉快な行動に、タイトが自分よりも劣っており、裏切り者であるシンに自分が欲していた物を与えた。そんな優遇しているようなタイトの行動がさらに苛立たせ、明確な不満へと変わっていってしまった。
ネネからの話を聞いて、頭の中でピースが揃っていくのを感じる。
ここ数日タイトを見ていてわかったことは、2人を平等に扱おうとしていることだ。
戦う時にテトを自分の隣へと置くのは、シンより強いと思っているから、
シンを無条件に許したのも、タイト自身はみんなで生き残ったことのほうが大事だと思っていたから、
同じものを与えたのも、2人を同じレベルで信じているから、
だから、ネネの前で2人から不満をぶつけられて後悔した。もっとこうしておけば、もっと話を聞いていれば……と、
以前のタイト自身は2人とは話さなくても、伝わってると考えているほうが正しい。
今聞いた話から、埋め込まれた記憶の影響で、デジモンとパートナーの関係性の深さを誤認していた……というよりも、アニメの主人公のような以心伝心な関係だと思っていた。
……そういう結論が出た。
「次の質問は…………」
だから、聞こうと思った次の質問がなくなってしまった。
たぶん彼らの問題は『あれ』だ。
あれが必要なんだろうけど、それはまあ自分で気づくべきだよな。
「君はなぜ二つの滅びへと立ち向かうんだ?」
……だから、次の質問は俺個人の聞きたいことを聞いてみることにした。
「……えっと、どうして聞くんですか?」
「
俺はシャウトモンの誘いを一度断っている。
王になりたいという願いは、シャウトモン自身の欲望からくるものだから……と一度否定した。その後、シャウトモンの願いが『デジタルワールドの平和のために王になる』というものだったから、俺はチーム『クロスハート』のジェネラルになった。
だけど、彼の目的はいったいなんだ?
デジモンの知識を持ち、デジモンと共に生活し、デジモンと人間の世界のために戦う?
母親をストーカーに殺されかけたのに?
仲間がデジモンと人間の悪意によって殺されたのに?
納得はできなかったから、聞いた。
「…………?」
少し、俺の答えに頭を悩ませた後、彼は静かに口を開いた。
「
「────っ!?」
背筋が凍った。
「……じゃない、ですかね?」
ちょっと恥ずかしげに、そうつけたした。
「────えっと、あの、聞いていますか?」
それが紛れもなく本心であったことがなんとなくわかってしまった。
「テトから聞いた話と違う。
かつての仲間が死んだから、もう二度とそんな目に遭わないために戦うと言った……と────」
そう言った時に、少し彼の顔が困ったように見えた。
「……そういえばそんなことも言ったっけ」
懐かしいなと笑っている彼は笑っていた。でも、俺には悲しそうに見える。
「────君は」
「俺さ、主人公に憧れたんだ」
俺の言葉を遮り、タイトは話し始める。
「あんな仲間が欲しい、あんな風にどこかに行けたらいいな、なんて考えてさ。すっごく馬鹿みたいにあの人達に憧れたんだ」
それは先程見た悲しそうな顔……わからなかった。
「ストーカーを倒して」
「悪いデジモンや人間をやっつけて」
「家族全員で幸せに暮らせたら」
「……
もう叶わない願いだと言うように彼は言った。
「……実際は違ったんだ」
「たくさんの依頼を受けても差別されて」
「悪い奴らは徒党を組んで襲いかかってきて」
「仲間が死んだのに前を向かなきゃいけなくて」
「仲間との関係がバラバラでも、苦しくなっても、先のことを考えると後回しにしなきゃいけなくて」
「家族と会えなくても、我慢しなきゃいけなくて」
「正直言って、もう辛いんだ」
「『なんのために戦うのか』ってさ……『答えなんか、理由なんか、いらない』って言えればよかったんだけど、俺には無理だった」
「『仲間が奪われる』って考えたらさ、少しは力が湧いてくるんだ」
「でも、逃げてしまえば、そんなことを考える必要はないよなって、この8年間でそう思ってしまったんだ」
「……俺は、俺は、俺は」
「『目の前の他人が苦しんでるから』……そんな理由で戦えるなんて」
「そんなふうには思えなかった」
「……思えなかったんだ」
彼は涙を流しながらそう言った。
俺はこの話を聞くまで思いつかなかった……タイトは本当は戦いたくないんだってことに。
「……でも、主人公なら違う」
涙が出ている顔で彼は笑顔をつくった。
「俺は『主人公』だから」
「どんなことだって我慢できるし、どんなことが起きても前に進む」
「他人が困ってるなら、主人公なら助ける」
「世界が滅びそうなら、主人公は立ち上がってなんとかするだろ……俺は主人公たる力を持ち憧れた」
「だから俺は、タイキさん達みたいな主人公にならないと、いけないんだ」
思い詰めた様子のタイト。
下を向いている彼の膝には、涙の跡がたくさん残っている。
「…………、っ、えっと」
間違ってる。俺はそんなつもりで世界を救ってるわけじゃない……って言いたかった。
でも、決めたのは彼だ。
笑って、泣いて、怒って、そして苦しんでいるのは彼だ。
当事者じゃない俺が勝手に決めていいことじゃない。
…………だけど、俺は!!!
「……君は、
────バリィッン!!!
「よ────やく、見つけたぞ、『クロスハート』ォ!!!」
「────なっ!?」
「チッ、もう見つかったのか!? まだ修行中だってのに!!!」
突如、空間が割れ、空間の狭間からブラストモンが現れた。
────かちゃり。
隣からそんな音が聞こえてきた。
「おやおや、俺様をボッコボコにしてくれたおじゃま虫までいるじゃなーい……お前もクロスハートのやつらと一緒にぶっ倒してやるよぉ!!!」
「……それは、こっちのセリフだ。虫のいどころが悪い時に来やがって……二度と生まれ変わらないように、データのカケラひとつ残さずぶっ殺してやるっ────テトっ!!!」
「わかってるよ、タイト」
────ぞくり、と隣からくるプレッシャーは、今まで戦ってきたどのデジモンよりも怖かった。
右腕をかざし、電子の光を灯し始める。
タイトはここでブラストモンを倒すつもりだ。
…………だけど、
「「待ってくれっ!!!」」
「「…………?」」
俺とシャウトモンの声が重なった。
「タイキ」
「わかってるよ、シャウトモン……タイト、ここは俺達に任せてくれないか?」
「…………────っ、わかった、テト」
少し、テトを見て戻るように促してくれた。テトもそれに応えて、後ろに下がってくれてる。
「ありがとう────行くぞ、みんなっ!!!」
「────おうっ!!!」
クロスローダーを操作、デジモン達を操作していく。
「ふうん、そこのおじゃま虫は戦わないのね────だったら、先にお前達から倒してやるぞ、クロスハート!!!」
ブラストモンが接近してくる。早くデジクロスしないと!?
『シャウトモン』
『バリスタモン』
『ドルルモン』
『スターモンズ』
『ベルゼブモン*1』
[デジクロス]
「『シャウトモンX4B*2』!!!」
よしっ、X4Bがデジクロスできた。
「行けっ、X4Bっ────ブラストモンをやっつけるんだ!!!」
「────おう、修行の成果見せてやるぜ!!!」
大剣とダイヤの拳がぶつかり合い、大きな音が鳴る。
「なかなかやるじゃない……でも、パワーでも1番は俺様だぁ!!!」
「左からのパンチ────だが、止まって見えるぜ!!!」
「────うぐぉ!?」
ブラストモンのパンチを左に避け、大剣でブラストモンの胴体を切る。
「俺様は防御力でも1番だっ!!!」
しかし、相手を叩き飛ばすだけで、大したダメージが与えられなかった。シャウトモンがこっちに来る。
「どうする、タイキ?」
「……やっぱり、X4Bじゃ火力が足りないのか」
X5なら相手に……
「タイキくんっ!!!」
「シャウトモンっ!!!」
ネネ達が来てくれた!!!
「ネネっ、スパロウモン*3!? ────X5だ!!!」
「わかったわ、スパロウモンっ!!!」
ネネはクロスローダーを操作して、スパロウモンを送ってきてくれる。
「わかったよ、ネネ!!!」
「シャウトモン、一度デジクロスを解除して、ボクとデジクロスを────」
シャウトモンのほうを向くと、空中でブラストモンに追いかけ回されていた。
「ほらほらほらほらぁ、逃げてばっかじゃ倒せないわよ」
「うっせえぞ、下に落ちろっ────スパロウモン、そんなことしてる場合じゃねえ、このまま来い!!!」
「────うごぉ!?」
シャウトモンがブラストモンを地面へと叩きつけ、デジクロスする隙をつくった。
『シャウトモンX4B』
『スパロウモン』
[デジクロス]
「『シャウトモンX5B*4
5体のデジモンが具現化させたシャウトモン×5にベルゼブモンがさらにパワーを与えた「天馬武神形態」。地上と空中で無双を誇るシャウトモン×5のフルパワーにベルゼブモンの大火力が加わり総合戦闘力は数倍に跳ね上がっている。バーニングスタークラッシャーで切り裂き、メテオインパクトで敵を打ち上げ、カオスフレアでとどめを刺す連続の必殺技『バーストダッシュストリーム』は三段波状攻撃で間髪入れずに敵に怒涛の大技を浴びせる。天馬は空を駆け彗星となり神速をもっていかなる敵も翻弄する、まさに神技と讃えるべきその威力は、魔を滅するために天から使わされた武神の様である』!!!」
X4Bにあった馬のような四つの足に、スパロウモンの羽がついた姿……新たな形態がそこに生まれていた。
「────ぬぁんですとぉっ!? 新しい姿だとぉ!?」
土煙の中からブラストモンが驚いた顔で現れる。
「お前がぐずぐずしてる間に、俺はこの姿に変えさせてもらったぜ」
シャウトモンの目に見える不調は存在せず、X5Bはそこに存在している。
「────よかった」
修行の成果が実った姿がそこにあった。
「……X5B、あれがシャウトモンの新しい力?」
「ああ、俺とネネが力を合わせた結果だ」
「だから、なんだってんだ!!!
貴様が、強くなろうとも、デジモンの中で最も強いのはこのブラストモン、様だぁ!!!」
「『ダイアモンドマシンガン』っ!!!」
水晶の散弾がシャウトモンのいる空へと向かって放たれる。
「『スリービクトライズ』っ!!!」
胸のVの字から出るビームで、水晶を粉々に掻き消すシャウトモン。
「────こっからが、本番だぜぇ!!!」
「……すごい」
隣からそんな声が聞こえた────タイト……いや、ネネがいるからマナトのほうがいいか。
「そうだね、タイト……たった数日の修行でここまで成果を出すなんてすごいよね」
テトもそれに同意している……いや、ブラストモンをたった一体のデジモンで倒した君達のほうがすごいだろ。
「あなたたちのほうが私はすごいと思うわ」
「俺もネネと同意見だ。俺達はデジクロスをしないとブラストモンに勝てなかった。たった2人で勝ってみせた君たちのほうがもっとすごいと思う」
「────そんなこと」
「でも、そんな2人に認められて、俺はシャウトモンのジェネラルとして誇らしくなったかな」
否定しようとしたタイトの言葉を無視して、俺の気持ちをはっきりと言った。すぐに卑下するからなこの人。
「────ふふふ、そうね……私も誇らしいわ」
ネネも笑いながらそう言った。
「────っ!?」
ちょっと恥ずかしそうにしたタイト……やっぱり、褒められ慣れたないんだな、この人は。
「────ねえ、タイト……もうじき終わるよ」
「『バースト────
「────うぐッ!?」
ブラストモンを大剣で切り裂き、
「────どごえっ!?」
ダッシュ────
金色に光った腕……必殺技『メテオストライク』で思いっきり上空へと、殴りつけ、
ストリーム』!!!」
「このブラストモン様が、こんなやつに負けるわけぇ────ぐはぁあああああああっ!!!」
腹にある砲台から出る『カオスフレア』が、ブラストモンを飲み込んで、爆散した。
ブラストモンがいた位置に爆煙がたった。
「……やったのか?」
『カオスフレア』によって飲み込まれたブラストモンは、もうそこには存在していなかった。
「は、ははは……はははははは、やったぁああ────!!!」
バグラ軍の幹部……三元士の1人であるブラストモンを倒せた!!!
────背後から、思いっきり体重をかけられる。
「やったぜ、タイキっ!!!」
X5Bから分離したシャウトモンがそこにいた。
「────やったわね、タイキ!!!」
「……まさか本当にブラストモンを倒せるとは、これならバグラモンにも勝てるかもしれない」
「オレタチ頑張った」
「勝利の宴だっ!!!」
ネネやドルルモン、バリスタモン、一緒に戦ってくれたみんなやクロスローダーから出てきてくれたみんなが、一斉に騒ぎ出した。
みんなで宴の準備を始めてくれた。
「……そうか、倒せたんだ」
「────うん」
ブラストモンの爆発したところのほうを向いているタイトとテト。実感が湧いて無いのかな?
「ああ、これもマナトとテトのおかげだっ!!!」
そう言って、タイトの手を引いていく。
「えっ、あ、ちょっと!?」
タイトと一緒にこの祭で楽しむんだっ!!!
「────た……いや、マナトっ!?」
「ぼーっとしてんなって、お前はこっちだ!!!」
「そうっキュ!!!」
シャウトモンとキュートモン*5がテトの手を引っ張って、逆のほうへと連れて行った。
「いや、マナトがっ!? マナトぉ────!?」
そうして、宴は朝まで続いた。
みんなで笑い合って、騒ぎあって、ふざけ合って、叫んで、喧嘩して……このいっときの喧騒に身を任せた。
次の朝。
祭りが終わり、みんなが支度を整え終わり、タイキ達はシノビゾーンから出発することになった。
ブラストモンを倒し、バグラ軍にも居場所がバレている以上、はやくシノビゾーンから出ていかないと、再びシノビゾーンにバグラ軍がやってくる危険性が高いからだ。
「マナトはついてこないのか?」
「────ああ、俺達はもう少しこのシノビゾーンでゆっくりするつもりだ」
俺達はタイキ達のお見送りに来ていた。
俺はタイキ達についていくつもりはなかった。
タイキに話を聞いてもらって、初めて俺は『もう戦いたくない』ってことを言うことができた。
だから、もう少し自分の今後の身の振り方を考える時間がほしかった。……それに、
「こいつらとちゃんと話をしないといけないですから」
「……うん」
「────ああ」
後ろにはテトとシンがいた
まだ、なんにも話せてないけど、これから少しずつ話していくつもりだ。
「……だったら、これを持っていってくれ」
タイキはポッケから1枚の紙を取り出した。
「……これは?」
「これには俺が君達に『足りない物』だと思った事が書いてある……話し合うときにひとつの意見にもなればいいなって思ってさ」
俺達に足りない物?
手元の紙を見る……今、世界を救おうとしているタイキさんがくれたアドバイスが書かれている紙。
……うん。
「わかりました。また、読んでおきます」
その答えに、静かに笑って返すタイキさん……次のゾーンへのゲートが大きくなる。
別れの時間だ。
「それじゃあ、行ってくるぜ!!!」
「マナトくんも元気でねッ!!!」
「俺達は絶対にバグラ軍に勝ってくるからなっ!!!」
「また、会える日を楽しみにしてる」
そう言って、次々ゲートへと入っていくネネさん達……そして、
「……タイト、君達も頑張れよ」
みんながゲートに入った後、タイキさんは俺のほうを向いて少し心配そうにそう言った……ちょっと、心配かけちゃったかな。でも、いろいろとアドバイスをもらったんだ。
少しは自分で挑戦しないといけないからな。
「まあ、がんばってみますよ────タイキさん達も世界を救ってきてください」
俺は軽口気味にそう言った。
これ以上、心配をかけたくなかったから。
「……ううん、それじゃあ、またなっ!!!」
それでも、タイキさんは俺が強がってるのを見抜いたようで、ちょっと言葉を詰まらせていた。
でも、最後には笑顔でゲートへと入っていく。
「……はい、また会いましょう」
消えたゲートをしばらく、俺は見つめていた。
「……行っちゃったね」
テトの声が聞こえる。
「……うん」
それに少し穴が空いたように感じる心で、言葉を返した。
「いい人たちだったっすね」
「ああ」
シンが言った言葉でこの数日間のことを思い出した。
楽しかったことも苦しかったこともあった。
でも、それでもタイキさん達といられてよかったなって今でも思えていられる。
ああ、そうか。
「俺は寂しいのか」
今まで旅をしてきた。
楽しいことや嬉しいこと、苦しいことや悲しいことがたくさんあった……でも、寂しいと感じたことはなかった。
テトとシンがいてくれたから。
しかし、タイキさん達がいなくなったときに、それじゃあ足りなくなっていた。
「……そっか、そっかぁ」
ちょっと、後悔してしまった。俺はこんなにも他人に依存したなかったっていうのに……弱くなったなあ。
「ついてけばよかった?」
テトの言葉に首を振る。
「ううん、そんなことはない」
「本当に?」
心配そうにそう聞くテト……バカなことを聞くなあ。強がってるのが、バレるだろ。
「だって、俺達は俺達のやることがあるだろ」
それでも、俺は前に……いや、君達と前に進みたいんだ。
恐るべき破壊力を持つ孤高の魔戦士。無口で他人に無関心であるため冷静な性格と見られているが、その実、誰よりも闘争を好む。もっとも強いデジモンの一人とされており、ベルゼブモンの姿を見て戦いを挑む者は、愚か者以外にはいない。そして、ベルゼブモンは挑まれた戦いから逃げるようなことは決してない。 右腕の巨大な銃『ベレンヘーナSDX』から放たれる「デス・ザ・キャノン」は威力も絶大だがそれ以上に注意しなければならいのはその早撃ちの技である。神速とまで言われる早撃ちに倒された敵も少なくない。 また、相手の願いを叶える代わりに金縛りにしてしまう「ダークネスクロウ」は愚か者に与えられる最後の褒美と囁かれている。身動き出来なくなった愚か者は、息絶えるまでベルゼブモンの早撃ちの標的にされることになる。
4体のデジモンが具現化させた『ヴィクトリー形態』にベルゼブモンがさらにパワーを与えた『神馬形態』。地上を俊足で駆け抜けたかと思えば、大空まで疾走するように駆け飛ぶスピードの騎士である。『ヴィクトリー形態』のパワーにベルゼブモンのパワーが上乗せされているため、技の一つ一つが数倍に跳ね上がっている。特にベルゼブモンの必殺技である「デス・ザ・キャノン」をベースとした「カオスフレア」は、山脈を貫くまで威力が高まっている。 数多の弾丸で敵を駆逐しつつ疾走し、敵を真っ二つに切り裂く「スターズブレイドセレストライク」を放つ姿は、もはや鬼神と呼ぶに相応しい。
音もなく高速で飛翔する空戦に特化したデジモン。スピードだけでなく小回りも利き、急激な旋回を苦もなくやってのける機動性を持つ。 基本的に気分屋でお調子者。その時の気分で飛び方が変わるので、見ていれば調子がいいのか悪いのか、機嫌がいいのか悪いのかがすぐに解る。頼まれてもいないのに難易度の高い曲芸飛行をしていたら、間違いなく浮かれている証拠である。スパロウモンの目にも止まらぬ早業の数々はその機動性を充分に活かしたものである。高速で絶え間なく軌道を変化させながらすれ違いざまに敵を翼で斬る「ウィングエッジ」は、高度な飛行テクニックがあっての事だ。両手に持つ銃は、ベルゼブモンの持つ「ベレンヘーナ」と同じ名工が作った兄弟銃で「サナオリア」という二挺一組の拳銃である。
寒い地域に生息する臆病だがイタズラ好きの元気な妖精型デジモン。大きなウサギの耳のように見えるのは、耳ではなく一種の感覚器官で他のデジモンの接近をたちどころに感知することができる。このおかげでキュートモンはすぐに身を隠してしまうので見かけることは非常にマレ。もし見かけたとすれば滅多にない幸運か、キュートモンがイタズラに引っかけようと誘っているかのどちらかだ。トレードマークのマフラーは想像以上に防寒性に優れてとても暖かい。入手することができたら、それこそ幸運と言えよう。傷を癒す能力を持っており、怪我を負ったデジモンが近くにいると気づかれないように近づいて傷を癒してくれることもある。いつの間にか擦り傷や切り傷が治っているのはキュートモンの可愛いイタズラのせいである。
『チームクロスハート』
アニメ・漫画の『デジモンクロスウォーズ』の主人公『工藤タイキ』がジェネラルとして率いているチーム。
チームの目的は、デジタルワールドを支配・侵略している『バグラ軍』を倒し、世界を救うことを主な目的としており、日々バグラ軍と戦闘をしている。
リーダーのシャウトモンを筆頭に、バリスタモンやドルルモン、スターモンズ、ベルゼブモンなどが主体となって戦っている。サポートとしてキュートモンが回復を行い、ナイトモンやポーンチェスモンが雑兵を蹴散らし、チビカメモンやバステモンなどデジクロスすることで真価を発揮するデジモンなど多彩なデジモン達が所属している。