産まれた推しの子の電脳物語   作:阿後回

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……長かった……ようやく、ようやくこの話が書けたぞ。


第八話 戦況の変化 タイトにとって『大事な理由』

 

 カチカチと食器の音が鳴る。

 

 その場にいるのは3人のジェネラル……俺とキリハとネネ、それぞれが食事を口にしながら、会議をしていた。

 

「────今、戦況はどんな感じだ?」

 

 ある一件から、前線に出られない俺は戦況について聞いた。

 

「……戦況はこちらがやや有利……敵の主力は未だ姿を見せず、俺達も奴らの兵士の多さに攻めあぐねている。それが現状だ」

 

 キリハがナイフとフォークでステーキを切り分けながら、現在の話をする……やはり、今のままだと難しいか。

 

「────情報は?」

 

「敵の主力は2体……ドルビックモンとファンロンモンが戦力の中核になっている事がわかったわ……そして、デスジェネラルと呼ばれるドルビックモンが黒いクロスローダーを持っている事も」

 

 ネネがそう言った後、クリームシチューを掬い口へと含んだ……やはり、あの2体か。

 

 前線に一度だけ来ていたのを見た事がある……他のデジモン達に比べて練度が比べものにならないのが見て撮れた。

 

「デスジェネラル……いったい、どのぐらい強いんだろうか?」

 

 俺はこの世界のデジモン達の様子を知らない。キリハやネネから話を聞いた事で、七大魔王やオリンポス十二神の立ち位置すら存在しない事を知る事が出来た。きっとファンロンモンもそんな感じなんだろう。

 

 ……頭が痛くなってきた。

 

「────ところで、話は変わるんだが」

 

 キリハが何か気になる様子で俺の手元を見る。

 

「……流石に、もう少しまともな物を食った方がいいんじゃないか?」

 

 キリハは俺の手元……バーガークイーンのハンバーガーをフォークで指差した。

 

「……キリハ君も気になってたのね」

 

 ネネもこちらのテーブルを見てそう言った。俺のテーブルには、バーガークイーンのハンバーガーセットが置かれている。

 

「……えっと、何が?」

 

 ハンバーガーをテーブルに置いて、2人の話を聞く事にする。

 

「貴方のクロス……いえ、デジヴァイスからは決められた量しか出ないんでしょう。だったらもっといい物を食べた方がいいんじゃないって、私達は言ってるの」

 

 ネネのテーブルを見れば、クリームシチューにパンが二つ、トマトやレタスなど五種類の野菜が使われたサラダ、デザートにはシフォンケーキが並べられている。

 

「……そうだ、俺達ジェネラルでもこの食事が取れるのは、3日に一度の会議だけだ。物資や指揮系統の関係上、俺達がお前に負担をかけている事はわかっている……だが、いやだからこそ、お前に倒れられては困るんだ。もう少しいい物を食ってくれ」

 

 和牛のステーキにコンソメスープ、生ハムや野菜、果物が皿に並べられた前菜、デザートにフォンダンショコラがキリハから頼まれたメニューだ。

 

 毎回、このハンバーガーを食ってるから、心配されてるのはわかる……だけど、

 

「これはお前らと一緒に初めて食べた飯だから……お前らと集まった時には食いたいんだよ」

 

 同年代の人間の誰かと食事をしたのなんて、小さい頃以来だったから……実を言うとあの時、嬉しかったんだよな。人間に戻れた様な気がして……

 

 そんな事を言うと、2人とも呆れた様な顔をする……なんか変な事を言ったかな? 

 

「……まあ、満足してるならいい。それよりも……」

 

 そうキリハが話し続けた。

 物資の量、デジモン達の巡回の組み分けと巡回の時間、罠の位置の変更場所、堀や柵の建設、それらに伴う労力の話……いろいろと食事を続けながら話を進める。

 

「……だいたい話はまとまったな」 

 

「……そうね」

 

「さて、食事も終えた事だし、俺は前線に戻る……マナト、お前は来るなよ、また戦場で吐かれても困る」

 

「そうね、精神病の人間を戦場に連れていくわけにはいかないわ」

 

「……わかった」

 

「それじゃあ、俺は行く……ネネ、潜入調査を頼んだぞ」

 

「わかったわ、キリハ君……マナト君、ここで待ってなさいよ」

 

 そう言われて、2人の背中を見つめる。

 

「……はあ」

 

 口から溜息が溢れるた。

 

 

 この世界に……ドラゴンランドに来てから4週間程たった。

 

 俺達はバグラ軍と日夜戦い続けている。

 ジェネラルによって担当を分担し、キリハは防衛ラインを担当、ネネは情報収集、俺は拠点防衛に努める事になっている。

 

 ……そして、俺はこの拠点から出る事はできない。

 理由は、PTSDの影響により、仲間……いや親しい者の死にストレスの負荷が異常にかかってしまう点がある。1週間戦った頃ぐらいに、仲間のデジモンが一体やられた事を確認してしまい、その場で戦闘復帰が不可能になってしまった。

 

「……我ながら弱いメンタルだよな」

 

 食事の片付けをしながら、そう思ってしまう。

 

 その事件以後、キリハとネネから拠点内でサポートに徹する様に言われてしまったのだ。

 

 また、4週間経てばわかる事も増えてきた。

 まず、俺のデジヴァイスicから出せる食事の量が有限である事……1日のうち、俺とテトとシンの食事量の10人前分ぐらいしかこの世界に呼ぶ事が出来なかったのだ。

 

 その為、物資確保も俺の業務の一つになっている。

 

「……ふぅ、こんなところか」

 

 皿の片付けが終わり、自身の机へと戻る。そして、机の引き出しの中からタイキさんからもらった手紙をもう一度開く。

 

 

「……『大事な理由』……ね」

 

 

『自由な心』と『大事な理由』……この二つが俺に欠けているもの。

 

「この二つを手に入れられたのなら……」

 

 この状況を打破できるのだろうか? 

 ふと、そんな事を思ってしまった。

 

 ────コンコンコン、とノック音が鳴る。

 

「……入っていいよ」

 

「失礼します」

 

 そう言ってドアが開かれた先には、ピンク色の花の妖精……リリモンがそこにいた。給仕担当の子だった気がする。

 

「食後のジュースを持って来たよ」

 

 砕けた口調でそう言ったリリモン*1の手には、トレーの上に木でできたコップが乗っていた。

 

「ありがとう」

 

「マナトさんはまたそれを読んでるの?」

 

「……ん、ああ」

 

「答えは出たのかしら?」

 

「いや、まだだよ」

 

 ……タイキさんの手紙について……『大事な理由』について、多くのデジモン達聞いて来た。『大事な理由』とは何に対しての物か、どんな思いなのかわからない……けど、自身を確立する為に必要な理由だと思った。

 

 キリハだったら、自身の力の誇示と証明の為。

 

 ネネだったら、弟を見つける為。

 

 ドルルモンだったら、タイキとシャウトモンの為。

 

 テトだったら、俺の為。

 

 シンだったら、テトに追いつく為。

 

 バリスタモンにキュートモン、ジジモンにバステモン、グレイモンにメイルバードラモン……その他、大勢のデジモンから聞いても、納得いく答えが見つからなかった。

 

「……これだけ聞いてもわからないのは何でだろうな」

 

 わからない……というわけではない。

 

 キリハやテトは自分の為、ネネやテトは他人に重きを置いている。それらはどこか理解は出来るという感情があるものの……しっくり来ないという気持ち悪い様な、収まりがつかない様な、そんな気持ちになっていた。

 

 ……それでも、答えは見つけなきゃいけないから……うん、決めた。

 

「────えっ!?」

 

 手元のジュースを一気に飲んでいく……甘いのか、しょっぱいのかわからない変な味がする。このデジタルワールド産の食べ物はだいたい変な味がするんだよな。

 

「────よしっ!!!」

 

 全部飲みきり、手紙を持って外に出る準備をする。

 

「……どこかに行くの?」

 

「ちょっと、そこまで」

 

 そう言って、天幕から外へと出る……時間はだいたい夜の7時ぐらいか。

 

「さて、聞いてない奴を探しに行くか」

 

 今日中にやらなきゃいけない仕事はだいたい終わってる。後は、自由時間でも構わないので、適当にデジモン達を探していく。

 

「────こっち焼けたぞっ!!!」

 

「これ、貰っていきます」

 

「こちらはまだ煮込んでる途中だ」

 

「じゃあ、また後で取りに来るね〜〜〜」

 

「ふぅ、やっと見張りが終わったよ────」

 

「そうだな、疲れたよな」

 

「戦力が手薄になった場所の交代を急げ!!!」

 

「────おうっ!!!」

 

「────痛いっ、イタイイタイイタイっ!!!」

 

「戦場で怪我した者はこちらに!!!」

 

「────ハイッ、わかりました」

 

「もう、大丈夫ですよ」

 

 時間が時間なので、どこもかしこも賑わっている。色んな意味で……戦場だから、しょうがないんだけど。

 

 配給を作る者、巡回や見張り担当の者、医療担当に戦場で怪我を負った者……いろいろな声がこの拠点から聞こえてくる。

 

 その中でも、まだこの話を聞いていないデジモンを探していく。

 

 ……あそこにいるのは、配給担当のバーガモン。話を聞いたことがあるから、別の奴に聞こう。

 

 その隣のテントで医療処置をしているのはソーサリモン……あいつにも聞いたことがある。

 

 医療担当がいるテントの向こうにいる門番のシャウジンモン……あいつも話を聞いたことがあるな。

 

 どこもかしこも、話を聞いた奴らばかり……もしかして、ここにいるほとんどのデジモンに話を聞いてしまったのか? 

 

 そんな疑問が頭に浮かんだ頃だった。

 

「────マナト殿」

 

 背後からそんな声が聞こえた。振り返るとそこには補給担当のピョコモンが、俺の後ろにいた。

 

「……ピョコモン、久しぶりだね」

 

 そういえば、ピョコモンに会うのも久しぶりだ。ここに来てからは、忙しくてなかなか面倒を見ていられなかったから……って事は、『大事な理由』について、話した事はない。

 

 ……一応、聞いておこう。

 

「ピョコモン、ちょっと話があるんだけど、時間は大丈夫?」

 

 しゃがんで、ピョコモンの目線に合わせる……すると、ピョコモンも少し考えた後……

 

「はい、大丈夫です。俺も貴方に聞きたいことがありますから」

 

 と、真剣そうな顔で言われる……聞きたい事? いったいなんだろうか? 

 

「二人っきりで話せるところに行きましょう。たぶん、マナト殿は聞かれたくない話でしょうし」

 

 ……聞かれたくない事? 俺は何かやったのだろうか? 

 

 いろいろと思うことはあれど、ピョコモンに着いていく。そして、補給班のテント裏の少しひらけた場所まで連れて来られる。

 

「この時間帯のここは、人もデジモンも数が少なくなります……ここなら、安心して聞ける」

 

 そう言って、ピョコモンは覚悟を決めた様に真剣な表情になる。

 

 

()()()()()()()()()?」

 

 

 …………っ!? 目の前にいるデジモンからは絶対に出ない名前が出て来た。とりあえず、誤魔化せるのなら────

 

「……こう言ったほうが良いですか? タイト殿」

 

 俺の目を見て、確信を持ってそう言ったピョコモン……これはもうバレてるなぁ。

 

「……いつ、偽名を使ってるってバレたんだ?」

 

 少しプレッシャーをかけながらピョコモンに聞く。敵どころか仲間にバレてたら信用問題にもなるし……野宿はまためんどくさいんだよな。

 

「……あっ、いえ……ドラゴンランドに来た時に、テト殿とシン殿が言って、マナト殿がそれに応えて────」

 

 圧を加えた事によりしどろもどろに話し始めるピョコモン……ん、テトとシン…………

 

「…………────っ、あの時かぁ────っ!!!」

 

「────えっ、ちょっ……そんな大きな声を出したら……!?」

 

 ……思い出したっ、思い出したよっ……俺、思いっきりバレる様な事してたよっ!!! 

 テトとシンが焦ってたのか知らないけど、俺の本名を叫んで……確かその時に、ピョコモンを腕に抱いてたよ!? 

 

「……まさか、そんな事でバレるなんて……」

 

「だから、そんな大声出してると……ああっ、もうっ、他の奴らが集まって来た!?」

 

 ピョコモンがそんな事を言った時に、周囲から喧騒が聞こえて来た。

 

「────ちょっと、来い」

 

「────うわっ!?」

 

 ピョコモンを連れて、周囲の木の上に飛び乗る。すると、周囲からデジモン達が集まってくる。

 

「────おい、ここら辺大きな声が聞こえたよな」

 

「ああ、気をつけろ」

 

「……騒いでる奴らがいたんだろ。ほっとけ」

 

「そんな事言って、本当に敵がいたらどうするっ!? しばらく、この周囲を調べるぞ!!!」

 

 3体1チームの巡回のメンバーが見えた。調べ始める様だけど、もうそこにはいないんだよな。

 

 そうして、俺はピョコモンを連れて自身の会議部屋まで連れて来る……ふぅ、危なかった。もうここまで来れば、大丈夫だろ。

 

「……で、何が知りたい」

 

 連れて来たピョコモンを椅子に座らせて、俺は聞く。

 

「────えっと、何で偽名を使ってるんですか?」

 

 ……何度も聞かれたな、その言葉。その質問は流石に飽きて来たんだけど……まあ、答えるか。

 

「しばらくしたら俺は故郷に戻るつもりだ……その時の為の予行演習みたいなものだ」

 

「……予行、演習?」

 

 俺の答えに納得できない様な顔をするピョコモン。だけど、少し待ってほしい。

 

「俺はな……なかなか面倒を……ううん、正直に言おう。俺の世界は滅びの危機に瀕している。それなのに、世界中の殆どの人間はそれを知らずに暮らし、生活をしている」

 

 名前がバレてるんだ。ちゃんと話をして、できれば納得してもらいたい。

 

「────そんな世界を守る為に俺は今、テトとシンと共に旅をしているんだ」

 

 ……そう、俺達はその為に旅をしている……していたんだ。

 

「でも、それは偽名を使う理由に────」

 

「行方不明の奴が突然帰って来たら、注目されるだろ。注目なんてされちゃ、世界を救う為の行動ができないじゃないか」

 

 ピョコモンの言葉に重ねる様に言う。

 

「……それは」

 

 ピョコモンはまだ納得できない様だった。まあ、この世界では使う必要はないからな。

 

「だから俺は今の偽名に慣れる為に、こうしてこの世界で偽名を名乗ってるんだ」

 

 ……そう、俺はこれから数年間はこの名前で暮らさなきゃいけない。だから、一刻も早く慣らさないと。

 

「……マナト……いえ、タイト殿」

 

 ピョコモンが俺の名前を言い直す。

 

「マナトでいいよ、どうせしばらくは偽名使わなきゃいけないし……ところで」

 

「それを知ったお前はどうするんだ?」

 

 俺はこの後の事を考える。

 他の誰かに相談されていたら、偽名という事がバレる……だから、口封じをしないといけないんだが────

 

「……いっ、いえ何も!?」

 

 ピョコモンは焦った様にそう言った。

 

「俺はただ、何で偽名を使ってるのか聞きたかっただけです」

 

 ピョコモンは真剣そうにそう言うが……やっぱり、信用できないんだよな。

 

「……その言葉は本当か?」

 

 もう一度聞く。

 

「本当です……こんな状況で誰にも言えないですよ……ただでさえ、テト殿とシン殿がこの拠点を守ってくれてるというのに、俺の言葉で混乱は招きたくないです」

 

 ピョコモンに真剣そうにそう言われる。

 

「……はあ、ただの杞憂だったか」

 

 どっと疲れてしまった。

 正直言って、バラされたらどんな事になるかわかったモンじゃなかったからな……特に、キリハは俺が偽名使ってたなんて知ったら発狂モンの大惨事になってたかもしれない。

 

「……ところで、何ですけど」

 

 ピョコモンが不思議そうに言って来る……なんだよ、こっちは疲れてんのに。

 

「俺に聞きたい事って何だったんですか?」

 

「…………」

 

 ……忘れてた。さっきまでの話のインパクトで、自分の事なんて忘れてしまっていた。

 

「忘れてたんですね……まあ、いいですけど」

 

 ピョコモンが呆れた様に言う。

 

 ……仕切り直そう。俺にとっては大事な事だし……こいつに聞いて答えが出るかはわからないけど……

 

「……まあ、いいや質問いいかな」

 

「いいですよ」

 

 ピョコモンは了承してくれる。

 

「お前にとって『大事な理由』って何?」

 

「『大事な理由』? ……何の話ですか?」

 

 ピョコモンは首を傾げる……最初はみんなそうやって疑問に思うんだよな。

 

「……お前がこの世界の為に戦う理由とか……かな。実を言うと、他の人に『お前にはこれが足りないって』言われて質問してるんだよ」

 

「あんまりわかってないから、たぶんこれで合ってると思うんだけど……」

 

「……わかりました、俺の戦う理由ですね」

 

「……俺は物語の主人公に憧れてるって話をしたじゃないですか」

 

「……そうだな」

 

 最初に出会った時に言われた気がする……でもそれがどうかしたのか? 

 

「俺の好きな物語はこの世界実際にあった……始まりの物語なんです」

 

 ……始まりの物語、聞いた事がない。

 

「昔、悪いデジモンがいて、それに抗う為に多くのデジモンが最強のデジモン……オメガモンの元に集いました」

 

 オメガモン……ここにも出て来たか!? 

 こいつって、アニメの世界だとだいたい優遇されてるんだよなあ。アグモンと同じく毎回、どんなジャンルでもデジモンの作品に出てくるあたり、人気キャラ……なんだけど、こうも出られるとちょっと某ピカ様を思い出すな。

 

「敵を倒す為に、多くのデジモンは戦い……その果てに、世界はゾーンと呼ばれる幾つもの小さな世界に分かれてしまいました……という、物語です」

 

 そんな事を考えてると、ピョコモンがだいたいの内容を言い終えた……はええ、オメガモンはここでも活躍してたのか、という事しか思い浮かばなかった。

 

 それでも、ピョコモンは真剣そうに話を続ける。

 

「今はバグラ軍に支配されてますが、俺はこの世界の為に頑張ったデジモン達が積み上げた物を無かった事にしたくないだけなんです」

 

 

「チープに言えば『この世界が好きだから』……です」

 

 

 

 

 

 

 ────()()()()()()()()()()

 

 

 

 

 

 頭の中あったピースが全てはまった気がした。

 

「────あは、あははハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ────ッ!!!」

 

「……えっ、マナト殿っ、ちょっ────」

 

 俺は立ち上がり、この感情を理解した。

 

 ────滑稽だ。

 

「……なんで、なんでこんな簡単な事に────」

 

 なんで、気づかなかったんだろう。

 

 ……主人公達は最初から世界を救いたかったわけじゃないだろうがっ!!! 

 

 ……俺は……俺は、何年無駄に────

 

 

「……マ・ナ・ト殿っ!!!」

 

 

 そう目の前で大きな声で言われる。

 

「マナト殿……大丈夫ですか?」

 

 そう心配そうに、ピョコモンにそう言われた。

 

 その時、この世界であった事が頭の中によぎっていく。

 

 タイキさんとの出会いと別れ、

 

 ピョコモンに弟子にしてほしいと請われ、

 

 バラバラだった世界がバグラ軍の支配下に置かれ、

 

 キリハとネネをボッコボコにして、

 

 戦場に立って戦い、

 

 仲間が死んで吐いて、

 

 拠点のみんなから心配され、

 

 やらなくていい、戦わなくていいって言われ、

 

 これからどうするか、みんなで考え、

 

 共に、守る事を決意し、

 

 笑って、泣いて、怒って、楽しんで────

 

 

 ……ああ、俺は、

 

 

()()()()()()()()()()()()()

 

 

 不意に出たその言葉は、今までの自分が言っていたものではなくて……

 

 紛れもない本心から出た言葉だった。

 

「……えっ!?」

 

「ピョコモン……ありがとう」

 

 全く期待してなかったところから、答えが出て嬉しかった。

 

「────マナトぉ、ただいまぁ!!!」

 

「マナトっち、帰ったっすよ!!!」

 

 そんな声が出入り口のほうから聞こえてくる。テトとシンが帰って来たみたいだ。

 

「……あれ、ピョコモンもいるんすか?」

 

「マナト、僕たくさん倒して来たよっ!!!」

 

 シンが部屋にいるピョコモンを気にするが、テトは一瞥しただけでこっちへと近づいてくる……ああ、変わらないな。

 

「ピョコモン、久しぶりっすね」

 

「────はい、シン殿」

 

 

「……マナト、どうかしたの?」

 

 俺の異変にテトは1番最初に気がついた。

 

「マナトっちがどうかしたんですか?」

 

 シンもこちらへと近づいてくる……ピョコモンがいるけど、たぶん話すべきだろう。

 

「テトっ、シンっ……俺は────」

 

 

「────大変ですっ!!!」

 

 俺がテトとシンに答えを見つけた話をしようとした時、テトとシンが先程入って来た出入り口から、給仕担当のリリモンが入ってくる。

 

「……何、マナトが話そうと────」

 

「……悪い、テト黙っててくれ」 

 

 テトがリリモンを睨むが、俺がそれを止める。リリモンの様子がおかしい。何かあったのか? 

 

「────げほっ、ハア、ハア……ありがとうございます、マナトさん」

 

 走って来たみたいで、息を整えているが……すぐにこちらへと向いた。

 

 

 

 

 

「ファンロンモンが攻めて来ました」

 

 

 

 

 

*1
レベル:完全体 タイプ:妖精型 属性:データ 必殺技:『フラウカノン』

 美しく咲いた花弁から生まれた妖精型デジモン。見た目は人間の子供のような姿をしているが、計り知れないパワーを秘めている完全体のデジモンである。気まぐれでお転婆な性格で、同じような気質を持っている人間の少女には心を開くと言われている。また、泣き虫で泣き出すと手がつけられなくなるので、手なずけるには努力が必要である。しかし、小さなものや弱いものにはやさしく手を差し伸べる一面もある。背中に生えた4枚の葉状の羽で空を飛ぶことができ、リリモンが飛んだ後は、さわやかなそよ風が吹くという。必殺技は両腕を前に突き出し、手首の花弁を銃口にして、エネルギー弾を撃ち出す『フラウカノン』。




『デスジェネラル』

アニメ『デジモンクロスウォーズ』の第二期に登場する各『ーーーーランド』というバグラモンに与えられた領地を中ボス達。ダークネスローダーというクロスローダーを所持しており、多くのデジモンを支配するに足る戦闘力を持ち合わせている。

ダークネスローダーを破壊されると、『ーーーーランド』がバグラモンの支配から、解放される。
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