上空約三百メートル。
先程までいた森から一変、あたりは荒野へと移り変わる。そんな中、物凄い速さで、拠点まで走っている黄色い龍が見えた。
「────テト、奴は?」
「敵は1体……まだ、こっちには気づいてないみたい。全力で拠点まで突進してる」
ファンロンモン*1……奴は、たった1体で拠点を襲いに来たのか。
それ程自信があるのか?
……それとも、
「────辞めだ」
嫌な考えを首を振って止める。今は目の前の敵に集中するだけだ。
「ファンロンモン、四聖獣の一角にして、黄竜と呼ばれる究極体デジモン……決して気を抜くなよ、テト────本気でやるぞ」
「……わかったよ、タイト」
────数分前、
『……偵察班、敵は?』
ネネは静かに自身の部下のデジモンへと聞いた。
『敵は見たところ、1体のみですが……物凄い速さと力で、我らの精鋭達を薙ぎ倒してゆきました』
部下は冷や汗をかきながら、その答えを言う。答えを聞いたデジモン達にざわざわと不安の雰囲気が漂う。
『────っ!? あとどれくらいで敵はここまで来る』
キリハは驚きの声をあげそうになるも、それでも気丈に振る舞った……しかし、
『あの速さでは1時間は満たないかと』
偵察班のデジモンは静かに……いや、諦めた感情が混じった声でそう告げる。
『────それではっ、これから我々はどうすればいいんだっ!?』
『逃げるのっ!? どこに!?』
『いや、戦うべきだ。敵はバグラモンの手下……いずれ戦う事になっていたはずだ。それが、今になっただけだ!!!』
『それはいったい誰がやるんだっ!!!』
『────少なくとも、俺は嫌だぞっ!!!』
『くそっ、あたいにもっと力があればっ!!!』
その答えに、恐怖、慟哭、覚悟、憤怒、渇望……様々な感情が入り混じった声が次々と上がっていく。その全てが、これから来る未知への不安によるものだ。
…………俺は、どうすべきか?
自身の中にその答えは既に存在する……そして、
『……俺とテトで行く』
俺は覚悟を決めて、拠点に集まったみんなに向かってそう言った。
『……ダメだ、危険すぎる』
キリハが否定する。
『私もキリハ君と同意見だわ。ただでさえ貴方は心に問題があるのよ。そんな人を前線に出すわけには────』
ネネがそれに便乗する形で声をあげる……だけど、
『俺にはまだいくつか奥の手がある……それを使えば、奴を必ず倒す事ができる』
俺はネネの言葉を遮り、俺はそう言った。
『……奥の手……だと?』
キリハの言葉に、俺は頷いた。
『俺のデジヴァイスを使う……安心してくれ、最終手段は使うつもりはない』
そう言って、俺はテトの前に立つ。
『────おい、話はまだっ────』
『テト、行けるか?』
俺はテトに聞いた……ただ、これには意味がないことはわかっていた。これは確認したかっただけだった。
『────大丈夫……戦えるよ』
テトはそれに頷く。
その答えに覚悟が決まった。
『……待って欲しいっす!!!』
そして、敵の元へと向かおうとした時、シンの言葉が耳に入った。
『……シン?』
『マナトっちは、またオイラを置いていくつもりっすか?』
シンの怒りが滲んだ声が聞こえてくる……その質問に俺はこう答えるしかない。
『────ああ』
俺はシンの気持ちに気づいていながら……それでも、置いていく事を決めていた。
『────今度こそ、オイラも、オイラも……っ!!!』
連れてって欲しい……その気持ちは俺にはすごく伝わっている……だけど、
『残念だけど、連れていくつもりはない』
俺はもう決めてしまったんだ。
『────なんでっ!!!』
シンの悲鳴のような声があがる。怒りや悲しみの混ざった、慟哭のような声だ。それでも、譲れない理由がそこにはあった。
『お前にはここを守って欲しいから』
シンが納得できる理由ではないと思う……だけど、俺はこう言うしかないと思っていた。
『それは答えになってないっす!!!』
シンの絶叫が響き渡り、その場にいたジェネラルもデジモン達も、シンの怒りに動揺する。
『オイラはあんたと……先輩と一緒に戦うことを目標に頑張ってたっす……なのに、あんたはオイラを足手纏いだった言うんすかっ!!!』
シンの絶叫は、俺の心に突き刺さる……それでも、俺には連れていくつもりはない────なぜなら、
『いい加減にしろっ!!! マナトの決定に口を────』
俺はテトをの口に指を当てて黙らせ、睨みつけるシンに首を振る。
『俺はお前を足手纏いだなんて思ってないよ』
俺はシンに目線を合わせる。
『俺はお前がここのデジモン達を守るところをたくさん見てきた……それは、チームワークができないテトには絶対に真似できない長所だと思ってる』
そう言って、シンの手を取る。怒りで握りしめた拳の指を一本ずつ伸ばしていく。
『だから、俺はお前にここを託すんだ……ここを絶対に守って欲しいから』
『……マナトっち』
そう言ってデジヴァイスに力を込める。
[レオモン進化]
『『パンジャモン』っ!!!』
『じゃあ、シン……頼んだよ』
そうして、後ろを振り向かず、テトと一緒に外へと向かう。
『……テト』
『わかった』
先程よりも強く、そして輝いた紫色の光が、テトを包み込む。
[グレイモン進化]
『『メタルグレイモン』っ!!!』
メタルグレイモンへと進化したテトの肩へ、デジソウルで強化した足で飛び乗った。
『…………』
大きく深呼吸をして、思い描くのはこの4週間の日々……たった4週間でも、俺にとっては大事な日々だった。
……覚悟はもう決まった。もう大丈夫だ。
『テト、行こう』
『わかったよ、タイト』
現在、
「『トライデントアーム』ッ!!!」
テトの左腕から発射される機械の腕が、ファンロンモンの足を引っ掛けて転ばせる。
「────『ジガストーム』ッ!!!」
転んでから立ち上がる間に、テトは有無を言わさず、胸部から強力な熱光線を放ち、ファンロンモンの全身へと攻撃する。
「『ギガ、デストロイヤー』────ッ!!!」
トドメと言わんばかりに、テトの胸から出た二つのミサイル……『ギガデストロイヤー』がファンロンモンに命中、物凄い衝撃波と爆煙が巻き起こる……しかし、
「────グギャァ!!!」
無傷のファンロンモンが煙の中を突っ切っていく。
「────チッ!!!」
思わず舌打ちが出る。
「────くそっ、あいつ止まらないっ!!!」
テトもテトで焦燥感を感じる声をあげる。
「……メタルグレイモンの必殺技を無傷……か」
『ギガデストロイヤー』、『ジガストーム』、『トライデントアーム』……ファンロンモンはそれら全てを意に介していないように突き進む……このままでは、拠点まで十数分で着いてしまう。
「……どうする?」
テトが俺に聞く……まだ、小手調べだ。落ち着いて考えろ……よしっ。
「正面に立って奴を押さえ込め」
落ち着いて、考えた結果、正面から押さえ込むのを試してみたいと思った。
「わかった」
そう言って、テトはファンロンモンの目の前に降り立つ……そして、
「────ぬぎ、ぎぎぎ」
ファンロンモンの頭の二本の角をを両腕で掴み、抑え込み始める。
「うぐ、ぐぐぐ……」
「────グギャ、ギャァアアア」
力はテトの方が強いのか、テトはファンロンモンを掴み、持ち上げ始める。
「ぐ、ぐぬぬぬぬぬッ!!!」
足が宙に浮き、背が少しずつ垂直に近づいていく。
「────よし、行けるぞ!!!」
……そして、とうとうファンロンモンの体を空に向かって投げようとした、その時、
「────ギャァオ!!!」
「────っ、チッ!!!」
テトは大きく舌打ちをして地面へと叩きつけるように投げ、すぐにその場の戦線離脱をする。
「────どうした、テ────」
「ギャァアアアッ!!!」
『黄廻』
突如、ファンロンモンを中心に、大きな砂嵐が発生した。
「────っ!?」
テトが事前に戦線離脱してくれたお陰で、俺達にはあまり影響はなかった。
しかしあの攻撃は、普通のデジモンであれば一瞬で消し飛びかねない威力なのだ。そんな砂嵐が奴の周りで渦巻いており、先程のように接敵するのは難しいだろう。
「────悪い、テト……状況を見誤った」
「ううん、僕も一瞬だけ嫌な予感がしただけだから……まあ、想定より威力がだいぶ弱いけど────」
ファンロンモンが砂嵐の中心で俺達を探して暴れ出した。草の根をわけて探し出すというぐらい暴れてる……ようやく俺達を敵と認識したようだ。
……その様子、だが……なんか思っていた程動きに迫力がないというか、空を探してないというか……アレ、本当に四聖獣なのか?
「……アレ、たぶんあいつの本気だよ」
テトは真剣な目でそう言った。
「……嘘、だろ?」
ファンロンモンといえば、四聖獣と呼ばれるデジモンの神の一柱……それが、完全体相手に翻弄される様な弱いデジモンだとは信じられなかった。
「────でも、あいつは」
テトの緊張した声が聞こえる……持ち前の知識で混乱するのはやめて、すぐにテトのほうへと意識を向ける。
「攻撃の威力が低い、僕より足が遅い、すぐに敵を見失って暴れ出す……だけどあいつは────」
「
それは先程から俺達が感じていた事だ。
今暴れているファンロンモンは、テトが本気で肉弾戦を仕掛けて、まともにダメージを与えられていない……どうするか?
奴がこのまま拠点まで辿り着いた時のことを考える。
……まず、キリハやネネでは倒すどころか、注意を惹きつける事ができないだろう。
そんな状況で、奴が拠点内を暴れたとする。
あそこには多くのデジモン達が暮らしている。幼年期や成長期のデジモン達だって大勢いる……そんな中、奴が暴れたら……
「────地獄絵図だ」
……俺はどうするべきか?
禁じ手は切れない……それを使えば、ケリは一瞬で着くが、奴はこの世界の主人ではないから、確実に強くなれる手段は使いたくない。
……奥の手は?
2つあるが、どちらもデジヴァイスに大きな負担がかかる……と思う。そして、勝てるかどうかは────
「『ギガデストロイヤー』────くそっ、全然聞いてないみたいだ……っ!?」
「グギャァ!!!」
『太極』
「────イッ、くそがぁっ!!!」
光と闇の本流がテトを襲う……テトは俺を庇いながら避けるが、足に掠ってしまう。
俺の事を信じて、戦ってくれてるテトを見る。
……テト、次第か。
「────タイトっ、どうする? ……あいつ、こっちよりも、拠点のほうに狙いを変えはじめたっ!?」
テトのその言葉に時間が無い事に気がつく……ぶっつけ本番だけど、やるしか無いか。
「────テト、これからの戦いについてだ」
「何、タイト?」
「お前の好きなほうを選んでくれ」
「────好きなほう?」
「二つあるが、両方ともできる自信がないうえ、勝てるかどうかはわからない」
「……別にいいよ、タイトを信じる」
「……わかった。まずは1つ目……『デジソウルでテトの体を限界を超えて強化する』
これは、ユウさんが使った技術だ。デジヴァイスicに許容量を超えたデジソウルをぶちこむ事で、今の状態の強化に繋げる」
「……うえっ、あいつらと同じ方法?」
明らかに嫌な顔をするテト……あの人達の事がそんなに嫌いか。
「2つ目は、『モードチェンジ』だ」
「────モードチェンジ?」
テトが首を傾げる……そういえば、まだモードチェンジをするデジモンにはあった事がないんだっけ……まあ、それは置いておこうか。
テトには言っていないが、原作を再現する。
アニメ『デジモンアドベンチャー:』にて暗黒の力に侵食された太一のメタルグレイモンが、闇の力を乗り越える事で新たな姿に至った。それを再現するつもりだ。
俺の手に持つデジヴァイスの光を見る。
透き通る夜空の様な紫色だ……これに俺の暗黒のデジソウル、闇夜色のデジソウルをごく少量混ぜる事で、闇のエネルギーをメタルグレイモンに与える。
暗黒のデジソウルは闇の力だ。
善のデジソウルを使って進化している現状では、テトには大きな負担がかかる……でも、テトがそれを乗り越える事ができたのなら……きっとテトはモードチェンジする事ができるだろう。
そして、暗黒のデジソウル……それのコントロールは俺が一番得意な事だ。テトとデジヴァイスにできる限り負担をかけない様にもできるだろう。
後は、テトが乗り越えられるかどうかだ。
「こっちは一か八かの賭けになる。できるかどうかわからないし、成功するかも未定だ……お前にも負担をかけるだろう」
できる限り、負担をなくす努力はするつもりだ。
「だけど、成功すればメタルグレイモンの力を更に引き出す事ができる」
……そして、俺が具体的な方法を告げようとした時、
「────へえ、じゃあそっちで」
俺の説明の途中で、テトはモードチェンジのほうを選んだ。
「……本当にいいのか? まだ『モードチェンジ』をする方法すら説明してないんだけど……」
「いいよ、僕もタイトの事を信じてるから……タイト、頼んだよ」
……こいつは……いや、言いたい事は後だ。テトが信じてくれた様に、俺も信じよう。
「────やるぞ」
俺は覚悟を決めた。
透き通る夜空にヒビが入る様に闇夜色を混ぜていく。
「こっちはいつでもいいよ」
テトがこちらの様子を見て頷く。
……奴は、拠点の方へとかなりのスピードで進んでる。すぐに追いつかないといけない。
『辞めろ、どうせ無駄だ』
『ワイの時もそれぐらい────』
────うるせえよ
声の発信源を塗りつぶす様な怒りで、消し去る。
『────ひっ!?』
耳障りな声、耳障りな音……全て俺の心の中にある幻聴だ。そんな物全てねじ伏せて、デジヴァイスにデジソウルを込める。
「『デジソウルチャージ』」
テトの周囲に透き通る様な紫の光と、黒く燻んだ闇夜の光がテトを包み込む。
「────うぎ、ア、ぐご、ギャアアアアアアアアアアアアッ!!!」
テトの叫び声が周囲に響き渡る。
体を善のデジソウルが包み込むが、鎖のように暗黒のデジソウルがテトの体にヒビを入れていく。
「……テト」
相反する2つのデジソウル……その力はともに絶大。
「……うぎ、ぎ、タイ────ギャアアアアアアアアアアアアッ!!!」
俺がテトの声を呼んだ事で、テトは反応しようとするが……決して交わる事のない力が、テトの体を蝕んでいく。
……これで本当にいいのか?
もう少し、暗黒のデジソウルを少なくした方が……
「────グギャァッ!!!」
『太極』
突如現れた光と闇の本流がテトと俺を飲み込んでいく。
「────っ、テトッ!!!」
テトは咄嗟に俺を守る為に、俺よりも大きな体で俺を包み込んだ。
「ぐ、ぐぎ、タ……イ、ト」
黒と白の光が俺達を襲うなか、テトの声が聞こえてくる。
「……テト?」
テトは辛そうな顔をしながら、それでも言葉を続ける。
「タイト、が決めた 事だよ……僕は大、丈夫だから……もっと、強く……力、を使って……」
テトは更に強いデジソウルを望んだ。
善のデジソウルと暗黒のデジソウルが体を傷つけていて、現状でも痛くて辛くて堪らない筈なのに、それを望んだ。
……なら、俺は、
「……わかった」
その言葉を受け入れて、前に進もう。
「暗黒のデジソウルの出力を上げる……着いて来れるか?」
暗黒のデジソウルを、善のデジソウルと同等に出力を上げた。
「────う、ぐお、え────タイト、の うこそ」
「着いてきやがれ!!!」
2つのデジソウルの量が完全に一致したその瞬間、周囲の光……デジソウルがテトに集中していく。
「────グギャァァッ!!!」
『太極』
もう一度、ファンロンモンが『太極』で攻撃をするも、デジソウルの輝きは消えない。
「────これ、は」
俺にはわかる……テトの姿が変わっていく。
そして、完全に光が消えたそこには────
[モードチェンジ]
「『メタルグレイモン アルタウラスモード*2』ッ!!!」
姿が変わった機竜が顕現した。
「グギャァオッ!!!」
『太極』
宙空にいるテトに向かって、遠距離からの『太極』を放つファンロンモン……しかし、
「────ふんっ!!!」
機械化した腕、エネルギー砲『アルタウラス』によって拠点とは反対側に弾き飛ばされる。
「……これが、『モードチェンジ』」
そう言ってアルタウラスを、刀の血糊を落とすように振るテト。
「────これならいける!!!」
その様子を見て、俺はテトは奴……ファンロンモンに勝てると確信した。
「テト、やるぞッ!!!」
「大丈夫、わかってるって!!!」
そう言って、右腕へとエネルギーを送る。
「────『ポジトロン
ブラスター』ァアアアアアアア」
アルタウラスへと送られたエネルギーが充填完了し、青色の極大な光の本流へと変わり、ファンロンモンを飲み込んだ。
「────グギャァアアアアアアアッ!!!」
ファンロンモンの叫び声が周囲に響き渡る……それは、先程の『ポジトロンブラスター』によってファンロンモンの傷一つつかなかった、金メッキみたいな体をボロボロにする事ができた事を意味していた。
「────ギャアアオオッ!?」
『黄廻』
吹き荒ぶ砂嵐……そこから、ファンロンモンの姿が少しずつ地面へと消えていく────奴は逃げる気だっ!!!
「────タイトッ!!!」
「テト、行くぞっ!!!」
『黄廻』によって作り出された砂嵐へと特攻していく俺達……俺は体にデジソウルを纏って、身体を防御していく。
そんななか、微かに土煙の揺らぎを見つける。
「テト、あそこを探せっ!!!」
その小さな変化から、地面へと潜ろうと頭を下げようとしているファンロンモンを発見する事ができた。
「────見えたっ……テトっ!!!」
そこにいると指を差してテトへと伝える。テトはそれに頷き、アルタウラスの形を変更。
ビームソードの様な、青色の光を放っている陽子剣を作り出し、ファンロンモンの首へと剣を振りかぶる。
「────『アルタブレード』ォオオオオオオオオオオオッ!!!」
「────グギャァアアアアアアアアアアッ!?」
叫び暴れるファンロンモン……それでも、テトは剣に力を込めてファンロンモンの首へと剣を突き刺していく
「「いけええええええええええええっ!!!」」
────ズパンッ、
そんな大きな音が鳴り、金色の巨大な何かが空を舞った。
ファンロンモンの頭だ。
「……やった」
「「やったああああああああああああっ!!!」」
俺とテトは少しずつ消えていくファンロンモンを見て、勝利を分かち合った。
タイトとテトが喜びを分かち合う……そんな場所から数キロ程離れた山の中にて、黒い影が3つ。
「あーあ、やられちゃったね……結構強いと思ったんだけどなあ」
黄色い髪の少年が残念そうに呟く。
「やっぱり、雑魚はダメなのねっ!!!」
白いうんちの形をしたデジモン……『ダメモン*3』が、死んだファンロンモンの事を笑った。
「……ですが、ユウ────彼は、やるべき事はちゃんと行いましたよ」
黒い影……ダークナイトモンが優しげな声で、黄色の少年『ユウ』へとファンロンモンのフォローを入れる。
「うんっ、ちゃんと彼の情報を引き出してくれたし……どの程度の強さなのかもだいたいわかったよ」
彼……そう言って、タイトとテトの方を見る。
「うーん、タイキさんが帰ってくるまでの暇つぶしにはなりそうだよ、ダークナイトモンッ!!!」
「そうだね、ユウ……彼らに『手紙』が届くといいのですが」
勝利を喜ぶ彼等の方を見てダークナイトモンは、不安そうにする……しかし、彼等を見る目はどこか歪んだ様に光っている。
そんななか、ファンロンモンの体から一通の手紙が出てきた事に、タイトが気づいた様だ。
「……あっ、気づいたみたいだねっ!!!」
「よかったね、ユウっ!!!」
ユウとダメモンが手を取り合って、喜び合う。
「……ククク」
その姿を見て、ダークナイトモンは静かに笑ったのだった。
ファンロンモンを倒した夜、拠点が守られた事により、宴が開催されていた……しかし、当事者たる彼等……タイトとテト、シンの姿はない。
「……これがファンロンモンの中に入っていた」
「……手紙?」
「内容は、2日後の午前2時……ファンロンモンと戦った場所で待つ」
「……敵からの果し状っすかね」
「……たぶん、そうだと思う」
「キリハとネネっちには話したんすか?」
「────レオモン、タイトがあんな足手纏いどもに話すわけないだろ」
「だけど、明らかに罠っすよ……これ」
「────行こう」
「……タイト?」
「タイトっち?」
テトとシンがタイトの言葉に驚く。
「罠みたいだけど、正面から戦って勝てばいい……俺達にはその力がある」
そう言って、テトとシンを見る。
「そんなに自信があるなら、大丈夫だね」
テトは笑ってそう言う。
「オイラはタイトっちを信じるっすよ」
シンもタイトの案に頷く。
「わかった……テトとシンは休んでいてくれ、準備は俺がする」
そう言って、俺はテトとシンのそばから離れた。
「流石に禁じ手、使わないとな」
────手元のデジヴァイスにピシリと音が響いた。
デジタルワールドの東西南北を守護する“四聖獣”を統べ、中央に鎮座し“大地(世界)”を司る皇帝デジモン。遥か古代に降臨した1体の天使デジモンより地中のもっとも深く暗いところに封印されていた。このため統治を失った四聖獣による覇権争いが起こったが、現在ではその均衡が保たれている。その存在は善にして悪でもあり、光と闇の“太極”と呼ばれている。8つの目と体の外に12個の「デジコア(電脳核)」を持ち、その巨大な体は絶対硬度を誇る特殊な鉱石「ファンロン鉱」の鱗で覆われ、傷一つ付ける事すら不可能である。必殺技はデジタルワールドの万物を光と闇の二極に永遠に分解し続け、やがて無きものとする『太極(たいきょく)』と、自然災害規模の巨大な土砂流の台風を巻き起こす『黄廻(おうかい)』。
■ファンロン鉱
「クロンデジゾイト」の基礎となった鉱石で、絶対硬度を誇る仮想鉱石。実際にはファンロン鉱はファンロン鉱でしか傷をつけることが出来ず、他の鉱石やメタルと比べる術が無い為、硬度を測定することは不可能である。この超硬度をもつ反面比重が極端に高く、武器や防具などには適していない。希少性も高く、地中深くにしか発見されない。また、ファンロン鉱と生物とが一体化するには、神話の時代よりはるか遠い年月を要すると言われ、現在この超硬度鉱石と一体化したデジモンは「ファンロンモン」以外発見されていない。クロンデジゾイトはこれらの欠点を解消しており、優れた希少メタルであると言える。
上半身の機械化で強力なパワーを手に入れたメタルグレイモンが、右腕にさらなる機械化を施してアップデート。潜り抜けた激戦の蓄積と、迫り来る強敵に対抗するため右腕を「アルタラウス」という長大なエネルギー砲へと換装した。必殺技は、「アルタラウス」にエネルギーを集中して亜光速の砲撃を放つ『ポジトロンブラスター』と、蓄積したエネルギーを刃とした陽電子剣『アルタブレード』。近接・遠距離双方で完全な戦闘能力を発揮し、どんな強敵と遭遇したとしても打ち破る改装を成した。
デジタルワールドに吹き溜まるクズデータがデタラメに組み合わさって偶然誕生したのがダメモンだ。「ダメダメ!」が口癖で誰彼構わず所構わず空気も読まずにダメ出しをする残念な習性を持つ。そんな本人が一番「ダメダメ!」なのだが、相棒のチューチューモンのおかげでなんとかかんとかやっていけている。ダメモンはチューチューモンと一緒にいてやっと一人前のデジモンといえる。 後頭部にチューチューモンが居座る「チューチュートレイ」はダメモンを色々な所へ遊びに連れて行く。二体一緒なら毎日がプライスレス。 トンファーを回転させるだけでほとんど命中しない必殺の「ブンブン拳」は敵にダメージを与えるよりも怯ませる方に役に立つ。 嫌な臭いをまきちらす黒くて小さな謎の物体を足先とトンファーに隠された銃から発射する「ガンバルカン」は敵にダメージを与えるよりもドン引きさせて戦意を失わせる。撃った後はちゃんと掃除をしないと付近に住んでいるデジモンに怒られるのでいつも注意している。 臭いガスを大量にまき散らしながら突撃する「ブー・スト・アタック」はどこに飛んで行くかダメモンすら解らない。命中した時の敵へのダメージは臭いガスも相俟って精神的にとても大きい。
『モードチェンジ』
デジモンの進化とは違い、レベル(世代)の変化がなく、強化される姿……簡単に言えば、某黄色ネズミのフォルムチェンジに近い。
究極体に到達後、更なる高みを目指したデジモン達の中にはモードチェンジをして強くなったデジモン達も存在する。
今後の『あとがき』について(前回忘れていた為)
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デジモンコーナーを続ける
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第1章〜第3章までのに戻す
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第四章が終わるまで様子見