ーーーー7/31 AM6:00
『んんっーーーー、朝か』
『……おはよう、もう起きたのかよ。朝ご飯できてるぞ』
ーーーー7:00
『……髪を結んで……よしっ、準備完了っ!!!』
『……確認終了、持ち物も準備できた。
ーーーー7:15
『……うん、わかってる……ちゃんと確認してくるよ』
『ーーーーわかってるさ、でもこれは俺が決めた事だ……いくらあんたの命令でもそれは聞く事ができない』
ーーーー7:20
『だいじょーぶっ!!! ちゃんと連れて帰ってくるから……ママも心配しないで……あと、ぐーちゃんはママの事を頼んだよ』
『俺が仕えてるのは『あんた』の神じゃない……俺の信じる神はあの人だけだ…………悪いけど、会社の事は頼みましたよリエさん』
ーーーー7:30
『それじゃ、行ってきますっ!!!』
『じゃあ、行くぞお前ら……軽く世界を救いに行ってくるか』
第一話 貴方達を追って
ウチには気になる男の子がおる。
茶色の髪で白く透き通った肌、女の子のような華奢な体で……でも、どこにそんな筋肉があるのかわからないけど、運動神経はこの学校で一番良かった。
顔は誰もが振り返る程の、
本人は否定したんやけど、『人を助ける事が趣味』のそんな男の子。
……そんな男の子の、
『────もうやめてっ!!!』
『────何の為に……俺はっ!!!』
『あの言葉は『うそ』だったのかよっ!!!』
『違う、違うっ……信じないと、助けないと……』
『俺はっ、……俺は……間違ってなんか……』
『…………ごめん、ごめんなさい』
あの泣き顔が今でも忘れられない。
2015/8/1 AM9:00
晴れ渡る空、透き通る風。
林間学校の2日目、清々しい朝をウチ達は迎えている。
「────でさあ、こいつよお」
「……本当ですか?」
「だから言うなって……」
ウチのよく知る男の子達が笑って歩いている。いつもと同じ顔、いつもと同じ仲良し三人組……でもどこか違和感があるのはなんでやろな?
「…………」
そして、それをずっと眺めている…………正確には、茶髪の男の子をじっと見つめてる隣の少女。
「……なあ、ルビー?」
声をかけてみる。
「…………」
それでも、男の子の方をじっと見つめとる……むう、少しだけ嫉妬してまう。
…………なら、
「────なあっ!」
「────えっ、何っ……って、みなみ?」
大きな声で隣のルビーの肩を叩くと、びっくりとしたように体をビクつかせるルビー……ほんとに気づいとらんかったのか、少しキョロキョロと辺りを見渡した後、綺麗な顔をこっちに向けた。
「おんなじ班やろ、はよ合流しよ」
前の男の子達を指さしてルビーにそう言う。おんなじ班なんやから、見とるぐらいなら、一緒に混ざろうや……と、思っちゃったことに気がつく。
「……うーん、うん行こう」
ルビーが考えたように唸った後、そう同意してくれた……ん、何かあったんやろか?
「……ルビー、昨日からずっとそんな感じにマナトくんのこと見とるけど、マナトくんとなにかあったん?」
昨日の朝からこんな感じに話しかけづらそうにしとるのを見とって、ずっと気になっとった。
「……別にないよ〜」
「…………」
少し間をおいた発言に何かあったのではないかと考えてしまう。
「早く行こ?」
「────えっ、ちょっ……!?」
ルビーに手を引っ張られ、彼らのところへと連れて行かれる。
「……お前ら遅えよ」
「……2人とも遅かったな」
「待ってたんですよ」
平田くん、マナトくん、妹尾くんの順にそんなふうに呆れられた。
「ごめんね〜」
「ウチら、ちょっと道に迷っとったんですわ」
ルビーが笑ったように謝り、ウチはていの良い言い訳で誤魔化した……それにしても…………?
「なんで、マナトくんはそないな荷物を持っとるん?」
マナトくんがマナトくん自身の服とか勉強道具とか入ってるでっかい荷物を、持ってきている事に疑問を抱く。
「そうなんだよ、こいつ外に出るって言うのに自分の荷物から手を離さなくってさ。これからフィールドワークだってのに、邪魔で仕方ねえんだよ」
「本当にそうですよ、こんな嵩張るものを持ち歩かないで欲しいです」
彼とさっきまで笑い合ってた2人も、うんざりするように呆れた声を上げる……やっぱり、いつものことやけど2人には何も言ってないんやろな。
「……良いだろ別に……あんなところに置いといたら何が起こるかわからないから、持ってきたんだよ」
2人にそう言われ、しょうがなくって感じでしぶしぶマナトくんは口に出した。
「…………」
ちょっとだけ、雰囲気が重たくなってくる…………昨日の事が原因かな、と考える。
「何かあったの?」
あの状況で、1人トイレに行っていたルビーが首を傾げる。
「……こいつが倒れたんだよ」
「…………えっ、そうなの!?」
「ルビーあのな……昨日、この林間学校の先生に弁当を出された時に、『俺はみんなと一緒の物が、自分の病気で食べられない』って言ったやろ」
マナトくんは先生に出された弁当を食えないって言った。
ウチら学生はその事を事前に知らされとったし、そもそもウチの学校は給食やなくて弁当やったから、それ程問題は起きてへんかった……家庭科の授業や文化祭で食べれへんぐらいだった。
「……うんうん、もちろん知ってるよ」
ルビーとは去年からおんなじクラスやったし、それについては知ってるのは当然という感じで頷いた。
そもそもウチらが一緒に遊ぶ時に、どこに行っても彼は何も食べへんかったから、ウチらにとっては常識やったんだけどな。
「そしたらな、先生が怒りだしてきて、『いいから食べろ』って言ってきたんや」
「……えっ、嘘でしょ……それってほんとに?」
流石にルビーも驚く……本当にそう思うやろ?
「ホントやねん……ウチらは知っとったから止めようとしたんだけど……」
「マナトが無理に弁当を口の中に入れたんだよ」
平田くんが口を挟んでくる……むう、ウチがルビーに説明したったんやけど。
「そしたら急に倒れて、みんなびっくりでな」
「その後、黒いスーツを着た男の人達がたくさん入ってきて、マナトを連れてったんだよ」
「……黒と白の服を着た女の人が、弁当を無理に食べさせた先生を睨みつけて『────覚えていてください』……って言ったのには背筋が凍りましたよ」
妹尾くんも混ざってくる。
「…………えっと、うん……そうだったんだね」
それぞれ3人が好き勝手状況を説明するから、ルビーも困っとる。
「…………だから、あの時、いなかったんだね」
「…………ん?」
小声でルビーが何か言った……うまく聞こえへんかったけど、少し表情が和らいだのが見えた。
「……マナトくんも体調が悪いんだったら、帰ればよかったのに」
「……別にいいだろ。俺はこの林間学校に参加する為にこの学校に入学したんだよ」
マナトくんが気になる事を言った。この学校に入学したのって、ここにくる為だったんか!?
「そんな理由で入学したのか!?」
「……
……飛鳥文化?
「ここ、山梨やろ……そんな物があるんか?」
「あるよ、この村にある『遺跡』に興味があるんだ」
マナトくんはウチの半信半疑の質問に、確信があるように応える。
ルビーとおんなじで、いつもと様子のおかしいマナトくん……昨日のアレで頭がおかしくなったんやろか?
「…………遺跡ぃ、本当にそんな物あるのかよ?」
平田くんは明らかに信用してなさそうな声でマナトくんへと聞いた。ウチもその言葉に同意したい気持ちだった。
「どんな時代背景があるのかわからないけど、遺跡には絵が描かれていて、それに興味があるんだ」
「……なんの絵が描かれてるんですか?」
妹尾くんが興味深そうにそう聞いた。
「それがアニメチックな『龍』だったり、『獣』だったりするみたいなんだ……それが、最近『EDEN』内で騒がれてる『ハッキングプログラム』に、見た目がそっくりなんだよ」
「ハッキングプログラム?」
「そんな物があるんですか!?」
「……それを調べる為に、ここに来たの?」
「うん、そうだよルビ────っ!?」
マナトくんがあたりに山しかないところで、急に立ち止まる。
「────どうかしたんか?」
ウチはマナトくんへと聞いた。
「……今、誰か『助けて』って言った」
「…………?」
「俺には何も聞こえなかったけど……?」
「……僕もです」
「ウチも聞こえなかったよ」
マナトくんの言った言葉が信じられなかった……だけど、マナトくんはいつもこうやって、『人の助け』を聞いて立ち止まる。
…………またいつものかと思ったが、様子がおかしい。なぜなら、ここには人どころか、『山』しかないから。
「いや、確かに聞こえた」
そう言いながらゴソゴソと荷物の中からゴーグルを……って、まさかっ!?
「────
ゴーグルを首にかけて、旅行用のショルダーバッグをしっかりと持って、マナトくんはそんなことを言った。
……もしかして、いつもの────
「いやいや、ちょっと待て!?」
「龍我……悪いけど、先生達にはよろしく言っといてくれ」
「ちょっと、マナトくん、待ってください」
「悪いけど、もう行く」
「────おい、ちょっと待てぇええええっ!?」
平田くんの止める声を無視して山に向かって走り出したマナトくん……また、いつものが始まった。
ゴソゴソと隣が動いているのがわかる…………ん、ルビー?
「……またですか」
「林間学校でもこんなことを────」
ルビー朝から様子がおかしかったけど……まさか……?
「────平田くん、私のこともよろしくっ!!!」
ルビーが走り出した。
「────おい待て、ルビーぃ!?」
「ちょっと、あなたもなんですか!?」
…………もしかして、あの2人……そないなことが頭の中を巡る。
先程、マナトくんが言ったこと、ルビーがこの二日間マナトくんをじっと見とったこと……うん、きっとそうや、そうに違いない。
ウチも急いで準備する。
フィールドワークをやるって知っとったから、今のウチは軽装や。いらんものも持っとらん……なら、走る準備をするだけや。
靴紐を縛り、2人が入っていった山の中を見つめる。
「……おいおい、まさか?」
「……まさか、あなたもですか?」
2人からそないな声が聞こえてくるが、もう遅い。
覚悟は決まった。
あの2人が何を考えとるのかわからんけど、頑張って追いかけるつもりだ。
「────ごめん、2人とも……ウチも行ってくるっ!!!」
そう言って、山へと突っ込んだ。
「────お前もかぁああああっ!?」
「ちょっと、どうするんですか、平田くん!?」
「どうするもなにも────」
2人が追いかけてくる様子はない。そして、マナトくんとルビーが走って行く方向は、草が踏みつけられているのが見えるので、追いかけるのは簡単だ。
「……どないなとこ走ってんねん」
2人ほど運動神経は良くないが、それでも運動は得意な方だと自負があった。だけど、道無き道が続くから、少しずつ疲れていってしまう。
走り出してから5分程経った……山道を進んでいくと、少し開けた場所が見えてくる。
ガードレールが見えてきた。
「────もうすぐ、人の道に出る!!!」
山道にもうんざりしていたところや……早く、人のおるところに出たかった。
ガードレールを乗り越えた時…………
「────っ!?」
見覚えのある金色の髪の少女の後ろ姿と、少女が見つめる先に大きなトンネルが見えた。
「…………ここは?」
「…………っ!? みなみ、どうして────」
ルビーがこちらに気づいた。
ウチがガサガサしながら、ガードレールを乗り越えたところは気づかれてなかったんや……やっぱり、いつもの周りをよく見とるルビーとはちゃうな。いつものルビーだったら、もっと早くウチのことに気付けたはずや。
……本当になにがあったんやろ?
「ルビーの様子がおかしいから追いかけてきたんや……それより、ここは?」
異様な雰囲気を放つトンネルを見て、私はルビーに聞いた。
「……わからない……だけど、トンネルの前にこれが落ちてた」
「────っ!?」
ルビーの持つ手には、マナトくんのバッグについとったキーホルダーがあった。
「……って、ことは」
「マナトはこの先にいる」
異様な雰囲気を放つトンネル……この先にマナトくんがおる。まるで、ホラー映画に出てきそうな雰囲気に、つい足がすくんでしもうた。
「……みなみ、行くよ」
ルビーがウチの手を握って、引っ張ってくれる。でも少しだけ震えているのが感じられる。
…………ルビーも怖いんやな。
「…………うん」
ウチもそんなルビーに引っ張られながら、震える足を動かしてトンネルの中へと進む。
「…………」
「…………」
トンネルの中を歩き始める……が、やっぱり雰囲気がおかしい。なんか嫌な気配がビンビン感じる。
────ビュルルゥッ!!!
「────ひぇっ!?」
「────ひゃっ!?」
────ゾクリ、と背筋が凍った。肌を突き抜ける寒さは、まるで雪が降っているようなそんな風が肌に当たる。
…………来た道から、そんな風がウチ達に当たった。夏なのにあまりにも異様な風が私達の髪を靡いたのだ。
「…………えっ、嘘、なんでっ!?」
ルビーが後ろを振り返った時、そんな驚いた声を上げた。
「……何かあったん?」
ウチは怖くて振り向けなかった。
「────
「…………嘘、やろ?」
ルビーの言う事が信じられず、後ろを振り向いた。
「────えっ?」
今、通って来たトンネルの入り口が雪で……いや、ものすごい勢いの風が吹いとるから『吹雪』で通れなくなっとった。
「……今、『夏』だよね」
「8月1日だから『夏』やな」
現実では考えられないような景色に、足の震えが止まらなくなる……やっぱり、着いてこなきゃよかったとそう思ってしまった。
「…………」
帰る道は完全に塞がれた。あの雪の様子で、帰ることはできない……なら……いや、でも────
「────
ウチの震える手を強く握って、ルビーはトンネルの出口へ向かって引っ張る。
「
ウチの手を引っ張ってくれたルビー……本当にこの子には敵わないと感じる。
マナトくんとずっと一緒にいたルビー。
助けられて一緒にいることにしたウチ。
マナトくんがこの先にいることを心配したルビー。
自分の心配をしたウチ。
……その違いに、少しだけ……本当に少しだけ黒い心が燃えるのを感じる。
「────うん、わかった」
ウチはそのおかげで、立ち上がることができた。
────タン、タン、タン
「────っ!?」
「────っ!?」
出口の方から、そんな足音が聞こえてくる。マナトくんの軽快な音ではなく、ずしりと重い足音が聞こえてくる
ウチもルビーもその音に、少しだけ身を震わせる。
────タン、タン、タン
……暗いトンネルから、聞こえてくる足音は次第に大きくなる。つまり、こちらへと近づいてきているのだ。
────タン、タン、タン
「…………ルビー」
「…………大丈夫」
近づいてくる足音に、ウチは怖くて仕方がなかった。ルビーも声が震えている。
────タン、タン、タン
…………ゴクリ、と唾を飲み込む音が聞こえる。足音の人物が少しずつ見えてきたのだ。
全体的に白髪でところどころに黒色の髪が混ざっている。
茶色のスーツに青色のベスト、白いサファリハット。
口元を覆った髭、60手前ぐらいに感じる。
そんな男が、私達の目の前に現れたのだ。
「────
男の人は驚いた様子でこちらを見とった。まるで、こちらに人におることが意外だと考えるように…………
「…………いや、そうか……外の『吹雪』を見る限り、最近この地域で発生する異常気象に巻き込まれて……」
ぶつぶつ、と口を出して考えに耽る男性……ウチらがどうしてここにおるのか疑問に思っとるらしい。
「……いや、でもここは付近の住民でもやって来ない場所だ……それなのに、どうして…………」
……もしかして、ここにおるのはちょっとまずいのだろうか?
マナトくんを追って、山の中を駆けてここにやって来たが、もしかして…………
「────男の子を、私達と同じぐらいの茶髪で女顔の男の子を見ませんでしたか!!!」
隣でルビーが男の人に聞く。
……そうか、マナトくんはトンネルの出口へと向かった。なら、トンネルの出口からやって来たこの人なら、マナトくんのことを知っとるかもしれへん。
「…………男の子?」
そう考え込む男性……ウチも言わんと!!!
「そうです……男の子を追ってここまで来たんやけど、トンネルの向こうに行ったみたいで……でも、ウチらこの先に行くのが怖くって……」
「ゴーグルを首にかけて、旅行用の大きなバックを持ってます。見ませんでしたか!?」
ウチが状況を、ルビーがマナトくんの印象に残るような様子を説明する。これなら、すぐに彼を…………
「…………すまないが、見ていない」
男の人は首を振った。
「────えっ?」
「少なくとも、このトンネルから先には『遺跡』しかない。そこから私がやって来たのだが、誰も見ていないのだ」
「…………誰も、見とらん?」
「一本道だからね……その、男の子がやって来たのならわかると思うのだが……」
「でも、トンネルの入り口に、男の子がつけとった……マナトくんがつけとったキーホルダーが落ちとったんや!!!」
そう言って、さっき見つけたキーホルダーを男の人に見せる…………だけど、
「…………すまない」
そう謝られてしまった。
「…………だったら」
だったら、マナトくんはどこにおるんや…………そう口に出かけたその時────
「…………待って、おじさん」
ルビーが男の人に声をかけた。
「『遺跡』があるの?」
ルビーはおじさんにそんなことを聞いた……『遺跡』?
『
突如、マナトくんがここに来る前に話しとった言葉を思い出した。
「…………ああ、この先に『飛鳥時代の遺跡』があるよ」
「────っ!?」
おじさんの口から出たそんな言葉が、ウチの中にある疑念が解消して行くのがわかった。
「────ねえ、それってどこにあるの?」
「このトンネルを抜けて、一本道がある……そこを進んでいけばすぐに見つかる」
『あるよ、この村にある『遺跡』に興味があるんだ』
「その『遺跡』にはどんな絵が描かれてるの?」
「『ケモノガミ』と呼ばれるここいらの土着信仰の神様の絵だ……でも、それがいったい?」
『どんな時代背景があるのかわからないけど、遺跡には絵が描かれていて、それに興味があるんだ』
「さっき探してるって言った男の子……『マナト』がその『遺跡』を見たいって言ってたの!!!」
「……それは本当なのか!?」
『それがアニメチックな『龍』だったり、『獣』だったりするみたいなんだ……それが、最近『EDEN』内で騒がれてる『ハッキングプログラム』に、見た目がそっくりなんだよ』
ルビーとおじさんの会話から、ルビーの思い当たったことに気がついた。
マナトくんは嘘をついて、ここへとやって来た。
『遺跡』の場所は事前に知っていて、1人で見に来る為にこの林間学校を抜け出したのだ。
『遺跡』を見る為に、おじさんの目を掻い潜って『遺跡』へと向かった。
…………つまり、マナトくんは『遺跡』で何かやろうとしとる?
「おじさん、『遺跡』まで連れてって!!!」
「ウチも、マナトくんのとこに行きたい!!!」
正直に言えば、この奇怪な現象は怖くて堪らないけど、それでもマナトくんのことが心配だった。
「…………わかった」
少し考えた様子のおじさん。ウチ達に向けていた体をトンネルの出口の方へと向ける。
「だけど、おじさんはやめてくれないか……これでも近くの大学で教師をやっている身だ。君達のような子供からは『教授』と呼ばれてる……できればそう呼んで欲しいな」
ウチ達の隣に立ったおじさん……いや、『教授』はにこやかにそう言った。
「ーーーーで様子はどうだ?」
「ダメだよ、タイト。昔より強くなったから、こっちから手を出せそうだけど、相手側の執着が強い……たぶん、ミレニアモンでもこの空間は厄介だと思う」
「…………そうか」
「…………本当にオイラ達がついてなくて大丈夫っすか?」
「そうだよタイト、こんな危険なところに行くのに、僕達を置いて行くってどう言うことっ!?」
「……お前達には別の事を任せてるだろうが」
「それでも納得できないっす。なんであのバカがついていけて、オイラ達がついていけないんすか!?」
「僕の方が強いのにっ!!!」
「……シンはともかく、テトは重要事項に必須だろ。少なくともお前は置いてくからな」
「…………なんでっ!?」
「シンの方も、テトのサポート……あいつが必要なのは万が一の対策に必須だからだ……それはお前らもわかってるだろ?」
「…………むう」
「それに、現地のデジモンとパートナー関係を結んだ方が、デメリットを背負わない事を俺達は痛い程理解したはずだ」
「…………」
「テト、そんなに睨まない。シンも不満そうな顔をしない…………それに、予想が正しければ、数時間で俺は戻ってくるから」
「…………それでもっ!!!」
「……でも、じゃない。お前達を信じてるんだ。本当に困った時は助けてくれるだろ?」
「……そうだけど」
「……それを言われたら文句言えないっすよ」
「それなら、俺はモーマンタイだ。テトとシンは後のことを頼んだぞ」
今後の『あとがき』について(前回忘れていた為)
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デジモンコーナーを続ける
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第1章〜第3章までのに戻す
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第四章が終わるまで様子見