産まれた推しの子の電脳物語   作:阿後回

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ーーーー


「…………」


誰かに揺すられる体。


ーーーー   、起  


「…………むう」


眠ってる私を起こそうとする誰かの声が聞こえてくる。


ーーーー  な、起 ろ


「…………眠いの〜〜、起こさないで〜〜」


誰かに呼ばれながら、少しずつ意識が覚醒していくのを感じる。


ーーーーりな、起きろ


……りな? さりなって呼ばれたのかな……じゃあ、今起こそうとしてるのは先生?


「……うーん、まだ眠いよ……センセ」


ーーーーさりな、起きろ


……リハビリの時間でもやってきたのかな……でも、


「今の私はルビーでしょ……なんで、前世の名前を呼ぶの〜〜?」


もう体は健康なものに変わってる。

リハビリなんて必要ない『ルビー』になったんだ。それもアクア(センセ)は知ってるはず……それなのに、アクアはなんで前世の名前で…………?


ーーーーさりな、起きろよ


…………聞こえてくるのは、聞いたこともない子供の声だ。


「…………?」


頭を働かせて、眠る前の事を思い出す。


ーーーーさりな、起〜き〜ろよ


「…………」


少しずつだけど、眠ってる前のことを思い出した。

山の中へとタイトを追いかける。

みなみが追いかけてきて、一緒にタイトを探し始める。

教授と出会った。

季節外れの吹雪と彼岸花。

悲鳴と壊れる音と怖い嗤い声。

襲われるタイトと襲う岩の化け物(デジモン)

タイトを置いてった私達。

…………そして、


ーーーー()()()()


()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()



「…………、ーーーーっ!?」

ーーーーゴツンッ!?

「ーーーーへぶっ!?」


聞き覚えのない子供の声から離れるように飛び起き、這いずるように近くの木の影まで逃げ出す。

何か当たった気がするけど、そんなのは気にしない……私を掴んだ、あの巨大な腕の持ち主が私を譲ってたのかもしれないのだから。

「ーーーーイッててなにすんだよ……って、あっ、やっと起きた!?」

そんな子供の声が聞こえる。

「ーーーーもうっ、いつまで寝てるんだよ『さりな』」

私を揺らし、無理矢理起こしたその声の持ち主……それは、私の背に向かって話しかけてくる。

「やっと会えたんだぜ、俺達……ここからあいつらに目にモノを見せてやれるっていうのに、こんな呑気なヤツが相棒だっていうんだから、神様ってのも怪しいモンだよな」

ーーーーぽて、ぽて

やけに私に親しみを持って話しかけてくる声の持ち主。その足音は少しずつ私のほうへと近づいてくる。

「ーーーーというか、神様ってやつに立ち向かおうって奴が言う言葉じゃないか」

(……神様? 立ち向かう? ……いったいなんなの!?)

……私は恐る恐る後ろを振り返った。

「ーーーーおっ、やっとこっちを見た!?」

真っ青の……なに、アレ?

「ずっと、ずーっと待ってたんだぜ、俺…………我が物顔でこの世界を救うんだって言ってる『悪いヤツ』をぶっ飛ばせるこの日を」

ーーーーぽて、ぽて

ぐーちゃんの時も思ったけど、人型なのに人よりも小さな……ぬいぐるみみたいに小さい体で私に近づいてくる。

「悔しくって、悔しくってたまらなかった。相棒を『生贄』にされた奴や自ら部下になった奴……この世界を嫌な世界にしてる奴らが、『悪いヤツ』だってことが悔しかった」

ーーーーぽて、ぽて

悔しそうに、悲しそうにそう言ったぬいぐるみ(デジモン)……だけど、私の思考はそこには向かわなかった。

(……『悪いヤツ』……それに『生贄』……っ!?)

目の前の真っ白い顔のぬいぐるみ(デジモン)が言った言葉から、タイトのメモの事を思い出した。

『水無瀬神社
 約40年前ぐらいに娘が行方不明になった。『デジモン』(ケモノガミ)に注意 子供なら贄として捧げられないように強い心を持つ 自力さえ強ければ大丈夫 水瀬中学の課外キャンプの場』

当時は課外キャンプだったものが、『少子高齢化』と『ゆとり政策』の終了に伴い、夏休み中の林間学校へと変わったこと……ううん、そんなのはどうでもいい。

『生贄』と『贄』は一緒の言葉だ。

そして、ぐーちゃんの言っていた……


『────は? そりゃあ、タイトが『この世界が2度も滅ぶ危機にある』って言ってたぞ!?』


……という、言葉。

そして、4年前と2年前に『ケモノガミ』によって、ママが襲われたこと。

ーーーーその全てに繋がるものが目の前にいる。

「でも、今日でそれは終わりだ」

悔しそうな顔から一転、可愛らしい顔が覚悟と決意溢れたものに変わった。


「ーーーー()()()()()()()()()()()()()()()()()()


そう笑顔で言ったぬいぐるみ(デジモン)。その意味が私にはわから……いや、わかってる。

スマホの中から、タイトの目の前に現れた『黒いボタモチ』。

これは『あのとき』と同じだ。


「…………あなたはだれ?」


私は青と白のデジモンに問う。

「…………って、名前を言うのを忘れてたな」

私の問いを聞いて恥ずかしそうにするデジモン。

ーーーーバッ、と小さな手を広げて私の前に差し出してくる。

「俺の名はーーーー


そうして、私と『彼』の長い旅路(じんせい)が始まりを迎えた。


「ーーーーよろしくなっ!!!」


幾千、幾万の敵を倒し、私の……いや、私達の『願い』を叶える為の戦いがここから始まったのだ。



第三話 初めての戦い 

 

 

「…………ウチを、待っとった?」

 

 

「────うんっ!!!」 

 

 目の前の赤いまんまるはそう言った。

 

「……あんたは、さっきの岩の化け物達と一緒なの?」

 

「岩の化け物……ゴツモン*1のこと?」

 

 ……ゴツモン? あの化け物達の名前なんやろうか? 

 

「……ってことは、ゴツモン達に襲われたのっ、大丈夫、ミナミッ!?」

 

 赤いまんまるは心配そうにこっちを見た。その声と表情から、本当に心配しとるのがわかった。

 

「ううん、ウチは大丈夫」

 

「あいつら『ヌシ』の手下だから、我が物顔でたくさんのデジモンを狩ってるんだ。本当に危ない奴らだったから、ミナミが無事でよかった」

 

 …………そう、ウチは大丈夫。

 

 

『ルビー、足手纏いだって言ってんのが理解できねえのかっ、はやく逃げろっ!!!』

 

 

 マナトくんの言う通り、ウチらはルビーを連れて逃げてった……だけど、マナトくんはギギモンの言うところの『ゴツモン』と戦って、ウチらのために足止めをしてくれとった。

 

 ……すぐに助けよんでこんとっ!? 

 

「…………ミナミ、どうしたの?」

 

「友達がたくさんのゴツモンと戦っとるんや。はやく助けを呼ばないとっ!?」

 

「────っ、友達が戦ってるの!?」

 

「────うん」

 

「じゃあ、はやく助けに行こうっ!!!」

 

「……えっ?」

 

「────行こう」

 

「……えっ、いやな、こう言う時は、大人を呼んでくるんや」

 

 ……なんで、ウチらが助けに行く話になったんねん。

 

「……えっ、でもここに人間はいないよ」

 

「…………は?」

 

「…………えっ?」

 

 

 

 

 

 

「────つまり、ようやくするとやな

 

 1.ここは『ケモノガミ』って呼ばれとる神様達が住む世界

 

 2.大昔は人間の世界と繋がっとったけど、今は『(ヌシ)』って呼ばれとる奴が世界の管理をしとる

 

 3.ヌシは人間に怨みを持っとって、今までたくさんの人間を食っとる

 

 4.ヌシはたくさんのケモノガミを従えて、人間の子供を生贄にしとる

 

 5.ヌシの出す変な『霧』に当たったら、人もケモノガミも死んで、ヌシの腹ん中に入っちまう

 

 6.それを恐れてケモノガミ達は従っとる

 

 ……ちゅうわけやな」

 

「────すごい、ミナミあってる」

 

 ギギモンから聞いた話をまとめて、確認してみる……ウチは何か悪い夢でも見とるやろか? 

 

「…………」

 

 マナトくんを追って、やってきたのは異世界。

 その異世界には子供を食べる化け物がヌシ。下っ端はヌシに言いなりで、ウチらは見つかったらヌシに喰われるみたい。

 

「じぃー」

 

 ケモノガミの中にも、ギギモンみたいにウチを助けてくれる優しい奴もあるけど、マナトくんを襲った岩の……ゴツモンみたいなヌシの手下もぎょうさんおる。

 

「…………」

 

 ゴツモン達から一緒に逃げた、ルビーちゃんや教授とは逸れてしもうた。

 なにか知っとるであろうマナトくんは、ゴツモン達を足止めしていて今も生きとるかわからない。

 

 ……いまのウチの味方はあのゴツモン達には到底敵いそうもあら…………っ!? 

 

「じぃー」

 

 ギギモンにじっと見られとる。

 

「…………」

 

 いったいなんなんやろう? 

 

「…………」

 

 その場で無言で見つめ合うウチ達…………

 

 

 

 

 

「…………だああああああっ、なんなんや、これっ!?」

 

 いくら頭の中で考えても、夢のような事が現実で起こっとる。夢だと思いたくても、鼻を突き抜けていく周囲の嗅いだことのない花や木の匂い、それが現実だと理解させられる。

 

「────夢や、夢であって欲しいっ!!!」

 

 つまらないホラー映画のワンシーンみたいな現状で、

 

「……ミナミ、だいじょーぷ?」

 

 心配そうにこちらを見つめるギギモン。

 

「…………っ」

 

「────ウチは大丈夫や」

 

「とりあえず、なんにもわかっとらんことがわかった」

 

「わからないの?」

 

「ギギモンだけに聞いても、本当のことかウチには理解できへん」

 

「…………うーん、信じてくれないの?」

 

「信じとらん訳やない……でも、ギギモンがほんとに味方ならいいんやけど、騙しとるかもしれへんやろ? だったら、ウチの友達と話し合ってから、今後の事を決めたいんや」

 

「…………わかった」

 

「……なら、よかった」

 

「それじゃあ、さっき言った友達を探しに────

 

 ────ガサッ!!! 

 

 ────ガサガサッ!!! 

 

 ────ガサガサ、ガサガサッ!!! 

 

 

 

「────うわあああっ、どいてどいてっ!!!」

 

 

 

「────へ?」

 

「────は?」

 

 

 ────ドシンッ!!! 

 

 

「────いたたた、……って、みなみ?」

 

「……ルビー?」

 

 ウチの上に乗っかっている見たことのある金髪…………ルビーを睨みつける。

 

「みなみごめんっ……でも、今はそれどころじゃなくて────」

 

 

 ────ガサガサッ

 

 

「さりな、何してんだっ!? 早く逃げるぞっ!!!」

 

 そんな事を言いながら、小さな青と白の影が草むらから飛び出してくる。

 

 ぬいぐるみぐらいの小さな2頭身の体で、ルビーの隣に立ったケモノガミ。

 

「────『チビモン*2』っ!!!」

 

 ……チビモンっちゃうんか、あの子。

 

「みなみも早く逃げるよっ!!!」

 

「────えっ、あっ!?」

 

 

 

 

 ────『パラライズブレス』ゥ!!! 

 

 

 その時、紫色の煙がウチらの近くに飛んできた。

 

 

「────ルビー、早く逃げろっ!!!」

 

「────ミナミッ!!!」

 

 

「────…………はっ?」

 

 気づいた時にはウチはギギモンに、ルビーはチビモンと呼ばれたケモノガミに煙から少し離れた位置まで、連れて行かれる。

 

 

「…………なに、これ?」

 

 

 煙の……いや、さっきまでウチ達が座っとった場所、そこにあった花々が萎れているのが見える。

 

 

「────今のは命中したと思ったんだけどな」

 

 

 ウチらとも、ルビー達とも違う声が煙がやってきた方向から聞こえる。

 

 ────ガサガサ、ガサガサ。

 

 草むらから、グレーの二足歩行の獣の……いや、ケモノガミが目の前に現れた。

 

「────ガジモン*3

 

 ウチの横におるギギモンが、緊張した声でケモノガミを見てそう言った。

 

「……へえ、俺の名前を知ってるんだな」

 

「ここらじゃお前らを知らねぇ奴はいないよっ、俺はお前らがたくさんのケモノガミ達を『ヌシ』に喰わせていたところだって見たことがあるんだからなっ!!!」

 

 

「…………────へえ、ならてめえらもすぐに供物に捧げてやるよっ!!!」

 

「『パラライズブレス』」

 

 ガジモンの口から吐き出される紫色の煙……あれ、さっきの花を枯らしとったあの煙だ。

 

「────危ないっ!?」

 

「────当たんねえよっ!!!」

 

 ルビーの声に反応してチビモンがガジモンの攻撃を避ける。

 

「────さりなはその子を連れて下がってろっ!!!」

 

「うん、わかった」

 

 チビモンがガジモン接近していく。

 

「みなみはこっち」

 

「────えっ、ちょっ!?」

 

 ガジモンとは反対の方向へとルビーに手を引っ張られる。

 

「お前みたいに弱っちい奴が、俺たちに敵うとでも思ってるのかっ、『パラライズブレス』っ!!!」

 

「────やってみなきゃわかんねぇだろうがっ!!!」

 

 ぴょんぴょんと移動しながら木々を壁にして、ガジモンの攻撃を避けるチビモン。

 

「────うわぅっ、くそっ!!!」

 

「もう一度行くぞっ、『パラライズブレス』ゥ!!!」

 

 うまく当たっとらんようやけど、少しずつだけど、推されているのが見える。

 

「…………チビモン」

 

 ルビーの心配そうな声が聞こえてくる。

 

「ミナミ、ギギモンも行ってくる」

 

「……ギギモン?」

 

「あのままだと、チビモンやられちゃう。だから、行かないと」

 

「────ギギモンッ!?」

 

 

「────うぉおおおっ、『ホットバイト』ッ!!!」

 

 ガブリとガジモンの腕に噛み付くギギモン。

 

「────アツッ、テメェッ」

 

「ギギギッ」

 

「────離れろよっ!!!」

 

 ────ポフンっ、ボンボン。

 

 ガジモンが腕を振り回して、噛んでいたギギモンを地面へと叩きつける。

 

「────ギギモンッ!?」

 

「ミナミッ、ギギモンは大丈夫!!!」

 

 ウチはギギモン

 

「────いいぞ、ギギモン。『ホップアタック』ッ!!!」

 

「────ぐがっ!?」

 

 チビモンの体当たりが、ガジモンの顔面に当たる────ドシンッ、とガジモンが倒れた。

 

「────やったっ!!!」

 

「行くよ、チビモンっ!!!」

 

「────おう、ギギモンっ!!!」

 

 ギギモンとチビモンが倒れているガジモンに近づいとる……ここで決める気や。

 

 

「『ホット────

 

「『ポップ────

 

 

「『パラライズブレス』ッ!!!」

 

 

「────うわあっ!?」

 

「────ぐぎっ!?」

 

 攻撃を当てるために、近づいとったギギモンとチビモンに、倒れていたガジモンの攻撃が当たってしまう。

 

「────ギギモンッ!?」

 

「────チビモンッ!?」

 

 ウチは……いや、ウチとルビーは倒れたギギモン達に近づく。近くで見てようやくわかった。ギギモンの体に傷がたくさんあった事を。

 

「…………ミナミ、逃げ、て」

 

「────いやや」

 

 ギギモンの言った言葉が嫌だった。

 

「今……の俺達じゃ、相手に、できない……ルビーも、早く……」

 

「ダメだよ、チビモン……私が来るのをずっと待ってたんでしょ!!!」

 

 隣のチビモンもギギモンと同じ事を言う……自分の無力感に押しつぶされそうになる。

 

「…………てめえら、さっきはよくもやってくれたなぁ」

 

 ガジモンが立ち上がったのが見えた……傷はあるけど、そこまでボロボロじゃない……格上と戦っていることに今更気付かされた。

 

「は、やく」

 

 ギギモンのそんな声が聞こえてくる。

 

「────いやや、ギギモンを置いて逃げるなんて、絶対にいややっ!!!」

 

 絶対に嫌やった。

 

 会ったのは1時間も経っとらんかもしれん……だけど、ウチを必死に守ろうとしてくれたこの子を……ギギモンを置いていくのは絶対に嫌やった。

 

「────おい、逃げねえのかよ」

 

 ガジモンがそんな事を言いながら、一歩、また一歩と近づいてくる。

 

「……俺が、守るんだ」

 

 チビモンがウチらの……いや、ルビーの前に立ち上がる。

 

「もうボロボロなんだよっ、早く逃げないとっ!!!」

 

「……こんな奴に負けられない」

 

「だって、さりなをずっと待ってたんだ……俺はずっと、ずっと待ってたんだっ!!!」

 

「……チビモン」

 

 ガジモンが手を振り上げた。

 

 

「────なら、お前ら全員ここで供物にしてやるよっ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ────終わった、と思った。

 

 

 

()()()()()()()()()()()()()()

 

 

「────なんだっ、なんだこの光は!?」

 

 

 ガジモンが後退りながら、ウチらから遠のいていく……いや、『背後の光』から逃げていっとる。

 

「……なんや、この光?」

 

「────あったかい」

 

 その光は温かくて……それでいてウチらを包み込むような優しい光だった。

 

「怪我が治っていくこの光は、いったい?」

 

「ギギモン、この光で元気になる!?」

 

 ボロボロだったギギモン達も、戦う前のような……いや、それ以上に力が満ち溢れとるようになっとる。

 

 しかし、その光は────

 

「……くそっ、なんなんだよ!?」

 

 ガジモンに害があるもののようや……そして、その光の出どころはというと……。

 

「…………ルビーのバッグから溢れ出とる?」

 

「────私のリュックの中から?」

 

 ルビーのリュックから溢れ出とった。

 

 ────ガサガサ、ガサガサ……とルビーがリュックの中身を確認しとると、光り輝くポーチが現れたのだった。

 

「……これって?」

 

 

 

()()()()()()()()()()()()

 

 

 

 タイ………… マナトくんから? 

 

 ルビーの呼び方なんてどうでもよかった……けど、マナトくんから貰った『ポーチ』が……なんで? 

 

 ルビーがポーチを開けて中身を取り出すと、折り畳まれた一枚の紙と…………なんやこれ? 

 

()()()()()()()()()()…………()? 

 

 

 

「────これって、もしかして『デジヴァイス』? ……ならっ!!!」

 

 ルビーは『おもちゃ』をチビモンへと向ける。

 

「────ルビーっ!?」

 

「いいから、みなみもやるっ!!!」

 

 ウチにも『おもちゃ』が渡される。

 

「────ええと?」

 

「ギギモンに光が向くようにしてっ!!!」

 

 ルビーの迫真の表情に、ウチは言われるままギギモンに向けて、『おもちゃ』を向ける。

 

 

「────さりな、なに……を…………っ!?」

 

「チビモン?」

 

 

「────なに、これ……!?」

 

「…………ギギモン?」

 

 

『おもちゃ』向けられた2人。

 

 

()()()()()()()()()()2()()()()()()()()()()()()

 

 

「────()()()

 

()()()()()()()

 

 

「────くそっ、前が見えないっ……いったい何をしたっ!?」

 

 ガジモンが両手で目を塞ぎながら叫ぶ。

 

 

「────チビモンッ、その力を受け入れてっ!!!」

 

「────さりな、わかった!!!」

 

 

 ルビーの言葉に応えるように、チビモンも覚悟を決める。

 。

 

 

「────私達は負けないっ!!!」

 

 

 ルビーの声に影響を受け取るのか、『おもちゃ』の光がさらに強くなる。

 

 

「あんたみたいなのに絶対に負けたくないっ!!!」

 

 

 [()()()() ()()

 

 

 

「────『ブイモン*4』ッ!!!」

 

 

 そこにいるのは成長した『蒼いケモノガミ』。

 

 ルビーとおんなじ『紅の瞳』。

 

 それが、ウチらの目の前に立っとった。

 

 

「…………チビ、モンなの?」

 

「────ううん、違うぞルビー……今の俺はブイモン。ルビーの為に進化したんだ」

 

 

 

「────ミナミっ!!!」

 

「────ギギモンッ!!!」

 

「ギギモン、あいつに勝ちたい」

 

「ウチもおんなじ」

 

 生贄になんてされたくない。

 

 あんな奴に負けたくない。

 

 …………そして、

 

 

「この状況を変えるんやっ!!!」

 

 

 [ギギモン 進化]

 

 

 

 

「────『ギルモン*5』ッ!!!」

 

 

 ウチの目の前におるのは、紅く輝く竜。

 

 顔の小さな模様は全身に広がり、顔には大きな模様がかたどられとる。

 

 四足歩行から立ち上がり……それでも、ウチよりも少し小さな背中。

 

 

 

 ────そこには姿の変わったギギモンが、ウチの目の前に立っていた。

 

「────ミナミ」

 

「えっ、あっ」

 

「行ってくる」

 

 ────ドンドンドン。

 

 先程までとは違い、力強く、そして桁違いの速さでガジモンに近づいとるギギ……いや、ギルモン。

 

「たかが、進化したぐらいで調子に乗るなよっ、『パラライズブレス』ッ!!!」

 

「『ファイアーボール』」

 

 

「────なっ!?」

 

 ガジモンが出した紫色の煙が、ギルモンの口から放たれた火球によって爆発、爆発によって生み出された灰色の煙は大きく森の中に広がっていく。

 

(みなみ、こっちだよ)

 

(………… うん)

 

 ルビーと一緒に、煙の薄い場所まで移動する。

 

「────くっ、どこだっ!!!」

 

 ガジモンの大きな声が聞こえてくる……どうやら2人を探しとるみたいや。

 

「こっちだ、『ブイモンヘッド』ッ!!!」

 

「────ぶへぅ……ガハッ!?」

 

 ブイモンのそんな声が聞こえてくると、ブイモンの頭突きで吹っ飛んだガジモンがウチらとは少し離れた位置で、木にぶつかった。

 

「…………うぐ、ぅ」

 

(ガジモンはまだ動けないみたい。すぐに離れよう)

 

(うん、ありがとうルビ────

 

 

 ────ボキリ、と足元から音が鳴った。

 

 

(しまった、足元の木の小枝を踏んでしもうたっ!?)

 

 足元にあった小さな小枝……煙で気づかなかったけど、確かに足元にたくさんの枝が落ちとった。

 

 ────グルン、と立ち上がったガジモンの首がこっちを見つめる。

 

「────ひぇっ!?」

 

 何かに執着しとるような異常な目でこちらを見つめるガジモン。

 

「……まだ、だ……俺は負けてない」

 

 一歩、また一歩と近づいてくるガジモン。

 

「私達から離れてっ!!!」

 

「うるさい、俺はまだ負けてないんだ」

 

 

「奴らは倒せないが、せめて『ヌシ』様の供物だけでも…………」

 

 

「────駄目だよ」

 

 そのとき、ウチらの目の前に立つ赤い影。

 

「────貴様ぁっ!!!」

 

 こちらへと走ってくるガジモン。

 

「貴様なんかに、貴様等供物共に負けてたまるかぁ!!!」

 

 その口には紫色の煙が立ち込めている。

 

「────ギルモンは負けないっ、ミナミを守るんだっ!!!」

 

 

「『パラライズブレス』ッ!!!」

 

「『ロックブレイカー』ッ!!!」

 

 

 接近した二つの影が重なる。

 

 

 ────そして、立っていたのは、

 

 

「────がっはっ」

 

「ウオォオオオオオオオオオオオッ!!!」

 

 

 ギルモンだった。

 

 ガジモンのは口からは紫色の煙出てきているが、その背中にはには大きな三つの爪痕が残されていた。

 

「ギルモンっ、やったのか!!!」

 

「うん、ギルモン勝ったよ!!!」

 

「────やったな」

 

「うんっ!!!」

 

 ブイモンが近づいて、ギルモンと握手をしとった。

 

「ねえ、みなみ」

 

「…………ほえ?」

 

 いつのまにか、ルビーがこっちを向いとった。

 

「────やったね」

 

「────うんっ!!!」

 

 命の危機から脱し、喜び合い、騒ぎあう。

 

 

 

 …………そんなとき、

 

 

 ────パサッ

 

「…………へっ?」

 

 ウチの顔に何か『紙』が降ってきた。

 

「何これ?」

 

「…………あっ、タイトに渡された手紙っ!?」

 

「…………マナトくんの?」

 

 正直言って、ルビーの『タイト』呼びも気になったが、マナトくんに渡された手紙の方が気になっとった。

 

「────ルビー、何かあったの?」

 

 ブイモンがこっちにやってきた。

 

「うーんと、ギルモンもこっち来て」

 

「…………?」

 

 ルビーがギルモンを呼ぶ。

 

「────みなみ」

 

 ギルモンがここにやってきてすぐに、ルビーに声をかけられる。

 

 ────コクリと、その言葉に頷いた。

 

「────さあ、開くで」

 

 マナトくんの渡したもの……その中身が…………

 

 

「────えっ?」

 

 

 

 

 

『校舎へ向かえ』

 

 

 

 

 手紙にはそう書かれとった。

 

*1
レベル:成長期 タイプ:鉱石型 属性:データ種 必殺技:『アングリーロック』

 フィールド中の鉱石データをまとい、強力な防御力を持つ鉱石型のデジモン。やんちゃで陽気な性格で、まるでガキ大将のように世代の低いデジモンを引き連れて、システム内を跳ね回る元気者。少々わがままなところもあり、一旦怒ると火山の噴火の様な激しさで暴れ回り、手がつけられなくなる。発生場所や条件によって、表出する鉱石データが変化し、様々な進化の可能性を秘めている。必殺技は、超硬度の鉱石を頭頂より射出する『アングリーロック』。

*2
レベル:幼年期Ⅱ タイプ:幼竜型 属性:ー 必殺技: 『ホップアタック』

 チコモンが進化した幼竜型デジモン。幼年期のデジモンには珍しく、胴体と両手足を持っており、小さな両手で物をつかみ、両足でぴょんぴょん跳ねながら移動することができる。非常に食べ盛りで、特に甘いものが大好き。また寝ることが非常に好きで、目を離すとすぐに寝てしまう。必殺技はぴょんぴょん跳ねながら相手に体当たりをする『ホップアタック』。

*3
レベル:成長期 タイプ:哺乳類型 属性:ウィルス種 必殺技:『パラライズブレス』

 鋭くて大きな爪を生やしている哺乳類型デジモン。哺乳類型では珍しく2足歩行をするタイプで、恐らく前足を腕のように使用するうちに前足の爪が進化し、2足歩行をするようになったのだろう。小型のデジモンではあるが非常に気性が荒く、決して人間にはなつこうとしない。前足の爪は攻撃する際にも非常に有利だが、意外にも穴掘りに向いており、いつも落とし穴を掘っては、他のデジモンが穴に落ちるのを楽しんでいるイジワルな性格。必殺技はガス状の毒息を吐き出す『パラライズブレス』。

*4
レベル:成長期 タイプ:小竜型 属性:フリー種 必殺技:『ブンブンパンチ』 『ブイモンヘッド』

 新たに発見された新種デジモン。デジタルワールドの創世記に繁栄した種族の生き残りで、デジメンタルを用いて“擬似進化”である「アーマー進化」をすることができる。中でもブイモンは優れた戦闘種族であり、秘めた力を持っており、アーマー進化で爆発的な能力を発揮する。性格的にはやんちゃでいたずら好きだが、正義感の強い一面も持っている。得意技は両腕をグルグル振り回し、相手を殴る『ブンブンパンチ』。必殺技は強烈な頭突きで相手を倒す『ブイモンヘッド』。

*5
レベル:成長期 タイプ:爬虫類型 属性:ウィルス種 必殺技:『ロックブレイカー』 『ファイアーボール』

 まだ幼さを残す恐竜のような姿をしたデジモン。成長期ではあるが、デジモン本来が持っている“戦う種”としてのポテンシャルは非常に高く、肉食獣のような凶暴性を秘めている。腹部に描かれたマークは“デジタルハザード”と呼ばれ、コンピュータデータに対して多大なる被害を及ぼす可能性があるものに刻印される。しかし、この能力も平和的に利用さえすれば、デジタルワールドの守護者たる存在となりえるだろう。得意技は強靭な前爪で岩石をも破壊する『ロックブレイカー』。必殺技は強力な火炎弾を吐き出す『ファイアーボール』。





「……タイトと?」

「ーーーールビーのっ!」


「「デジモン紹介コーナー(!!!)」」

「……で、これって毎回やるの?」

「うーん、前に戻すかどうかは『アンケートで決める』って言ってたよ」

「だったら、次回までに決めて欲しいものだな」

「ぶー、ぶー……わかってる人はいいよねっ、こっちはわからないから助かってるって言うのに」

「…………」

「もういいもんね〜〜、始めちゃうもんねっ!!!」


「今回のデジモンはコレッ、『ギルモン』!!!」


「……ギルモンねえ」

「……むっ、なんか『ギルモン』に対して、言いたいことでもあるの?」

「いやあ、歴代主人公のパートナーデジモンの一角だから、強いよなって思ってさ」

「やっぱり、主人公のパートナーデジモンだったんだ」

「まあ、な」

「思うところでもあるの?」

「いや、かっこいいなあ、羨ましいなあ……って思ってさ」

「…………」

「…………なんだよ、その目は?」

「いやだって、前回、だいぶ意味深な事を呟いて逃げたじゃん。何かあるんじゃないの?」

「…………」

「ーーーーコラッ、目を逸らすなっ!!!」


「…………あっ、あれは!?」


「……えっ、なになに……なんにもないじゃん」

「」

「ーーーーって、逃げるな!!!」


『パーソナリティの2人がいなくなった為、今回はこれにて終了いたします』

※緊急アンケート 前書きに作品を書くことについてアンケートを取りたいと思っています。理由は、読み上げ機能を使っている読者様から、『前書きに作品を書くと作品をを読み上げてくれない』という連絡を受けました。次回以降に関連することなので、次回までにアンケートお願いします

  • 今後も前書きに作品を書いてほしい
  • 前書きに書かないでほしい
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