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(6) 今後も前書きに作品を書いてほしい
(3) 前書きに書かないでほしい
『二票差が出た時点で投票終了です。よろしくお願いします。』
……以上、二票以上投票差が出たので……以前と同じように書いていく所存です。これからもよろしくお願いします。
『────』
『俺』は不愉快なモノを見ている。
『────』
ノイズのような聞くに耐えない音と、鉛筆で黒く塗りつぶされたような誰かと手を繋いでいる自分がいる。
手が
『俺』はそんなことを思っていても、『僕』は手を引かれるように、目の前の大きく塗りつぶされた異物をひたすら見ていた。
『──は、 の の────だから』
ノイズに混じった『
でも、今の『俺』は一刻も早くそいつから手を離したかった。
「……」
『俺』は気持ち悪いと思った。
まるで、たくさんのカブトムシの幼虫を素手で掴んでいるような感触に手を振り払いたくなるが、『僕』は手を離さない。
「……さ 」
────だって、『必要』なことでしょ?
場面が変わる。
先程まで黒く塗りつぶされていた人物は白く醜く肥え太り、こちらを恍惚と見つめている。体に幼虫と植物の蔓が纏わりつき、『僕』の体を撫で回した。
「────まっ 」
幸福な気持ち、悲しい気持ち、辛い気持ち、苦しい気持ち……その全てが胸の奥で湧き上がって……『快楽で塗り潰される』。
────『 』に れ 為
うるさい。『俺』にはもう関係ない。そのくだらない言葉を吐くな。反吐が出る。
「……さまっ!」
────『関 ないこ はないよ』
醜く肥え太った白蟻共、ムカデ共……それを受け入れた『僕』。
「────様っ !」
その姿を感じた『俺』は途方もなく吐き気を催し、立つ事すらできなくなってしまう。
────なん た に、『あん こと』をヤ 続 の?
ただ、歩いている『 せそうな『 』』を見た。きっとあん ふうに と思っ た。
「 主 様っ!!」
だけど、そうはならなかった。
────全ては『 』が ふう な かっ か でし ?
虫と触手に群がられた『僕』は『俺』を見て嘲る。
「ご主人 っ!!!」
虫と植物の蔓で体が覆い尽くされる。
嫌だ。
『
聞きたくない。
醜い『
違う、『俺』の じゃない。無理矢理やらされたんだ。俺には関係ない。
『
やめろ、『僕』に触るな。
気持ち悪い。『僕』はただ────
「────やめろっ!!!」
そう言って、『僕』は……
「……はぁっ、はあっ」
頭が痛い、息切れがする。なぜかとても苦しい……嫌な……、そういやな夢を見ていた気がする。
(……そうだ、あれは夢だ。絶対に夢なんだ)
身体を起こすと家庭科室の床に……寝ていたのか?
寝る前の記憶が飛んでいる。
「……『俺』、は?」
記憶を遡ろうとしても頭がぼやける。
(いったい、なにが起こったんだ?)
こんなふうになるのは────
「ご主人様っ!!!」
その瞬間、白いなにかが俺の胸の中に入って来たのが見える。
「…………っ、クダモン!?」
クダモンだ。
「ご主人様、目覚めたんですね!?」
「……いったい、なにがあった?」
「明け方、ご主人様が食事の準備をなさっている時、妹様方がお休みになられている隣の部屋から、物音がなりました。なにかあったのか調べる為にご主人様が向かわれましたが、小一時間程経ってもご主人様派戻って来ず……隣の部屋を調べてみると、眠らされているご主人様ともぬけの殻となった部屋がございました」
(……もぬけの殻?)
ズキっと頭が痛む……が、少しずつだけど、倒れる前のことを思い出し始める。
『……もう、起きたのか?』
『タイト、おはよう』
『────むがっ!?』
『(────いったい、だ が)』
『ごめんね』
(……頭が痛い)
だけど、完全に思い出すことができた。
ルビー達の部屋から物音が鳴り、様子を見に行くとルビーが部屋の外に出ているのを発見したのを思い出した。
(……たしか、ルビーに寝るのを促して料理の続きをしようと家庭科室に戻ろうとルビーに背を向けた瞬間から、背後から口の中に……うっぷ!?)
口の中に突如広がるチョコ……いいや、思い出すのはやめよう。もう一回気絶するかもしれない。
(それにしても、ルビー達はいったいなにを考えている!?)
俺を気絶させたのはルビーだ。これはたしかに思い出せる。ただ、寿やブイモン、ギルモンもいなくなっていることから、あの部屋にいた全員がグルなのは明白だ。
だが、目的がわからない。どうして、いなくなったのか。どこへ行ったのかその二つがわからない以上、どうしようもない。
────ガラガラ、ガラ。
そんな音が、家庭科室の扉の方から鳴り響いた。
「ハル……私にはルビー達が自分たちの意思で出て行ったように思える」
「だが、彼女達が離れる理由がわからない。私はルビーくん達を攫った何者かがではないかと思っているのだがね」
教授とレナモンだ。
(珍しいな組み合わせだ……話の内容から考えると、わざわざ、いなくなった奴らを探しに行ってくれたのか)
「……おい、タイトが起きているぞ」
「おっ、タイトくん目覚めたのか」
教授達が俺の様子に気がついたのかこちらへとやってくる。
「体はどこか悪くはないかね?」
「いえ、特に問題ありません」
問題はない。
チョコレートを食べたことによる肉体の負荷と精神的に不安定なこと以外は、本当に問題はない。
「────で、ルビーさん達がいなくなっていたということから、敵対してるなに者かに拉致されたのではないのかと、私は考えており……って、ご主人様、話は聞いておりますか?」
クダモンはまだ話してるよ。
「クダモンには悪いけど、教授達にも話が聞きたい」
そう言って、クダモンの頭を撫でる。
「もうっ、しょうがないですね!」
クダモンは頬を膨らませつつも、口角が上がっている。
(……この様子なら、問題なさそうだな)
クダモンが上機嫌なことを確認し、クダモンの頭を撫でつつ教授に質問する。
「教授、ルビー達は?」
教授は首を振った。
(……やっぱり)
「わからない。クダモンに君が倒れていると伝えられた後、急いで校内と周辺を探し始めた。ルビーくん達の『足跡』は見つかっていても、犯人らしき証拠は未だ見つかっていない」
「みつ……っ!?」
見つからなかったか……と思っていたが、突然の情報に驚いてしまう。
「レナモン、その足跡、どこで見つかった」
やばい、もし山の方に行っていたら、大変なことになる。そんなもしもが当たってほしくないと思いながら、レナモンに聞く。
「山道の方……山頂に向かう道に足跡が続いていた。私とハルはこれ以上森の中に入ると他のケモノガミと出会う危険性があると判断し、家庭科室に戻ってきたところだ」
「……山頂ね、山頂……山頂っ、あの森の中に入って行ったのか!?」
なにかの聞き間違いかと思いたかったけど、レナモンはたしかに山頂に向かったと言っていた。
(……これは、本当にマズイな)
森の中に入っていったとなると、今のルビー達では勝てないぐらいのデジモン達が集まっている。急いで俺は立ち上がっ
「────ご主人様!?」
「大丈夫」
……っと、ちょっとふらついた。すぐに立ち上がって、ルビー達を追いかけないと。
「……そんなに森の中が危険なのか?」
「危険どころじゃない。俺達の住むここ以外敵の狩場も同然だ。急いで、ルビー達を追う」
俺は急いでバッグの中から、最低限戦闘に持っていけるものと……昼飯ぐらい持ってくか。弁当を詰め込む。
「ルビー達? ……彼女らは敵に攫われたのではないのか?」
教授にそう聞かれる。
(……そうだよなぁ、状況が理解できないもんなぁ)
「俺を気絶させたのはルビー達だ!」
「「────っ!?」」
教授達は驚いている……けど、弁当は詰め込むことができた。バッグの中に入れて、準備完了。
「クダモンはすぐに出立の準備をしてくれ」
驚いているクダモンに指示を出す。
「はいっ、わかりました、ご主人様!!!」
クダモンは混乱しつつも俺の指示に従ってくれた。
(……そういうところは、あいつらと違ってありがたいよな)
身近にいる3体のデジモンの姿を思い出しつつ、次の指示を出す。
「教授は俺と一緒に行動。レナモンは昨日に引き続き水無瀬ミユキの護衛を頼む」
パートナーデジモンがいない人間が一つの場所に密集してると、主から狙われる危険性がある。だから、教授は連れていく。
レナモンは守れる人間が1人だけなら、今まで通り逃げ切れるだろう。
「わ、わかった!?」
「当然、そのつもりだ」
教授もレナモンもその指示に従ってくれる。
時間は……朝の9時30分。俺が気絶してから、五時間近く時間が進んでいる。
(急がないと)
どんなペースで歩いているのかわからないが、ルビー達が頂上を目指すということは、『
「タイトくん、こちらは準備できたぞ」
「ご主人様、こちらもです!!!」
クダモンと教授の準備完了の声が聞こえてくる。
(……よしっ!)
「すぐに追いかけるぞっ!!!」
「『エキゾーストフレイム』!!!」
「『ブイブレスアロー』ッ!!!」
「「ギャアア────ッ!!!」」
2体のデジモンの必殺技によって、緑色のナメクジのようなデジモンと黒いゴキブリのようなデジモンが消えていく。
「……厄介やったね」
「ウンチを投げてくる敵なんて、ほんっとうに最悪っ! ……ねえ、どこかに破片がついてない?」
ピンクのウンチを投げてくる敵とまるでゴキブリみたいに汚く、早く動き回る敵がいて、汚らしい戦いだった。
(もうっ、本当にもう二度と相手したくないっ!!!)
そう心に刻み込まれる戦いだった。
「ついとらへんよ……それより」
みなみはギルモン達の方を向いた
(……ああ、そっか)
「うん、私達は、タイトが思ってるよりだいぶ戦えてるよね」
「……うん」
私達が思っていたよりも戦えていて、タイトの言葉を少し疑ってしまう。みなみも、そのことが気がかりのようだった。
「ミナミぃ、そっちはだいじょーぶ?」
ブイモンとギルモンに戻った二人がこっちにやってくる。
「こっちは大丈夫や、そっちは?」
「問題ない」
ブイモンがVサインでニカっと笑って見せる……だけど、
「……少し、休もうか」
「…………うん」
全身ピンク色で、臭い匂いを撒き散らしているのはなんとかしてほしかった。
「汚れが落とせる場所が近くにあってよかった!」
「本当だよ、もう」
近くに池があり、なんとか全身を水洗いしてからもう一度頂上を目指すことにした……そんなとき、
「……ルビーっ、こっち来てくれ!!!」
「鉄の塔が立ってる!!!」
ブイモンとギルモンのそんな声が……?
「……鉄の塔?」
「────わあっ!?」
完全に人工物がそこに立っていた。
「これって……?」
「電波塔、やな?」
「それに遠くに見えるのは」
「ロープーウェイや」
この世界に現代的な人工物が生えてることに違和感を覚える。
(……いや、4階建ての校舎も現代的な人工物だけど)
そんなことを思っていると。
「ミナミ、知ってるの?」
ギルモンが首を傾げながら、みなみに質問していた。
「山の上まで簡単に連れてってくれる乗り物やよ」
「簡単にっ!?」
「……つまり、あそこまで行けば」
「山頂は目の前だ!」
みなみの言葉を聞いた二人が楽しそうにロープウェイが見える崖まで走っていく。私達もその後ろ姿を追っていくと……見慣れない『モノ』がそこに立っている。
「……あれって」
「────まさか、人!?」
銀色の髪に、赤いワンピースの女性の後ろ姿を見つけた。
「……ん、貴方達は!?」
正面を向いたその姿は少しだけ浮世離れしている美人な顔立ちに、金色のメッシュが入った髪、スラっと長い足でモデル体型のような女性がそこにいた。
「……っ」
その女性がこちらに気がついたのか、ゆっくりとした足取りでこちらに向かってくる。
「ルビーっ!?」
「ミナミっ!!!」
ブイモンは私を、ギルモンはみなみを守るように女性に立ちはだかる。
「ごめんなさい、この世界で初めて人に出会ったから驚いてしまったの……あなたのご主人様には近づかないわ」
女性は優しい微笑みを浮かべながらこちらを見るけど、少しだけその姿に寒気を感じる。
(……だけど、いきなり警戒するのも失礼、だよね)
相手が人間ということもあり、気の迷いだとその考えを改めた。
「……ブイモン」
「……わかった」
私は指示を出し、それに答えてブイモンは警戒を解いた……けど、
「グルルルル」
ギルモンは彼女を睨みつけるどころか、牙を剥いて警戒し始める。
「……みなみ」
ブイモンがみなみに促す。みなみもそれに頷いて、ギルモンを宥めようと隣に立つ。
「ギルモン落ちついてぇな」
「グルルルルッ!!!」
さらに牙を剥いた。
(……これは、だめだ)
ギルモンの様子からみなみは動けない……それなら私がと思い、女性に近づく。
「……私達はこの世界に迷い込んでしまって……元の世界に帰るためにこの世界のことを調べてるんですよ。なにか知りませんか?」
ギルモンが警戒してるけど、情報はほしいので女性にこの世界から出る方法はないのかと聞いてみる。
「私も、気がついたらこんな場所にいて……どうすればいいのかわからなくて、人工物を探していたんですよ。そしたら、ここにたどり着いた……というわけです」
「グルルルルッ!!!」
女性が困ったように言うと、ギルモンが更に唸り声を上げた。爪が光を放ってる。攻撃する前段階だ!?
「ギルモンも落ち着いて、な! どうしてそないに怒るんや?」
みなみも必死になってギルモンを止める。
「ギルモン、こいつ嫌い!!!」
「まあ、酷い!?」
ギルモンは牙を剥いて、女性を否定する。
「ギルモン、初対面の相手にそないなこと言ったらあかん」
「だって、こいつ……」
みなみもギルモンを宥めようとするけど、ギルモンも引き下がらない……えっ!?
「ギルモン、しぃー」
「ブイモン?」
ブイモンがギルモンに耳打ちをしたら、なんとかギルモンは牙を剥くことはなくなっていた。
(いったい、なにを言ったのかな?)
そんなことを思っていると、みなみが女性に近づいた。
「落ち着いたみたいやね……どうもすんません、ウチのギルモンが」
「いえいえ、問題ありません……どうやら、精神が幼いようですし、仕方ありませんよ」
「ありがとうございます」
ギルモンのことを謝ってるみたいだ。
(……それ、なら)
女性を見て、警戒したギルモン。もしかしたら、本当に警戒すべきはあの女性なのかもしれない。
私はこっそりと、ブイモンとギルモンに近づいていく。
「……それにしても、貴方達はあそこに向かいたいんですか?」
話題が変わった。
私達の目的の話だ。
「……」
ちらっと、みなみがこちらを向いたので頷いてみる。
(たぶん、話してもいいか聞きたいんだと思う)
みなみ自身もこの女性のことを疑っていて、私の判断に任せたんだ。みなみも私を見て、頷いて女性に話し始める。
「……そうです。ウチ達はあのロープウェイに向かってます」
あの先に山の頂上が見える。
『タイトの目的は山の頂上へと行くこと』
それなら、私達の目的とも合致してる。
「だったら丁度よかった。私は彼方の方からやって来ました。道案内ができます」
女性は微笑みながらそう言い、みなみの方へと近づいていく……でも、
「…………」
「また、あなたですか」
ギルモンは再び女性の前に立ち塞がった。
「ミナミ、だめ」
「だめってどうゆうことや?」
「ギルモン、嫌な予感する。このままついてったら、嫌なことになる」
みなみに対して、絶対にロープウェイに行ってはいけないと警告するギルモン。
「…………」
その姿を見て、みなみは考えているようだった。そして、みなみがギルモンを連れてこっちへとやってきた。
「……どうする?」
「ギルモンのことは信じたいけど、目の前にある情報もほしい」
私は情報がほしい。
「……俺は、怪しいと思う」
ブイモンは警戒してる。
「ウチは大丈夫やと思うけどな」
みなみは女性に対して大丈夫だと判断した。
(……うーん、どうすれば)
いいのか考えた……けど、いい案は思いつかない……それでも、
「私は、怪しくてもこのまま進んでいいと思う」
私はそう思った。
「……なんで、そう思った?」
「今の私達でもこの森は苦戦せずに突破することができた。なら、罠でも正面突破できると思うから」
この山に私達の相手ができるデジモンは既にいない。なら、正面から叩き潰せば問題ないよねと考えた。
「……」
ブイモンは顰めっ面でこっちを見ている。
「…………どう?」
ちょっとだけ心配になり、答えを聞いてしまう。
「ウチはええと思う」
「俺も、必ずルビーを守って見せる」
みなみもブイモンも私の案に賛成してくれた……あとは、
「……ギルモンは?」
この話し合いの間、ずっと黙っていたギルモン。彼女に対して、本当に警戒心を解いていないのか、目を血走らせながら未だ彼女を睨みつけているけど、
「…………わかった」
その一言が口から溢れた。
「ついていくことに決まりました。案内お願いします」
「ええ、いいですよ」
がたんがたん、とロープウェイが動く。
「なんや、なんも起こらんやん」
「…………」
ギルモンがみなみを守るように警戒しながら立っている。逆に、みなみはいつまでたってもなにも起こらない現状に気が緩んでいた。
(……ギルモン、相変わらずあの女の人のことを睨んでるね)
(それほど、警戒する奴なのかな?)
私達はコソコソと女性の方を見て話している。
「ギルモン、あと半分くらいや……もうすぐつくで!!!」
そうしていると、みなみが山の頂上が近づいていることに興奮していた。きっとギルモンを楽しませようと声をかけたんだろう。
「グルルルル」
……だけど、ギルモンは女性から目を離さない。
「…………」
「…………」
数分の時が流れる。
このまま静かに、なにも起こらず頂上に向かうのかと…………そう思っていた時だった。
────
「うわっ!?」
「わわっ!?」
「なんやっ、いったい!?」
私達は近くにあった手すりに捕まる。
「……急に、ロープウェイが止まった?」
やはり、なにか起こったのだ。そう思って、女性の方を向く。
「……ふふふ」
私達を見て冷たく笑う女性。
(やっぱり、こいつが────
「『ロックブレイカー』!!!」
────ガキンっ!!!
ギルモンが体勢を整え、女性に向かって必殺技を繰り出す……ところが、
「残念な子供達」
「……うっ、ギギッ!」
「────なっ!?」
女性はギルモンの攻撃を片手で受け止め、私達に向かって笑った。
「────ぎゃっ!?」
ギルモンをロープウェイの床に叩きつけ……っ!?
「────ロープウェイの外に出た!?」
今、私達が乗っているロープウェイは、人間ならすぐに死んでしまうような高さで止まっている。
「グルルルル」
だけど女性はなんの躊躇いもなく、外に……出た!?
「その子の言うことを聞いていれば、私達の狩場に辿り着くこともなかったというのに」
「
空中に立っている女性。
明らかに人間じゃない動き……まるで、デジモンのような…………
「────
ブイモンの指示が聞こえる。
(写真……いったいどういう……あっ!?)
ドクグモン達との戦いを思い出した。
(たしか、写真にはこの世界のことがハッキリと映るんだった!)
「うん、わかった!!!」
デジヴァイスを取り出して周囲の写真を撮り始める……すると、
「……なに、これ」
「
ロープウェイを含め、電線や周囲の木々、崖、至る所に頑丈そうな蜘蛛の糸が張っている。
「ようやく、ようやくわかった……おまえ、アルケニモン*1
!!!」
ギルモンがそう叫んだ。
「アルケニモン!?」
写真に写ったその女性……いや、人間よりも大きな『紅い蜘蛛』は私たちに向かって大きく嗤い出した。
「うふふ……あーっはっはっは、ようやく気づいたの。ずいぶん気づくのが遅かったじゃない」
「ギルモン、知ってるの?」
警戒するギルモンにみなみが聞いてしまう……そうだっ、あの機能があった。
「アルケニモン……今調べるね」
私はデジヴァイスと『聖なる……『初代デジヴァイス』をコードで繋いでアルケニモンの方に向ける。
『アルケニモン』
レベル:完全体
タイプ:魔獣型
属性:ウィルス
必殺技:『スパイダースレッド』
『プレデーションスパイダー』
「……アルケニモン、『完全体』……っ!?」
「────完全体!?」
私とみなみはつい大きな声で驚いてしまう。
理由は、私達の目の前に初めて現れた成熟期を超える『完全体』デジモン。その姿は禍々しく、恐ろしいデジモンが敵として現れたからだった。
「ギルモン知ってる……アルケニモン、ここの森にいるドクグモン達の支配者。強くて恐ろしいデジモン。虫のデジモン達と一緒に、たくさんのデジモンを痛めつけるのが大好きな奴」
みなみの質問に答えるギルモン。その答えに、背中にヒヤリと冷たいものを感じてしまう。
「よぉく、知ってるじゃない。なのに、見た目が『ニンゲン』ってだけで、警戒しないそちらのニンゲンは、貴方からすればだいぶお粗末なんじゃない」
そう言ってみなみのことを嘲るアルケニモン。
「────うるさいっ、ミナミのことを悪くいうな!!!」
ギルモンの怒号と共に、私達も正気に戻った。
「ルビーっ!!!」
「────うん!」
進化をしようと初代デジヴァイスを光らせる。
「それはもう知っている……だけど、その中で進化できるかな?」
でも、それをしようとした時、アルケニモンのその言葉が聞こえて来た。
「ブイモン、進化だ……あっ!?」
「────なっ!?」
私は進化を辞めた……理由は、
「あんた達のその小道具のことは主様から聞いている。その小道具の力で進化してるのだろう? だけど、あんた達のケモノはその中で進化できるのかい?」
『人間用のロープウェイという狭い空間で、大きなブイドラモンには進化できない』……ということに気がついてしまったからだ。
(このまま進化すると、私達までペシャンコだ!?)
「……くっ!?」
「────てめえっ!!!」
アルケニモンはここまで戦況を読んで、私達を罠に嵌めたのだろう。
「ギルモンっ!!!」
「『ロックブレイカー』っ!!!」
みなみの指示で扉に張っている蜘蛛の糸を外そうとするけど、
────ガキンっ!
蜘蛛の糸には傷一つつけられなかった。
「ドクグモンの糸を切れなかったあんた達の力じゃ、私の巣は壊さないよっ!!!」
その様子を見て、高揚したように私達を嘲るアルケニモン。
「……グルルルル」
「……そんな」
状況は最悪、脱出方法もない密室空間、自分達よりも遥かに強い相手……そして、
「
アルケニモンのその一言が森の中に響いた途端、
「……嘘、だ」
「ありえない」
5体のドクグモンと5体の見たことのない昆虫のデジモン達が現れた。
「スナイモン*2にクワガーモン*3、ヤンマモン*4にフライモン*5……カブテリモン*6までっ!?」
「ミナミっ!!!」
ブイモンとギルモンが焦り始める。
(なによっ、なんなのよ!?)
自分達よりも強いデジモンとブイドラモンやグラウモンと同等のデジモン達が群れになって襲いかかってくる。
悪い夢だと思った。
だけど、ロープウェイを攻撃し続けるブイモン達にやって、現実だって認識させられる。
……そして、
────ダッダッダッ!!!
地を蹴るような大きな音共に、アルケニモンが乗っている蜘蛛の巣に大きな狼のデジモンが現れた。
「…………」
「……さらに、増援?」
蒼白いデジモンは私達を睨みつける。
「本当にヤバくなって来た」
ブイモンが私の前でそう言った。
(……知ってるの?)
(アイツはガルルモン*7……昨日戦ったファングモンと同じぐらい早い奴だ)
(……そんな)
ファングモンと同等クラスの相手……つまり、今の私達では相手にならない存在が、再び目の前に現れたのだ。
「アルケニモン、奴はどうした?」
だけど、ガルルモンの様子がおかしい。誰かを探してるみたいだ。
「おや、ガルルモン……あんたの探している子供はここにはいないのかい?」
「俺の探している奴はここにはいない」
「じゃあ、とっくに死んでるんじゃないのかい?」
「────貴様っ、奴は俺の獲物だ!!!」
おもしろがるように挑発するアルケニモンと激怒するガルルモン。どうやら、相手も仲がいいわけではないらしい。
「へえ、そうかい……じゃあ余り物の中にいるんじゃないかい? それに、奴等の増援が来ないよう、あんたには見張りを頼んだはずだ」
アルケニモンが睨みながらガルルモンを諭す。
(ガルルモンが命令を反故にしてまで探す人間?)
ブイモンが小声で気になるようにそう溢した。そんな人がこの世界に来ているなら、ガルルモンの相手をして欲しかった。
「…………」
アルケニモンの恫喝に黙るガルルモン。このまま時間を稼いでくれないかな……と思った時だった。
「わかったのなら、さっさと行きなっ!!!」
「…………ちっ!」
(……ああっ!?)
アルケニモンに怒鳴られ、山に戻っていく。
(もう少しだけ時間を稼いでほしかった)
「まったく、酷いったらありゃしないよ……司祭の命令じゃなきゃあんなのを私の軍団に同行させなかったっていうのに」
愚痴をこぼすアルケニモン。
「…………」
(どうすればいい?)
もう時間を稼いでくれる相手はいない。
「『ブイモンヘッド』っ、『ブイモンヘッド』ッ!!!」
「『ロックブレイカー』ッ!!!」
こんなにも必死になって攻撃し続けるブイモン達……だけど、アルケニモンの糸は傷ひとつつかない。
(みなみはボーッとしてるし、ブイモン達の攻撃じゃアルケニモンの糸は絶対に壊せない。進化したら、ロープウェイにかかる負荷で糸が千切れちゃう……いったい、どうすればっ!?)
私は昨夜と……今朝の行動を後悔した。
(……私のせいだ。私があんな提案をしたから……みなみ達を危険な目に遭わせた。私が、私があんなことをせずタイトと一緒にこの山の頂上を目指していれば……っ!?)
スッと、手のひらが暖かくなる。
「……へっ?」
ぼーっとしてると思ったみなみが、私の手を握ったのだ。
「大丈夫やよ」
みなみは優しげに私に微笑んだ。
「みなみ?」
「大丈夫、だいじょーぶ」
「
「……タイト、が?」
タイトが、来てくれる?
「今更仲間が来るのを待つのかい……でも、そんなことは絶対にない」
アルケニモンの嘲笑う声が聞こえる。
「私の仲間がこの山中の見張りを行っている。造園に来るのを防ぎ、足止めも頼んだ。ここで貴様らを倒すためにっ!!!」
たくさんの見張りがいることも、さっきのでわかってる。
「どうだい? 恐ろしかろう…………でも、そんなときももう終わりだ」
だけど、もう怖くない。
みなみの言ってくれたその言葉で、怖くなくなってしまった。
「貴様等の息の根を止めてやる……行けっ、お前達っ!!!」
アルケニモンの号令と共に、一斉に突撃してくるデジモン達。
────ブォンッ!!!
────ブルンッ!!!
────ブオオンッ!!!
────ブオンッ!!!
────ブルルンッ!!!
やっぱり、大きな羽音を聞いたら怖くなってきてしまった。
「『ブイモンヘッド』ッ、『ブイモンヘッド』ォッ!!!」
「『ロック、ブレイカー』ァッ!!!」
ブイモン達の攻撃は一切通っていない。
「────もうだめっ!!!」
────
そう思ったとき、聞いたことのある大きな音が鳴り響いた。
「
みなみのその声が聞こえ顔を上げると、
「……えっ?」
「
タイトが私達の目の前に立っていたのだった。
「だってな、タイトくんはルビーの為なら絶対来てくれるんやから」
ギリシャ神話に登場する「蜘蛛の女王」の姿をした魔獣型デジモン。全てのドクグモンを統べる女王であり、知性が高く非常に狡猾なデジモン。人間のような姿に変身するのが得意で気を許して近づくとアルケニモンの餌食となってしまう。また、非常に短気で凶暴な性格なので、多くのデジモン達から恐れられている。必殺技は切れ味の鋭いワイヤーで敵を切り刻む『スパイダースレッド』と腹部に隠れている無数の肉食ドクグモンで敵を襲う『プレデーションスパイダー』。
ウィルスハンターとして研究所で造られた実験体デジモン。カマキリのデータから造られており、正確な機械のようにターゲットを追い詰める。冷たい性格でワクチン種からもデータ種からも恐れられている存在だ。両腕の大鎌は鋭く研ぎ澄まされており、あらゆるものを鋭利に切り刻むことが可能となっている。スナイモンは目を持たないデジモンであるが、頭から生えた赤い触覚がセンサーとなっており、ターゲットの位置を正確に捉えることができる。必殺技は、目にも止まらない超音速の一刀『シャドウ・シックル』。
頭部に巨大な鋏を持った昆虫型デジモン。カブテリモンと同様にファイル島に生息している同種よりはるかに優れた戦闘能力を有している。強靭なパワーと硬い甲殻に守られており、特に鋏の部分のパワーは超強力で一度敵を挟み込むと、相手が生き絶えるまで締め上げる。ワクチン属性のカブテリモンとは完全に敵対関係にあり、お互いの間には「闘争」しか存在しない。必殺技は硬質の物質を簡単に切り裂くことができる『シザーアームズ』。
巨大な昆虫の「オニヤンマ」のデータを取り込んだデジモンで、非常に原始的なデジモンと言われている。体は硬い外殻で覆われており、その硬さはグレイモンの頭部と同等で、かつ非常に体が軽いため高速で飛び回ることが出来る。必殺技は電撃を帯びたレーザーを掃射する『サンダーレイ』と、羽ばたきで強烈な電磁波を生み出す『インセクスオーム』
凶々しい巨大な羽を持つ昆虫型デジモン。その巨大な羽で超高速で飛び回ることができ、飛行中にブーンという巨大なハウリングノイズを発生させ、聞くものの聴覚をマヒさせてしまう。体は硬い外殻に守られており、大きな鉤爪で敵を挟み込み尻尾の超強力な毒針で死に至らしめる。昆虫型デジモンの進化過程は未だ不明だが、顔の形から推測するとクネモン種から進化したと考えられる。必殺技は尻尾の毒針を飛ばす『デッドリースティング』で、この毒針を刺されたデジモンは全身がマヒし、体が紫色に変色していき絶命するという。ちなみに、この毒針は何度でも生え変わるという厄介なもの。
新たに発見されたデジモンのなかでも、かなり特異な昆虫型デジモン。どのような経緯で昆虫タイプに進化したのかは不明だが、蟻のようなパワーと甲虫が持つ完璧な防御能力を併せ持っている。性格は昆虫そのもので、生き抜くための本能しか持っていないため知性などは皆無。敵対関係であるウィルス属性のデジモンには容赦なく襲いかかる。頭部は金属化しており、鉄壁の防御を誇る。必殺技は『メガブラスター』。
青白銀色の毛皮に体を覆われた、狼のような姿をした獣型デジモン。その体毛は伝説のレアメタルと言われている「ミスリル」のように硬く、肩口から伸びているブレードは鋭い切れ味を持っており、触れるものを寸断してしまう。極寒の地で鍛えられた筋肉と激しい闘争本能を持ち、肉食獣のような敏捷性と標的を確実に仕留める正確さを持っており、他のデジモンからは恐れられている存在。しかし、知性が非常に高く、主人やリーダーと認めた者に対しては忠実に従う。必殺技は口から吐き出す高熱の青い炎『フォックスファイアー』。
「……もぐもぐ」
「ーーーーバリッ! バリッ!」
「いいですぞっ!」
「がんばえぇええええっ!!!」
「……ふぅ、やはりなんど見ても、『デジモンアドベンチャー01』は神ですな」
「……ん?」
「なにか、光ってる?」
「ぎょおええええっ!?」