産まれた推しの子の電脳物語   作:阿後回

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「ーーーーハルっ、下がれぇっっ!!!」

瞬間、大木のような白い前足が降り注ぐ。

「『コ(・)キ(・)ュ(・)ー(・)ト(・)ス(・)っっ、ブ(・)レ(・)ス(・)』っ、……ーーーーゔぐぁっ!?」

彼は土壇場で進化した力を全部使って、その一撃を防ぐ。だが、その圧倒的な個の力に、『究極体 メタルガルルモン*1』の力は吹き飛ばされる。

「メタルガルルモンっ!?」

「……来るなっ!!!」

メタルガルルモンは全身全霊の一撃をかき消された事により、余波だけで背後にいるパートナーの命の危険を感じとった。

(こんな相手にをケモノ2匹で相手しろとっ!?)

驚愕と恐怖で戦慄するメタルガルルモン……そして、

「……ほう、これでも倒せぬか」

巨大な虎は不適な笑みを浮かべ、



「な(・)ら(・)、(・)も(・)う(・)少(・)し(・)本(・)気(・)を(・)出(・)す(・)と(・)し(・)よ(・)う(・)」


さらなる力を解放した。

(……くっそ、あの邪神の言うことなんざ聞くべきじゃなかったっ!!!)

急いで背後のパートナーと『気絶している二人』へと近づきながら、今朝の一幕に後悔をした。


『それじゃあ、君達には二組に別れて『四聖獣』と戦って来てもらおうか』


笑顔でそう言ったイグドラシル。
目的は……というより、ルビーとみなみの関係悪化によって、チームの不和が生じる事による失策を防ぐ目的だったらしい。

『ウチはそれでええよ』

『……わかった』


最も、同意したのはこの2名だけで、教授もミユキもレナモンも……そして、メタルガルルモンも否定していた。だが、最終的には別れて戦うことになってしまった……その結果が、


初撃による『ブイモン』とルビーの気絶。


土壇場で進化せざるえなかったメタルガルルモン。


それでも、倒すどころか『防戦一方』な戦況。


(どう考えても、全員で来るべきだった。気絶してる馬鹿とあん畜生に同意したアホが力を合わせれば……こんなことにはっーーーー




「『金剛(こんごう)』」



だが、メタルガルルモンにはそんなことを考えている時間はない。

「ーーーーっはぁっ、っっ!?」

身の危険を感じ、咄嗟の判断で上空へと退避する。

ーーーードオンっ!!!

メタルガルルモンの走っていた地面は『金属』へと変わり抉れている。

(……あんなのを喰らったらひとたまりもないぞ)

自身ではなくパートナーの事を考える。
炎でも水でもなく、見ることのできない音の攻撃、しかも『今の自分』が咄嗟に避けなければならない威力の技が、パートナーである教授がいるこの場所に放たれ始める事を理解した。

(適当に避けている場合じゃない!?)

メタルガルルモンの次の行動が決まった。

「これも、避けるか」

バイフーモンは次の攻撃を貯め始める。

(今は避ける事しかできない)

メタルガルルモンは上空を駆け回りながら、パートナーの下へと走る。


「ではもう一度、『金剛(こんごう)』」

「ーーーーっ、てっ……まだっ!!!」


自身の真後ろ、先程まで駆けていた天井が金属に変わる。

「ーーーーっ、」

音によって砕け散った金属の塊が地面へと落ちた音がした。

「メタルガルルモンっ!!!」

だけど、メタルガルルモンも自身の目標まで辿り着く寸前であった。

(ーーーーあと少しっっ!?)

視界の片隅に、バイフーモンの口が開くのが見えた。メタルガルルモンは急遽、胸部の装甲を開き、砲門に弾を装填。


「『金剛(こんごう)』」

「ーーーーっ、『ガルルトマホーク』!!!」


必殺技がぶつかり合うことで起爆……その余波で『ガルルトマホーク』の中から噴出した冷気ガスが爆発するが、バイフーモンの『金剛(こんごう)』で『金属化』し、教授とバイフーモンを挟む金属の壁が出来上がった。

(これなら、少しは持つだろう)

メタルガルルモンは教授の前に降り立つ。

「ハル、そいつらを背中に乗せろっ……早くっ!!!」

メタルガルルモンは教授に背になるように促す。
バイフーモンの攻撃が飛び交い、いつ、『金属(あんなふう)』になるかわからない場所で、無力な味方がいるこちらが、味方に配慮しながら避け続けることなんてできない。メタルガルルモンはそう判断し、教授へと接近していたのだ。

「ーーーーっ、わかった!!!」

教授は、パートナーの真意を汲み取り、倒れている二人をメタルガルルモンの背中に急いで『縛りつける』。

「ハルも早くっ!!!」

……そして、


「ーーーー行くぞっ!!!」

「ーーーーくっ!?」


たった二人の耐久戦が始まった。


「『コキュートスブレス』っ!!!」

「『金剛(こんごう)』」


「『グレイスクロスフリーザー』!!!」

「『金剛(こんごう)』」


「『ガルルトマホーク』っ!!!」

「『金剛(こんごう)』」



(……早くっ、早く起きてくれっ!!!)

メタルガルルモンは気絶した二人に願う。

(出ないとっ!?)

焦燥と怒り、その二つが混ざり合う中、


(このまま死ぬぞ!!!)


確定した『絶望』が降り注ぐのであった。




ただ、メタルガルルモンは気づかない。ルビーのポケットが少しだけ白く光っていたことに。

*1:
レベル:究極体 タイプ:サイボーグ型 属性:データ種 必殺技:『コキュートスブレス』『ガルルトマホーク』『グレイスクロスフリーザー』
ほぼ全身をメタル化することでパワーアップした、ガルルモンの最終形態。メタル化をしても持ち前の俊敏さは失っておらず、全身に隠されている無数の武器で敵を粉砕する。鼻先にある4つのレーザーサイトからは不可視のレーザーを照射しており、赤外線、X線などあらゆるセンサーを使って前方の対象物を分析することができるため、視界の届かない暗闇のなかでもメタルガルルモンから逃げることは不可能である。また、背部から伸びたアームからビーム状のウィングを放出して超高速でネット空間を飛び回ることができる。必殺技は全ての物を氷結させてしまう絶対零度の冷気を吐き出す『コキュートスブレス』。この攻撃を受けたものは瞬時に生命活動を停止してしまう。また胸部からフリーズボンバーと呼ばれる巨大なミサイルを発射する『ガルルトマホーク』、そしてメタルガルルモンの持つ武器を一斉発射する『グレイスクロスフリーザー』で敵を一掃する。




第六話 到達、『究極進化』 私の望んだ本当の『未来(こたえ)』

 

 落ちる

 

 落ちる

 

 

 落ちる

 

 

 

 

 落ちる 

 

 

 

 

 

 

 

 

 落ちる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 落ちる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 …………ここは? 

 

 長く、長く落ちている気がした。

 

 今まで自分がなにをやっているのかすら思い出せなかった。

 

 暗くて、自分以外のなにも見えないこの世界。いつもの夢とは違う違和感に首を捻った。

 

 …………? 

 

 ……ううん。

 

 見知った物を探して歩き始める。わからないことだらけで、困ってるけど、歩き始める。

 

 だって、

 

 

『ここにいてもなにもわかんないから』

 

 

 ……なにか、……今なんて考えてた? 

 

 思い出せない。

 

 でも、歩き始める。

 

 歩く、歩く。

 

 歩く、歩く。

 

 歩く、歩く……あれ? 

 

 ────っ!? 

 

 

 ブイモン? /ルビー? 

 

 なんでここにいるの? /ここはどこだ? 

 

 ……知ってるのか? 

 

 ……うん。

 ここはタイトの記憶の中。

 

 タイトの記憶の中? 

 

 そう、タイトの記憶の中。

 

 なんでそんなことがわかるんだ? 

 

 なんども来てるから。

 

 なんども? 

 

 なんども。

 

 ……どうしてそんなところにいるんだ? 

 

 わかんない……でも、

 

 でも? 

 

 たぶん、イグドラシルから渡されたアレのせいだと思う。

 

 …………アレ? 

 

『今世のタイトの良い記憶』。

 

 ……ああ! 

 

 忘れてたの? 

 

 忘れてたよ。

 

 

 

 そんなことを話しながら二人は歩く。

 

 歩いて、歩いて、歩いて、歩いて。

 

 

 

な(・)に(・)か(・)が(・)見(・)え(・)る(・)/な(・)に(・)か(・)い(・)た(・)。

 

 

 なにかが目の前にいる。

 そのなにかに向かって、この世界に一本だけスポットライトが当たってるように光がさしている。

 

 ……あれは? 

 

 二人で近づいてみる。

 

 …………そこにいたのは、

 

 

 

「うっ……ぐすっ」

 

 

 

 ────っ!? /……子供が泣いてる? 

 

 そこにいたのは、タイトだった。

 小さい頃のタイトだった。

 

 年齢は一歳ぐらい。普通の人にとっては赤ちゃんでも、私達(ルビーとアクア)にとっては、子供ではない。

 

 ……ねえっ!? 

 

 だけど、なんで泣いてるのか気になって、その子に声をかけた。

 

 

 

『最(・)初(・)は(・)愚(・)か(・)な(・)女(・)だ(・)と(・)思(・)っ(・)た(・)』

 

 

 

 タイトが消えて、そんな声が響き渡る。

 

 

 ────っ!? /────っ、なんだっ!? 

 

 

 暗い世界が突如明るくなって、

 

 

「うぇええんっ!!!」

 

「ルビー、泣いちゃだめだぞ〜〜」

 

 

 金色に髪を染めた男性が女の子を、

 

 

「…………」

 

「アクアっ、そっち言っちゃダメっ!!!」

 

 

 茶髪の女性が男の子を追いかけている。

 

 

 ────うそっ!? 

 

 どうしたルビーっ!? 

 

 なんで、おじさんとミヤコさんがっ!? 

 

 ルビー落ち着けって、周りをよく見ろっ!!! 

 

 走ってきたアクアが私の足下をすり抜けた……すり抜けた? 

 

 これは記憶なんだろ? だったら、今の俺達にぶつかるはずがない。

 

 ……そっか。

 

 少し寂しいような、もどかしいようなそんな気持ちになってしまう。

 

「ふぅ、ようやく落ち着いた」

 

「……こっちもよ」

 

 椅子に腰をかける二人。そんななか、扉が開く音が聞こえてくる。

 

 

「ただいま!!!」

 

 

 夜空色の髪の女性が部屋に入ってきたのだ。

 

 ────ママっ!? 

 

 これが、ルビーの母親? 

 

「おかえり、アイ」

 

「おかえりなさい、アイ。職場によってくるにしてはずいぶん遅かったじゃない。その荷物はどうしたの?」

 

「この前、『タイト』がお乳も今買ってる粉ミルクも上手く飲めてなかったみたいだったから、他の会社の粉ミルクを買ってきたの!!」

 

「おいっ、お前そんなところ見られたらどうする!!!」

 

「だってぇ、しょうがないじゃん。帰ってくる途中でドラッグストアが目に入って、タイトのことを思い出して、そのことが急に気になったんだもんっ!」

 

「……お前なぁ、もう少し危機管理ってものを」

 

 他愛のない会話。

 ただ、それだけで少しだけ理解できた。本当にここがタイトの記憶の世界なのだと。

 

「そんなことよりさ、アクアやルビー、タイトはどうしてるの?」

 

 ママは私達のことを聞いてくる。

 

「アクアとルビーは寝てる、タイトは……起きてるみたいね……」

 

 ミヤコさんは呆れているが、ちゃんとママと話している。

 

「あっ、おいまだ話は終わってないぞ!!!」

 

 おじさんは怒ってるけど……それでも、ミヤコさんが止めてくれてる。

 

「いいじゃない……アイっ、誰にもバレてないんでしょう?」

 

「うん、帰ってくるときにちゃんと確認したよ!!!」

 

「……なら、いいわっ!!!」

 

「…………」

 

 懐かしいと思ってしまった。

 少し前まで、私の日常はあの中にあった。今は違う。戦って、戦って、戦い続けている。

 

「そっか、じゃあただいまの挨拶してくるねー」

 

 ママが軽く手を振るだけで懐かしく感じる。

 

 ああ、そうだ私の帰るべき場所はここなんだ。

 

 そう思えてしまったのだ。

 

「おい、ちょっと!?」

 

「アクアやルビー、タイトもだいぶ大きくなったし、これならライブに連れてっててもいいかなあ?」

 

「えー、いいじゃん。タイト達は滅多に泣かないし、この子達だってきっとライブが見たいはずだよー!」

 

「ねえ、タイトもマ(・)マ(・)と同じことを思うよねー」

 

 ……あっ、こいつの目が見開いた。なにかに驚いたのか? 

 

「だって、ママのライブを見たいって思うよねー、タイト」

 

 ……ん? ホントだ!? めっちゃ嫌な顔してる!? 

 

「アイ、ガキが返答するわけないだろ」

 

「あら、珍しい、タイトがアクアやルビーみたいにじっとママを見つめてくれてる……今日は珍しく、眠そうにしてないもんね。生まれてからずっと眠そうな顔してたのに……今日はお目目がパッチリ!!!」

 

 ママに抱かれてるのに固まってる。

 

 これは、……魅了されてるわけじゃない。なんか、こう呆然としてるような……別のなにかであってほしいというような……

 

「……あっ、そうだ。タイトには言えなかったことがあるんだ。アクアたちみたいにいつも起きていてくれなかったからね、改めて言うね」

 

 ミヤコさんに手を伸ばしてる……もしかして? 

 

『最初は愚かな女だと思った』って言ってたよな!? 

 

 

「ただいまー、ママだよ、『ターフェアイト』。私アイドルなんだ、これからよろしくね」

 

 

 ママの子供って信じたくないってことっ!? /こいつ、現実逃避してやがるっ!? 

 

 

『愚かな女だと思った』

 

 

 ママがタイトを抱き上げながら笑いかけるが、嫌がるタイト。

 

『二十歳にもならない少女(ガキ)が子供を産む。そんなことは絶対にあってはならない』

 

 ただ、その言葉で少しだけタイトの昔の話を思い出した。タイトは中学生にも満たない子供の頃に、性教育を受けていないにも関わらず、性行為を行ってしまった。

 

『遊び半分で産んだのかと思っていた』

 

 だから、タイトは信じられなかったのだろう。

 

『だから、『魅せられた』のだろう』

 

『あの光に』

 

 

 

 バブッバブ、バブバブ、バブッバブ、バブバブ!!! 

 

 

 

 ……これ、ルビー? 

 

 あはは、こんなこともあったねぇ……タイトの目線が冷たい。

 

 今度はタイトを『抱きしめる』ママの姿がそこにあった。

 

 

『……そして』

 

 ────えっ!? /は? 

 

 私とブイモンはその光景を見て固まってしまう。

 

 

私(・)達(・)を(・)見(・)て(・)笑(・)う(・)マ(・)マ(・)と(・)マ(・)マ(・)を(・)見(・)て(・)見(・)惚(・)れ(・)た(・)タ(・)イ(・)ト(・)。

 

 

 その光景を私達は信じることができなかった。

 

『まったく、おかしいよな』

 

 理解ができない。

 

『あんなに痛めつけられたのに、あんなに苦しめられたのに』

 

 タイトの姿を客観的に見て、呆れる『タイト』。

 

『たった一回の『出来事』で魅了されるなんて』

 

 だけど、その声が上擦っているのは気づいていなかったのだ。

 

 

『だから、こんなことも受け入れてしまう』

 

 

 タイトを抱きしめるママ。

 

 

『怖がってるの? 大丈夫だよ、ここにはあなたを傷つける人なんていない』

 

『嘘だっ! 俺は知っている。あんたが俺達に嘘ついているってことをっ! あんたは決して俺達に本心を見せない。そんな人間をどう信じろって言うんだ!!!』

 

『────っ!?』

 

『…………嘘つきだってバレてたんだ』

 

『でもね、タイト…………私の嘘は貴方を守る為にあるの。貴方が大きくなるまで、私の元から離れるまで…………ずっと、守り続ける為にあるの』

 

『タイトは何を怖がってるの?』

 

『……ママは強いんだ。たとえタイトが怖がってても、どんなに怖いモノが来たって、ちゃんと守ってあげる』

 

『い、いやだっ、はやくボタモンを進化させないと……はやく力を手に入れないといけないんだ……時間なんて会ってないようなものなんだ!!』

 

『そうだね、ないかもしれない……でもね、ママはきっとあなたを守るよ。だってこんなにも怖がってるタイトを見捨てることなんてできないし、タイトの為だったら無限に力が湧いてくるんだから』

 

 

 言い争う中、タイトに向かって微笑み、安心させようとする抱きしめるママ。タイトの慟哭は響き渡る。

 

 ……すごいな。

 

 うん、すごいね。

 

 ママとコロちゃん。

 どうしてこうなったかはわかんないけど、タイトを止めた姿を見て、すごいと思ってしまった。

 

 

『だから、『信じて』しまったんだ』

 

『人間を』

 

 

 場面が変わる。

 

 薄暗い部屋の中、一人の男がママを見て薄気味悪く笑い、

 

 

「俺を、俺を裏切ったな。アイィイ」

 

 

 そう呪っている姿を。

 

 

 ────っ!? /……ルビー、こいつはっ!? 

 

 ママのストーカーだよっ!!! 

 

 悪いやつだよな? 

 

 悪いやつ!!! 

 

 やっつけるぞ!!! 

 

 攻撃が当たらないっ……って、あれ? 

 

 

 ストーカーが消えて、タイトの姿に変わる。たしか、2歳ぐらいの頃のタイトだ。

 

「……くっそっ!?」

 

「情報が足りない。資料が足りない。時間が足りない……そしてなによりもっ!!!」

 

 

「証拠がないっ!!!」

 

 2歳の子供が頭を悩ませている。

 

 

「デジモン? ケモノガミ? ……くっそっ、目の前の脅威も排除できないのに、未来のことなんて考えてられるかっ!?」

 

 子供っぽくない目にクマができていて、パソコンの前でバンバンと机を叩いている。

 

 

『母さんが命を狙われてると知った』

 

『コロモンの情報があれば・ストーカー相手に証拠をでっちあげるぐらいなら、簡単にできた』

 

『でも、それは無理だった』

 

『母さんを狙うストーカーの背後に、何者かの影があることに気づいたからだ』

 

『……そうでなくとも、俺にはできなかっただろう』

 

『『約束』したから』

 

 

 ……でも、それは、

 

 ……うん。

 

 本当なら、ここで相談してくれれば……と思った。

 だけど、その頃の自分はママにべったりで……話したとしても力になれなくて……と考えてしまう。

 

 

 そして、場面は……

 

 

 どこかで見た駐車場。

 

 倒れた黒いパーカーの男と、その先にいる進化したコロちゃんと小さい頃のタイト。

 

 タイトから少し離れたところにいる……

 

 

 ……ここってっ!? 

 

 ────っ!? 

 

 

 

「な(・)ん(・)で(・)、(・)タ(・)イ(・)ト(・)が(・)光(・)っ(・)て(・)る(・)の(・)」

 

 

 

そ(・)う(・)だ(・)、(・)タ(・)イ(・)ト(・)が(・)消(・)え(・)た(・)時(・)の(・)記(・)憶(・)だ(・)。

 

 

「なんとなく、わかってたんだ。こんなことになるって」

 

「母さん、アクア、ルビー……お別れのときだ」

 

 

 諦めたように、少しだけ笑って……それでも寂しそうにしてるタイト。

 

 

「私まだ何も聞いてないっ! あんたに何も何も聞いてないよ」

 

 

『なにも聞いてない』

 

 その言葉が深く心に突き刺さる。

 私がなんども、なんどもタイトに聞いたその言葉……私はあの頃からなんにも変わってないのだと、そう思えてしまう。

 

 先生に依存して、ママに依存して、アクアに依存して……今は、タイトに寄りかかってる。

 

 

「お前、なんで……」

 

「アクア、ごめん……うちのベッドの下、資料があるから、あとは頼んだ」

 

「あとは頼んだってお前っ……!?」

 

「だから、後は頼んだ……お前なら、きっと上手くやれる」

 

 

 だから、アクアは頼まれたのだろう。

 少なくとも信用はされていて……それでも、依存はしてなかったから。

 

 

「……ごめんねっ、ダメなお母さんで。タイトのこと守ってあげられなかった。約束守れなかったよ」

 

 

『約束』……あの話……覚えてて、だからママはっ!? 

 

 

「母さんのおかげで、俺はまともな母親に出会えた……全然ダメなお母さんじゃあないよ」

 

 タイトは……ママを許して……

 

「母さん泣いてなんかいないで、笑ってよ……折角ドームで公演するんだろ。アイドルなんだから、ファンのみんなに責任を果たさないといけないよ」

 

 笑って、だからライブもやって……それで

 

 

『体(・)も(・)も(・)う(・)ほ(・)と(・)ん(・)ど(・)吸(・)い(・)込(・)ま(・)れ(・)た(・)』

 

 

 ────っ!? /────っ!? 

 

 

『あと少しで頭も消えると思う』

 

 これはタイトの声? /タイトが思ってたことか? 

 

『ああ、いろんなことを思い出すな……卒園式や入学式に母さんとアクアとルビーの四人で写真を撮りたかった』

 

 ……うん、家の写真立てに飾ってあるよ。

 

『アクアやルビーと学校通いたかったし、母さんと運動会とか大きな行事に出たかった。遠足や修学旅行でみんなで京都とか行って思い出作ったり、小学校の卒業式は学生服を着て参加したかったし、中学では必死になって受験に挑みたかった』

 

 入学式も運動会も、修学旅行の写真だって、セーラー服の写真だって撮ったんだよ。

 

 みんな楽しかったし、喜んでたけど、タイトがいなくて寂しかったんだよ。

 

『高校生になってバイトとかやって、初めての給料は母さんにプレゼントとか送ったりとか、20歳超えたら家族みんなでお酒飲んだりとか……こうしてみると、やりたいことがたくさんあって、未練がましくなっちゃうな』

 

 これからやればいいじゃん。

 私もママもアクアも、おじさんもミヤコさんも、ブイモンも一緒にいればいいじゃん。

 

『でも、やらなきゃいけないことがたくさんあるから』

 

 ……これが、やらなきゃいけないこと? 

 

『必ず、必ず、帰って来るから、できる限り1番の笑顔で』

 

 帰ってきてよ。帰って来るんでしょ? 

 

『────行って

 

 

 

 

 

 ────ブ(・)ツ(・)ン(・)!!! 

 

 

 

 だから……えっ? 

 

 ルビー気をつけ──── 

 

 

 ブレーカーが落ちるように辺りが暗く染まった。

 

 

『ストーカーだけだと思ったんだ』

 

 

 タイトの声? 

 

 暗く染まる世界が少しずつ『ひび割れて』

 

 

『人を信じられる気がしたんだ』

 

 

 ……どういう? 

 

 ヒビが赤く染まって

 

 

 

 

『だけどそんなものはなかった』

 

 

 

 

 ────えっ? 

 

『痛くて』

 

 タイトが中学生ぐらいの男の子に蹴られ、お金を奪われる。

 

 ────っ!? 

 

『悲しくて』

 

 叫んでも誰も助けに来ない。

 

 ……は? 

 

『苦しくて』

 

 雨が降る中、屋根のない場所で蹲る。

 

 ……なんで? 

 

『辛くて』

 

 必死になって、お金を稼いでも、依頼をクリアしても、生活は変わらない。

 

 ……うそ? 

 

『寒くて』

 

 雪の中、毛布にくるまっているタイトと、ケーキやおもちゃを持ち歩きながら、サンタを喜ぶ子供の姿。

 

 ……うそだよ。

 

『嗤われて』

 

 タイトを見て嘲笑う少女と植物のようなデジモン。

 

 嘘だよね? 

 

『寂しくて』

 

 仲間が増えない。味方が増えない。偽善で助けられても、最後までめんどうをみてくれない……むしろ、それを見て安堵する人間。

 

 …………て

 

『戻れなくて』

 

 なんどだって後悔した。

 母さんのいる場所に帰りたいって、なんどだって考えた……けど、それは未来が許さなくて、

 

 ──ーめて

 

 

 

『だから、こうなってしまったんだ』

 

 ────やめてっ!!! 

 

 

「……ムゲンドラモン、奴らを喰い殺せ」

 

 赤く、紅く、赫く……黒く、暗く、昏く……染まり切ったタイトの瞳。

 

「わかった」

 

 ムゲンドラモン……は、その声に、その言葉に呼応するように敵を蹂躙する。

 

 

「人間の方を狙いなさいっ──グレイモン、デビモン!!!」

 

 

 圧倒的なムゲンドラモンの攻撃に、植物のようなデジモンは焦ったのかタイトを狙い始める。

 

 

『メガフレイム』

 

『デスクロウ』

 

 

「…………」

 

 爆炎と爪がタイトを襲った。

 

「やった!」

 

 デジモンはその一撃に喜ぶが……

 

 

「……なにが、『やった』なんだ?」

 

「……なんで!?」

 

 

 タイトは無傷でそこに立っている。

 

 夜空色じゃない。

 

 まるで、夜を塗りつぶしたような、

 

 

 暗夜色? 

 

 

 そう、暗夜色の……デジソウルの光がタイトを包み込んで守っている。

 

 

「2度も同じ手にかかるかよ……ムゲンドラモンの方も終わったみたいだな」

 

「……10体目、ねえタイト次はどうすればいい?」

 

「こうするんだよ、ムゲンドラモン」

 

 

「『機(・)能(・):(・)デ(・)ジ(・)モ(・)ン(・)ロ(・)ー(・)ド(・)』起(・)動(・)」

 

 

 デジヴァイスの音声から、『ロード』という声が聞こえてくる。

 

 ロードって? /レナモンに…………言ってたあれっ!? 

 

 

 ────っ!? /────っ!? 

 

「ヒェッ────、なんなのよこれは!?」

 

 

 ムゲンドラモンに光……デジモン達の屍が吸い込まれていく。

 

 ムゲンドラモンの背中から天使と悪魔の翼が生える。

 

 顔の右下半分がオレンジの竜に変わり、左上半分が龍の頭蓋骨へと変わる。

 

 足が獣になって、尻尾は青い虫のような尻尾に変わる。

 

 お腹は機械と骨が半々になり、内臓が浮き出ている。

 

 

 ルビー……これ。

 

 ……ブイモン? 

 

 全部、全部……ムゲンドラモンが倒したデジモンの一部だ。

 

 ────っ!? 

 

 

「……タイト、なんだか気分が悪いけど、強くなってる気がする」

 

 

 機械の……いや、機械とはもはや言えない。

 不気味な『化け物』がタイトの隣に立った。

 

 

「……パルモン、お前には感謝してるよ」

 

「……へ?」

 

 

 そして、タイトはデジヴァイスを掲げる。

 

 

「だって、お前のおかげで」 

 

 

 暗夜色の光がムゲンドラモンを包み込んで、

 

『ムゲンドラモン:進化』

 

 

 

「『◼️◼️◼️◼️◼️◼️』」

 

 

 

 …………/…………

 

 

 あたりは凄惨なものへと変わった。

 

 人もデジモンも死んでいたり、大きな怪我をおって倒れている。

 

 私もブイモンもなにも言えない。

 

 タイトもあのデジモンも姿が見えない。

 

 

「ずっと、ずっと一緒にいると」

 

 タイトの歌が聞こえてくる。

 

「あの夕陽に約束したから」

 

 夕陽に染まる砂浜。

 

「い……ま、すぐ、会いたい」

 

 バケモノと子供の影が大きく、寂しげに……

 

 

「その、気持ちをお願ぃ 伝えて ね」

 

 

 歌を歌っていた。

 

 

 

 なんで? 

 

 なんで……なんで、こんなこと……こんなことになったのかな? 

 

 タイトのことを知りたかった。

 

 タイトの力になってあげたかった。

 

 私は、私はタイトがあんな目に合ってたとき、なにをやってた? 

 

 助けられる力があった? 

 

 救える力があった。

 

 …………。

 

 首を振ることしかできない。/…………

 

 私は/……ビー? 

 

 私はどうすれば/ルビー? 

 

 わた────/ルビ────

 

 

「ど(・)う(・)だ(・)っ(・)た(・)か(・)な(・)?」

 

 

 背後から突然声が聞こえてきた。

 

 ────っ!? /────っ!? 

 

 振り返るとそこには……白く光なにか……ううん、これは、

 

「君達と繋がったときは驚いたけど、その様子だとある程度は見たんだね」

 

 イグドラシルがそこにいた。

 

 ……私、は。

 

 私には聞かなきゃいけないことがある。

 

 

 イグドラシル。

 

「……なんだい?」

 

 タイトはこんな目にあってたの? 

 これは本当にあったことなの? 

 

「うん、ホントだよ」

 

 …………

 

 イグドラシルの言葉に、私はなにも言えない。真実だとわかっていて聞いたからだ。

 

「ここに繋がったのは偶然だ」

 

 偶然、そうなのかな? 

 

「……いや、『必然』だったのかな?」

 

 イグドラシルはどこか遠くを見ながら、そんなことを言う。

 

 …………/ルビー。

 

 だけど、私にはそんな気力すらなかった。

 

 

「僕にもやることがあるからね。消えさせてもらうよ」

 

 

 

 

 

 

 イグドラシルが消えて何分……いや何時間経ったかはわからない。もしかしたら数分だったかもしれないし、数秒だったかもしれない。

 私はただ、時が止まったように見える茜色の砂浜を見つめて、ただ立ち尽くしている。

 

「…………」

 

 ブイモンは静かに、心配そうに……ただ、私と同じ夕陽を見つめて……黙って待っててくれていた。

 

「…………」

 

 静かに、静かに……ただ、時の流れていくのもいいと思えてしまった。

 

「…………」

 

 こうやって黙って足を止めてもいいと思えてしまった。

 

「…………」

 

 ……だけど、

 

「……え」

 

「……ん?」

 

 だけど私には……それがどうしても『許せなかった』のだ。

 

 

「ねえ」

 

 そう隣から聞こえてくる。

 

「……ん?」

 

 ずっと、ずっと俯いて、ずっとずっと立ち尽くしていたルビーがようやく俺に声をかけてくれた。

 

「ねえ、ブイモン」

 

 だから、俺は。

 

「なに、ルビー?」

 

 ルビーの話を聞く事にした。

 

「…………」

 

 唇を悔しそうに噛むルビーの顔を見て、ただ言葉を待つだけにする。

 

 

 

「……さっきの話……覚えてる?」

 

 そこから数分待って……ルビーの口から出た言葉はそんなもんだった。

 

「…………さっきの話?」

 

 ルビーの話か? 

 

 タイトの昔の話か? 

 

 イグドラシルの言葉か? 

 

 よくわかんない質問だ。

 

 

「『ブイモンにとって、私にとって』って話」

 

 ルビーがここに来る前に聞いた話だ。

 

「……うん」

 

 もちろん、覚えてる。覚えてるよルビー。

 

「ブイモンはどう思う?」

 

 ルビーはもう一度、そんなことを聞いてくる。

 

「…………俺はルビーの味方だよ」

 

 俺の答えは変わんないものだ。

 

「……本当に、それでいいの?」

 

「私はブイモンのことなんにも知らないよ」

 

「出会ってまだ一週間なんだよ? 

 ブイモンの好きな食べ物だって知らないし、好きな遊びだった知らない。どんなことが好きで、どんなことが嫌いか、どんなふうに生きてきたのか、これからどんなふうに生きるのかだってわかんないよ?」

 

「私達は……人間は弱い生き物だ」

 

「さっき見たストーカーやタイトを虐めてた悪い奴らみたいに、元の世界に戻ったら、もしかしたら私はブイモンを悪いことに使っちゃうかもしれないし、私が先に死んじゃうかもしれない」

 

「そんな私に着いてきていいの? 

 ブイモンには他にやりたいことがないの? 

 私のことだけ考えてていいの?」

 

「…………」

 

「……それでも、俺はルビーを信じるよ」

 

 ずっと、ずっと待ってたんだ。

 

「ルビーは間違ってないって信じる。

 ルビーがたとえ間違ったとしても、俺はルビーが立ち直るって信じてるし、やり直せるってわかってる」

 

 雨の日だって、風の日だって、雪の日だって、嵐の日だってずっとずっと、俺はさりなを、ルビーを、他にはない君をずっと待ってたんだ。

 

「だって、俺の『相棒』なんだぜ。信じなくてどうすんだよ」

 

 それは後悔するためなんかじゃない。

 君と出会って、一緒に旅をして、一緒に戦って、ルビーでなくなるそのときまで一緒にいるために俺はここにいるんだ。

 

「だから、俺はルビーのことを知らなくたって信じてるし、ルビーのことを知っても信じる」

 

「ルビーは違うのか?」

 

「私は……」

 

 

 

 

「ううん、『私にはそれがわかんない』」

 

「『わかんない』?」

 

「そう、それが答え」

 

「…………」

 

「私はブイモンと会ってから一週間しか経ってない」

 

 チビモンが目の前に現れて、ブイモンになって、戦って、戦って、戦って……長い時間を過ごしてたと思ったけど、やっぱり一週間しか経ってないんだ。

 

「ブイモンの好きなことを知らないし、嫌いなことも知らない」

 

 ブイモンのことを私はなんにも知らないんだ。

 

「なんでブイモンがそんなに私のことを信じられるのか理解できない」

 

 そんな『無条件』に信じられるほど、私は『こども』じゃない。

 

「だから、私は『わかんない』って言うし、それは今も変わらない」

 

 それが、なんども聞かれても変わらない私の答え……

 

「……、そっか」

 

 ……だけど、

 

「『わかんない』……けど」

 

 

 

「ブ(・)イ(・)モ(・)ン(・)が(・)私(・)の(・)味(・)方(・)だ(・)っ(・)て(・)こ(・)と(・)は(・)、(・)私(・)が(・)一(・)番(・)よ(・)く(・)わ(・)か(・)っ(・)て(・)る(・)」

 

 

 

「────っ!?」

 

 

「ブイモンは助けてくれた」

 

 なんにもできない私をガジモンから守ってくれた。

 

 私がドクグモンに捕まった時、助けに来てくれた。

 

 私が逃げることしかできなかったファングモンに、一緒に立ち向かってくれた。

 

 私が許せないと言ったメガシードラモンを、私の期待に応えて倒してくれた。

 

 あのときの私達では絶対に倒せないはずの主(敵)に抗ってくれた。

 

「……だから」

 

 だからこそ、私は……

 

 

 

「私(・)の(・)や(・)り(・)た(・)い(・)こ(・)と(・)や(・)っ(・)と(・)を(・)思(・)い(・)出(・)せ(・)た(・)ん(・)だ(・)」

 

 

 

「私は『あんな場所』にはタイトを置いておけない」

 

「……うん」

 

 

 タイトのことは最初はただ嫌なガキだと思っていた。

 隠れてなにかやってて、いつのまにかいなくなって、アイ(ママ)を悲しませて、それがただ許せなかった。

 

 次に会ったときは、入学式だった。

 途中変なメッセージだけ残して、ぐーちゃんが来た……嫌なこともあったけど……入学式の日にようやく会えたんだった。

 そのときは、疑ってただけだったけど……後で本人だって知ることができて、アイ(ママ)の為に取り戻そうって思ったんだ。

 

 それから目まぐるしく、いろんなことがあって……いろんな人にであった。

 でも、それ以上に、オカルトみたいなこの世界に来た。

 

 戦って、戦って、戦って……その先で、

 

 

『タイトへの恋心(手に入れたもの)』

 

『タイトをどうして取り戻したいのか(忘れちゃったこと)』

 

 ……そして、『タイトを苦しめた者達(許せないこと)』

 

 

 許せない。

 許さないと思った……でも、

 

「でも、私には力が足りない」

 

 テトみたいな空間を移動する能力はないし、ユイみたいに強くない。

 主みたいに世界を操る力はないし、あんな大勢の敵に立ち向かえるほどの力は持ってない。

 

 

「だから、ブイモン……私に『力を貸して』」

 

 

 ブイモンは私の『味方』だ。

 ブイモンは裏切らないって私は知ってる。私はそれを見てきた。だから信頼できる。

 たとえ、これがわがままだったとしても、ブイモンなら私の手を取ってくれると信じて、ブイモンに手を差し伸べた。

 

「…………」

 

「────えっ!?」

 

 だけど、ブイモンは首を振った。

 

 

「ル(・)ビ(・)ー(・)そ(・)れ(・)は(・)違(・)う(・)よ(・)」

 

 俺はルビーの言葉を否定する。

 

「俺はルビーの『力になりたいんだ』」

 

 だって、ルビーの言葉は間違ってるから。

 

「だから力を貸すとか、借りるとかじゃないんだ」

 

 そう借りるとか貸すとかじゃない。

 

「俺は『ルビーの力』なんだよ」

 

 俺の全てはルビーのモノなんだ。

 

 

「…………っ、そっか。そうだよねっ!!!」

 

 だから、私は。

 

「へへ、そうに決まってるだろ!!!」

 

 だから、俺は。

 

 

「ブイモン、私と一緒に『タイトを取り戻して』!!!」

 

「わかったっ!!!」

 

 

 

 ブイモンを信じるんだ(ルビーに従うんだ)。

 

 

 

 二人の思いがようやく一つになった。

 

 示すべき道が重なり合った。

 

 白く輝く『物質』は一つの形となり、二人に降り注ぐ。

 

 

「……これって?」

 

「……この、光」

 

 

『揺るがぬ忠義』

 

 その光は彼らを包み込み……

 

 

 

 

「さあ、行っておいで」

 

「ここは『僕(イグドラシル)』ですら知らない。僕(イグドラシル)の片隅」

 

「ルビーが示した『揺るがぬ忠義にたる理由』」

 

「ブイモンが応えた『揺るがぬ忠義を示す真実(こたえ)』」

 

「その思いを貫き通した先に、君達の望んだ未来が待ってる」

 

「それを僕は『信じてる』」

 

 





「……よく頑張った」

「…………、ーーーーっ!?」

……くそ 、体……む、うごかね 

「……ガブモンっ!!!」

はる、見てる……のに うまく てねえ。

「だが、その程度では『主』には勝てん」

「……うるせえ」

上から見下してんじゃねえ。

「仲間を連れて出直すか……それとも、ここで死ぬか。選べ」

死ぬ?
ざけんな。

「…………」

戦わねえと、戦ってまもらねぇと……ハルが……後ろにいる奴らがーーーー



「そ(・)の(・)ど(・)っ(・)ち(・)で(・)も(・)な(・)い(・)よ(・)」



その時、ガブモンの耳に少女の声が聞こえてきた。

「ーーーーむっ!?」

バイフーモンが目を見開き、

「ーーーールビーくんっ!?」

ハルの声が大きく響いた……そして、俺の目の前に立つ二人の足。

「起きるのが遅えんだよ」

そう声に出した後、少しずつ目が掠れていく。

「ブイモン」

「ーーーーおうっ!!!」

二人の掛け声が重なっていく。


[ブ(・)イ(・)モ(・)ン(・) ワ(・)ー(・)プ(・)進(・)化(・)]


その掛け声と共に、白い煌めきが部屋を包み込んだ。


最初に子竜……それが成熟し竜となり、翼が生え唸り声を上げ、煌めきは、全てを掻き消し、想像する。

蒼の竜人の身体には白き鎧が包み込む。

両手は紅の宝玉が、両脚は金の装飾が光り輝く。

翼は歴戦を超え、傷を全て呑み込み、より強靭なものへと変化する。

そして、白と蒼、金を全て集約し『紅色の瞳』は、自身の主人の願いを……自身の主人への『忠義』をしめす為、現状を淘汰する。

そう、そこに現れたのは、

『忠義を示す者』

『神に仕える聖騎士』

『理(ことわり)を越える力』


その姿白く輝き、天を照らし現る真なる神の使者。



「『デ(・)ュ(・)ナ(・)ス(・)モ(・)ン(・)*1』ッ!!!」



ケモノの神の前に、白き忠義が降り立った。

*1:
レベル:究極体 タイプ:聖騎士型 属性:データ種 必殺技:『ドラゴンズロア』『ブレス・オブ・ワイバーン』
聖騎士“ロイヤルナイツ”の一員で、飛竜の能力を持つ。ロイヤルナイツの中でも特異の存在で、忠誠心が強く、自らの考える正義に見合った主君に絶対的に仕える。例えそれが「悪」と呼ばれる存在でも自らが考える正義の為に命をもいとわない。そのため騎士道・武士道精神が強く、忠義や信義、礼儀を重んじる性格である。竜の様な強靭なパワーと、高純度のクロンデジゾイド製の竜鎧で無双の強さを誇る。必殺技は両手の平から十闘士と同じ属性のエネルギー弾を発射する『ドラゴンズロア』と、全身のエネルギーを巨大な飛竜のオーラに変える『ブレス・オブ・ワイバーン』。

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