ミーン、ミーン、ミーン、ミーンッ!
ヒグラシの鳴く音がする森のそば、そこに2人の◼️があった。
『……恩義◼️返した』
こちらが◼️っても、こちらが◼️んでも、嫌味を言いながらも隣にいることを容認してくれた◼️。
こちらが◼️◼️しても、こちらが◼️たがっても、余計なものを見せ続けた◼️。
この2人のおかげで、◼️でもあの◼️の中にいることができた。
『……◼️◼️◼️◼️』
心配そうに見つめる◼️◼️◼️◼️◼️は幼年期ながらに僕を守ってくれた。唯一信じられる◼️◼️なのかもしれない。
『…………』
ミーン、ミーンと鳴くヒグラシは地に落ち、屍を晒しながら息が絶え始める。俺はその蝉を蹴飛ばして◼️から背を向けた。
『やるぞ、◼️◼️◼️◼️◼️』
僕は今から◼️◼️を◼️◼️。それが◼️の答えであった。
2002/11/17 AM11:25
「……ふんっ、これで最後か?」
「……うっわぁ」
目に見えるのは曇り空と砂浜を血に染める完全体の死体の山。
昨日、いや、1時間前まで、この地域周辺の頂点捕食者として君臨していたそれらは、データの屑として風化していくそれらは、間違いなく弱者……、いや、ゴミへと変貌していた。
「貴様の言う最強とはこの程度なのか?」
ブラックウォーグレイモンがこちらを睨む。
ブラックウォーグレイモンが立つ先には、巨大な青のタコみたいなデジモン……、この場所の主人であるダゴモン*1が倒れていた。
(完全体を軽く倒しやがって)
ブラックウォーグレイモンがハンギョモン*2、メガシードラモン、ワルシードラモン*3、……そしてダゴモンといった完全体のデジモン達を倒す時間は一刻にすら満たなかった。そして、僕はブラックウォーグレイモンを満足させることすらできなかった。
「この世界が『進んでいない』だけだ。ここまで究極体がいない世界もそうないんだよ。文句を言うんだったら、及川達を狙うのをやめて、別のデジタルワールドへと移動すればいい」
その言葉にいらだち、ついそう返してしまった。
「ふんっ、貴様の記憶は当てにならん……、本当に強者が多くいる世界など存在しないかもしれないものに対して、信用などできまい……、だが、覚えておけ」
覚えているさ。
「
覚えているんだよ、そんなことは。
1ヶ月前、ブラックウォーグレイモンと出会い、僕は記憶の一部を取り戻した。
取り戻した記憶はどこかツギハギで、穴だらけな不完全……そのうえで、思い出せるのは一部のみというそんな記憶だったが、取り戻すきっかけを僕は手にすることができた。
ブラックウォーグレイモンについていけば、旦那様に対して恩が返せると、……『僕の中にある記憶を取り戻す』ことができると、そう確信した。
そして、僕はブラックウォーグレイモンと契約を交わした。
『ブラックウォーグレイモンの望みを叶える代わりに、お前の旅に連れて行ってほしい』
『俺と対等に戦える強者を……、俺の求める答えを見つけられる強者にと出会えるならば、お前を連れて行ってやる』
その契約の元、僕らは手を組んだのだ。
「…………」
目の前の規格外の
「できなければ殺す。貴様の命は俺の掌の上にあることを理解しておけ」
「…………っ」
理解している。
(そんなことは十分に理解している……っ、しかし、ブラックウォーグレイモンという規格外の強さを持つデジモンと対等に戦えるデジモンなど、この世界にほとんど存在していない)
記憶を取り戻す中で、この世界に究極体デジモンが少ない世界だということを『思い出した』。
(次はっ、次はどうする?)
歩く背中、ここから離れようとするブラックウォーグレイモンの姿を見て僕は焦る。
(究極体クラスっ!? 究極体クラスのデジモンはどこにいるっ!?)
取り戻せた記憶の中で筆頭に上がるのは、お嬢様の友人である八神太一と石田ヤマトの2人とそのパートナーが合体した『オメガモン』。
その次に上がるのはこの世界のシステムの根幹に連なるという『四聖獣』。
その次は……、3年前に現れたダークマスターズとその原因『アポカリモン』。
どれもこれもすぐに戦えるとはいえない存在であると、なんとなく思い出せない記憶の中で叫んでいる。
(どうしたら、どうすれば────)
頭の中で弾けたのは、夕焼けの街並み。
『ネイルボーンッ!!!』
『インペリアルドラモンっ!?』
『インペリアルドラモ────ンッ!!!』
完全体の悪魔型デジモンの攻撃と人質に取られるバス。動けなくなったパートナーへと叫ぶ少年。
『ダークネスウェーブッ!!!』
トンネルの中、叫ぶ悪魔の女。
『荒御魂』
『倒しちゃった。……とうとう敵を倒しちゃった』
少年は覚悟も持たずにデジモンを殺してしまう。
『……及川は言っていた。『光が丘』はゲートポイントだと言っていた』
『もしそうなら、『闇のゲート』が開けるかもしれない』
『ポジトロンレーザーッ!!!』
『トップガンッ!』
『荒御魂』
『ふっふっふ、愚か者共よ。いずれ後悔することになるぞ』
『ふっふっふ、はぁ────、ハッハッハッ!!!』
赤い衣を纏った悪魔は
「……いや、見つけたかもしれない」
ブラックウォーグレイモンの足が止まった。
「近々、この世界に究極体が現れる」
「そのデジモンにはどこに行けば戦える?」
ブラックウォーグレイモンが振り返った。僕はすぐにさっき思い出した記憶をより深く考察していく。
「すぐには無理だ……、雪が降ってるから冬、? いや、ところどころにクリスマス要素の入った飾りが片付けられていることから12月の……、25日以降だと思う」
店の看板が並ぶ中、クリスマスツリーやクリスマスの飾りが片付けられていく様子が頭の中をよぎっていく。
「12月……、貴様が書いていた紙に書いてあった日付が11月と書いてあったということは……、あと1月と言ったところか」
僕はブラックウォーグレイモンの言葉に頷いた。
「場所はどこだ?」
「場所は光が丘。敵は七大魔……これを言ってもお前にはわからない……よな?」
今度はブラックウォーグレイモンが僕の言葉に頷く。
「罪は『憤怒』……、名だたるデジモンの中でもトップクラスに強い『デーモン』が光が丘にやってくる」
デーモン。
僕の記憶の中にある究極体でもトップクラスと言っていいほど、有名なグループに存在するデジモン。
『七大魔王』と呼ばれるグループに分けられ、リアルワールドで言うところの七つの大罪の『憤怒』を担うデーモン。その力は激しく、恐ろしい……そして、
「ブラックウォーグレイモンよりも確実に強い……はずだ」
確信は持てない。しかし、ブラックウォーグレイモンに比肩するどころか、真正面で戦っても勝てるかどうかわからないという理不尽さは蘇る記憶の中でも随一だ。
「デーモン、か」
「そいつは強いのか?」
ブラックウォーグレイモンが問う。
「この世界では最強クラスだと言っても過言じゃない」
その言葉に僕は不適な笑みを浮かべながら頷く。
「……そうか」
その言葉を聞いてブラックウォーグレイモンは嬉しそうに口角を上げる。
(……よかった)
その姿を見て僕はホッとしていた。
命がかかっていたこともあるがそれだけじゃない。2週間前、キュウキモンからブラックウォーグレイモンは助けてくれた。そのことに恩義を感じていた。
だから、今の僕にとって恩人の役に立てたことが、とてつもなくうれしくて、胸が撫で下ろせたというか……、まぁ、とにかく、ホッとしていた。
「どうすれば奴と戦える?」
ブラックウォーグレイモンが、そんなことを考える僕にデーモンとどうやったら戦えるかを聞いてきた。
(どうやったら戦える……か)
思い出すのはデーモンが狙い。
『────ッ、賢ちゃーんっ!!!』
トラックの中に連れ去られる銀色のスーツのような服を着た少年。そして、その少年に向かって叫ぶワームモン。
「一乗寺賢……、初めて戦った合体するデジモンのパートナーの銀色の服の子供って言ったらわかるか?」
「ああ」
「そいつを狙いに及川とデーモン、それと人間と組んでいるデジモン達がリアルワールドで三つ巴になって戦いあう。上手く動けば……」
「デーモンも及川も叩き潰せる……というわけだな?」
ブラックウォーグレイモンが察しが良くて助かる。僕もその言葉に頷きなが────、
「そういうこと……っ!?」
『ねえ、今度はこのコスどうかな?』
やたらとピンク色の気味の悪い部屋に、40代後半ぐらいの白髪混じりの太った女が◼️に問いかける。
『えへへ、いいでしょ? すっごく◼️◼️くない?』
ピッチピチで穴だらけの紫色のラバースーツを着て、こちらに来る姿は気持ち悪い。やけに体のラインが見えやすい服装なうえ太っている為、ところどころ醜い腹が飛び出しており、穴が空いている場所からはイボイボの皮膚が見え隠れしている。
『……うんうん、褒めてくれればいいの』
口から漏れ出すのは反吐が出るような、吐き気を催すような胸糞悪い褒め言葉。
『私を見てくれるのは◼️◼️だけ……、だから、精一杯あまえ────』
そうして女は◼️に覆い被さり、顔を近づけ────、
「うぷっっ!?」
あまりの気持ち悪さに吐き気をもよお────、
「おぇぇえええええ────っ!!!」
いや、吐いた。僕は盛大にその場で吐き続ける。
「……けほっ、……うっぷっ!」
ブラックウォーグレイモンからの視線が痛い。うん、わかってるわかってはいるけれども、その場で吐き続けた。
「……それ、なんとかならないのか?」
「……なんとかって? ぺっ!?」
なんとか口の中にある吐瀉物の残りを吐き出して、ブラックウォーグレイモン質問の意味がわからず、僕は質問で返した。
「記憶が戻るたびに貴様は嘔吐している。それは貴様にとって負担になってるのではないのか……と聞いている」
何だ心配してくれていたのか?
記憶喪失の件は話していた……だが、その『戻った記憶』何ほしいのはお前もおんなじだろ、さっきのことを思い出して、腹が立った。
「擬人化したらエロ同人に出てきそうな悪の女幹部っぽい性格をしてるくせに偉そうに……、うっぷっ!?」
思い出したのはさっきの太った女の姿。
醜く、気持ち悪い容姿の女が中学生ぐらいの自分の上にのしかかりながら、そのコスプレの内容を説明を思い出して、さらに気持ち悪くなる。
(子供にR-18以上の話を持ってくんなっ!)
やってることはR-18だけれども、搾取されてる子供に話していいわけないだろっ!
「悪の……、なんだそれは?」
「思い出させようとさせないでくれ。吐き気がする」
戸惑いながら不気味なモノを見るような目でこちらを見るブラックウォーグレイモンに向かって僕は悪態を吐いた。
「……記憶喪失になる前の自分はどんな人間だったんだよ」
自分が自分を信じられない。
なんであんな女を相手にしていたのか?
なんで小学生低学年の自分が、中学生ぐらいの年齢だと自認していたのか?
なんで女に対してあんなに『気持ち悪い』と思っていたくせに、女を受け入れて◼️◼️◼️していたのか?
……そして、
(記憶が戻る度に見えるあの光景は何だ?)
そもそも記憶が戻るたびに見えるこの世の地獄のような景色はいったいなんだっていうんだ。僕は記憶が戻る前、いったい何をしていたんだ……そんなことを何度も何度も考えては、引っ込める。
────だんっ、と地面を踏みつける音が鳴り響いた。
震源地はブラックウォーグレイモンからであった。
「……問題なさそうだな」
僕はその言葉に頷いた。
「……あと1ヶ月、お前はどうするつもりだ?」
デーモンとの戦闘まであと1ヶ月、……ブラックウォーグレイモンはデジモンとそのパートナー達が守るホーリーストーンなる物を壊しているらしい。なら、僕がやることは決まっている。
「戦闘と護衛はブラックウォーグレイモン。お前の担当のはずだ。それ以外は僕がやってやる」
料理や拠点の掃除、自分の身の回りのことは自分でやっておくつもりだ。そもそも僕達が使う拠点にないものが多すぎる。
「期待しないでおく」
そう憎まれ口を叩くが、こいつはこいつで野菜を出すと文句は言ってくるから、少しは期待されているのだろう。
「今日の夜は何にすればいい?」
「肉だ。肉にしろ」
「わかったよ……、煮込みか炒め物、油は……拠点内に少ないから、その2択か? ……いや、蒸すのはありか」
「ふんっ、肉さえ入っていればなんでもいい」
「適当に作ってやる。香辛料の調達もしなきゃいけないしな」
ブラックウォーグレイモンが僕を拠点へと連れていった後、僕は拠点にある材料とスパイスを探し頭を悩ませていた。
「……ブラックウォーグレイモンも軟化したな」
この2週間でブラックウォーグレイモンはだいぶ優しくなった。
「『初めは食事なんて摂らなくても生きていける』……なんて言っていたが……」
その言葉に腹が立って、口の中にステーキをぶち込んだのが始まりだったっけ?
それとも、ブラックウォーグレイモンの目の前で初めて吐いたことが原因か?
いずれにしても、ブラックウォーグレイモンの性格が軟化した理由がわからない。
「あいつのことは……、どうだったかな?」
ブラックウォーグレイモンのことを考える途中で、────自分の中にある『記憶』を呼び起こした。
『ごめん、よくわかんないよ。心がどこにあるか……なんて』
『心あるお前にもわからないことなのか?』
夕焼けの夜空。
2体のデジモンが荒野の山岳地帯で、『心』について話している。
『心とは……本当にある物なのか? もしかしてそれは錯覚などではないのかっ!』
ブラックウォーグレイモンは叫んだ。心とは錯覚なのではないのか……と。
『俺が俺であるべき理由とは何だっ! 俺が俺であるべき理由とはっ、いったいなんなんだっ!!!』
…………。
『こんなことなら、こんなに悩むものなら、心など、俺にはいらなかったっ!!!』
(……っ、まただ)
ブラックウォーグレイモンとアグモン……、だったかな? 2体が話している映像を眺めているような感覚に、僕は戸惑った。
「……心、か」
「ブラックウォーグレイモンは心なんかいらないって言った」
きっと僕と出会う前の話なんだろう。しかし、それにしては……、
「……あいつ、心あるよな?」
壊したい……、だとか、いらない……、だとか、何か……こう、衝動というものに対して拒否するという行為自体が『心』があるという証明に近いような気がする。
(そもそもあいつは聞く相手を間違えてるような……?)
記憶の断片しか戻ってきていないが、アグモンに聞くのではなく、この世界でお嬢様が出会ったゲンナイという人物に聞くべきだ。
「それでも、あいつが────」
何か思うところがあるのならば────、
「
背後から突然聞き慣れてしまったその声が聞こえてくる。
「────ッ!? ……おかえり」
「…………?」
急いでフライパンを片付けながら料理を並べ始める。
「……これは?」
肉とその横ある葉物野菜が並べられた皿を睨みながら、ブラックウォーグレイモンは僕にそう問いかける。
「冷しゃぶだよ。野菜と一緒に横のソースをつけて食べるんだ。野菜は苦手だと思うけど、食べやすいものを選んだつもりだから食べてみてくれ」
ブラックウォーグレイモンはその言葉を言った僕を睨むように一瞥し、『ドラモンキラー』を外して料理に手をつけた。
「……まあ、いい」
気に入ったみたいだ。
僕は心の中でガッツポーズをしながら、自身も葉物野菜を肉で包んで、ソースにつけて食べ始める。
予想通り、レタスに似た野菜の味にピッタリと合うような料理が作れて、僕の見立ては間違っていなかったと確信する。
「……あと」
「……ん?」
ブラックウォーグレイモンが食事を摂りながら、独り言のように僕へと呟く。
「お前の記憶には助かっている。未来を見ているようなその視点のおかげで、俺は少しは冷静に判断ができている……みたいだ」
「……そっか」
そうして、夜が更けていく。
薪が燃え、星空が照らす夜空の中、刻一刻と世界が変わって見えている……気がした。
────ミシリ、と大きくヒビ割れるような音が『デジモンミニ』からなっていることに、誰1人気づくことができなかった。
「海底の破戒僧」と呼ばれる邪神デジモン。船舶などのコンピュータに感染して、方位や航路を狂わせていたコンピュータウィルスが進化したと考えられている。無数に増える触手を束ね、人型に姿を変えているが、その正体は奇怪な軟体型デジモンの進化型である。必殺技は凄まじい腕力で、三つ又の鉾を投げつける『フォービドゥントライデント』。倒した相手には、首の数珠を持ち、弔うようなポーズをとる。
ウェットスーツを着た水棲獣人型デジモン。陽気な性格で、いつも「ネットの海」を泳ぎまわっている。水の中での活動が得意で、戦闘では背中の水中高速移動モーターを使い、スピードを活かした戦い方をする。必殺技は愛用のモリ「トレント」で敵をさす『ストライクフィッシング』。
邪悪に進化したシードラモン種のデジモン。頭のブレードのようなツノで闇の力をコントロールできる。よりズルがしこい性格になっており、エモノを追いつめるしつこさはメガシードラモン以上だ。必殺技は、闇の力で作り出したうず巻きで敵をのみこんでしまう『ダークストローム』。
2002/11/10 AM09:24
現実世界もデジタルワールドも空が晴れ渡っている……、そんな日に、京都には2人の少年少女、デジタルワールドにはそのパートナーであるアグモンとピヨモンがとある人を探していた。
「……なあ、空。本当にそいつはデジヴァイスに似たものを持ってるのかよ?」
私に向かって……、少年、いや太一は疑うように聞いてくる。気持ちはわかる……でも、確かにあれはーーーー、
「持っていると……、思う。私から見ても間違いなくあれはデジヴァイスだった」
3年前に見たあれは、形は違ったけど間違いなくデジヴァイスだった。
「……それなら、もう少し早く会えばよかったんだけどな」
そう、……光子郎くん達に早く見せてあげたかった。『D-3』が現れる前に見せてあげたかったのだけれど……、
「陸自身が会いたくないって言ってたみたい」
陸自身が東京に来たがらなかったから……、会うこと自体できなかったのだ。
(ううん、本当は私達に負い目があったのかも)
2年前の大晦日。
あの日見たお父さんが拾ってきた傷だらけの子供……、お父さんに『陸』と名付けられたその子は、たとえ私やピヨモンが京都に来ていたとしても会わないように、どこかにいっていた思う……、そんな気がしていた。
『……空?』
心配そうに私に聞くピヨモン。
「なんでもないわ、ピヨモン……それより、」
「ここが、……そう、みたいだな」
ただ、たどり着いてしまった以上、この話は後にしたかった。
黄色のテープで締め切られた公園と路地裏、……テレビで見た女の子は、ランドセルを背負った男の子に『逃げて』と言われて、ピンク色のバケモノから必死になって逃げたと……そう言っていた。
「京ちゃんが言ってた。ブラックウォーグレイモンが、陸らしき子供を連れ去った場所……ピヨモン。デジタルワールドの方はどう?」
明らかにデジモン同士が争ったようなそんな戦闘の跡が見えてしまっていた。
『こっちもそれらしい物は見つけたわっ!』
ピヨモンに聞いたところ、陸の痕跡らしきものが見つかったらしい。
私達は急いでパソコンのアグモンが送ってくるゲートの内容を見ていくと……、
「「ーーーーッ!?」」
私達子供には馴染み深いものが目に入ってきた。
『……これ、ダイスケ達が背負ってる……あれ、だよね?』
アグモンが持っていたのは、大きく切り裂かれた黒色の『ランドセル』。
ランドセルにある防犯ブザーやお守りは、今年の1月に送られてきた入学式前に撮ったらしい陸とランドセルの写った写真と瓜二つのものだった。
「ーーーーり、く?」
出会ったのは一瞬だけ……、それでも、……もし、私があのときお母さんを説得できてたら、こんなことにはーーーー、
「アグモン、そのランドセル……ダイスケ達に言って、こっちに送れないか?」
…………たいち?
『それはいいけど……、太一、いったいどうするの?』
「空の父親に見せて本物かどうか確認するっ! ……空、それで良いよな?」
ああ、そうだ。
まだ、本物と決まったわけじゃない。お父さんに確認しないとわからないことがたくさんある。
「うっ、うん……、それで良い」
太一の言葉に沸騰しかけた頭が冷静さを取り戻して、もう一度
『アグモン、こっちを見てっ!?』
『ピヨモンッ、えっなになにっ!?』
パソコンの中、デジタルワールドにいるアグモン達が騒ぐ様子が聞こえてきた。
「空、ピヨモン達が何か見つけたみたいだ」
「そうみたいね」
『ーーーーっ、ねえ、これってっ!?』
『……空?』
「「ーーーーッ!?」」
たくさんの吐瀉物が埋められた穴がそこに見つかった。